スピリチャルTIMES 「とにかく生きてみる!」

スピリチャルTIMESの編集長北村洋一が、この不確定な社会に生きている人々の喜怒哀楽をレポートする。

とにかく生きてみようvsワンナイトウーマン 「ふく」 最終章

2011年06月24日 | 自小説 ノンンフィクション小説

 

白いれレースのハンカチで私の精子が、綺麗に拭き取られた位までの記憶があった。がその後は、2時間にも及ぶ、李王朝1000年歴史、秘戯「ふく」は、いつものHとは違う、疲れが残った。射精をしたという満足感はあるものの、神仏に祈祷やお払いを受けた後にある、「あとは自分でなんとかしなけれならないのだ・・」という孤独感に似た、現実の冷たい風が心の中に静かにふき始めた。ツインベットのもう一方のベットに、バスローブは羽織って彼女は横になっていた。この射精は、子孫を残すことの延長線上にある激しく、腰を動かすこともなく、登り詰める快感に息を揚げることもなく、淡々とふかれ、すーと憑き物が、体から離れるようにすーと、亀頭の先から出って往った。
朝目が覚めると、彼女は、着てきた白のスーツを凛々しく着ていた。「グッドモーニング!!」という挨拶にも、顔を此方に向けただけで、返事は帰ってこなかった。帰り際にタクシー代を少し私し、「有難う!」と言った。彼女もお金を受け取り、「カムサハムニダ」と言って、部屋を出て行った。
昨夜のワンナイトは、粘膜の接触もなく、息で私の物をふき、往かされたのだ。そして必ず往かせるという確信があったのか、ベットの隅にはさんでおいた、レースのハンカチで、精子のお掃除をしてくれた彼女は・・・代代伝わる、「ふく」という性戯を守る裏の顔を持っているのかを、朝の早い、忙しい中で考えたが、その答えは、私の精子を受け止めた、レースのハンカチと一緒で見つからないのだった。

朝食に集まっているメンバーに、昨晩の報告をする。
「それは、嫌われたんや・・」といって爆笑される。
「よほど・・変態みたいなことやったんやろ・・」
「結局入れてないの・・!チョンさんに言ってお金を返させたら・・」とか「少々おどしてでも無理やりやったら良かったのに・・根性ないの・・」とかまったく、昨晩の女性が手抜き、口抜き、本番抜きで、お金をとり、ワンナイトの仕事をしたことに、旅の弛緩した風も手伝って、私の魅力のなさと、引いたくじの悪さと、チョンさんルートの人材不足について話が盛り上がった。しかし・・その「ふかれる」感覚と、それの射精と、巫女のような厳かな態度と、最後に出したレースのハンカチの、なんと饒舌のことだったかを、話を思い出しながら始めた。

それから数ヶ月後。会社の後輩の結婚式に出席をさせていただいた。余興の段に入り、花婿側の親戚の方の尺八の演奏が始まった。私たちの席は、来賓席であり、余興をするところが良く見える席であった。
めでたい音曲を尺八は奏でていた。なにげなくその演奏を見つめている。「尺八を吹いてる・・」「尺八を吹いてる・・」「尺八はふく・・」「尺八はふく・・
「尺八はふくのや・・・・・!!!!」と当然プサンでのワンナイトの巫女のさんのように色白の女性を思い出した。そもそもフェラチオのことを日本では、昔から尺八という俗称で呼ばれてる。その尺八は、口をつけるか、つかないかギリギリのところで息を吹き込み、音を出している。ガバッとほうばることも、舐めまわすこともしない。口元に近づけながら息をはく。
そうか・・・私が経験したあの「ふく」は、尺八の原型と同じであり、大昔のフェラチオは、咥えない、舐めないやり方であったのかもしれない。それが時代と共に、今のアイスクリームを舐めるような西洋的なエロチックな性戯に変化したのかもしれない。
では、あの夜体験したことはなんだったのか・・?
郷土田舎料理のように、今の材料で、昔のレシピで、あの時代の料理を振舞ってもらったごとく、私は、旅先でのワンナイトを経験したのだ。その料理は、さりとて素晴らしく美味しいものでもないし、もう一度食べたいという気もしないが、ただその絶え間ない人類のHの歴史の営みをほんの少し覗かしてもらったのだ。往った後、綺麗にお掃除をしてくれるあの姿も、
その時代の風習だったのかもしれない。この風習は、ティシュペーパーでは味わえない貫禄があった。

それから・・・このプサンでの事実を知るメンバーとたまに飲みでることがある。誰かが、からかうように「ふく・・」の話を出してくる。張本人の私に演説のバトンが渡される。
「ツゥ;;;;;シィーー、ピピーピー」と友達の頭を亀頭代わりにして息を吹くまねをしてあの夜を再現する。
ホステスさんもその時お客さんで来ていたプロ野球選手も、席をずらしてこの話を聞いてくれる。今や鉄板ネタである。
トイレに立ったとき、お店のマネジャーが私に近づき、小声で話をする。
「私も実は(ふいて)もらったことがあるんですよ。
プサンではないんですけどね・・・」
にやっと笑って、無言で握手をした。

FIN

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする