SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画「ユメ十夜」

2007年02月14日 | 映画(ヤ行)
 夏目漱石原作の映画化。漱石はこんな前衛的な作家でもあったのだ。

 10のエピソードからなるオムニバス作品。「こんな夢を見た」で始まるところは黒澤明の「夢」と同じだが、こちらは個性派作家による映像博覧会の趣。

 エントリーした監督も俳優陣もとにかく豪華なので見たいと思う人は多いかもしれないが「映像ファン」ならともかく、単なる映画ファンにはお勧めしない。

 文芸タッチあり、ホラーあり、ミステリーあり、コメディありで、分かるか分からないかは別にしてそれなりに楽しめる。
 個人的な一押しは松尾スズキ監督の「第六夜」・・・・運慶、仁王を彫るの巻。世にも珍しいものを見せてもらったという感じで大いに笑った。でも「分相応」というテーマは明快。ラストに、その夢を見たのがなぜか石原良純であった、という訳の分からない落ちがつくところまで含めてとても面白かった。

 「第七夜」だけがアニメ。天野喜孝作品は初見、あまりに美しいイメージに見とれてしまった。「第四夜」は山本耕史が漱石に扮して、過去のトラウマにまつわるエピソードがミステリータッチで語られるが、シュールなイメージと色彩が美しく長編で見てみたい。

 「第一夜」は監督の実相寺昭雄も脚本の久世光彦も昨年他界しており、これが遺作とも言うべき作品。濃密な時代色と光、音、画面の傾き加減が独自の映像世界を構築している。これは久世演出のテレビ作品「センセイの鞄」で好演した小泉今日子の主演。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿