SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「夕凪の街 桜の国」

2007年08月06日 | 映画(ヤ行)
 今日は広島の原爆記念日だ。

 その広島、いや「ヒロシマ」がテーマの作品。

 被爆後13年たった広島を描く「夕凪の街」と現代の首都圏に住む家族を描く「桜の国」の2部構成。

 画調もキャストも一変する。両方に共通した登場人物は被爆しながら生をまっとう出来た藤村志保のみ。第2部は水戸に養子に出ていたため被爆しなかったその息子・旭の家族を描いているが青年期を伊崎充則が、現代を堺正章が演じている。

 このキャスティングにも通じると思うが、画調だけでなく第1部はシリアス、第2部になるとややコミカルと劇のトーンも変わる。

 第1部は、多くの人が死んだ中で自分だけが生き残ってしまった罪悪感を麻生久美子が熱演している。井上ひさしの「父と暮らせば」に共通するテーマと言えるかもしれない。

 今朝のニュース番組でも、街頭で「8月6日が何の日か知っていますか?」と若者にマイクを向けていた。ほとんどが答えに窮する中で、ただ一人正解を出したのがもっとも派手なメイクの女の子であった。

 「原爆は風化してしまったのか?」これが第1部と第2部の間に横たわるテーマである。

 第2部のヒロイン、田中麗奈演じる石川七波は少なくとも風化させたいと思っている。被爆者である母が死に、祖母が死んだことで彼女の中の「原爆」はもう封印されたのだ。

 その封印した過去とどう折り合いをつけていくことが出来るのか、それが第2部で描かれてる。

 この映画は予告編がとてもよく出来ていて、本編を見なくてもどんな映画か良く分かるのだ。それでも本編を見てしまった私は、その翌日原作のコミックを購入することになる。

 その原作についてのコメント、映画との比較などはまた次回。


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