まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

投資契約の株式買取条項

2012-06-24 16:42:14 | M&A

 

VC等から資金導入する場合、力関係といきさつによりますが、会社の経営支配者個人に、一定の事実が判明した場合、一定の事項が起こった・あるいは起こらない場合には、会社又は経営支配者に、株式を買い取る義務を負わせる規定を設ける場合が多くなっています。大昔(2030年前の証券会社系のVC投資で)は無かったですが、米国のベンチャー企業の投資契約の影響を受けて最近では規定する場合が多くあります。特にVCの投資契約では、VCから株式を取得したいと言い寄っていった場合は別として、結構がめつい規定があります。しかし、どうも会社法を良く理解せずに記載したりしていますので、今回はそれについての話しです。<o:p></o:p>

 

○ では一般的にどういった場合に、投資者は会社及び経営支配者に、自分たちが取得した株式の買取を請求できるのでしょうか?以下の場合等ですね。

1) 表明・保証事項に虚偽があった場合。故意に重要事項を隠蔽した場合。

2) 契約の重要事項が遵守されない場合。

3) 経営支配者が、株券上場前に辞任した場合(やむを得ない場合は除く)

4) 34年先の一定の期日までに、上場の形式基準・実質基準を満たしているのに、上場しない場合。<o:p></o:p>

 

 また買取価格についても規定しています。普通は、いくつかの算出方法を列挙して以下の方式で算出した価格のうちの最も高い金額とすると規定して、自分の取得価額も入れています。また、投資家の指名する第三者の公正な鑑定価格等とも規定しています。取得価額というのはおかしいですね。株式は元本保証の金融商品では無いですね。また、鑑定価格など、お金を出す人の意向に従い算出するものであり、公正等という誤魔化しの言葉を使用しています。株価の算定などいろんな方式があり、極論するとかなり自由に、裏の意図に基づき意図的な価格が作れるのですね。<o:p></o:p>

 

<o:p> </o:p>

○ まず会社が、特定株主から自社株式を取得して自己株式にする場合を考えて見ましょう(市場価格ある株式で一定の要件のある場合、及び株式相続人等から取得する場合で一定の場合は除きます)。3つの条件をクリアする必要があります。<o:p></o:p>

 

① まず財源規制が働きます。即ち、分配可能剰余金が無いとそもそも会社は自社株式を買い取れませんね。これが無い場合は、分配可能剰余金を、資本金の額・資本準備金の額の減少を行って作り出さないといけませんね。(155条③、461条I②③)、<o:p></o:p>

 

株主総会の特別決議で可決されないといけません。またその決議には、取得の申し出を行った株主は議決権がありません。(160)<o:p></o:p>

 

③ 他の株主は、自己を売り主として追加するように請求が出来ます(160。いわゆるTag along条項)<o:p></o:p>

 

この規制は、資本維持の原則や、株主平等の原則を体現したものですね。規定は、そうなっていても、十分な剰余金が無い場合とか、無理をして自社株主を購入すると会社の事業が回らなくなります。事業がおかしくなります。従い、現実的には、例外的な企業を除き、実効性が無い規定ですね。<o:p></o:p>

 

 つぎに経営支配者個人に買取義務を課しています。そんな金があったら自分で出していますよね。金が無いから投資家を募っているのです。これまた経営支配者に買い取ってもらう可能性は低いですし、この規定を盾に買い取れと請求するVCは、日本では殆どありません。VCも、殆ど取れないことを承知で規定しているのですね。<o:p></o:p>

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 基準日公告を無しにする方法 | トップ | 社外・独立取締役等の立場の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

M&A」カテゴリの最新記事