まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

M&AのRep.& Warranty条項

2013-09-15 12:00:49 | M&A

 

M&Aの株式買収契約では、定義から始まって、取得株式の譲渡・価格、クロージングの条件やクロージングに向けた当事者の行為・協力、誓約事項(Covenants)、補償(Indemnification)条項、税務債務の処理等、いろいろな条項を記載しますが、今回は、その中でも重要な事実の表明と保証(Representations & Warranties)をまとめて見ましょう。売主・買主・対象会社の3社(売主が対象会社について行うのが普通)とも表明・保証を行いますが、買主の表明の一番重要なことは、買収資金がある(これに不安がある場合はEscrow Accountを開設したりしますが、日本の信託銀行は、Cross Boarder案件のEscrowのノウハウはほぼゼロなので、アジアの案件なら香港上海銀行香港等でアレンジできますが、結構手数料が取られます)ということですので、今回はM&Aの買主が売主に、非買収企業(acquired entity)に求める事実の表明と保証をみてみましょう。勿論以下は一例ですので、これ以外の規定もいろいろありますが、典型例と考えていただければと思います。<o:p></o:p>

 

○ REPRESENTATIONS AND WARRANTIES CONCERNING THE ACQUIRED ENTITIES-普通は、30-40ぐらい書きますが、争点になるところ、あるいは重要なのは5-6ぐらいでしょうか。<o:p></o:p>

  ・Seller represents and warrants to Buyer as at the date of this Agreement except as set forth in the Disclosure Letter.というような書き出しですね。<o:p></o:p>

DDで発見したリスク事項は、価格に反映し、当事者が既に認識しているものとして、Disclosure Letter (Disclosure Schedule)として、買収契約の別紙として明記)<o:p></o:p>

短時間の限られたDDでは、リスクが容易にまた全て把握できないので、その部分を表明保証で規定するという位置づけ。<o:p></o:p>

 

  1  Corporate Status ? 適正に設立され、正当に存続している会社である旨記載。

 2 No Violation; Governmental Consents ?買収契約は、他の契約違反にならず、法令を遵守、必要な許認可も不要等と書く。中国やベトナムは、買収契約の効力発生は、当局の許認可なので、少し書き方が違う。  

 3 Brokers' Fees ? 米国ではよく見る条項。Broker, finder等への支払いは無い旨記載。

 4 Capitalization-発行済株式の種類・数等を記載。 

 5 Subsidiaries ? 開示した子会社とその内容は真実正確であるとか、それ以外の子会社等は持っていない等。

 6 Records ?開示された資料は、accurate and complete in all material respects等と記載。 

 7 Financial Statements ?当該国のGAAPに沿って真実・正確等と記載。 

 8 Subsequent Events ? 上記7の基準日以降は、have conducted their business only in the Ordinary Course of Business,であり、 there has not been any Material Adverse Change with respect to any Acquired Entity.等と記載。 

 9 Liabilities-簿外負債の無いこと、開示された以外に担保等に供されているものが無いこと等。

 10 Legal Compliance-法令定款を遵守していること。 

 11 Tax Matters-適正に申告し、BS表示外の税務資産・負債が無いこと。将来追徴されたりしたときにどうするかなどは補償のところに書く場合があります。

  12 Title to Assets ?資産に対する権利は正当に保有していること。

 13 Real Property-適正な登記なり、賃借契約がなされていること。

 14  Intellectual Property ? 自分の知的財産は、きちんとした手続きを経て保有している(申請中も含めて)、あるいは契約をもとに使用権を得ていること。

 15 Tangible Assets ?有形固定資産についても上記と同様。

 16 Inventory-通常業務過程で販売できる在庫を有していること。 

 17 Contracts-開示されたもの以外の重要な契約は無い。 

 18 Receivables-売掛金は回収請求可能であること等。 

 19 Insurance-適正に付保され保険証券も保有していること。 

 20 Litigation-開示されたもの以外の係争案件はないこと。 

 21 Labor; Employees-開示された以外の労働協約は重要な雇用契約はないこと。 

 22  Employment-労働基準法等の法令に基づき行っていること。 

  23 Employee Benefits ?開示したもの以外にはなく、開示したものは適正に実行されていること。  

 24 Pensions-法令あるいは開示した通りのPension Planを実行していること。役員等へのPension Planは開示されたもの以外はないこと。

 25 Environmental Matters-環境関連法を全て遵守していること。 

 26  Customers and Suppliers-開示した重要顧客とは現在取引が継続しており、終了のnotice等を受領していないこと。 

 27 Permits-事業に必要な全ての許認可を得ていること。

28 Foreign Corrupt Practices Act Compliance(FCPA)-役職員はこれを遵守していること。  

 29 Bank Accounts-開示した銀行口座以外に口座をもっていないこと。 

 30 Insolvency ?こういった状態にないこと、また裁判所等の命令もでていないこと。 

 31  Loans to Third Parties ?開示した以外に第三者にローン等を提供していないこと。 

他にも案件によっていろいろ追加したりしますね。疲れますね。

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