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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

本屋さんが出てくる本はたいてい面白い

2021-04-03 12:15:33 | 好きな本

図書館の文庫本の棚を、なんとなく見ていたら、その
タイトルが引っかかり、以前からお名前だけ知っていて、
その作品は未読だった、柚木麻子さんの小説を借りてみました。



先日読み終えた『赤いモレスキンの女』も、もう少し前に
読んだ『グレート・ギャッビーを追え』
にも、魅力的な
書店の店主が登場してまして‥もとより、本屋さんや
図書館が出てくる話はそれだけで好きなので、内容説明に
ほんのちょっとだけ「?」を感じましたが、結果的には
読んでみて、大正解でした。

主人公の名前は大きい穴と書いてダイアナ。小学3年生。
キャバクラで働いているお母さんに無理やりされた
金髪が大嫌い。当然小学校の教室でも浮きまくり、いじめの
対象にも。でも、3年のクラス替えで初めて一緒になった
彩子ちゃんが、毅然とした態度で、いじめから彼女を守って
くれて、二人の交流がはじまります‥。

「?」は、小学3年女子が主人公だということと、そもそも
大穴(ダイアナ)なんて名前を付ける親が、いくら小説の中とは
いえ、存在するのだろうか?でした。もしかしてありえない
設定のマンガ原作が映画化されたみたいな??

そんな私の「出だし」の心配は、2章に進む頃には杞憂だった
ことがわかり、主人公のダイアナや彩子、その両親、友だちに
魅了され、前のめりで読み終えました。

面白かった大きな理由は、ダイアナと彩子の共通の趣味が
読書だったこと。接点が持ちにくい環境で育った二人を結んだ
のは、共通の読書体験でした。
そして、そもそもこの小説は、主人公の名前からも察せられる
通り『赤毛のアン』が底本になっているのです。

その仕掛けもさることながら、ダイアナのお父さん探しや、
二人が別々の環境で、もがきながら成長していく様子、また
彼女たちの母親の気持ちにも、共感しまくりでした。

物語の終盤でダイアナがこう言います。

「本当にいい少女小説は何度でも読み返せるんですよ、お客様。
小さい頃でも大人になっても。何度だって違う楽しみ方が
できるんですから」

ほんとうにその通りですよね。

40年以上前に読んだきりになっている『赤毛のアン』
『若草物語』をこの春は再び手にしようと思います。



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