SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

「永遠の0」・・・・映画と原作

2014年01月09日 | 映画(ア行)
 読んでから見るか、見てから読むかが問題であるが、結局、原作を2/3程読んだところで映画を鑑賞、残りをその後に読むこととなった。これが大正解であった。

 まず、原作の空中戦の描写がスピード感+スリル満載で大スクリーン上に展開され、読書中の頭の中の映像がリアルな視覚体験として出現することに興奮してしまった。

 次に、犯人探しの推理小説ではないが、生きることに執着した主人公がなぜ生存率ゼロの特攻を志願したかがミステリー仕立てになっており、あわせて巧妙に伏せられていたある真実が最後に明かされる構成なので、その部分に関してはやはり映画で先に体験したい。読んで、見て、さらに続きを読むことでここもパスできた。

 映画は現代を生きる孫が祖父を知る人々にインタヴゅーして、その内容が映像的に再現されるという構成になっている。文字では語り部の語る物語の背景までは表現できないが、映像ではその時周りに誰がいたかまでも映ってしまう。
 したがって、ある語りの中では脇役だった人が、次の語り部となり、異なった視点からひとつの物語が多面的に紡がれる面白さが映画では堪能できる。

 一方小説では、個々の戦闘の具体的な描写、大戦の中での位置づけ、日米の装備の比較、兵士に対する軍の扱いの差、戦局の中で兵士たちは何を考えていたかなど、克明に描いている。
 映画は限られた時間の中で、幾人かの語り部を統合させたりしながら、枝を剪定して樹形をより鮮明に整えるような脚色を施しており、その技もまた楽しむことができる。

 見るだけ、読むだけでも十分な満足感が保証されるが、両方を体験するとさらに高次の魅力が輝き出す作品である。ただし、これからという方は原作と映画の順番を十分に考慮したほうが良い。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿