まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

消滅会社退任役員等の退職給付

2008-03-10 23:26:10 | M&A

     吸収合併の場合、被合併会社(消滅会社)の財産は合併会社(存続会社)に包括的に承継され、被合併会社は解散によって消滅しますね。会社法750条では、「存続会社は、効力発生日に、消滅会社の権利義務を承継する。」と規定しています。消滅会社の権利義務ですので、取引先との債権・債務や、保有する固定資産の物権も含みますね。債権・債務には、当然従業員との間に存在する労働契約を含みますね。

・ では、取締役等の役員と消滅会社との関係は、当然承継されるかというとそうではありませんね。役員と会社とは委任契約が締結されていると通常は考えられていますが、この役員・会計監査人との委任契約は、承継されずに別途選任されない限り、消滅会社の解散と同時に消滅すると考えるようですね。そういう意味では、全ての契約関係が自動的に包括承継される訳ではない。例外もあるという事でしょうか。

・ 持分プーリング法が適用される税法上の適格合併の一類型である「共同事業を行うための合併」では、要件の一つとして①事業規模の対等要件又は役員(平取を含まない特定役員)の継続就任要件を課しています。他の要件としては、②事業の相互関連性、③従業員80%以上の移転(*)、④被合併事業継続、⑤合併新株80%以上の継続保有要件(被合併法人の株主が50人未満のとき)等ですね。適格合併自体非常に少ないですし、特定役員以外の就任継続も必ずしも多くない様ですね。消滅会社の会長や社長等は、存続会社の役員になる場合も多いですが、役員数の減員の為、平の取締役等は、一部を除き辞めてもらうということが多いですね。パーチェス法が適用される非適格合併の場合は、役員継続就任要件がありませんので、合併の際に退任する被合併会社の役員は、それなりにいますね。(対外的にはかっこ良いこと言いますが、会長・社長等のずる賢いトップだけが残り、その他の役員は、お金やるから「さようなら」という場合もあるわけですね)

     適格合併で、従業員80%以上移転要件を求めているのは、合併契約のときに、ときどぎ、合併の効力発生までに消滅会社側で、一部不採算事業の整理・売却・従業員整理等して、合併前に身ぎれいにすることなどが、合併契約にて約束される場合があるからでしょうかね。会社法では、全ての権利義務が承継されるとしているのにですね。現実は、会社法と異なり厳しい場合がありますね。

【消滅会社の退職役員・使用人への退職一時金・年金】

・ 合併に際して退職する(退職させられる)使用人の退職一時金は、被合併会社で未払(例えば、合併期日の前日に退職する場合)であっても、被合併会社において債務が確定しているものですので、被合併会社の費用&損金となりますね。合併会社の費用&損金ではないですね。

・ しかし、退職年金については、支給すべき時の費用&損金ですから、年金については、合併会社の費用・損金になることになりますね。法人税基本通達9-2-29ですね。「法人が退職した役員又は使用人に対して支給する退職年金は、当該年金を支給すべき時の損金の額に算入すべきものであるから、当該退職した役員又は使用人に係る年金の総額を計算して未払金等に計上した場合においても、退職の際に退職給与引当金勘定の金額を取り崩しているといないとにかかわらず、当該未払金等に相当する金額を損金の額に算入することはできないことに留意する。」と書いています。

・ 合併会社が、被合併会社の退職役職員の退職年金の給付をしなければならないですから、会社合併のときの合併比率算定のときには、お互い相手の退職給付債務の詳細を調べておかないと大変ですね。でも、これもときには難しいかもしれませんね。普通は、退職年金と退職一時金の選択が可能ですから、例えば救済合併される側が、合併前の人員整理で、割り増し退職金をはずむと、実は結構退職一時金を選択して辞める人も増えますしね。

・ では、役員退職金の処理はどうしたら良いのでしょうか。法人税基本通達9-2-33ですね。「合併に際し退職した当該合併に係る被合併法人の役員に支給する退職給与の額が合併承認総会等において確定されない場合において、被合併法人が退職給与として支給すべき金額を合理的に計算し、合併の日の前日の属する事業年度において未払金として損金経理したときは、これを認める。」としています。また、合併法人の役員となった被合併法人の役員等に対する退職給与も、この規定を準用しています。

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