報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「リサの入学前準備」 5

2018-10-22 10:26:56 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月14日10:00.天候:晴 東京都内多摩地区]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は仕事で東京都内多摩地区の町に来ている。

 高橋:「! 先生、あれを!」

 私と高橋はクライアントから浮気調査を依頼され、張り込みをしていた。

 愛原:「証拠の写真を撮れ」
 高橋:「は、はい!」
 愛原:「なるほど。夜勤明けに不倫相手とホテルか。これは上手く誤魔化せるわけだな」
 高橋:「仕事のカラ勤も芋づる式にバレましたし、こりゃヤツの警備員人生パーですよ。ハハハハハハ!」
 愛原:「ま、身から出た錆だな」

 全く。私は不倫どころか、1人の女も自由にできないというのに……ブツブツ……。

 高橋:「ミッション終了、さっさと帰りましょう」
 愛原:「ああ」

 高橋は車のエンジンを掛けた。
 因みに車はリースである。
 どうしても、こういう仕事には車は必要でね。
 地味なライトバンを使うことが多い。
 要は、どこに止まっていても怪しくないようなヤツ。
 他の事務所で金のある所では、タクシーを貸切にしたり、トラックを借りてきて、有名な運送会社のような塗装にしたりして覆面調査したりするらしいぞ。
 どちらも、どこにいても怪しくない車だからな。

 愛原:「よし。ちゃんと撮れてるな」

 私は高橋からデジカメを受け取ると、それで画像を確認した。

 高橋:「はい。ダンナの顔から不倫相手から、ホテルの名前までバッチシです」
 愛原:「よくやったぞ」
 高橋:「あざっす!」

 高橋は甲州街道に出て、西へとハンドルを切る。
 因みにデジカメ以外にも、私の場合は使い捨てカメラなんかも常備している。
 これはデジカメに不具合があった時の為の非常用だ。
 昔はコンビニで必ず売っていたものだったが、今では写真屋でしか置いていない。
 結構きれいに取れたりするので、証拠写真としては十分だ。

 高橋:「先生。探偵の仕事って、いつもこんなもんなんですか?」
 愛原:「そうだよ。今やった浮気調査から、身元調査、それから行方不明となった人物の捜索とかな。探偵なんて地味なもんだよ。キミと初めて会った時だって、本当は行方不明になった人物を捜してくれっていう依頼で向かったんだから。で、行った矢先に殺人事件だ。ああいうことは、日本国内に数多いる探偵の中でも、体験するのは1人や2人ってところだな」
 高橋:「先生はそのうちの1人なんですね!?さすがっス!」
 愛原:「いや、俺は本当は望んでいないんだがなぁ……」
 高橋:「先生、ちょっとコンビニ寄ってっていいですか?」
 愛原:「いいよ。俺も喉乾いたし」
 高橋:「コーヒー買って来ます!」

 高橋はコンビニの駐車場に入った。
 そして中に入ると、向かった先はトイレ。
 何だ、トイレに行きたかっただけか。
 私は高橋がトイレに行っている間、飲み物を購入した。

 高橋:「先生、お待たせしました。コーヒーでも……」
 愛原:「いや、俺が買っといたよ」
 高橋:「ええっ?」
 愛原:「ほら、お前の分」
 高橋:「マジっすか!?」
 愛原:「今日は御苦労さん。緊張してトイレ行きたくなったか?」
 高橋:「いや、俺、張り込みでジッとしているのとか、ちょっとニガテなんスよ」
 愛原:「それじゃダメだ。探偵たるもの、動かざること山の如く……」
 高橋:「メモっておきます!」
 愛原:「あと、一服するんだろ。そこで待ってるよ」
 高橋:「俺、禁煙します!」
 愛原:「いや、いいよ。無理しなくて」
 高橋:「日蓮仏法で何とかなりますかね?」
 愛原:「何とかなる人とそうでない人に分かれて、悲喜こもごもみたいたぞ」

 私は先に車に戻ると、午前中半休にしている高野君に連絡してみた。
 因みに霧生市のバイオハザードの経験から、大事な商売道具は車に置いて行かないことにしている。

 愛原:「あ、もしもし。高野君かい?こっちは仕事終わったよ。そっちはどう?」
 高野:「先生、お疲れさまです。こっちも採寸が終わった所ですよ。制服は来週できる予定です」
 愛原:「そうか。じゃ予定通り、10月1日からの編入で大丈夫そうだな」
 高野:「そうですね」

[同日12:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 ビルの裏手にある駐車場に車を止めると、私達は事務所に戻った。

 愛原:「ちょうどお昼だな」
 高橋:「何か作りましょうか?」
 愛原:「そうだな。今ある材料で何作れる?」
 高橋:「余った米と具で、チャーハン作れそうです」
 愛原:「あ、じゃ、それでお願い」
 高橋:「了解です」

 高橋が給湯室に行っている間、私は撮影した証拠写真を元にクライアントに報告書を作成することにした。
 その間、高野君からLineが入る。
 途中でお昼を食べてから帰るという。
 私は了承した。
 一通り報告書の作成を終えると、テレビを点ける。

〔「お、お前が好きだ……!」「お、俺も好きだ……!」〕

 愛原:「な、何だこりゃ!?男同士じゃん!」

 よく見たら、何かDVDが回ってるぞ!?
 私は慌ててDVDを止めた。
 何だこれ!?
 タイトルを見ると、『角刈りの天使たち』というあからさまなものになっていた。
 よく見ると、テレビ台の下には『ジャ〇タレの闇』とか『やらないか』とか、ヤバそうな内容のものが!

 高橋:「先生。お待たせしまし……」

 高橋が昼食を持って来たが、私の所行を見て固まった。

 高橋:「先生……?」

 そして、ジト目で私を見る。

 愛原:「いや、これ!お前のだろ!?なに事務所に持って来てんだ、おい!?」
 高橋:「確かに俺の秘蔵DVDですけど、事務所に持って来てなんかいませんよ。先生、俺の部屋から勝手に持って来たんですね?見たかったら言ってくれたら良かったのに……」
 愛原:「違う!」
 高橋:「何が違うんスか!」

 私と高橋が押し問答をしていると、電話が鳴った。

 愛原:「ちょっと待て!電話だ!」

 私が電話に出る。

 愛原:「もしもし!?愛原学探偵事務所です!」
 ボス:「私だ」
 愛原:「ボス!?何ですか?今は昼休みですよ」
 ボス:「ああ、うむ。実は先ほど、キミの事務所にお邪魔したのだが……」
 愛原:「さっき?事務所、誰もいなかったでしょ?」
 ボス:「残念なことにな。だが、勝手に上がらせてもらったよ。そしたら、何だか面白いDVDを見つけてね。キミ、まさかゲイものに興味があったとはねぇ!」
 愛原:「アンタのしわざかい!」

 誤解の無いように言っておく!
 私はけしてLGBTではない!

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1 コメント

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つぶやき (雲羽百三)
2018-10-22 14:44:18
警備業と探偵業は、元々1つの会社が行っていた。
どちらもはしりはアメリカで、探偵業をやっていた会社が警備業も始めたのがきっかけなんだそうだ。
そのうち、警備業と探偵業が分離したという。
日本では最初から別々の業種として興ったので、俄には信じがたい話だと思う。
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