報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「リサの入学」 1

2018-10-27 10:15:02 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月1日08:30.天候:晴 東京都墨田区某所 東京中央学園墨田中学校]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日はいよいよリサが中学校に編入する日だ。
 エージェントの善場氏の言う通り、こっそり様子を見に行きたいところだったが、あいにくと今日は世界探偵協会日本支部関東地区の総会に参加しなければならない為、高橋に任せることにした。
 その為、以下よりナレーションは三人称とさせて頂く。

 1年3組の教室に女性の担任教師が入る。
 歳は高野や善場と大して変わらない。

 週番:「起立!……礼!」
 担任:「おはようございます」
 週番:「着席!」

 教室内の生徒が席に着く。

 担任:「今朝のホームルームは、まず最初に新しいお友達から紹介したいと思います」

 担任がそう言うと、教室内が少しざわつく。

 担任:「じゃあ、入って来てー」

 リサが緊張した面持ちで教室内に入る。

 男子生徒A:「おおっ!」

 そしてリサが黒板に自分の名前を書いた。

 リサ:「愛原リサです。今日からよろしくお願いします」

 名字は便宜上、愛原の物を使用。

 女子生徒A:「かわいー!」
 男子生徒B:「どこから来たの?」
 リサ:「……霧生市」
 男子生徒C:「あのバイオテロの!?」
 男子生徒D:「すげぇ!生き残りじゃん!」

 生き残りというか、リサもまた間接的且つ広義的にはテロ支援者の方だったのだが。

 担任:「それじゃ愛原さん、あそこの空いてる席に座ってくれる?」
 リサ:「はい」

 その様子を学校の向かい側に建っているマンションの屋上から双眼鏡で監視する高橋がいた。

 高橋:「よしよし。掴みはオッケーってところだな。人間、第一印象が肝心だからな。……っと。リサは既に人間じゃねぇ」

 高橋は愛原の言い付けを思い出した。

(愛原:「リサのこと、しっかり見守ってやってくれな?」)

 高橋:「ムフフフ……!先生、この俺に任せてください!ヒャーッハッハッハッハッハー!」
 マンション管理人:「あんた、何してんの?」

 それから1時間目の授業が始まる。

 数学教師:「それじゃこの問題を……えー、じゃあ愛原さん、前に出て答えてください」
 リサ:「はい」

 リサは黒板の前に出てスラスラと正答を書いた。

 数学教師:「はい、正解」
 リサ:「むふー」

 その様子を見ていた高橋。

 高橋:「ったく。ガッコの授業ってな、今も昔も眠いもんだ。それにしてもリサのヤツ、よくあんな難しい問題解けたなー。何気にアタマいいのか……」
 マンション管理人:「むー!むー!」(グルグル巻きに縛られて口を塞がれ、貯水塔の横に縛り付けられている)

 2時間目は英語。

 英語教師:「じゃ、次の文章を日本語に訳してください」
 男子生徒E:「『真ん中通るのは何線ですか?』『それは中央線です』『都営新宿線も真ん中通ってますよ?』『それは知りません』」

 ドッと教室内に笑いが起こる。
 まあ、“ヨドバシカメラの歌”ができた頃、まだ都営新宿線が開通していなかっただけの話だが。
 って、どんだけ昔の話だ!?

 英語教師:「真面目にやれ!」

 高橋:「いるんだよな、お笑い和訳するヤツ……」
 マンション管理人:「むー!むー!」(まだ縛られている)

 3時間目は体育。

 高橋:「……っと。女子は体育館か。ここじゃ様子が見えねぇ」

 高橋は場所を移動しようとした。

 マンション管理人:「むー!むー!」
 高橋:「っと、忘れていたぜ」

 高橋は管理人を縛めを解いてやった。

 マンション管理人:「け、ケーサツ呼ぶからな!!」

 ゴッ!(高橋の拳が管理人の頭にめり込む)

 高橋:「呼んでもいいが、それはオマエが次に目を覚ましてからだ、オッサン?あと監視カメラの電源は全部切らせてもらうし、データも全て削除だ」
 マンション管理人:「…………」
 高橋:「全ては、あの御方の為……!」

 体育の授業はというと、女子は体育館でバレーボール。

 女子生徒B:「そーれっ!」

 高橋は場所を移動して、体育館の向かい側にある駄菓子屋の2階から監視した。

 高橋:「悪いな、婆ちゃん。あとでラムネソーダ、爆買いすっからよ」
 店主の老婆:「いいんだよ。どうせヒマだしね」

 マンション管理人のオジさんには厳しい態度で接した高橋も、駄菓子屋の老婆には優しい?

 高橋:「オレオレ詐欺……」
 老婆:「え?」
 高橋:「……いや、何でもない」

 高橋は双眼鏡で体育館を覗いた。
 ちょうどリサの所にボールが飛んで来た所だ。

 リサ:「……ていっ!」

 リサ、ボールをネットの向こうに打つ。

 女子生徒C:「きゃっ!」

 だが、打つ先は全部ネットの向こう側にいる人だけ。

 高橋:「おいおい。ドッジボールじゃあるまいし、バレーは人にボールをぶつけるヤツじゃねぇだろうが……」

 高橋は呆れていた。
 もっとも、ルール上はけして間違ってはいない。

 体育教師:「はい、A班終了!今度はB班と交替して!」

 リサ達はコートから離れた。

 女子生徒D:「愛原さん、ジャンプ力凄いね!」
 女子生徒E:「勉強もできるし、スポーツも得意なんだね!」
 リサ:「うん。ありがとう」

 新しいクラスメートに囲まれるリサ。

 高橋:「……まあ、そうなるわな。しかし、あれで力を抑えてるってんだからマジパねぇ……」

 高橋が呆れていると、室内の黒電話がジリリリと鳴る。
 今時、黒電話……。

 老婆:「……はい、もしもし?……え?誰だい?」

 当然のことながら老婆が電話に出る。

 高橋:「怪しい不動産投資の電話はとっとと切れよ、婆ちゃん!……あーあ。あれで、一躍クラスの人気者か。マジパねぇな」

 高橋は双眼鏡を覗いた。

 高橋:「……おおっ、やっぱな。そこで必ず妬むヤツが出て来るもんだ。全く、中坊はワンパターンだぜ。男の場合はイジリから始まるけど、女子の場合は陰湿な嫌がらせか?ああ?」
 老婆:「……なに、俊之かい?……え、会社の金を横領しちまったんで、すぐに300万円いるのかい?分かった。すぐに用意するから」
 高橋:「おい、婆ちゃん!それ、オレオレ詐欺だぞ!?」

 何気にオレオレ詐欺を阻止した高橋だった。
 果たして、午後はどうなるのやら……。
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お詫び

2018-10-25 23:27:47 | 日記
 10月24日付けで公開致しました記事、『特別読切!“勧誡前夜の魔の嵐”「雲羽百三と魔との戦い」第三部』は諸事情により、公開を中止致します。
 関係者の皆様には、大変申し訳ございませんでした。

 今後は十分思慮を重ねた上で、記事をアップさせて頂きたいと存じます。
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“私立探偵 愛原学” 「リサの入学前準備」 6

2018-10-24 19:19:15 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月28日11:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。

 愛原:「いよいよ来週は、リサが中学校に編入する日だ」
 高橋:「そうっスね。もっとも、台風で休校にならなきゃの話ですよ?」
 愛原:「今週日曜のうちに去ってくれるから大丈夫だろう」
 高橋:「……だといいんスけどね」

 と、そこへ来訪者現る。

 リサ:「こんにちはー」

 リサであった。

 愛原:「リサ、どうしたんだ?家で留守番……」
 高野:「先生、私が呼んだの」
 愛原:「高野君が?」
 高野:「エージェントの善場さんがね、リサちゃんの中学校の制服姿を写真に撮って送ってくれって」
 愛原:「えっ、今更?」
 高野:「実際にリサちゃんが中学校に行く気があるかどうか確認したいみたいだよ」
 愛原:「だから、今更かよ」
 高野:「というわけでリサちゃん、向こうで着替えて来て」
 リサ:「分かったー」

 リサはキャリーバッグを応接室に持って行った。
 確か制服姿だったら、既に彼女が喜び勇んで私に見せて来たはずだが……。

 リサ:「お待たせー」

 リサが私服から制服に着替えて来る。
 モスグリーンのシングル3つボタンのブレザーに、スカートはグレー。
 えんじ色のリボンが特徴である。
 ニットのベストもあるが、これもグレー。
 私立の学校らしく、ブレザーの胸ポケットの位置やベストの左胸の辺りにも校章のワッペンが付いている。

 愛原:「おー、相変わらず似合うなー!」

 尚、高校ではブレザーがダブルになるとのこと。

 愛原:「今の中学生の制服も、セーラー服じゃないんだな」
 高野:「まだそういう所もあるみたいだけど、東京中央学園は早くから中高共にブレザーらしいですよ。じゃあ、写真撮るから。そっちの白い壁の前に立って」
 リサ:「はーい」

 高野君がデジカメを手にリサの撮影をする。
 1枚だけでなく、3枚ほど撮影するのだが……。

 高橋:「おい、アネゴ」
 高野:「何よ?」
 高橋:「写真の角度がムショみたくなってねーか?」
 高野:「気のせいだよ」

 正面から見た写真、斜めからの写真、横向きの写真……。

 愛原:「言われてみればそう思うってな感じだな。そう思う高橋、やっぱりキミは……」
 高橋:「サーセン、ムショ帰りで」
 愛原:「これをデータ化して、善場さんに送ればいいのか」
 高野:「あ、まだですよ、先生」
 愛原:「え?」
 高橋:「次に着替えて来て」
 リサ:「はーい」
 愛原:「制服ってまだあるの?」
 高野:「何言ってるんですか、先生」

 リサが次に着替えて来たのは体操服。
 冬用は上下ジャージに、夏用はTシャツに緑色のスパッツである。

 愛原:「今はブルマじゃないのか……」
 高野:「先生、今年おいくつですか?」
 愛原:「悪かったな、アラフォーで!」
 高橋:「先生。もし良かったら、俺がコスプレショップでブルマー買ってきて、こいつに穿かせますが?」
 愛原:「いや、いいよ!これも時代の趨勢だ!」
 高野:「ネットや何かじゃ、『ブルマよりもスパッツの方が体の線が浮き出やすいから却ってエロい』という意見もあるみたいですね。……はい、いいよ。次に着替えて来て」
 リサ:「はーい」
 愛原:「今度は何だ?」

 リサが最後に着替えて来たのはスクール水着。

 高野:「高校では水泳の授業は選択制だそうですが、中学生は体育で必須だそうです」
 愛原:「言われてみれば、高校の時は水泳の授業受けなかった記憶があるなぁ」

 如何に私立とはいえ、義務教育の過程として水泳は必須なのだろう。

 愛原:「今も昔もスクール水着のデザインは変わらんな」
 高野:「いえ、変わってますよ」
 愛原:「え、そうなの?」
 高野:「先生の頃はまだ肩紐がキャミソール型ではなく、タンクトップのような形じゃなかったでした?」
 愛原:「あー、確かそんな感じだったな」
 高野:「これでも従来型らしいですよ。今は下の部分がスパッツ型になっていたり、上下セパレーツタイプとかがありましたので」
 愛原:「その中から選べたんだ。だったら、新型タイプの方が良かったんじゃない?」
 高野:「リサちゃんも悩みましたからね。しょうがないから、私が中学生の時に来てたタイプを教えてあげると、『じゃ、これがいい』ってことで」
 愛原:「なるほど。高橋の時はどうだった?」
 高野:「少年院じゃ、プールに入ることは無かったんで」
 愛原:「……あ、ゴメン」

 とにかく、制服と体操服とスクール水着の写真を撮った。

 愛原:「購入した時の領収書は送ったけど、ついでに画像も送れってことだったか」
 高野:「そういうことですね。……あ、もう着替えていいよ」
 リサ:「はい」

 リサが着替えている間、高野君が今撮影した画像をデータに起こす。

 高橋:「でも先生、ホントマジで大丈夫なんスかね?」
 愛原:「リサの学校生活かい?」
 高橋:「ええ。マジでケンカとかになったら、クリーチャー化するかもしれないですよ?」
 愛原:「そうならないことを願うけどねぇ」

 恐らく日本政府としては、BOWとしてはとても完成されたリサを処分するのは忍びないということだろう。
 何のトラブルも無く大人になれたらエージェントとして雇い、もしもダメなら、BOWとして殺処分する大義名分ができるといったところか。
 それを精査するのに、学校通いは正に打ってつけなのだろう。
 政府としてはリサを大学まで行かせるつもりだろう。
 それまでに何かトラブルがあるかどうかだ。
 普通の学生としてのトラブルの範囲内なら、さすがに殺処分ということはないだろうが。

 高野:「先生、取りあえず送る準備ができましたので確認してください」
 愛原:「了解」

 私は高野君のPCを覗き込んだ。
 なるほど。さすがは元新聞記者ということもあって、善場氏へのメッセージも秀逸だ。

 愛原:「よし、オッケー。このまま送って」
 高野:「了解です」

 高野君はデータをメールにして、善場氏に送信した。
 その後、善場氏からはデータ送信に対する礼と、しばらくは学校生活に関して注視してほしいという依頼があった。
 リサが中学校に編入するまで、あと3日。
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本日の雑感 20181022

2018-10-22 18:58:00 | 日記
 ここ最近は電車よりもバスに乗ることの方が多い。
 今日も大宮駅に行く時に、埼京線ではなく西武バスに乗ったくらいだ。
 電車よりも路線バスの方がゆっくりということもあってか、こちらの方がネタ出しをするのにちょうどいい。
 それが作品に反映されるのだから、それなりに成果は出せているのだと思う。
 それにしても、自宅の近くにコミュニティバス(?)の停留所ができたのはいいのだが、いつまで経っても時刻表が貼り出されることもなければ、試運転している様子すら無い。
 バス会社のサイトを見ても、何やら法的な理由で運行が見合わせられているらしいが、何だかよく分からないものである。
 規制緩和でバス事業に乗り出した新規の会社らしいが、こういう所を見ると、やはり私は保守派よろしく老舗のバス会社をチョイスしたくなるのである。

 何気にスルーされているんだけど、西武バスで大宮駅西口に向かうと、その終点の1つ手前が『ソニックシティ前』という停留所になる。
 “大魔道師の弟子”では稲生家がイリーナを囲んで、パレスホテルのレストランで晩餐会を開いたり、現実世界で言えば顕正会がたまに大会を開いたりしている場所でもある。
 このバス停、大宮駅西口から乗ると、ものの見事にスルーされる。
 というか、最初から無いバス停となっている。
 バス停の用地が反対側の車線には無いから、とは思えない。
 何故ならソニックシティ前バス停の向かい側には、ウィラーエクスプレスやさくら交通の高速バス停留所があるからである。
 もしも西武バスで新規参入高速バス会社に乗り換えるならば、終点まで乗るより、ソニックシティ前で降りると良いだろう。

 私は来月の3連休は実家に帰省することを考えている。
 今回、年末年始は休みを取って帰省した分、相方の副隊長には年末年始出勤してもらったので、今度は私がカバーしてあげよう。
 そう思って伝えると、休みは年末だけで良いという。
 どうやら、年始は要らないらしい。
 もしも私が勧誡を「よも今年は過ごし候は」ず、叶ったとしたら、元旦に参詣できるかもしれないな。

 私は東北急行バスの夜行便を予約した。
 このバス会社、今は東武鉄道のグループに入っており、東京〜仙台間に初めて路線を開設した老舗のバス会社である。
 何と、1962年には運行を開始したというのだから、長距離バス会社にしては古い。
 当然その頃はまだ東北自動車道は開通していなかったので、国道4号線をひたすら走っていただろうし、今なら各所に高規格のバイパスができているこの国道も、当時は旧道しか無かっただろう。
 私もトラックドライバーだった頃、配達先が旧道沿道にあったことから、そこを走ったことがある。
 とても元・国道とは思えぬほど、狭い道であったことを覚えている。
 こんな道をあの大型バスが走っていたとは、とても想像できない。
 さいたま市在住の方は、旧・中山道を見てみれば良いだろう。
 今は県道に格下げとなっている、大宮駅東口のあの道だ。

 このバスの運賃、時期によって変動するのだが、私が乗車する日の運賃は片道6000円。
 これを高いと思うか、安いと思うかだ。
 実はこれ、私の中では相場通りの値段である。
 完全なる我見を承知で言うと、私の中で高速バス運賃の相場はというと、

「新幹線の片道分で往復できる額」

 だと思っている。
 また、夜行便は昼行便の2割〜3割増しが相場だとも思っている。
 だから、妥当な額だと私は考えている。
 因みに、東京駅から大石寺までの運賃は2780円。
 相場より安い気がする。
 今は相場自体が下がっているのかもしれない。
 尚、東京〜仙台間を夜行便に関わらず、3000円で乗れる新規参入の高速バスがある。
 “バスターミナルなブログ”の管理人さんには申し訳無いのだが、私はそのバスに乗る気はしない。
 相場自体が下がっているのかもしれないが、さすがにいくら何でもそこまで安いのもどうかと思う。
 ガードレールを突き破って、崖下に落ちられても困るんでね。

 いずれにせよ、どちらも乗車レポできたらしてみたいものだ。
 もっとも、最近夜行バスに乗る際、私は寝酒にビールを車内で煽るようになったので、東北急行バスの方でできるかどうかは分からないけどね。
 どこのバス会社かは知らないけど、新規参入の所で、車内禁煙はもちろんのこと、車内禁酒の所もあるとかないとか……。
 もちろん、泥酔状態での乗車は禁止な所はどこも同じ。
 だから私は乗ってから飲む。
 いや、ま、あくまで寝酒として飲むんであって、強制降車処分食らうような飲み方はしないよ。

 さすがに御勧誡の前は、精進潔斎のつもりで、その前夜は禁酒さ。
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“私立探偵 愛原学” 「リサの入学前準備」 5

2018-10-22 10:26:56 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月14日10:00.天候:晴 東京都内多摩地区]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は仕事で東京都内多摩地区の町に来ている。

 高橋:「! 先生、あれを!」

 私と高橋はクライアントから浮気調査を依頼され、張り込みをしていた。

 愛原:「証拠の写真を撮れ」
 高橋:「は、はい!」
 愛原:「なるほど。夜勤明けに不倫相手とホテルか。これは上手く誤魔化せるわけだな」
 高橋:「仕事のカラ勤も芋づる式にバレましたし、こりゃヤツの警備員人生パーですよ。ハハハハハハ!」
 愛原:「ま、身から出た錆だな」

 全く。私は不倫どころか、1人の女も自由にできないというのに……ブツブツ……。

 高橋:「ミッション終了、さっさと帰りましょう」
 愛原:「ああ」

 高橋は車のエンジンを掛けた。
 因みに車はリースである。
 どうしても、こういう仕事には車は必要でね。
 地味なライトバンを使うことが多い。
 要は、どこに止まっていても怪しくないようなヤツ。
 他の事務所で金のある所では、タクシーを貸切にしたり、トラックを借りてきて、有名な運送会社のような塗装にしたりして覆面調査したりするらしいぞ。
 どちらも、どこにいても怪しくない車だからな。

 愛原:「よし。ちゃんと撮れてるな」

 私は高橋からデジカメを受け取ると、それで画像を確認した。

 高橋:「はい。ダンナの顔から不倫相手から、ホテルの名前までバッチシです」
 愛原:「よくやったぞ」
 高橋:「あざっす!」

 高橋は甲州街道に出て、西へとハンドルを切る。
 因みにデジカメ以外にも、私の場合は使い捨てカメラなんかも常備している。
 これはデジカメに不具合があった時の為の非常用だ。
 昔はコンビニで必ず売っていたものだったが、今では写真屋でしか置いていない。
 結構きれいに取れたりするので、証拠写真としては十分だ。

 高橋:「先生。探偵の仕事って、いつもこんなもんなんですか?」
 愛原:「そうだよ。今やった浮気調査から、身元調査、それから行方不明となった人物の捜索とかな。探偵なんて地味なもんだよ。キミと初めて会った時だって、本当は行方不明になった人物を捜してくれっていう依頼で向かったんだから。で、行った矢先に殺人事件だ。ああいうことは、日本国内に数多いる探偵の中でも、体験するのは1人や2人ってところだな」
 高橋:「先生はそのうちの1人なんですね!?さすがっス!」
 愛原:「いや、俺は本当は望んでいないんだがなぁ……」
 高橋:「先生、ちょっとコンビニ寄ってっていいですか?」
 愛原:「いいよ。俺も喉乾いたし」
 高橋:「コーヒー買って来ます!」

 高橋はコンビニの駐車場に入った。
 そして中に入ると、向かった先はトイレ。
 何だ、トイレに行きたかっただけか。
 私は高橋がトイレに行っている間、飲み物を購入した。

 高橋:「先生、お待たせしました。コーヒーでも……」
 愛原:「いや、俺が買っといたよ」
 高橋:「ええっ?」
 愛原:「ほら、お前の分」
 高橋:「マジっすか!?」
 愛原:「今日は御苦労さん。緊張してトイレ行きたくなったか?」
 高橋:「いや、俺、張り込みでジッとしているのとか、ちょっとニガテなんスよ」
 愛原:「それじゃダメだ。探偵たるもの、動かざること山の如く……」
 高橋:「メモっておきます!」
 愛原:「あと、一服するんだろ。そこで待ってるよ」
 高橋:「俺、禁煙します!」
 愛原:「いや、いいよ。無理しなくて」
 高橋:「日蓮仏法で何とかなりますかね?」
 愛原:「何とかなる人とそうでない人に分かれて、悲喜こもごもみたいたぞ」

 私は先に車に戻ると、午前中半休にしている高野君に連絡してみた。
 因みに霧生市のバイオハザードの経験から、大事な商売道具は車に置いて行かないことにしている。

 愛原:「あ、もしもし。高野君かい?こっちは仕事終わったよ。そっちはどう?」
 高野:「先生、お疲れさまです。こっちも採寸が終わった所ですよ。制服は来週できる予定です」
 愛原:「そうか。じゃ予定通り、10月1日からの編入で大丈夫そうだな」
 高野:「そうですね」

[同日12:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 ビルの裏手にある駐車場に車を止めると、私達は事務所に戻った。

 愛原:「ちょうどお昼だな」
 高橋:「何か作りましょうか?」
 愛原:「そうだな。今ある材料で何作れる?」
 高橋:「余った米と具で、チャーハン作れそうです」
 愛原:「あ、じゃ、それでお願い」
 高橋:「了解です」

 高橋が給湯室に行っている間、私は撮影した証拠写真を元にクライアントに報告書を作成することにした。
 その間、高野君からLineが入る。
 途中でお昼を食べてから帰るという。
 私は了承した。
 一通り報告書の作成を終えると、テレビを点ける。

〔「お、お前が好きだ……!」「お、俺も好きだ……!」〕

 愛原:「な、何だこりゃ!?男同士じゃん!」

 よく見たら、何かDVDが回ってるぞ!?
 私は慌ててDVDを止めた。
 何だこれ!?
 タイトルを見ると、『角刈りの天使たち』というあからさまなものになっていた。
 よく見ると、テレビ台の下には『ジャ〇タレの闇』とか『やらないか』とか、ヤバそうな内容のものが!

 高橋:「先生。お待たせしまし……」

 高橋が昼食を持って来たが、私の所行を見て固まった。

 高橋:「先生……?」

 そして、ジト目で私を見る。

 愛原:「いや、これ!お前のだろ!?なに事務所に持って来てんだ、おい!?」
 高橋:「確かに俺の秘蔵DVDですけど、事務所に持って来てなんかいませんよ。先生、俺の部屋から勝手に持って来たんですね?見たかったら言ってくれたら良かったのに……」
 愛原:「違う!」
 高橋:「何が違うんスか!」

 私と高橋が押し問答をしていると、電話が鳴った。

 愛原:「ちょっと待て!電話だ!」

 私が電話に出る。

 愛原:「もしもし!?愛原学探偵事務所です!」
 ボス:「私だ」
 愛原:「ボス!?何ですか?今は昼休みですよ」
 ボス:「ああ、うむ。実は先ほど、キミの事務所にお邪魔したのだが……」
 愛原:「さっき?事務所、誰もいなかったでしょ?」
 ボス:「残念なことにな。だが、勝手に上がらせてもらったよ。そしたら、何だか面白いDVDを見つけてね。キミ、まさかゲイものに興味があったとはねぇ!」
 愛原:「アンタのしわざかい!」

 誤解の無いように言っておく!
 私はけしてLGBTではない!
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