報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「リサの入学」 2

2018-10-27 20:30:49 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月1日15:00.天候:晴 東京都墨田区某所 東京中央学園墨田中学校]

 私の名前は愛原学。
 都内の探t……って、コラ!高橋、何をする!?マイクを返せ!

 先生は今、総会中なんですからナレーションも俺に任せてください。
 あー、ヘイ!ヘイヘイ!ヘイ!……音声よし!
 俺の名前は高橋正義。
 事務所は小さいが腕前は日本一の名探偵、愛原学大先生の元で忠実な弟子として働いている。
 先生はいずれ世界一の名探偵になることが約束されており、その一番弟子として働けることに至上の喜びを感じているところであり、正にそんな俺は幸せ者と言わずして何であろうか。
 仏法やって功徳〜〜〜〜!などとやらなくても、幸せは必ず掴み取れるものである。
 しかして、俺のこの幸せは何事にも代えがたいものであり、俺は先生への愛を……。

 雲羽:「カット!カット!何でナレーション、オマエがやるんだよ!?」
 多摩:「台本と全然違うこと言ってるし……」
 雲羽:「基本的には愛原の一人称なんだからね!?愛原が不在の時はナレーションは三人称!分かった?」
 多摩:「つまり雲羽がやるってこった」
 高橋:「ちっ……」
 愛原:「だから言わんこっちゃない……」
 AD:「じゃあ、テイク2いきまーす!」
 雲羽:「レディ?」
 AD:「ロール(カメラ回せ)!」
 雲羽:「5、4、3、2……」

 カチン!🎬

 雲羽:「アクション!」

 全ての授業が終わり、掃除係以外の生徒達は帰り支度を始めた。
 だが、そこへリサに詰め寄る者がいた。

 斉藤絵恋:「愛原さん、ちょっといい!?」

 同じクラスメートの女子で、斉藤絵恋(えれん)という。
 真ん中分けしたセミロングの髪が特徴だが、おでこが広めなのと、色艶が良いのか、おでこが光に反射している。

 リサ:「なに?」
 斉藤:「転校生のくせに初日から目立ち過ぎじゃない!?」
 リサ:「目立ってる?」
 斉藤:「目立ってるわ!もう可愛過ぎて抱きしめたいくらい!」
 男子生徒A:「うわ、また始まった。女王様気取りの斉藤w」
 男子生徒B:「こいつ、小学校の時から下級生潰しやってたからよーwww」
 斉藤:「分かりやすい説明ありがとう。……じゃないわよ!お黙りなさい!!」

 斉藤、おでこの反射を利用し、男子2人にサーチライトの如く目くらましを行う。

 リサ:「そんなに悪いことした?」
 斉藤:「したわよ!」
 リサ:「そう……」
 女子生徒A:「愛原さん、気にすることないよ。斉藤さんは、ただ自分が気に入らない人に突っかかるだけだから」
 女子生徒B:「そうそう。ズルいし汚いし、自分の負けは絶対に認めない底意地の悪い性格」
 斉藤:「そこもうるさい!」
 リサ:「謝ればいい?」
 斉藤:「ゴメンで済めばケーサツは要らないわ!」

 その様子を再びマンションの屋上で監視している高橋。
 尚、管理人はまだ気絶している。

 高橋:「おおっ、やっぱケンカ始まったかー。だけど、真正面から来やがったな、あの女。フツー、便所か体育館裏に連れ込んで何やかんやインネン付けてボコボコにボコすもんじゃねーのか?……まあいいや。真正面から来た、その気概だけは認めてやるぜ」

 で、高橋、もう1つ気づく。

 高橋:「ケンカ売って来たのはあの女1人か?フツー、女の場合は何人かグループ組んで、そんで取り囲んで何やかんやインネン付けるんじゃねーかと思うんだが……。時代が変わったのか?いや、それとも……」

 斉藤:「さあ、勝負よ!腕っぷしでも比べる!?こう見えても私、小学校の時は空手大会で優……しょ……」

 斉藤が最後まで言い切らなかったのは、リサが泣き出したからだった。

 男子生徒C:「あーあ、泣ーかしたー、泣ーかしたー」
 男子生徒D:「センセー、イジメでーす。斉藤が転校生イジめて泣かせましたー」
 女子生徒C:「ちょっと斉藤さん、何やってんの!?」
 斉藤:「はわわわ……!!」
 リサ:「グスン……。わたし……みんなと仲良くしたい……。クスンクスン……」
 斉藤:「ちちち、違うのよ、愛原さん!わわわ、私、ああ、あなたと仲良くなりたくて……!ほ、ほら、飴あげるから泣かないで!」
 男子生徒E:「あーっ、学校にそんなもん持って来んなよー!」
 斉藤:「お黙んなさい!!」

 斉藤、サーチライト(おでこビーム)を男子生徒Eに照射した。

 男子生徒E:「うおっ、まぶしっ!」

[同日15:30.天候:晴 東京都墨田区菊川]

 帰宅の途に就くリサと高橋。

 高橋:「しっかし、随分と個性的な奴らが勢ぞろいだな。それとも、あれがフツーで俺が中学校ん時が変だったのか?まあ、よく分かんねーや」
 リサ:「うん、うん」

 リサは口の中に斉藤からもらった飴を転がしながら頷いた。

 高橋:「しかしまあ、ウソ泣きとはオマエもなかなかやるな」
 リサ:「ありがとう、お兄ちゃん」
 高橋:「あの場合だけは、クソ生意気なヤツを薙ぎ払っても良かったんだぜ?」
 リサ:「別にいい。気にしてない」
 高橋:「ふーん……。それにしてもまあ、何で学校なんて行きたいって思ったんだ?」
 リサ:「見てて楽しそうだったから」
 高橋:「楽しくないことも多々あるぞ?」
 リサ:「それでもいい」
 高橋:「うーん……」

[同日18:00.天候:晴 愛原達のマンション]

 高橋:「……てなワケで、色々と大変だったんスよー」
 愛原:「そうだったのか……」

 ここからは私、愛原学のナレーションだ。
 因みに総会はあんまり面白くなかったな。
 ボスと会えるかどうか期待していたが、そんなことも無かったし。
 そんな私は夕食を囲みながら、高橋から成果報告を聞いていた。

 愛原:「でも一応は上手く行ったんだ」
 高橋:「俺のサポートのおかげです」
 愛原:「うんうん、分かった。それでリサ、どうだい?明日からも行きたいかい?」
 リサ:「うん、行きたい!」
 愛原:「そうか、分かった」
 高橋:「ここで行きたくないなんて言おうものなら、マグナムですけどね」
 愛原:「だからリサには効かないって。……じゃ、これからずっと通う決心は付いたわけだね?」
 リサ:「うん!」
 愛原:「分かった。そういうことなら……」

 私は自分の椅子の下に置いた紙袋の中からある物を取り出した。
 それはスマホ。

 愛原:「はい、これ。リサ用」
 リサ:「わたし用!?」
 愛原:「入学祝だよ。クラスメートでも持っているコ、結構いたでしょ?まあ、中学生向けだから、俺達大人用とは機能が違うけど……」
 高橋:「そうそう。それなんスけど、リサがケンカに巻き込まれそうになった時、しっかりカメラ機能にしてスマホ向けてたヤツいましたよ。最近の中坊はイヤらしいですね」
 愛原:「なるほどな。……ってか、オマエもしっかり撮影してただろうが」
 高橋:「いや、だってこれも探偵の修行の1つだって先生が……」
 愛原:「いや、いいんだけどさ」
 リサ:「愛原さん……ありがとう……」
 愛原:「いやいや。これからも学校生活頑張って」
 リサ:「うん……」
 高橋:「ってか、先生!俺には!?俺には報酬無いんスか!?」
 愛原:「うるさいなぁ。ほらよ」

 私は飲みかけの缶ビールを渡した。

 高橋:「やったっ!」

 それを喜び勇んで受け取る高橋。
 全く。チャラ男ならぬ、チョロ男め。
 ま、とにかく何とか順調に進みそうで何より。
 要はリサがBOWの力を暴走させず、無事にまずは今の中学校を卒業できればミッション完遂なわけだからな。
コメント (8)
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“私立探偵 愛原学” 「リサの入学」 1

2018-10-27 10:15:02 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月1日08:30.天候:晴 東京都墨田区某所 東京中央学園墨田中学校]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日はいよいよリサが中学校に編入する日だ。
 エージェントの善場氏の言う通り、こっそり様子を見に行きたいところだったが、あいにくと今日は世界探偵協会日本支部関東地区の総会に参加しなければならない為、高橋に任せることにした。
 その為、以下よりナレーションは三人称とさせて頂く。

 1年3組の教室に女性の担任教師が入る。
 歳は高野や善場と大して変わらない。

 週番:「起立!……礼!」
 担任:「おはようございます」
 週番:「着席!」

 教室内の生徒が席に着く。

 担任:「今朝のホームルームは、まず最初に新しいお友達から紹介したいと思います」

 担任がそう言うと、教室内が少しざわつく。

 担任:「じゃあ、入って来てー」

 リサが緊張した面持ちで教室内に入る。

 男子生徒A:「おおっ!」

 そしてリサが黒板に自分の名前を書いた。

 リサ:「愛原リサです。今日からよろしくお願いします」

 名字は便宜上、愛原の物を使用。

 女子生徒A:「かわいー!」
 男子生徒B:「どこから来たの?」
 リサ:「……霧生市」
 男子生徒C:「あのバイオテロの!?」
 男子生徒D:「すげぇ!生き残りじゃん!」

 生き残りというか、リサもまた間接的且つ広義的にはテロ支援者の方だったのだが。

 担任:「それじゃ愛原さん、あそこの空いてる席に座ってくれる?」
 リサ:「はい」

 その様子を学校の向かい側に建っているマンションの屋上から双眼鏡で監視する高橋がいた。

 高橋:「よしよし。掴みはオッケーってところだな。人間、第一印象が肝心だからな。……っと。リサは既に人間じゃねぇ」

 高橋は愛原の言い付けを思い出した。

(愛原:「リサのこと、しっかり見守ってやってくれな?」)

 高橋:「ムフフフ……!先生、この俺に任せてください!ヒャーッハッハッハッハッハー!」
 マンション管理人:「あんた、何してんの?」

 それから1時間目の授業が始まる。

 数学教師:「それじゃこの問題を……えー、じゃあ愛原さん、前に出て答えてください」
 リサ:「はい」

 リサは黒板の前に出てスラスラと正答を書いた。

 数学教師:「はい、正解」
 リサ:「むふー」

 その様子を見ていた高橋。

 高橋:「ったく。ガッコの授業ってな、今も昔も眠いもんだ。それにしてもリサのヤツ、よくあんな難しい問題解けたなー。何気にアタマいいのか……」
 マンション管理人:「むー!むー!」(グルグル巻きに縛られて口を塞がれ、貯水塔の横に縛り付けられている)

 2時間目は英語。

 英語教師:「じゃ、次の文章を日本語に訳してください」
 男子生徒E:「『真ん中通るのは何線ですか?』『それは中央線です』『都営新宿線も真ん中通ってますよ?』『それは知りません』」

 ドッと教室内に笑いが起こる。
 まあ、“ヨドバシカメラの歌”ができた頃、まだ都営新宿線が開通していなかっただけの話だが。
 って、どんだけ昔の話だ!?

 英語教師:「真面目にやれ!」

 高橋:「いるんだよな、お笑い和訳するヤツ……」
 マンション管理人:「むー!むー!」(まだ縛られている)

 3時間目は体育。

 高橋:「……っと。女子は体育館か。ここじゃ様子が見えねぇ」

 高橋は場所を移動しようとした。

 マンション管理人:「むー!むー!」
 高橋:「っと、忘れていたぜ」

 高橋は管理人を縛めを解いてやった。

 マンション管理人:「け、ケーサツ呼ぶからな!!」

 ゴッ!(高橋の拳が管理人の頭にめり込む)

 高橋:「呼んでもいいが、それはオマエが次に目を覚ましてからだ、オッサン?あと監視カメラの電源は全部切らせてもらうし、データも全て削除だ」
 マンション管理人:「…………」
 高橋:「全ては、あの御方の為……!」

 体育の授業はというと、女子は体育館でバレーボール。

 女子生徒B:「そーれっ!」

 高橋は場所を移動して、体育館の向かい側にある駄菓子屋の2階から監視した。

 高橋:「悪いな、婆ちゃん。あとでラムネソーダ、爆買いすっからよ」
 店主の老婆:「いいんだよ。どうせヒマだしね」

 マンション管理人のオジさんには厳しい態度で接した高橋も、駄菓子屋の老婆には優しい?

 高橋:「オレオレ詐欺……」
 老婆:「え?」
 高橋:「……いや、何でもない」

 高橋は双眼鏡で体育館を覗いた。
 ちょうどリサの所にボールが飛んで来た所だ。

 リサ:「……ていっ!」

 リサ、ボールをネットの向こうに打つ。

 女子生徒C:「きゃっ!」

 だが、打つ先は全部ネットの向こう側にいる人だけ。

 高橋:「おいおい。ドッジボールじゃあるまいし、バレーは人にボールをぶつけるヤツじゃねぇだろうが……」

 高橋は呆れていた。
 もっとも、ルール上はけして間違ってはいない。

 体育教師:「はい、A班終了!今度はB班と交替して!」

 リサ達はコートから離れた。

 女子生徒D:「愛原さん、ジャンプ力凄いね!」
 女子生徒E:「勉強もできるし、スポーツも得意なんだね!」
 リサ:「うん。ありがとう」

 新しいクラスメートに囲まれるリサ。

 高橋:「……まあ、そうなるわな。しかし、あれで力を抑えてるってんだからマジパねぇ……」

 高橋が呆れていると、室内の黒電話がジリリリと鳴る。
 今時、黒電話……。

 老婆:「……はい、もしもし?……え?誰だい?」

 当然のことながら老婆が電話に出る。

 高橋:「怪しい不動産投資の電話はとっとと切れよ、婆ちゃん!……あーあ。あれで、一躍クラスの人気者か。マジパねぇな」

 高橋は双眼鏡を覗いた。

 高橋:「……おおっ、やっぱな。そこで必ず妬むヤツが出て来るもんだ。全く、中坊はワンパターンだぜ。男の場合はイジリから始まるけど、女子の場合は陰湿な嫌がらせか?ああ?」
 老婆:「……なに、俊之かい?……え、会社の金を横領しちまったんで、すぐに300万円いるのかい?分かった。すぐに用意するから」
 高橋:「おい、婆ちゃん!それ、オレオレ詐欺だぞ!?」

 何気にオレオレ詐欺を阻止した高橋だった。
 果たして、午後はどうなるのやら……。
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