ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

日本は息が詰まる社会を目指すのか

2018年06月20日 | 雑記
先週末から昨日まで私用で一時帰国していた。
羽田からリムジンバスに乗車。国際ターミナルで7割方席は埋まり、半分近くは外国人だった。
前の方に雰囲気からシンガポールか香港人だと思われる中華系外国人家族が乗車。小さい子供二人がちょっとはしゃいでいたが、特に気になるような騒ぎ方ではなかった。

国際線ターミナルから国内線ターミナルに移動する間の赤信号で停車したとき、ドライバーが車内にやってきて子どもたちにむかって指を口に当てる仕草をし、親にQuiet pleaseと注意をした。
そこまでのことではないにの、と思ったのだが、その後国内線ターミナル出発後ドライバーは改めてマイクで日本語で車内では静かにしてほしい旨の注意を行い、最後にBe quiet pleaseと付け足した。

その後新宿に着くまで車内はお通夜のようにシーンと静まり返り、横の若い白人カップルは口を相手の耳に当てて話をしていた。彼らは日本は怖い国だと思ったに違いない。

帰国時の羽田空港。カードで入れるラウンジでコーヒーを飲んでいたら電話が入った。
ラウンジにはたいてい電話するための個室のようなスペースが有るのは知っていたが、とっさに見当たらなかったので周囲に誰もいない隅に移動して受話したら、すぐに係の方から電話ブースへ行くように促された。それがそのラウンジの規則なんだから文句をいう筋合いはまったくないし、係の方の対応も規則通りなんだろう。しかし、間違いなく誰にも迷惑をかけていない。

通話はご遠慮ください、という日本のルール、私は全く理解できない。通話を遠慮するべきシチュエーションなら会話も禁止だろう。図書館とか。
公共交通機関等は普通の会話レベルで通話をする分には全く問題ないと思う。むしろ新幹線車内で大声で酒盛りをする会社員や、東京から大阪まで一分たりとも途切れることなく話をするおばちゃん連中を規制してほしい。

日本人はマナーがいいという。しかし、マナーとは人の迷惑にならないような声で話をすることであり、携帯電話をしないことではない。
いや、日本人はマナーがいいのではないのだ。同調圧力が強いだけ。ゴミが落ちていないところには絶対にゴミを捨てないが、たくさん落ちているところなら捨てる。
また、これが問題だと思うが、同調しない人に対する批判が異常に強い。携帯電話はマナー違反ということになれば「自分に全く被害が及ばないことでも」それを無視する人間を許せない。苦情が出る。

苦情は昔からあったんだとおもう。しかし最近SNSで簡単に拡散するもんだから企業側が炎上を怯れて過剰に対応する。そしてそれが風潮となって広がっていく。
公務員や消防団員が制服で飲食したりコンビニで買い物したりしてるだけで苦情がはいり、役所が記者会見をして謝罪するというのも過剰な苦情対応によるものだろう。

この過剰なコンプライアンスはゼロリスクの追求にもつながる。
企業が問題を起こすと、昔ならそれほど話題にならなかったような話であってもSNSで拡散し、いまやSNSを主情報源としているメディアが飛びつく。企業はそれを怯れ徹底的にリスクゼロを追求する。
社内に監査専門部門ができ、すべての企業活動はその部門の監査を通すことになる。監査部門はそれが仕事だから重箱の隅をつついてくる。以前よく言われた80点ならGOだ、という考え方はもう日本にはない。95点でも5点とれない理由を延々と説明させられる。

当然、スピード感がなくなり、かつ冒険的な企画は潰されるか、もしくは説明が大変なのでそもそもだれも言い出さなくなる。

こんな状況でイノベーションは生まれない。
実際、この10年間で日本発のイノベーションって何が有る?