ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

トヨタ、2016年から日米で全車に通信機能搭載、って本当?

2015年10月19日 | ITS
10月17日、日経新聞はトヨタが2016年から日米で販売する全車種400万台に通信機能を搭載すると報じた。
すでにAUと回線拡大の話し合いに入ったとしている。

しかし、この報道、他社のフォローがない。また、どうにも筆者には引っかかるものがある。

記事はいう。13年時点ですでに70万台の車が通信機能を搭載しており、それは年間12900円で提供されれている。16年以降標準搭載した車でも一定の利用料が必要になる見通しで料金体系は今後詰める、としている。

しかし、ユーザーにとっての利便という意味で何ができるかこの記事に書かれていることは
・故障を予測しドライバーに点検を呼びかける
・ドライバーの運転パターンを分析し、省エネドライブなどを提案する
・人が連絡しなくても緊急車両の手配を依頼できる

これにお金を払うユーザーがどれだけいるのか。年間1万3千円は払わないだろう。

書いてある通り、通信機能を装備した「コネクテッドカー」からはカーメーカーが様々な情報を得ることができ、また将来の自動運転にとっては必要なることであることは間違いないが、それは全く現在のユーザー利便とは関係ない。

可能性としては、全車に通信モジュールを装備してしまい希望するユーザーは有償でサービスを受けることができるという仕組みだろう。一般的にアメリカで行われているのは、最初の一年は無料提供し継続を希望する場合に有償とするというやり方。多分国内で展開する場合はそれしかできない。しかし、全車に通信モジュールを装備するというコストをトヨタが容認するとは私には到底思えない。
有償ユーザーからの年会費で黒字化させるという成功例は唯一GMであるが、これがそう簡単に日本になじむとは思えない。よほどの勝算がなければできないが、T-Conenctだって決してうまくいっているように見えない中、これはかなり難しい話なのではないか。