[8月31日16:10.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 イオンモール与野バス停]
買い物の最後にコーヒーショップで一息ついた稲生とマリアは、大宮駅に向かうべく、モールの外に出た。
県道を渡って、道の反対側にあるバス停でバスを待つ。
しばらくすると、さいたま新都心駅から乗ったバスとは別の会社のバスがやってきた。
それに乗り込む。
ここでの下車客は多かったが、乗車客は稲生達だけであった。
1番後ろの空いている席に座る。
〔発車します。お掴まりください。発車します〕
電車よりもよく効いているバスの冷房。
バスは県道を郊外に向かって走り出した。
〔♪♪♪。次は円阿弥、円阿弥でございます。このバスは三橋三丁目経由、大宮駅西口行きです〕
稲生達が乗ったバスは遠回りする路線であり、それだったら道路を渡らずに駐車場出口横のバス停から乗ると良い。
そうしなかったのは、大きな荷物を持っていた為、混雑する路線ではなく、空いている路線を狙ったからである。
イリーナが一緒であれば、それにかこつけてタクシーに乗ることができたのだが……。
尚、日本は治安が良いので公共交通機関の利用が推奨されるが、治安の悪い国や地域によってはこの限りではない。
基本的に先進国などにおいては、公共交通機関の利用が(弟子や見習の身分にあっては)推奨される。
師匠のお供をしている場合はこの限りではない。
マリア:「師匠は無事に飛行機に乗ったって」
稲生:「そうですか。空港での寝坊事故が無くて良かったです」
マリア:「今のビジネスクラスは、シートがフラットになるのか?」
稲生:「国際線はそうらしいですよ。父さんがこの前マレーシアに出張に行った時、そんな感じだったそうです」
マリア:「勇太のdad、ビジネスクラスに乗ったのか」
稲生:「いえ。どういうわけだが、プレミアムエコノミーだったそうで……」
マリア:「Huh?」
プレミアムエコノミーとはエコノミークラスとビジネスクラスの間のクラスのことである。
ビジネスクラスのシートがファーストクラスのそれに近づいたせいで、エコノミーとの格差が広がってしまい、その埋め合わせクラスとして設定されたものである。
具体的には国内線のプレミアムシート(例えばJALだと“クラスJ”)のような感じだと思ってもらえれば良い。
鉄道で言うなら、新幹線のグリーン車?……のように左右幅はそれなりに広いらしいのだが、シートピッチは普通車並みであるという。
それでも新幹線の普通車よりも狭いエコノミー(最悪、国鉄時代に製造された特急車両の普通車よりも狭い)よりはマシってところか。
稲生:「何でも、団体さんに押さえられていたそうです」
マリア:「お気の毒……」
稲生:「黒いローブを羽織った魔女みたいな集団だったと言います」
マリア:「ちょっと待て。勇太のdadに不快な思いさせたアホ組はどこだ?」
マリアは水晶球を取り出した。
おおかた、またアナスタシア組辺りであろう。
[同日16:35.天候:晴 JR大宮駅西口]
〔♪♪♪。お待たせ致しました。まもなく終点、大宮駅西口、大宮駅西口。毎度、西武バスをご利用くださいまして、ありがとうございました。どなた様も忘れ物の無いよう、お支度ください。……〕
昨日、イリーナが夕食会を開いてくれたパレスホテルのあるソニックシティの前を通り、バスは西口ロータリーの中に入った。
尚、最近では自動放送でも言うようになったが、バスがロータリーの中に入るか、手前の降車場に止まるかは運転手の匙加減によるらしい。
手前に止まった場合、エレベーターで高架歩道に上がることができなくなる為、エレベーターを使用したい乗客は運転手に申し出るようにとのこと。
多分、改めてロータリーの中まで乗せてくれるのだろう。
で、今回は手前に止まった。
まあ、稲生達は別に階段を登れるので良いのだが。
稲生:「大人2人お願いします」
運転手A:「はい、ありがとうございます」
バス代は稲生が持つ。
マリアはICカードを持っていない為。
再び灼熱の太陽照り付ける車外に出た。
稲生:「さっさと荷物置いて、汗流したいですね」
マリア:「うん」
階段を登り、大宮駅西口へ向かう。
途中でエホバの証人の信者が冊子配りしている前を通るが、同じキリスト教でも宗派によっては彼らが異端者扱いされることもあってか、魔女狩りには興味が無い様子だ。
キリスト教内なら基本的にどの宗派でも仲良く付き合う救世軍でさえも、彼らとは付き合いにくいもよう(例としてエホバ信者の輸血嫌いは有名であるが、救世軍は病院経営も行っており、そこで輸血も行っている為)。
稲生:「ここのロッカーが空いてるな」
土休日は満員御礼になりやすい大宮駅のコインロッカーであるが、平日はそこそこ空いている。
Suicaで支払うタイプのロッカーに目星を付けた稲生は、そこにイオンモールなどで購入したものを入れた。
Suicaを使えば、開錠はそのSuicaを当てるだけで良い。
稲生:「それじゃ、行きましょうか」
マリア:「うん。こういう所は勇太に任せると安心だな」
稲生:「ありがとうございます」
[同日17:00.天候:晴 JR大宮駅西口→送迎バス車内]
稲生達が路線バスを降りた場所から更に西に行った所に、送迎用のマイクロバスが止まっている。
それに乗り込んで発車を待つ。
運転手B:「はい、発車します」
発車の時間になると運転手が自動ドアを閉めた。
尚、マイクロバスはエアブレーキが搭載されていない為(排気ブレーキは搭載されている)、その機構を利用して開閉する他の路線バスと違い、開閉に際してエアの音はしない。
稲生:「体の傷痕は、もう無くなったっぽいですね」
マリア:「おかげさまでね」
その為か、他の魔女も、調査と称して来日しては温泉に入ったりしているが、大した成果は得られていないらしい。
この事に対し、エレーナがこう断罪している。
『好きなオトコと一緒に入らないと意味無ェよ』
と。
買い物の最後にコーヒーショップで一息ついた稲生とマリアは、大宮駅に向かうべく、モールの外に出た。
県道を渡って、道の反対側にあるバス停でバスを待つ。
しばらくすると、さいたま新都心駅から乗ったバスとは別の会社のバスがやってきた。
それに乗り込む。
ここでの下車客は多かったが、乗車客は稲生達だけであった。
1番後ろの空いている席に座る。
〔発車します。お掴まりください。発車します〕
電車よりもよく効いているバスの冷房。
バスは県道を郊外に向かって走り出した。
〔♪♪♪。次は円阿弥、円阿弥でございます。このバスは三橋三丁目経由、大宮駅西口行きです〕
稲生達が乗ったバスは遠回りする路線であり、それだったら道路を渡らずに駐車場出口横のバス停から乗ると良い。
そうしなかったのは、大きな荷物を持っていた為、混雑する路線ではなく、空いている路線を狙ったからである。
イリーナが一緒であれば、それにかこつけてタクシーに乗ることができたのだが……。
尚、日本は治安が良いので公共交通機関の利用が推奨されるが、治安の悪い国や地域によってはこの限りではない。
基本的に先進国などにおいては、公共交通機関の利用が(弟子や見習の身分にあっては)推奨される。
師匠のお供をしている場合はこの限りではない。
マリア:「師匠は無事に飛行機に乗ったって」
稲生:「そうですか。空港での寝坊事故が無くて良かったです」
マリア:「今のビジネスクラスは、シートがフラットになるのか?」
稲生:「国際線はそうらしいですよ。父さんがこの前マレーシアに出張に行った時、そんな感じだったそうです」
マリア:「勇太のdad、ビジネスクラスに乗ったのか」
稲生:「いえ。どういうわけだが、プレミアムエコノミーだったそうで……」
マリア:「Huh?」
プレミアムエコノミーとはエコノミークラスとビジネスクラスの間のクラスのことである。
ビジネスクラスのシートがファーストクラスのそれに近づいたせいで、エコノミーとの格差が広がってしまい、その埋め合わせクラスとして設定されたものである。
具体的には国内線のプレミアムシート(例えばJALだと“クラスJ”)のような感じだと思ってもらえれば良い。
鉄道で言うなら、新幹線のグリーン車?……のように左右幅はそれなりに広いらしいのだが、シートピッチは普通車並みであるという。
それでも新幹線の普通車よりも狭いエコノミー(最悪、国鉄時代に製造された特急車両の普通車よりも狭い)よりはマシってところか。
稲生:「何でも、団体さんに押さえられていたそうです」
マリア:「お気の毒……」
稲生:「黒いローブを羽織った魔女みたいな集団だったと言います」
マリア:「ちょっと待て。勇太のdadに不快な思いさせたアホ組はどこだ?」
マリアは水晶球を取り出した。
おおかた、またアナスタシア組辺りであろう。
[同日16:35.天候:晴 JR大宮駅西口]
〔♪♪♪。お待たせ致しました。まもなく終点、大宮駅西口、大宮駅西口。毎度、西武バスをご利用くださいまして、ありがとうございました。どなた様も忘れ物の無いよう、お支度ください。……〕
昨日、イリーナが夕食会を開いてくれたパレスホテルのあるソニックシティの前を通り、バスは西口ロータリーの中に入った。
尚、最近では自動放送でも言うようになったが、バスがロータリーの中に入るか、手前の降車場に止まるかは運転手の匙加減によるらしい。
手前に止まった場合、エレベーターで高架歩道に上がることができなくなる為、エレベーターを使用したい乗客は運転手に申し出るようにとのこと。
多分、改めてロータリーの中まで乗せてくれるのだろう。
で、今回は手前に止まった。
まあ、稲生達は別に階段を登れるので良いのだが。
稲生:「大人2人お願いします」
運転手A:「はい、ありがとうございます」
バス代は稲生が持つ。
マリアはICカードを持っていない為。
再び灼熱の太陽照り付ける車外に出た。
稲生:「さっさと荷物置いて、汗流したいですね」
マリア:「うん」
階段を登り、大宮駅西口へ向かう。
途中でエホバの証人の信者が冊子配りしている前を通るが、同じキリスト教でも宗派によっては彼らが異端者扱いされることもあってか、魔女狩りには興味が無い様子だ。
キリスト教内なら基本的にどの宗派でも仲良く付き合う救世軍でさえも、彼らとは付き合いにくいもよう(例としてエホバ信者の輸血嫌いは有名であるが、救世軍は病院経営も行っており、そこで輸血も行っている為)。
稲生:「ここのロッカーが空いてるな」
土休日は満員御礼になりやすい大宮駅のコインロッカーであるが、平日はそこそこ空いている。
Suicaで支払うタイプのロッカーに目星を付けた稲生は、そこにイオンモールなどで購入したものを入れた。
Suicaを使えば、開錠はそのSuicaを当てるだけで良い。
稲生:「それじゃ、行きましょうか」
マリア:「うん。こういう所は勇太に任せると安心だな」
稲生:「ありがとうございます」
[同日17:00.天候:晴 JR大宮駅西口→送迎バス車内]
稲生達が路線バスを降りた場所から更に西に行った所に、送迎用のマイクロバスが止まっている。
それに乗り込んで発車を待つ。
運転手B:「はい、発車します」
発車の時間になると運転手が自動ドアを閉めた。
尚、マイクロバスはエアブレーキが搭載されていない為(排気ブレーキは搭載されている)、その機構を利用して開閉する他の路線バスと違い、開閉に際してエアの音はしない。
稲生:「体の傷痕は、もう無くなったっぽいですね」
マリア:「おかげさまでね」
その為か、他の魔女も、調査と称して来日しては温泉に入ったりしているが、大した成果は得られていないらしい。
この事に対し、エレーナがこう断罪している。
『好きなオトコと一緒に入らないと意味無ェよ』
と。