出だしはきわめてシリアス。全体のトーンとしてはハートフル・コメディ。こめられたテーマは初老の女性の自立と恋。
舞台は風俗産業のエロティックショップだが、その部分はむしろコメディとして笑える。性のみが売り物の殺伐とした職場のはずなのに、ショップオーナーの人間性がジワッと出てきて映画全体の温かいトーンが作られる。
マリアンヌ・フェイスフルは「あの胸にもう一度」での衝撃が永遠に胸に刻み付けられてしまった。その彼女の上を過ぎ去った時間が現在のたたずまいの中に感じられて好ましい。美しさは毅然としたその心のありようにあるのだ。
ショップ・オーナー役をアラン・ドロンが演じるのは無理があるだろうなぁ。
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