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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

ポレポレ

2016-11-30 18:16:28 | 想うこと

先週の土曜日に、こひつじ文庫さん主催の「たしろちさとさん講演会」に
参加させていただきました。
(お話の内容や、ご紹介いただいた絵本などは、こひつじ文庫さんのブログ
詳しく載っていますので、どうぞそちらをご覧ください。)

ほんとうに「学び」と「気づき」がたくさんあった、貴重な2時間を過ごすことが
できたのですが、なかでも、一番感動したお話は、たしろさんの、小さいころの
想い出の中の、「旅行をもう1回楽しむ会」です。

どういう会かというと‥家族旅行等に行って帰ってきたら、楽しかったねえーと
その旅行を家族でなぞる?というか辿る?というのです。
もしそれがイチゴ狩りだったら、家にある材料で家族の誰かがビニールハウスを
作ったり、また別の誰かがイチゴを作ったり。
ある時のスキー旅行では、帰ってきてから、お母さまが、ちさとさんやおとうさまを
主人公にした絵本を作って、想い出をなぞったとのこと‥。

ね、素晴らしいご家族ですよねー。


後半では、スライドも使って、ご自身の創作過程を惜しげもなく、お話してくださり‥
スライドの最後の1枚が「おはなしのたねばこ」の写真だったのも、とても印象に
残っています。


この日は、月末に向けての仕事があったので、講演会終了の後に、すぐに
帰宅しなければならなかったのですが、1冊だけたしろさんの絵本を買いました。



念願のアフリカ旅行に行くことができたのですが、成り行きで?
キリマンジャロ登山をすることになり‥でも、その経験がとても貴重で
かけがえのないものだったことから生まれた絵本なんだそうです。




慌ただしく帰宅し、午後いっぱい仕事して、さて夕方、
この冬初めて袖を通したオーバーコートにブラシをかけていたら、
衿元に留めて出かけたブローチがないことに気が付きました。
三日月の、シルバーの、とても気に行っているものだったのに、今の今まで
なくなっていたことに気が付かなかったのです。

朝、玄関を出た時にそこに付いていたのは確認していたのですが、
そのあとは、「いつまで」あったのかも覚えていないし‥(まあ覚えているくらい
ならなくしたりしないのでしょうが‥)
夜、寝ようとしても、ブローチのことを思い出してしまうくらい、落ち込みました。

でも。
翌日、ふと気が付いたのです。
これは、ある意味、予兆というか戒めというか、気づきを与えられたのだということに。

ブローチはもちろん大切なものでしたが、それ以上に大切なものを失わないようにと
いうことを教えてもらったのだと思います。

そしてそして、ポレポレなのでした。

ポレポレはスワヒリ語でゆっくりという意味だそう。

土曜日に、この絵本を手にしたときから、予兆はすでにそこにあったのです。
いつもいつも急いでいる私に、ポレポレと語りかけてくれていたのです。
もうすこし早くそれに気が付いていたら、ブローチだって失わずに済んだかも
しれませんが‥でも、今は気が付いたのだから、それでよいことにします・笑。
ポレポレですから。


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加速度的に

2016-11-30 17:20:48 | 好きな本

半分まで読むのに、2週間近くかかったのに、半分を過ぎたら
加速度的に面白くなり、残り5分の1くらいになったら読み終えるのが
もったいなくなり、最後の最後に来たときに、熱に浮かされたような
自分がいました。大袈裟じゃなくって。こんな本ってあるんですね。



12歳の少女、フランキーの夏の物語。
兄の結婚式に出席することを境に(いや、出席だけではなく、兄と
義姉と自分の3人がひとつの<グループ>となることで)
今までの自分とは別の自分になれることを信じている‥。
現実と非現実の間をふらふらしながら、それを言葉や態度に出して
いることがとても痛々しい。

前半にページが進まなかったのは、そんなフランキーに感情移入が
できなかったからで、後半から突然面白くなってきたのは、そういう
フランキーを受け入れることができたからだと思う。

黒人の家政婦ベレニス、従妹のジョン・ヘンリー。
フランキー以外の、おもな登場人物はその二人で、物語の大半は、
フランキーの家の薄暗い台所で、三人が食事をしたり話をしたりしている
場面のような印象があるが、最後まで読み通すと、とてもうまく、
ストーリーが組み立てられていたことに驚く。

終わり方も、とても見事。

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