ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ITSへの提言:通信ありきでは始まらない

2005年06月13日 | ITS
ITSへの提言ということで、まずは「前提に通信技術ありき、という考え方を捨てる」と書いた。

私はそもそもユビキタスへの過度の期待に対して懐疑的だ。
ユビキタスを全面的に否定する物ではないが、既に市場はすでにそれなりの最適化を果たしているのではないか、と思っているのだ。

携帯の保有が進み、すくなくとも音声通話とショートメールは完全にユビキタス状態となっている。まずこの状況を前提としておかなけれならない。

これ以上のユビキタスというと、単純な言い方をすれば「どこでもwebの情報を入手できる」と言うことなのだろう。
それは、その気になれば出来る。ノートPC・PDA+通信カード、フルブラウザ付きケイタイでやろうと思えばすぐに出来る。ホットスポット利用という手もある。
しかし、そこまでしている人は(業務利用を除けば)きわめて限定される。

既に多くの家庭で常時接続の高速インターネットがリーズナブルな価格で実現されている。
職場を除けば最も長い時間を過ごす自宅で、すでに快適に常時接続されているのに、場合によってはそれ以上の接続料を支払って出先や移動中にインターネット情報の入手をする必要があるか?それが、モバイル接続が決して一般的という程には普及しない最大の理由だと思う。

この事情は、車内でも同じだ。接続料を払ってまで必要な情報など、言うほどはないのだ。
一般人にまで普及するようなビジネスモデルの構築は、まず不可能だとおもう。
移動体データ通信がリーズナブルな価格まで下がれば多少は状況は変わるだろうが、それにしても自宅と移動体双方で接続契約をする消費者は一部だろう。

「車がユビキタスに通信で接続されるということは既定路線である」
「だから、それをITSに活用するのだ」
という図式で考える限り、ITSはスタートでつまずいてしまう。