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Met's 『リング』サイト その5

2011-09-29 01:44:07 | ドイツ語強化月間(笑)
...兼・ドイツ語強化月間(笑)、再び。
御参考までに、ヴォータンの"Leb' wohl"の歌詞も載っけときますね。
(Lop Norによるアヤシイ日本語訳も御一緒にどうぞ)

Metのサイト上で聴けるのは↓に載せたうちの5番目のパラグラフまでですが、一応、文脈的にキリのいい所まで。
(歌自体はもっと長いです)
ちなみに"Leb' wohl."(レープ ヴォール;eはアクセントがあるので、イに近いエです)は、"Leben Sie wohl."(御健勝でお過ごし下さい)にあたる古語で、まあ、「さようなら」とか「お達者で」とかそんな意味でしょうか。


Leb' wohl, du Kühnes, herrliches Kind!
 さらば、そなた、勇ましき栄光の子よ
Du meines Herzens heiligster Stolz!
 そなた、我が心の最も崇高なる誇り!
Leb' wohl! Leb' wohl! Leb' wohl!
 さらば!さらば!さらば!

Muß ich dich meiden
 わしはそなたを避けねばならず
und darf nicht minnig mein Gruß dich mehr grüßen;
 もはや我が愛の挨拶をそなたに送ることも許されぬ
sollst du nun nicht mehr neben mir reiten,
 そなたはもはや、わしのかたわらで馬を駆ることはかなわず
noch Met beim Mahl mir reichen;
 宴にてわしに蜂蜜酒を酌むこともならない

muß ich verlieren
 わしは失わねばならぬ
dich, die ich liebe,
 わしの愛するそなたを
du lachende Lust meines Auges:
 そなた、我が瞳の楽しき喜びよ

ein bräutliches Feuer soll dir nun brennen
 婚礼の炎がそなたのために今こそ燃え上がるであろう
wie nie einer Braut es gebrannt!
 どんな花嫁のためにも燃えたことがないほどに!

Flammende Glut umglühe den Fels;
 燃え立つ炎熱よ、岩の周りに赤々と輝け
mit zehrenden Schrecken
 蝕む恐怖で
scheuch's es den Zagen;
 意気地なしを追い払え
der Feige fliehe Brünnhildes Fels!
 臆病者はブリュンヒルデの岩から逃げ去れ!

Denn einer nur freie die Braut,
 なぜならば唯一人のみが花嫁と結ばれよ
der freier als ich, der Gott!
 神であるわしよりも、自由な男が!

(管理者注:文法変更前の綴り方なので、単語末のssはß[エスツェット]になってます)


文章で見てもお分かりいただけるとは思いますが、耳で聴くと、ちゃんと韻を踏んでるのがより一層分かり易いかと思います。
2番目のパラグラフは、müssenとかdürfenとかsollenとか、助動詞の勉強になりますね(笑)

それから最後に出てくる"der freier als~" 「~よりもfrei(自由な)である男性」(←男性名詞の定冠詞derを付けて名詞化している)ですが、これは、この物語を通じてヴォータンがずっと求め続けていた存在で、ジークフリート Siegfried(自由の勝利の人、というような意味)のことを指しています。
あと、"der Freier"というふうに大文字になると古語で「求婚者」のことで、たぶん直前の文章と掛け詞になってるんだと思います(freienは古語で求婚する、結婚するという意味)。
ちなみにFreia(フライア:ゲルマン神話の愛の女神;たぶん、ふれいあさんの名前のモトですね)も同じ語源。


このあとヴォータンはブリュンヒルデの瞳を称え、その瞳を閉じてキスで神性を抜き取ったあと、岩の上に寝かせ、ローゲ(火の神)を呼び出して、岩山を炎で囲ませます。
このシーンのヴォータンは、やる事が多くて大変(笑)