乗りものニュース2020年10月10日記事。
ETC利用が拡大してくる中で、高速道路をETC専用化しようという議論が出ることは理解できる。
非ETC利用者が一人でもいる限り有人の料金ブースを全料金所に設置しなければならず、高速道路会社は人件費やブーズ維持費といった固定費を削減することが出来ない。
それについては私はむしろ肯定派だ。
しかし、国交省や道路会社のいう以下の理屈には全く賛同できない。
「わずか1割の非ETC車に6倍の料金収受コストがかかっている。この不公平をなくすために非ETC車の利用負担について検討する必要がある」
ここで公開されている棒グラフは台あたりの料金収受コスト。ETC車は平成18年の40円/台から平成28年の36円/台とゆっくりと下がっている。
コストの大部分はETC設備であり、それは通行料が増えても変動して増えないのでむしろ低減率が少ないのでは、と思う。いずれにしても36円/台は高すぎるように感じる。
それは本題ではないのでここで止めておく。
問題なのは非ETC車の収受コスト。これは非ETC車がどんなに減っても最低限の有人ブースは廃止できないので、非ETC車が減れば台あたりコストは高くなる。
問題なのは、総額ではなく台あたりというところ。利用者が減って分母が小さくなったから高くなっているだけで、利用者自身には全く関係ない話だ。
彼らは一円も得をしていないのに不公平も何もないだろう。
そもそもETC化は道路会社が料金収受コストを下げたくて始めた事であり、じっさい90%がETC化された現時点でもかなりの労務費削減は出来ている。
決して「非ETC利用者がまだ残っているから損失を被っている」わけではない。非ETC利用者をなくすことでコスト低減をやり遂げたい、と言っているだけだ。
最初に言ったとおり、それはそのとおりだからやればいい。問題はそのやり方であって、
「非ETC車にはコストが掛かってるから負担してもらいます」ではなく、「当社の経営上申し訳ないけど非ETC車はもう通行できなくします」
だろう。
高速道路ETC義務化で高速道路会社のコスト低減が進むのであれば、高速道路会社は非装着ユーザーに無償でETCを貸与すればいい。いまもう純粋に料金支払いだけの機械なら小売5000円程度。コストは1000円台だろう。
その上で記事にもある通りクレカが作れない、使いたくない人へのデポジット方式の垣根を低くすればいい。