おすすめ度 ☆☆☆★
デンマーク・ドイツ・スウェーデン・フランス合作 R15+
鬼才アリ・アッバシ監督が、イランに実在した殺人鬼サイード・ハナイによる娼婦連続殺人事件に着想を得て撮りあげたクライムサスペンス。
舞台のイランのマシュハドは聖地とも称される。イスラム文化も根強いものがあるようだ。現象として男尊女卑に強く表われる。映画の冒頭は、そんな聖地でも姿が見られる娼婦たちの日常が描かれる。
映画は犯人探しのミステリではない。犯人は退役軍人のサイードだった。オートバイで町をながし、娼婦を物色する。交渉がまとまり自宅へ連れ帰る。金を渡し、娼婦が金に気を取られているところを、背後からヒジャブで首を絞める。つまりセックスはない。彼の犯行は町の浄化という自己流の使命が優先される。死体を毛布で巻き、オートバイで町外れに捨てる。
女性ジャーナリストのラヒミ(ザーラ・アミール・エブラヒミ)は、自らおとりとなって街頭に立ち犯人を追う。
結局犯人は捕まるが、犯人を罠を賭けて逮捕。だが、犯人を擁護する声もあった。
圧巻のサスペンスで、この不条理を描きぬく。