ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ナビゲーションの高度化って?

2004年08月05日 | ITS
これまで、ETCに採用されている通信技術DSRCの利用拡大なんてなさそうだぜ、という話をしてきた。

次はITS構想のトップにある「ナビゲーションの高度化」である。
具体的にどのような事をイメージしているのか?

国土交通省のITSのウェブページでは、それはVICSの事だという。VICSは確かに官がインフラを整備し、民間がその市場を拡大下という意味で成功したと思うし、賞賛に値する。

しかし今更VICSでもないだろう。今、VICSが付かないナビなんて殆ど無いはずである。

では、今後のナビゲーションの「高度化」とは、何だろう?
最近の資料では「リクエスト型ナビゲーション」といっている。試しにこの言葉でググってみたが、わずかヒット6件。全て役所系のサイトであり、あまり一般的な言葉ではなさそうだ。

まあ、想像するに双方向で通信が出来、オンデマンドで情報が入手できる仕組みを備えたナビゲーションということだろう。

つまりは
・最新地図のダウンロード
・最新目的地情報のダウンロード
・リアルタイム道路情報
等がオンデマンドで入手できるナビゲーションということである。

もちろん、双方向コミュニケーションということは、何らかの通信機器がナビゲーションにセットされなければならない。

ご存じの方も多いと思うが、トヨタのG-BOOKは既にこれである。
通常は通信型ナビゲーションと呼ばれている。

この通信型ナビゲーションは、テレマティクスとも密接に関連しながら、一般にはナビゲーションの正常進化と考えられているが、課題も多い。

2010年の11兆円について考える

2004年08月05日 | ITS
さて、ここで国交省がいっている2010年に市場規模11兆円という金額を考えてみよう。

対象は国内7000万台の車両である。単純計算で一台当たり16万円/年である。しかし、国内の車両にはどうしてもITSとは無縁の車両があるだろう。典型的な例は農家の軽トラックである。この比率をどう見るか難しいところであるが、例えばナビゲーションの普及上限は楽観的な見方で6割強といわれており、これを当てはめて考えるとITS市場は一台当たり24万円/年に跳ね上がる。

市場規模は、必ずしも全て消費者(この場合はカーオーナー)の末端消費金額を意味してはいない。インフラ整備など公共事業も含まれる。が、しかしそれは最終的に税負担や利用者負担という形で消費者に返ってくる。
そもそも国土交通省がITSにつけている予算は16年度で732億円であり、この予算は民間需要の活性化を図る物である事から、11兆円の大部分は市場経済から発生すると考えているのだろう。

さて、自家用車のオーナーであるあなたに伺いたい。ITSであなたのカーライフが豊かになる見返りに年に24万円支払いますか? 月2万円。平均的なオーナードライバーのガソリン代を上回る金額である。

そして、問題はその肝心のカーライフがどう豊かになるのかさっぱり判らないことである。