ITSを疑う

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国交省は道の駅途中下車を一般ドライバーに開放せよ

2018年07月29日 | ITS
あまり知ってる人は多くないと思うが、現在全国の約20か所程度の道の駅で高速道路をいったん下車して立ち寄っても通行料金を割り増ししない(下車したことにしない)という社会実験が行われている。その狙いは国交省によれば

・サービスエリア未整備区間の解消
・適切な休憩による事故防止
・道の駅利用増加による地域活性化
となっている。至極当然な内容だと思う。

しかし、問題はその割引がETC2.0装着車に限定されているということだ。

国交省は割引をETC2.0に限定する理由を明言していない。
一方、「ETC2.0は車両の通行履歴情報を記録することができる」という特性から、これを報道するメディアはETC2.0だから実現できた施策だと勘違いしているように思われる。

しかし、それは事実ではない。通常のETCでも対応は全く問題なく可能なのだ。

以下はやや技術的な内容になる。
ETC2.0はGPSを内蔵し、走行履歴を蓄積しポスト通過時にそれをアップリンクする。
したがってETC2.0は走行履歴を記録するというのは間違いではない。しかし、走行履歴は個人情報であるため、出発地、目的地周辺の情報は記録されない。その判定はエンジンのオンオフで行われる。つまり、道の駅で車を降りたらそこで道の駅に立ち寄ったという記録は消去されてしまう。したがって道の駅立ち寄りの判定はできない。
ではどうしているかというと、道の駅に設置されたETC読み取りポストで行っている。
このポストは技術的には通常ETCでも利用可能。

ではなぜETC2.0しか割引が受けられないのか?

それは、ただ単にETC2.0に対象を限定しているから、としか言いようがない。

ここでもう一度この施策の目的を見てほしい。
これは道路施設上の不備を補い、疲労防止による事故防止を目的にしている。
つまり、当然すべてのドライバーに対して解放されるべき施策だということは明らかだ。

それなのに、まだ圧倒的に通常ETCに比べて装着車両がすくないETC2.0に限定し、わざわざその施策の効果を抑制する必要なんて、普通に考えたら全くない。

その理由は、驚くべきことにETC2.0の普及促進、なのだ。

ETC2.0は通常ETCよりも1-2万円高い。しかし、ドライバーが感じるメリットはほとんどないため普及が進まない。そこで、国交省はこの制度をETC2.0装着車限定とし、ETC2.0のメリットを無理やり作り出しているのだ。
なぜそこまでしてETC2.0を普及させたいのかは私はさっぱりわからない。
ETC2.0は走行履歴情報を官に提供するからその見返りだという説もあるが、それならそうと明言すればいい。もしかしたらもっと何か深い闇があるのかもしれないが、それは安易に推測で語るべきものではないのでここではこれ以上言わない。

道路会社は民間企業であり、ユーザーに対してどのような優遇策を出すかは企業の自由だ。ゴールド会員には特典を用意する、というようなことは行われている。しかしこれはそのような話ではない。
繰り返しになるが、サービスエリア未整備区間の不便解消、適切な休憩による安全確保はすべてのドライバーに提供されるのが当たり前。ETCでないと処理が面倒ということであればETC限定にすることは理解するが、ETC2.0普及促進に使うのは完全に間違っている。

ドライバーは道の駅途中下車施策を全ETCに適用させるべく声を上げるべきだ。