まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

ノウハウライセンス契約は意味があるのか?

2013-09-01 17:43:31 | 商事法務

 

 契約のサンプルを見ていたらノウハウライセンス契約というのがありました。なんとなく違和感といいますか、そんなライセンス契約がどれだけ有効か疑問が湧きましたので、今回はノウハウライセンス契約の話です。また技術支援契約と書いて、ノウハウをライセンスしている例もあると思います。昔、知的財産のライセンス契約で、「特許権・意匠権・商標権及びノウハウ」等と自分でも言葉を並べて契約を結んだこともありますし、まああまり細かい事を言っても、どうせ大勢に関係ないですからそのまま結びました。しかし、ノウハウだけのライセンス契約は、未だ結んだことはありません。<o:p></o:p>

 

 

 ノウハウとは定義がありません。でもまあ「工業目的に役立つある種の技術を実用化するために必要な秘密の技術的知識・経験又はそれらの集積」と言われているようです。一部では、特許にすると公開されてしまうので、これを秘密にしてノウハウとして保持しようというのもありますが、これは例外でしょう。一言で言えば「匠の技」ですね。技能オリンピック等で、メダルを取るために、熟練の匠が、新入社員に特訓をして、技術者・技能者が身に着けるものです。簡単な例として、ご飯を美味しく炊く炊き方を、炊飯器に組込みソフトとして入れたり、マッサージの匠の技を、ソフトウェアにしてマッサージ器で実現出来るようにしたりということで、一部のノウハウは自動化・汎用化できるようになりましたね。<o:p></o:p>

 

 

 ノウハウライセンス契約では、こういったノウハウをライセンスするという規定をします。おかしな話です。ノウハウとは、ライセンスするものではなく、「伝授し、教えてもらった人が、それを吸収すれば、それでノウハウは承継された」と考えるのが普通だと思います。ということで、ノウハウライセンス契約等、普通は考えられないのではないでしょうか?<o:p></o:p>

 

 

 権利とか、法的保護、あるいは法的に保護される利益という視点から考えても、例えば特許とノウハウでは大きな違いがあります。特許は、出願し特許査定が行われ、新規性が認められれば、特許権の設定登録が行われます。存続期間は、出願の日から20年(医薬品等の一部で延長登録のあったものは25年)ですね。この間、権利として排他性を持ち法的保護が受けられます。即ち、無断使用者に使用差止請求をしたり、損害賠償請求もできます。一方、ノウハウでは、差止請求は認められていませんね。宮大工さんが弟子に、木の組み合わせ方を教えて、弟子がマスターしてしまえば、それで伝承されたわけですから、差止請求等考えられません。仮に、ノウハウ開示契約を締結しても、契約が終了すれば、損害賠償請求もできないでしょう。<o:p></o:p>

 

 

 ブラジルでは、ノウハウライセンス契約は認めていませんね。ノウハウを提供することについてお金を払えとはいえますが、ロイヤルティの金額上限を設けたり、期間は最長5年とされています。

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