[8月30日16:03.天候:晴 神奈川県逗子市 JR逗子駅→湘南新宿ライン4536Y電車4号車]
乗り鉄の旅のルートとして神奈川県逗子市を通過する稲生とマリア。
逗子という変わった市名であるが、ある信仰者ならこの名前にピンと来るものがあるだろう。
延命寺の地蔵尊を安置する『厨子』があったことから、この名前になったという説もある。
〔この電車は横須賀線、湘南新宿ライン、宇都宮線直通、快速、宇都宮行きです。……〕
稲生がホームのとある場所に立ち寄ったのは、手持ちのSuicaにグリーン券情報を入力する為。
しかし、基本的にキップで乗っているマリアにはそれができない。
どうするのかというと……。
稲生:「すいません。大宮まで1枚ください」
始発駅の場合、発車前でもグリーンアテンダント(以下、GA)が回って来ることがある。
ここでもそうだったので、稲生はそのGAを呼び止めた。
GA:「かしこまりました。車内でお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますが、よろしいでしょうか?」
稲生:「結構です」
車内精算の方が割高となるシステム。
多分、関西では受け入れられないシステムであろう。
あ、だから向こうはグリーン車が無いのか。
マリア:「いいの?本当に?」
稲生:「乗り鉄最後の電車ですから」
マリア:「ありがとう」
稲生がグリーン料金を払うと、GAの持つ端末から、ベーッとレシートのような紙が出て来る。
それをビッと千切って渡してきた。
GA:「ありがとうございます」
稲生:「どうも」
〔「お待たせ致しました。湘南新宿ライン、宇都宮線直通の快速、宇都宮行き、まもなく発車致します」〕
発車の時間になって、ホームから微かに発車メロディが聞こえて来た。
〔3番線の、ドアが閉まります。ご注意ください〕
横須賀線や総武快速線のみを走る電車と違い、湘南電車のオレンジ色と緑色のライン(湘南色)を身に纏った電車が発車した。
副線のホームからの出発なので、本線に出る為にポイントを渡らないといけない。
その度に電車が大きく揺れる。
〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は横須賀線、湘南新宿ライン、宇都宮線直通、快速、宇都宮行きです。停車駅は大宮までの各駅と、蓮田、久喜、古河、小山、小山から先の各駅です。グリーン車は、4号車と5号車です。車内でグリーン券をお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください。次は、鎌倉です〕
マリア:「この電車だと大宮には何時に着くって?」
稲生:「17時41分ですね」
マリア:「結構遠いな」
稲生:「そうなんですよね。横須賀線と湘南新宿ラインで、一駅ごとの距離もそれなりにあるので、尚更そう感じます」
因みに10両編成という短い編成なので、恐らくこれから混んでくることだろう。
稲生:「ダイヤ通りに走ってくれれば、待ち合わせには間に合いますよ」
マリア:「まあ、そうだな」
この後、電車は逗子市を抜けて鎌倉市へと入る。
鎌倉駅から江ノ電に乗り換えると、日蓮大聖人所縁の地がいくつかあるのだが、今回は割愛となる。
鎌倉駅の次、北鎌倉駅は臨済宗円覚寺の境内にある。
横須賀線が軍事路線として開通するに辺り、強引な用地買収によって行われたものだ。
国家神道が第一であった為、仏教は蔑ろということもあったのかもしれない。
さしもの顕正会員でさえも、電車が境内を通るだけで謗法とは言わないはずだが。
マリア:「この辺りに、勇太の宗派のお寺は?」
稲生:「ありますよ。護国寺さんです」
東京メトロ有楽町線に同じ名前の駅があるが、宗派が違うので注意。
稲生:「ああ。そういえば今回はまだ正証寺に参詣してなかったなぁ……」
マリア:「明日行けばいいじゃない」
稲生:「そうですね」
[同日17:08.天候:晴 東京都新宿区 JR新宿駅]
〔まもなく新宿、新宿。お出口は、右側です。山手線、中央快速線、中央・総武線、小田急線、京王線、地下鉄丸ノ内線、都営地下鉄新宿線と都営地活大江戸線はお乗り換えです〕
湘南新宿ラインとして中間に当たる新宿駅に差し掛かる。
この辺りまで来ると、車内もだいぶ混んで来たようだ。
グリーン車の座席横に立つ者は今のところ見受けられないが、それでも見渡す限り満席状態であることに違いは無さそうだ。
マリア:「帰りはこの駅を通るんだって?」
稲生:「バスタ新宿からバスに乗りますからね。一応、そのつもりです」
駅に電車が到着すると、ぞろぞろと乗客が吐き出された。
しかし、ホームには長蛇の列ができており、平日の夕方ラッシュであることを物語っている。
マリア:「そうだ。師匠に中間報告をしないと」
稲生:「この辺はマメですね」
マリアは再びローブから水晶球を取り出した。
マリア:「師匠、師匠。マリアンナです。応答願います」
イリーナ:「」
稲生:「寝てる!?」
マリア:「……このクソBB……」
稲生:「ストーップ!どこで聞かれているか分かりませんよ!?」
マリア:「フガッ!?」
稲生は慌ててマリアの口を塞いだ。
稲生:「言葉には注意しませんと!」
マリア:「中間報告しろって言っといて、この体たらくだぞ?」
稲生:「ま、そうなんですけど、着信履歴は残るでしょうし……」
マリア:「携帯電話じゃないって」
そうこうしているうちに、電車は走り出した。
マリア:「本当にディナーはレストランなのかな?」
稲生:「一応、家にも確認しましたけど、そうみたいですよ」
稲生は手持ちのスマホを出した。
ぶっちゃけ、稲生に水晶球は必要無いであろう。
占いをしようとすると、筮竹をそれらしく使うタイプかもしれない。
新宿駅を発車すると、再び夕日が車内に差し込んで来た。
グリーン車にはブラインドが付いているので、それを下ろして寝入る体勢を取る乗客もいる。
稲生:「いつものホテルのレストランのようですので、間違いないと思います」
マリア:「勇太の御両親に師匠が迷惑掛けてないといいけど……」
乗り鉄の旅のルートとして神奈川県逗子市を通過する稲生とマリア。
逗子という変わった市名であるが、ある信仰者ならこの名前にピンと来るものがあるだろう。
延命寺の地蔵尊を安置する『厨子』があったことから、この名前になったという説もある。
〔この電車は横須賀線、湘南新宿ライン、宇都宮線直通、快速、宇都宮行きです。……〕
稲生がホームのとある場所に立ち寄ったのは、手持ちのSuicaにグリーン券情報を入力する為。
しかし、基本的にキップで乗っているマリアにはそれができない。
どうするのかというと……。
稲生:「すいません。大宮まで1枚ください」
始発駅の場合、発車前でもグリーンアテンダント(以下、GA)が回って来ることがある。
ここでもそうだったので、稲生はそのGAを呼び止めた。
GA:「かしこまりました。車内でお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますが、よろしいでしょうか?」
稲生:「結構です」
車内精算の方が割高となるシステム。
多分、関西では受け入れられないシステムであろう。
あ、だから向こうはグリーン車が無いのか。
マリア:「いいの?本当に?」
稲生:「乗り鉄最後の電車ですから」
マリア:「ありがとう」
稲生がグリーン料金を払うと、GAの持つ端末から、ベーッとレシートのような紙が出て来る。
それをビッと千切って渡してきた。
GA:「ありがとうございます」
稲生:「どうも」
〔「お待たせ致しました。湘南新宿ライン、宇都宮線直通の快速、宇都宮行き、まもなく発車致します」〕
発車の時間になって、ホームから微かに発車メロディが聞こえて来た。
〔3番線の、ドアが閉まります。ご注意ください〕
横須賀線や総武快速線のみを走る電車と違い、湘南電車のオレンジ色と緑色のライン(湘南色)を身に纏った電車が発車した。
副線のホームからの出発なので、本線に出る為にポイントを渡らないといけない。
その度に電車が大きく揺れる。
〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は横須賀線、湘南新宿ライン、宇都宮線直通、快速、宇都宮行きです。停車駅は大宮までの各駅と、蓮田、久喜、古河、小山、小山から先の各駅です。グリーン車は、4号車と5号車です。車内でグリーン券をお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください。次は、鎌倉です〕
マリア:「この電車だと大宮には何時に着くって?」
稲生:「17時41分ですね」
マリア:「結構遠いな」
稲生:「そうなんですよね。横須賀線と湘南新宿ラインで、一駅ごとの距離もそれなりにあるので、尚更そう感じます」
因みに10両編成という短い編成なので、恐らくこれから混んでくることだろう。
稲生:「ダイヤ通りに走ってくれれば、待ち合わせには間に合いますよ」
マリア:「まあ、そうだな」
この後、電車は逗子市を抜けて鎌倉市へと入る。
鎌倉駅から江ノ電に乗り換えると、日蓮大聖人所縁の地がいくつかあるのだが、今回は割愛となる。
鎌倉駅の次、北鎌倉駅は臨済宗円覚寺の境内にある。
横須賀線が軍事路線として開通するに辺り、強引な用地買収によって行われたものだ。
国家神道が第一であった為、仏教は蔑ろということもあったのかもしれない。
さしもの顕正会員でさえも、電車が境内を通るだけで謗法とは言わないはずだが。
マリア:「この辺りに、勇太の宗派のお寺は?」
稲生:「ありますよ。護国寺さんです」
東京メトロ有楽町線に同じ名前の駅があるが、宗派が違うので注意。
稲生:「ああ。そういえば今回はまだ正証寺に参詣してなかったなぁ……」
マリア:「明日行けばいいじゃない」
稲生:「そうですね」
[同日17:08.天候:晴 東京都新宿区 JR新宿駅]
〔まもなく新宿、新宿。お出口は、右側です。山手線、中央快速線、中央・総武線、小田急線、京王線、地下鉄丸ノ内線、都営地下鉄新宿線と都営地活大江戸線はお乗り換えです〕
湘南新宿ラインとして中間に当たる新宿駅に差し掛かる。
この辺りまで来ると、車内もだいぶ混んで来たようだ。
グリーン車の座席横に立つ者は今のところ見受けられないが、それでも見渡す限り満席状態であることに違いは無さそうだ。
マリア:「帰りはこの駅を通るんだって?」
稲生:「バスタ新宿からバスに乗りますからね。一応、そのつもりです」
駅に電車が到着すると、ぞろぞろと乗客が吐き出された。
しかし、ホームには長蛇の列ができており、平日の夕方ラッシュであることを物語っている。
マリア:「そうだ。師匠に中間報告をしないと」
稲生:「この辺はマメですね」
マリアは再びローブから水晶球を取り出した。
マリア:「師匠、師匠。マリアンナです。応答願います」
イリーナ:「」
稲生:「寝てる!?」
マリア:「……このクソBB……」
稲生:「ストーップ!どこで聞かれているか分かりませんよ!?」
マリア:「フガッ!?」
稲生は慌ててマリアの口を塞いだ。
稲生:「言葉には注意しませんと!」
マリア:「中間報告しろって言っといて、この体たらくだぞ?」
稲生:「ま、そうなんですけど、着信履歴は残るでしょうし……」
マリア:「携帯電話じゃないって」
そうこうしているうちに、電車は走り出した。
マリア:「本当にディナーはレストランなのかな?」
稲生:「一応、家にも確認しましたけど、そうみたいですよ」
稲生は手持ちのスマホを出した。
ぶっちゃけ、稲生に水晶球は必要無いであろう。
占いをしようとすると、筮竹をそれらしく使うタイプかもしれない。
新宿駅を発車すると、再び夕日が車内に差し込んで来た。
グリーン車にはブラインドが付いているので、それを下ろして寝入る体勢を取る乗客もいる。
稲生:「いつものホテルのレストランのようですので、間違いないと思います」
マリア:「勇太の御両親に師匠が迷惑掛けてないといいけど……」