天命を知る齢に成りながらその命を果たせなかった男の人生懺悔録

人生のターミナルに近づきながら、己の信念を貫けなかった弱い男が、その生き様を回想し懺悔告白します

読売新聞・仲代達矢を変えた人間の條件仲代談:巨匠から自分のイメージや生き方に徹底的にプライドを持てと

2010-11-20 17:28:54 | 日記
今日の日記は、昨日19日(金)読売新聞夕刊・エンターテインメントに掲載された『仲代達矢を変えた人間の條件・プライド教えられた』で仲代達矢が語った自己出演映画の紹介記事です。添付した写真は、現在、孤高の天才画家ゴッホを演じる「炎の人」に出演している仲代達矢(新聞掲載)です。
以下に、その記事で私が印象に残った記述を抜粋し掲載します。
『・・・物語の舞台は満州(現中国東北部)ですが、撮影当時(私注:映画は1959~61年公開)は中国には渡れない状況。ロケーション撮影はほとんど北海道。スタッフ、キャスト一丸となり、時間とお金をかけて綿密に撮っていった現場でした。・・・リアリズムを追求する小林正樹監督と宮島義勇カメラマンは、軍隊教育の場面では、私の顔を十何人かに本当にげんこつで殴らせておいて、その腫れあがった顔を撮ったりもしました。最後に梶(私注:映画で仲代が演じた満州の製鉄所社員で軍隊に現地徴集された青年)が死ぬ場面では、監督から10キロやせるように命じられました。めしを食うな、酒は飲んでよし、夜は眠るな、と。猶予は10日もありませんでしたが、それでやせました。撮影では、原作にも書かれている通り、広野に倒れた体に雪が積もり、人の形の小山と化すまで待ちました。と、ぼーっとしてくるんですね。ああ、凍死というのはこういうものか、と思った時にカットがかかりました。・・・私は、大学も行ってませんし、高校も夜間部ですけど、20代のころに「人間の條件」を中心に、映画俳優としての青春を味わせていただいたのは幸運でした。作品との巡り合わせ、監督との出会いが一挙に来た。小林さん、黒澤さん、そして木下恵介さん、市川崑さんも含めて、色々な人に出会って教育されたというか、自分のイメージや生き方に徹底的にプライドを持てと教わった。それは非常に良かったと思うのです。』
仲代達矢も昨日のオードリー・ヘップバーンと同じように、若い20代で日本で最も優れた映画監督である小林正樹と黒澤明に師事したことが、彼の傑出した演技力に結びついたと私も思っています。
この仲代が紹介した反戦映画の不朽の名作『人間の條件』を、今の若い人たちに私は是非観てほしいです。観れば、日中戦争当時の満州でどんな過酷な状況でも、血の通った人間らしさを決して失わない強い正義感を持った信念の青年がいたことに深く感動すると、私は思っています。
そして、原作者・五味川純平のエピローグ『雪は降りしきった。遠い灯までさえぎるものもない暗い曠野を、静かに、忍び足で、時間が去って行った。雪は無心に舞い続け、降り積り、やがて、人の寝た形の、低い小さな丘を作った。』の仲代さんが読売新聞で語った迫真の映像を実感できます。
さらに、関係者の必死の思いで製作されたこの映画は、当時の日中戦争や終戦後満州に侵入したロシア軍の歴史的事実を明らかにしています。今の対露や対中外交の根本にある隣国の国家意識がよく判る映画でもあります。だから、今の民主党政権の中枢にいるすべて政治家に観てほしい名作映画です。
コメント
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