報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

本日の動静 0328

2016-03-28 17:29:50 | 日記
 皆様のおかげで祖母の初七日供養まで、無事に終わらせることができた。
 曹洞宗では(寺院にもよるのだろうが)、納骨は四十九日の法要が明けてからなのだそうだ。
 それまでは実家の仏間に祭壇を設け、そこに保管しておくことになる。
 ただ、経済誌の記者をやっている弟に言わせると、実は四十九日の意味は無いのだそう。
 大昔から行われている慣習に従って行っているだけで、どの宗派も四十九日の意味を説明することができないはずだと言う。
 てことは、それはつまり初七日もそうだということか。

 例えば故人が臨終した後、すぐに荼毘に伏せない理由は聞いたことがある。
 これは父方の菩提寺の僧侶(真言宗)から聞いたのだが、閻魔大王の所にその故人が臨終したことを知らされていないことが稀にあるのだそう。
 人間ならすぐに関係部署に問い合わせるところだが、強権を持った閻魔大王は聞いていない人間は自らの権限で追い返すらしい。
 追い返す。
 つまり、息を吹き返すということだな。
 だから、臨終しても1日は遺体をそのままにしておくのだということだ。

 ま、破折として、大昔は死亡の定義も曖昧だっただろうから、死亡したと見せかけて単なる仮死状態だったりして、何らかの拍子に息を吹き返すこともあっただろう。
 そういうことではないかと私は思う。
 夢の無い話だが、科学が発達するということは夢を消すことでもあるのだ。
 なので、今は医師が死亡判断をしたら、即座に火葬しても何ら問題は無い……はずだ。

 尚、真言宗は戒名代が高い上、僧侶もかなりお高く留まっている感じである。
 これは真言宗は、比較的社会的地位の高かった檀家が集まっていたからだと思われる。
 日蓮正宗は……恐らく戒名代の相場は他宗と比べて安かったと思われるが、創価学会が吊り上げた恐れがある。
 まあ、普段から寺院参詣して財の供養をしている分には、そんなに高い戒名代も取らないだろうと信じたい。

 あと、私の実家の方では、納棺の時に花や故人の大事にしていたものを入れるだけでなく、小銭を入れる習慣がある。
 これは三途の川を渡る時の運賃や、『地獄の沙汰も金次第』の為だと言われている。
 私の小説に登場する冥界鉄道公社も、当初は三途の川に架けられた鉄橋を渡る高架鉄道という設定だった。
 現世側の人口が急増したことで、その分、臨終する亡者の数も急増した。
 その為、三途の川を渡る舟だけでは追い付けず、鉄道が開通したという設定だ。
 親族全員が入れたものだから、結構な額になった。
 これで冥鉄のグリーン車に乗れるかな?と思ったが。
 尚、冥鉄の運賃は時価という設定である。
 なぁに、向こうの職員がボろうとしてきたら、日蓮正宗信徒たる私が、仏法を使って後押ししてあげよう。
 日蓮正宗の塔婆を使えば、特急料金くらい何とかなるだろう。

 閑話休題。
 今日は1日オフ。
 午前中はネットサーフィンして、午後は大江戸温泉物語に行ってサッパリしてきた。
 地下鉄東西線が開通した為、その前と比べると公共交通機関で割と行き易くなった。
 あくまで、割と、である。
 物凄く便利になったとは思えない。
 元々が家からだいぶ離れた既存のバス停から、1時間に1本のバスに乗り、それで30分以上も揺られなければならないほどに不便だったのだ。
 今は私の実家から徒歩5分の薬師堂駅より荒井行きに乗り、終点で下車。
 荒井駅から仙台市営バスの鶴巻循環に乗れば良い。
 遠回りルートと近回りルートの2つがあって、これが1時間おきに運転している。
 つまり、実質30分に1本というわけだ。
 遠回りルートに乗っても、降りるバス停が同じであれば、近回りのルートで向かうのとバス運賃は同じ170円。
 地下鉄の運賃が250円だから、420円か。
 確か、従来のバス運賃もこれくらいだったと思う。

 バスは工場団地を通って行くので、夜はあまり治安が良くないかもしれない(それでも何か大きな犯罪が起きたというニュースは無いが)。
 大江戸温泉物語のある場所は、産業道路という夜でも交通量の多い幹線道路沿いにあるので、そこでバスを待つ分には大丈夫かもしれない。
 保証はしないけどw
 昔は暴走族のルートになっていた道路だからね。
 今でも週末になると、遊び好きの兄ちゃんが乗っていると明らかに判断できる車がよく通過している。
 まあ、明るいうちは大丈夫だ。

 平日だから空いている方の部類には入るのだろう。
 ただ、春休みだからか、子供の姿が多く見られた。
 イリーナと同じく、作者の私も風呂上りにマッサージを受けたが、肩と足がガチガチだったらしい。
 肩が凝るのはPCのせいだし、足が張っているのは普段の仕事のせいだろう。
 ま、1時間ほどやってもらったおかげで、今は楽だ。
 東京・お台場の大江戸温泉物語では送迎バスが頻繁運行されており、仙台の方も運行しているが、そちらは申し訳程度の本数だ。
 皆車で来るので、利用者が少ないのだろう。
 いくら地下鉄開通前より割と便利になったとはいえ、地下鉄とバスで来る利用客も極僅かと思われる。
 尚、荒井駅からのアクセスは帰りに気づいたのだが、ミヤコーバス(宮城交通の子会社)でも行けるらしい。
 荒井駅からJR仙石線の多賀城駅までの路線である。
 ただ本数は少なく、2時間に1本という有り様だから、あくまで仙台市営の補完的なものと思った方が良い。
 まあ、バス・フリークスの私の食指を動かすには十分だがね。

 往路のバスは日野のブルーリボンシティ、帰りはいすゞのエルガ。
 どちらも都営バスで運行に就いている車種であり、私はいつものように運転席の後ろに座っていたのだが、何だか都営バスに乗っている感じがした。
 後ろから乗って前から降りる方式でなければ、間違えるところであろう。
 帰りのバスは新人運転手が研修中で、前扉後ろの席には教官が座っていた。
 新しい路線だし、地下鉄車内でもバス運転手募集の広告が出ているから、研修たけなわなのであろう。
 そうそう。
 前に、んっ?さんが清掃局や清掃公社関係の仕事は同和対策事業であるとコメントして下さったが、もしかして市営交通もそうなのだろうか?
 私が学校を卒業して就職活動をしていた際、今よりずっと不景気だったからというのもあるが、全くそのような募集要項を見ることは無かった。
 それが今や大々的に募集している。
 同対事業だけでは人材確保が難しくなったということか?
 あと10歳若かったら、喜んで応募していたところだろう。
 つくづく、タイミングの合わない人生だ。
 世法も仏法も。
 そう、仏法も。
 A氏が退転した後の入信であれば、私も未だに報恩坊にいただろうに。
 本当にタイミングが悪かった。
 で、最初に声を掛けてくれたのが東京第一布教区の信徒さんだったので、元の鞘に収まったと言えばそれまでだが。
 あ、因みに第二布教区の人達は、その後である。
 ネット上での出会いは、トチロ〜さんが1番後。
 実際に折伏を受けた順番は前後しているけどね。
 とにかく、無理に御受誡を焦る必要は無いと私は考えている。
 ぶっちゃけ、自己愛さんが出ていってからの入信でいいと思っているよ。

 地下鉄を降りた後、コンビニに立ち寄って、来月の支部登山の帰りのバスのチケットを発券した。
 往路はまだ分からないので、勇み足はできない。
 恐らくいつものパターンだと、新幹線で早めに着山することになるのではないかと思う。
 そんな時、高速バスでゆっくり行くわけにはいかないからね。

 今日の深夜、私は埼玉に戻る。
 明日は勤務変更で遅番ではなく、早番になったということで、戻ったらすぐに寝なければならない。
 なので、これが今日最後の更新になるのではないかなと思う。
 違ったらごめんなさい。
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“Gynoid Multitype Cindy” 「ガイノイドの帰京」

2016-03-28 11:01:09 | アンドロイドマスターシリーズ
[3月12日07:00.天候:曇 仙台市青葉区・ホテル法華クラブ仙台 鏡音リン・レン]

 ロイドの体内時計は実にピッタリだ。
 深夜電力の終わる朝7時に設定しておけば、ちゃんとそこで充電が終わるようになっているのだから。
 もっとも、実は充電自体はとっくに終わっているのだが、まだ暗いうちに“起きて”もあれなので、充電が終了すると同時に、シャットダウンするようになっている。
 で、時間になると、自動的に起動する。

 リン:「ロボット三原則、唱和……」
 レン:「第1条、ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない」
 リン:「第2条、ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。ただし、与えられた命令が、第1条に反する場合は、この限りでない」
 リン・レン:「第3条、ロボットは、前掲第1条および第2条に反する虞の無い限り、自己を守らなければならない」

 再起動するとロボット工学三原則を唱和するのが、ロイドの習わし。

 リン:「再起動、無事に完了しました〜Yo!」
 レン:「同じく。……って、誰に言ってるの?」
 リン:「そう言わなきゃいけないの。ねぇ、レン、ちょっと外歩いてこない?」
 レン:「いいけど、シンディがいいって言ってくれるかな?」
 リン:「大丈夫なんじゃない?」

 リンはホテル備え付けの部屋着から、ジャージに着替えた。
 レンもそうする。
 部屋を出てエレベーターホールに向かおうとすると、敷島の部屋からシンディが出て来た。

 リン:「あっ、シンディ!おはYo〜!」
 レン:「ちょっと僕達、外を散歩してきます」
 シンディ:「出発は09時30分だからね。ちゃんと帰って来るのよ」
 リン:「はーい(^O^)/」
 レン:「はい。……あの、昨夜、社長に何かあったみたいですけど……?」
 シンディ:「ううん。大したこと無いよ。あなた達は気にしないで行ってらっしゃい」

 シンディ、腕組みをしつつもニッコリ笑ってボカロ姉弟を見送る。
 エレベーターに乗ったところまで確認したシンディは、すぐに部屋に戻った。

[同日07:15.天候:曇 同ホテル・敷島の部屋 3号機のシンディ&敷島孝夫]

 敷島:「あの、シンディ様、そろそろ朝食を取りに行ってもよろしいでしょうか?」

 何故かベッドの上にパンツ1枚で正座する敷島。
 体中には拷問の痕が……。

 シンディ:「あぁ?マスターの許可を取ってからに決まってんだろ、バカ社長」

 シンディの右耳から、アリスの怒号が聞こえる。

 アリス:「反省が足りないようね!シンディ、もう1回電気流しておやり!」
 シンディ:「かしこまりました」

 シンディ、ドSの笑みを浮かべ、左手から高圧電流の火花を散らす。
 そして……。

[同日同時刻 天候:晴 同ホテル・MEIKOの部屋 MEIKO]

 MEIKO:「うあー……」

 MEIKOはシンディと通信をリンクさせ、その機能を応用させて、シンディの視点を見ることができる。
 シンディがアリスに代わって、敷島にお仕置きをしている様子が手に取るように分かった。

 MEIKO:「たかだかホテルを抜け出して、キャバクラに行ったくらいでねぇ……。シンディのセクサ機能じゃ、満足できなくなったか?」

 MEIKOは部屋着から、いつもの衣装に着替えていた。

[同日10:00.天候:曇 JR仙台駅西口 シンディ、敷島、リン・レン、MEIKO]

 リン:「はい、到着ぅ!」
 MEIKO:「社長、大丈夫ですか?」
 敷島:「入院の手続き、よろしく……」
 シンディ:「大丈夫よ。アタシのマシンガンでも平気だった人間だから」
 MEIKO:「そう言う問題じゃないと思うけど……」

 その敷島、シンディに肩を貸してもらっている。

 シンディ:「オーナー、マスターの命令は絶対でしょ?」
 MEIKO:「ま、そりゃそうだけど……」
 敷島:「あー……」
 レン:「何ですか、社長?」
 敷島:「アリスに土産を買って行かないと、また殺される……」
 レン:「はあ?」
 リン:「さすが分かってるね〜」

[同日10:20.天候:曇 JR仙台駅・新幹線ホーム 上記メンバー]

〔まもなく13番線に、10時24分発、“やまびこ”134号、東京行きが10両編成で参ります。この電車は途中、福島、郡山、宇都宮、大宮、上野に止まります。グランクラスは10号車、グリーン車は9号車……〕

 MEIKO:「社長はグランクラス?」
 敷島:「なワケないだろ。皆仲良くグリーン車だよ」
 MEIKO:「お、帰りは豪勢だね」
 敷島:「皆、今回は頑張ってくれたからな」
 シンディ:「今回も、でしょ?」
 敷島:「おっ、これは失礼」

〔「13番線、ご注意ください。“やまびこ”134号、東京行きの到着です。黄色い線の内側まで、お下がりください」〕

 “はやぶさ”に使用されるE5系電車がやってくる。
 エメラルドグリーンがよく映える。
 ドアが開くと、早速シンディ達は乗り込んだ。

〔「ご案内致します。この電車は10時24分発、“やまびこ”134号、東京行きです。次の福島で、後から参ります“はやぶさ”“こまち”12号、東京行きの通過待ちがございます。大宮、上野、終点東京へお急ぎのお客様は、“はやぶさ”“こまち”12号をご利用ください。……」〕

 自由席はどうだか分からないが、グリーン車は空いていた。
 だから、ボカロ達は座席に向かい合わせにした。
 シンディは敷島を窓側に座らせ、自分は通路側に座ることで、その通路を挟んだ隣のボカロ達も見ることができる。

 MEIKO:「朝、散歩の時に近くの公園で歌ったんだって?」
 リン:「うん!皆、喜んでくれたYo!」
 レン:「いくら何でも目立つから、やめた方がいいとは言ったんだけど……」

 ボカロのファンサービスであろうか。

 シンディ:「社長、コーヒーでも買ってくる?」
 敷島:「いいよ。別に、喉は乾いてない」

[同日10:24.天候:曇 JR東北新幹線“やまびこ”134号・9号車内 上記メンバー]

 列車は仙台駅オリジナルの発車メロディの後で、定刻に出発した。
 そんなに混まない列車のせいか、E5系10両のみの編成である。
 グリーン車には各席に充電用のコンセントが付いているが、軒並みバッテリーが90%以上あるロイド達は充電しようとはしなかった。

 シンディ:「今日はマスターと一緒にランチなんだから、そろそろ機嫌直して……」
 敷島:「うるさいな。俺は寝る。着いたら起こせ」

 敷島は仏頂面をしながら座席をリクライニングした。
 すると……。

 車販嬢:「お弁当にお茶、冷たいジュースにビール……」

 20代の、美人と言える容貌の車販係だ。
 ガバッとリクライニングを戻す。

 敷島:「すいませーんホットコーヒー1つ
 車販嬢:「ありがとうございます。お砂糖とミルクはどうなさいますか?」
 敷島:「キミの甘いミルクを一杯入れてくれ(´∀`*)」
 シンディ:「あー、マスターいかが致しましょう
 レン:「うあー!やめてください!電車が止まっちゃう!」
 MEIKO:「ちょっと!いい加減にしてよね!」
 リン:(;゜Д゜)

 尚、東北新幹線にその後、ダイヤ乱れが発生したようだが、その原因については【お察しください】。
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“Gynoid Multitype Cindy” 「ガイノイドの一夜」

2016-03-27 21:42:31 | アンドロイドマスターシリーズ
[3月11日22:00.天候:晴 仙台市青葉区・ホテル法華クラブ仙台 3号機のシンディ&敷島孝夫]

 ベッドにうつ伏せで爆睡する敷島。
 シンディは窓の前に立って、通信を行っていた。
 相手はオーナー(マスター)であるアリスである。

 シンディ:「社長はお休みになりました。朝までぐっすり眠られると思います」
 アリス:「ご苦労様。あなたも充電して、明日に備えなさい」
 シンディ:「かしこまりました」
 アリス:「サーバーに使用するダミーは誰になったの?」
 シンディ:「エミリーです。トップナンバーを使用した方が良いという理由です」
 アリス:「タカオらしいわ」(電話の向こうで笑う)
 シンディ:「また、バージョン4.0が迷惑を掛けたらしいですね」
 アリス:「まあね。でもまあ、心配しなくていいよ。こっちにはマリオとルイージがいるし。旧型の1機や2機、アタシの自身作の最新モデルならイチコロよ」
 シンディ:「さすがです。私も……」
 アリス:「ん?」
 シンディ:「アルみたいな最新モデルが量産されたら、私達も……」
 アリス:「その心配は当分無いね」
 シンディ:「そうですか?」
 アリス:「そもそもマルチタイプが1機ずつのハンドメイドだもの。バージョン・シリーズみたいに工場生産できるわけじゃないしね。そんな生産ペースじゃ、非売品同然だもの。てか、アルエットはまた違う行程で作った、マルチタイプに似て非なる物だから。あなたは何も心配することはないよ」
 シンディ:「かしこまりました」
 アリス:「とにかく、あなたは引き続き、タカオが浮気しないように監視を続けてちょうだい。その為なら、どんな手を使ってもいいから」
 シンディ:「かしこまりました」
 アリス:「今日はマッサージをしてあげて、気持ち良く眠らせたのね」
 シンディ:「はい、そうです」
 アリス:「よしよし。その調子よ」
 シンディ:「お役に立てて何よりです。……それでは」

 シンディは通信を切った。
 そこで、ふと思い立つ。

 シンディ:(そうだ。一応、私もボカロの護衛役なんだから、様子を見に行こう)

 シンディは敷島の部屋を出て、まずは鏡音リン・レンの部屋に向かった。

[同日22:15.天候:晴 同ホテル・鏡音リンとレンの部屋 シンディ、鏡音リン・レン]

 シンディの予想はグッスリ“寝てる”か、枕投げでもしているところだろうと思った。
 まるで昔の修学旅行で、引率の教師になった気分だ。
 ホテルのドアはオートロックなので、中から開けてもらうことになる。
 外から呼び掛けてみると、意外にもすぐにドアが開いた。

 レン:「はい、どうしました?シンディ?」
 シンディ:「すぐに開けたってことは、まだ“寝て”なかったわけね?」
 レン:「充電のタイマーは23時からですから」

 ロイド達の充電は、一斉に深夜電力を使って充電される。
 東京電力では深夜電力は23時からであるため、ボカロの充電開始設定時刻を23時にしているのだった。

 シンディ:「ホテルの客室の電気はタダだから、別に今から充電開始したっていいのよ?」
 レン:「まあ、確かに……」
 シンディ:「で、リンはどこ?」

 レンはバスルームを指さした。
 右腕のペイント、赤字で『02』の数字が見えた。

 レン:「体を洗ってます」
 シンディ:「なるほど。あんたは……リンの次か」
 レン:「ええ」

 そこへ、ガチャッとバスルームのドアが開けられ、リンが出て来た。
 体にバスタオルだけを巻いている。

 リン:「あれ、シンディ!?」
 シンディ:「何もそんなに驚くこともないでしょう?“就寝前”の巡察だよ」
 リン:「なーんだ。つい、レンが何かしたのかと思ったYo〜」
 レン:「何でだよ!」
 シンディ:「まあとにかく、レンも体洗ったら、すぐに充電の準備するんだよ」
 レン:「はい」

 無邪気な双子の姉に対し、それよりしっかりとした弟のレンといった感じだが、設定年齢14歳という難しい年頃のせいか、そんなレンでも弾けることはある。
 また、ファンの前ではイケメンキャラのKAITOと被らないようにする為か、無垢な少年というイメージで出ることが多い。
 今回の追悼ライブでも、そんなイメージで出たと思われる。

[同日22:30.天候:晴 同ホテル・MEIKOの部屋 シンディ&MEIKO]

 リンとレンはツインルームであった。
 それに対し、MEIKOはシングルルームである。

 シンディ:「お疲れ。MEIKO」
 MEIKO:「お〜、シンディか。どうしたの?寂しくなった?」
 シンディ:「冗談!警護役として、就寝前の巡察よ」

 MEIKOも体を洗ったのか、髪が濡れていて、室内にあった部屋着を着ていた。
 ライティングデスクやその椅子の上には、赤い服が無造作に置かれている。
 MEIKOは敷島エージェンシー所属のボカロの中で、1番衣装の露出が高い。
 バドスーツのような感じだからか。
 それが却って、ガイノイドといった感じを出している。

 シンディ:「“就寝前”の“入浴”?考えることは皆同じだね」

 MEIKOは自分の服を畳む。

 MEIKO:「まあね」
 シンディ:「ヴァージョン3にソフトウェア交換もしたことだし、調子もいいみたいだね」
 MEIKO:「おかげさまで。あとはボディ交換だって」
 シンディ:「ロイドなら、だれでも通る道か。大丈夫大丈夫。ちゃんとメモリーやデータは別の媒体に保存されているから、それからソフト関係を新しいボディに移し替えるだけだから」

 ロイドの体はとても精密である。
 その為、通常のメンテナンスだけではとても長期間稼働できるものではない。
 ボディを丸ごと交換する必要も出てくる。
 大抵はモデルチェンジすることはなく、そのままの設計で新しく造ったボディに移し替えるだけである。
 ボーカロイドでも大変なのにマルチタイプはもっと大変で、エミリーは交換用のボディの新造が間に合わず、無理ができない為に南里志郎記念館への“常設展示”を余儀無くされた。
 今ではボディの交換も済んでいるのだが、引き続き記念館に残り、“館長”として来館者を出迎えている。

 シンディ:「何も心配無い。誰でも通る道だから」
 MEIKO:「それならいいんだけど……」
 シンディ:「あなたはリン達と違って“大人”だから、何も心配無いか」
 MEIKO:「大丈夫よ。ちゃんと設定時間は守るって」
 シンディ:「じゃ、何かあったら教えて。充電中でも通信はできるから」
 MEIKO:「了解、お休み」

[同日22:30.天候:晴 同ホテル・敷島の部屋 シンディ]

 巡察を終えたシンディは、敷島の部屋に戻ってきた。

 シンディ:「!」

 入った瞬間、シンディは何か違和感を覚えた。
 持ち出したカードキーをドアの横の壁に差し込む。
 これで室内が通電する。
 敷島が寝ているので、照明は点けない。
 点けなくても、ロイドには暗視カメラが付いているので暗闇でも見える。
 敷島のベッドを見ると、こんもりと布団が盛り上がってる。
 頭から布団を被って寝ているのだろう。
 だが、生命反応が無い。

 シンディ:「!」

 シンディはその布団を捲り上げた。
 するとそこに、本人はいなかった。
 予備の毛布やタオルを丸めて詰め込んだだけ。
 シンディはバスルームを確認したが、そこにもいない。
 部屋中をスキャンしたが、敷島の姿は無かった。
 で、クロゼットを開けると、掛けてあった敷島の服が無い。

 シンディ:「逃げやがったな!あのクソ社長!!」

 シンディも急いで部屋を飛び出した。
 ターゲットは、どこまでも追い掛けて追い詰めるのがマルチタイプだ。
 敷島は果たして、逃げ切れるだろうか。
 翌朝が楽しみだ。
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“大魔道師の弟子” 「夜行の旅」 

2016-03-27 11:35:13 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[3月11日23:40.天候:晴 JR新宿駅コンコース ???]

「いつまでも“呪い”に縛られることはないと思う。もう私達は人間を辞めたんだ。それなら、私達はもう少し前を見るべきだと思う」
 マリアンナの言葉に、感激するイリーナ。
「確かに、いつまでも“復讐”していたんじゃ、ラチが明かないと思いますよ。マリアさんの言う通りです」
 稲生も大きく頷いた。

 だが、物陰からそんなイリーナ組のやり取りを思いっ切り不快な顔で見ている者がいた。
「くく……!マリアンナの野郎……!裏切り者……!」

[同日同時刻 天候:晴 東京都江東区森下・ワンスターホテル エレーナ・マーロン]

 “宅急便”の仕事を終えたエレーナは自分が働いているホテルに戻ると、寝泊まりしている部屋へと入った。
「ふう、疲れた。明日からこっち仕事だし、もう寝るか」
 被っていた帽子を壁に掛けると、黒いブレザーを脱いだ。
 ふと机の上を見ると、水晶球がピカピカ光っていた。
 ケータイの着信と同じだ。
 何か着信があると、一部がピカピカ光る。
 エレーナは空を飛ぶ魔女であり、水晶球は基本連絡用にしか使わない。
「ん?何か来てる」
 エレーナは赤いリボンや黒いベストを脱ぎながら、水晶球に触った。
「……あぁ?」
 その内容を読んで、エレーナは怪訝な顔をした。
 そしてその水晶球へ語り、発信元へ返信した。
「あまり、勝手なことしない方がいいよ。稲生氏があのマリアンナの下に所属させられたのも、大師匠様の織り込み済みだと思うから」
 すると、すぐにまた返信がある。
『協力できないのなら、邪魔しないでくれ。邪魔したら、あんたも“自殺”してもらう』
『所詮、“狼”に食われたことの無いヤツには、私達の気持ちは分からない』
『裏切り者はコロス』
(……1人じゃないのか。マリアンナ、ちょっとヤバいかもね。いや、ヤバいのは稲生氏もか)
 部屋は地下にあるが、それでも専用のシャワーやトイレもある。
 一矢纏わぬ姿でシャワールームに入る。
 エレーナの体にも、銃痕がいくつも生々しく残っている。
 ダンテ一門に所属する魔女の大半は、人間時代に性的暴行を受け、マリアを始めとしてその体に痕が残されている。
 エレーナは残りの、きれいな体のままで魔女になったパターンだが、マリアとは別に“魔の者”に狙われ、アメリカンマフィアのボスに憑依した“魔の者”と戦った。
 こちらはマフィアの本部が入る超高層ビルごと叩き潰したことで、完全に“魔の者”から狙われなくなったが、代償は体に受けた銃撃の痕である。
 マフィアのボスだから、こちらも自己愛性人格障害者であろう。
 崩壊したビルの下敷きにさせるくらい徹底的に叩き潰さないと、“魔の者”に憑依された者からの魔の手からは逃れられない。
 『流血の惨を見る事、必至』なのである。
(さて、どうなることやら……)

[3月12日00:07.天候:晴 JR中央本線・臨時快速“ムーンライト信州”81号・1号車内 稲生、マリア、イリーナ]

 ホームに発車メロディが鳴り響く。
 同じ中央線内を走る通勤電車が10両、昼間の特急がやはりそのくらいの長さで運転されているのに対し、臨時夜行快速は6両と、こぢんまりとした編成だ。

〔9番線、ドアが閉まります。ご注意ください〕

 電車はドアを閉めてゆっくりと発車した。
 そろそろ終電のことを考えなくてはならない時間帯であるが、金曜日の夜ということもあって、まだまだホームは賑わっていた。
 座席は在来線特急の車両が使われているので、リクライニングシート。
 但し、グリーン車は無い。
 稲生とマリアが隣り合って座り、その前にイリーナが1人で座っている。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。「お待たせ致しました。今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は中央本線、大糸線直通の快速“ムーンライト”81号、白馬行きです。池袋駅で発生しました線路内人立ち入りにより、遅れております山手線の接続のため、この電車、約13分ほど遅れて発車を致しております。お急ぎのところ、大変ご迷惑さまです。これから先の停車駅と、主な駅の到着時刻をご案内致します。……」〕

「……ねぇ、ユウタ」
 車両は6号車の簡易リクライニングシート以外、座席がリニューアルされている。
 シートピッチが従来より広くなり、だいたい中距離電車のグリーン車並みくらいになった。
「はい?」
「東京の電車は、確か路線によって色分けされてるよね?」
「ええ。だから、さっき乗って来た埼京線は緑ですね。マリアさんの色ですよ」
 ダンテ一門は大師匠ダンテの趣味なのか不明だが、各魔道師ごとにシンボルカラーが与えられている。
 但し、見習には与えられない。
 強いて言うなら無色か。
 但し、与えられたから何といった感じで、マリアのようにブレザーの色を緑にしたりするくらいしかやることが無い。
 中には、与えられた色が何なのか分からないほどに黒色に染まったアナスタシア組のような集団もいる。
「その、遅れているという山手線は?」
「黄緑ですね」
「黄緑……。この中央線は?」
「更にどんな電車かにもよりますが、各駅停車は黄色、快速はオレンジ、特急や立川から先の中央本線は青ですね。それがどうかしましたか?」
「いや、何だろう?少し気になったものだから……」
「そうなんですか」

〔「……終点白馬には5時40分、終点の白馬には明朝5時40分、定刻に到着する予定です。電車は6両編成で運転致しております。……」〕

「全員、魔女さんなんですよね?今の色を持つ人達……」
「ああ。黄色はポーリン先生だし、青はエレーナなんだけど……。黄緑とオレンジは、ユウタも知らないだろう」
「あまり、色まで見ませんからねぇ……」
 稲生は首を傾げた。
「気をつけた方がいいと言った魔女の2人だよ。どうしてもユウタが男ということで、入門に断固反対していた奴らの中の2人だ」
「早く1人前になって、信頼を勝ち取らないといけませんね」
「あ、ああ……うん」
 マリアは前向きな稲生に頷いたが、
(いや、絶対そんなのんきな話じゃないと思う。エレーナが送って来たメッセージはこの関係か?)
 マリアが稲生を追い出してくれると思っていた強硬派である。
 しかしそれどころか、稲生に心を許したマリアに対し、物凄く不快に思っているというのにも気づいている。

〔「……次の停車駅は立川、立川です」〕

「ちょっと、寝る前に洗面所に行ってきます」
「ああ」
 稲生はデッキの洗面所に向かった。
 窓側に座るマリアは、まだ空いているイリーナの隣の席に移動した。
「師匠、師匠。エレーナのメッセージですが……」
 既に座席を倒してフードを被っているイリーナは爆睡しているかと思ったら、そうでもなかった。
「……ええ、分かってるわよ。今回、アタシが同行しているのは、正にエレーナのメッセージ通りの内容を警戒する為よ」
「ええっ?」
「さしものあのコ達も、アタシみたいなクラスのヤツが一緒だと手出しができないみたいだね」
「どうして“ウグイス”と“ヴァーミリオン”が?」
「……女の嫉妬ってのは怖いねぇ。私の予想だけど、人間時代、あなたが1番“狼”に食われたのに、さっさと自分だけ立ち直ってユウタ君と幸せになろうってのが気に入らないんじゃない?」
「そんな……!」
「とにかく、あいつらは何かの用事で日本に来ただけだと思うから、国際都市・東京から出てしまえば何もできないよ。あとは、ほとぼりが冷めるまで、屋敷でおとなしくしてるのがベストだと思うね」
「……私も顔を洗って来ます」
「あいよ、行っといで」
 マリアは困惑した顔を隠しきれないまま、デッキに向かった。
 デッキの洗面台に稲生の姿は無かったが、併設されたトイレが『使用中』になっているところを見ると、そこにいるのだろう。
 この列車のトイレは全て和式であり、マリアのようなヨーロッパ人には使いにくい。
(ダメだ……。そんなに器の小さい連中だったのか……)
 顔を洗って、マリアはそんなことを考えていた。
(いつまでも、傷の舐め合いだけじゃダメだ。それでは、いつまでも前に進めない……)

 電車は途中で先行の通勤電車を追い抜いたからなのか、グングン速度を上げ始めた。
 夜行列車だからダイヤはかなり余裕に取られているはずだが、そもそも10分以上も遅れて発車したものだから、回復運転をしようとしているのだろう。
 偶然であろうが、マリアの『前に進まなきゃ』という言葉に呼応するかのように、列車は速度を上げ始めた。
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小説の途中ですが、本日の動静をお送りします。 0326

2016-03-26 21:11:45 | 日記
 今日も朝から慌ただしい1日だった。
 朝の8時15分から出棺経が行われるということで、早起きさせられることとなった。
 私は実家へ1度帰って寝たからいいようなものの、祖母の遺体と共に葬祭会館に泊まり込んだ伯母さん家族は大変だっただろう。
 確か10年以上前に祖父が亡くなった時も、長女たる伯母さん達が大変だったような気がする。
 母方には次女である私の母と長女である伯母しかいない上、婿入りした者はいない為、これで母方の姓は断絶したことになる。
 伯母方も安泰とは決して言えず、長男である従兄は私より2つ年上だが、結婚はしていない。
 従姉は結婚して子供も2人いるが、嫁に行った為に姓が変わっている。
 従兄が嫁を迎えない限り、そちらの家も断絶の危機が迫っているわけである。
 その点、父方の所は心配無い。
 私の父は3人兄弟の末っ子で、長男の伯父には子供がいないものの(結婚はしているが不妊症のままらしい)、次男の伯父は子供が4人ほどおり(つまり私の従兄並びに従姉である)、こちらは全員が結婚して子供を設けている。
 つまり、私ら兄弟が結婚しなくてもお家断絶の危機が無いのである。
 兄弟の下の方は気楽で良い限りだ。
 まあ、私は長男であるものの、大したことはする必要が無い。
 私の家系で何かあっても、従兄達がやってくれるからw

 話は逸れたが、最近の霊柩車は随分と装飾が地味だなと思ったが、けして金ピカの家型の人気が無くなったわけではない。
 たまたま、シックなデザインを選ぶ人が多いだけのことのようだ。
 喪主である伯母と、その妹である母は霊柩車に同乗し、他の私らはバスで火葬場へ。
 日野のリエッセだ。
 JRバスといい、今回は日野のバスに世話になってるな。
 ところで火葬場は2〜3日待たされるというイメージがあるのだが、意外と簡単に予約が取れたものだ。
 どうも、早目に押さえておいたとのことだが、果たしてどの段階で押さえていたのやら……。
 仙台市が外郭団体である公益法人に委託して運営している火葬場であるが、そこの職員は、制服に制帽という警備員のような姿をしている。
 祖父の時も同じ火葬場で、やはりこういった職員が棺を台車に置いて運んでいたのだが、一体この職員達は公務員なのだろうか。
 あまりの違和感に、祖父の葬儀の後で、“顕正会版人間革命”や“妖狐 威吹”に死神を登場させたことがある。
 死神というと、魔道師が着るローブよりももっと大きくて漆黒のローブをまとい、フードを深く被って、手に大きな鎌を持っているというイメージだが、私の作品に登場している死神は黒い制服に黒い制帽を深く被っているという設定にした。
 ただ少しデザインは変えて、制服はもっと野暮ったい詰襟にし、制帽の紀章はドーマンセーマンにした。
 そして、武器は鎌ではなくサーベルというもの。
 稲生が大学生以降の話である“ユタと愉快な仲間たち”や卒業後の今を描いている“大魔道師の弟子”には登場しないが、名残りとして冥界鉄道公社の車掌の制服などにそのイメージがある。
 そんなことを思い出しながら、祖母とは最後の別れ。
 鉄扉の開閉も件の職員が、タッチパネルで操作する。
 何気にハイテクだ。
 それでも完全に火葬が終わるまで、1時間くらい掛かる。
 1000度の温度で焼くとのこと。
 東日本大震災直後の時は遺体の火葬が間に合わず、土葬された遺体もあったらしいが、今も残されているのだろうか?
 従姉の子供2人(5歳と3歳)は状況が分かっていないのか、はしゃぎ回っている。

 火葬が終わった後で、職員立ち合いのもと、骨を拾う。
 最初に拾う時だけ、隣と一緒に箸で拾うのはどこも同じか。
 骨だけだとどこの部分の骨だか分からないが、ベテランの職員はさすがにどの骨がどこの部分だか分かるようだ。
 私ら家族もそうだが、火葬場に来ていた他の人達も終始落ち着いていた。
 私の祖母は85歳で臨終したが、まあまあ普通に日本人の平均寿命くらいであるし、他にも大往生した人達ばっかりだったからだろう。
 これが若くして死んだとあらば、落ち着いてもいられなくなると思われる。

 尚、弟の意見である。
「創価学会の友人葬に出たが、フツーにドン引きした」
 とのこと。
「皆で『南無妙法蓮華経』や御経の大合唱なんて、キモいよ」
 ああ、まあそりゃそうだ。
 私は元顕正会員だが、初めて顕正会の会館に連れて行かれた時、中から御題目の大合唱が聞こえて来て、ちょっと足がすくんだ記憶がある。
 今では自分も一緒に御経を読むことに慣れているが、今となっては曹洞宗のようにお坊さんだけが御経を読んで、檀家は後ろに座っているだけの方が違和感があるようになってしまった。
 だから私は、
「日蓮正宗も信徒が一緒に御経を読むよ」
 と言ったが、
「日蓮正宗はお坊さんがいるからなぁ……。いや、坊さんがいないで御経だけ読むのはどうもなぁ……」
 とのこと。
 比較的まともな意見である。
 私も“普段着の折伏”の時に、創価学会や顕正会との違いを説明する時にこの手を使うが、多くの人は、
「お寺があって、そこにお坊さんがいる所の方が安心だ」
 みたいなことを言う。

 火葬が終わった後で、再び葬祭会館に戻る。
 そこで本葬儀から初七日の法要までを一気に行う。
 その時、母方の菩提寺から御住職、副住職とそのお弟子さんの3人が来た。
 弟子といっても修行僧ではなく、一応既に修行を終えている(大石寺で言う無任所僧と同じか?)。
 始まる時に手持ちの鈴だけでなく、シンバルのような物を叩いていたな。
 曹洞宗は中国から来たものだから、恐らくその頃の名残りなのだろう。
 読んだ経典は私が確認できたもので、般若心経と大悲心陀羅尼(『とらやーやー』と聞こえたので)、それに妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五である。
 但し、曹洞宗では『妙法蓮華経観世音菩薩普門品第二十五』とは読まず、『妙法蓮華経観世音菩薩普門品』と読んでいた。
 恐らく法華系宗派ではないため、第何品かは重要視していないからではないかと思った。
 後で御住職に聞くと、
「妙法蓮華経如来寿量品も経典として読んでいますが、葬儀に読むものではありません」
 とのこと。
 よくわからないが、まあ、読まれなくて良かった。
 つられて私も唱和してしまう恐れ大だ。

 で、御経以外に『授戒』の部分も聞いた。
 すると、
「今身より仏身に至るまで、仏・法・僧の三宝を保ち奉るべしと……」
 みたいな文言が聞こえた。
 あれ?御受誡の文言に似てるぞ?
 やっぱりそうだ。
 曹洞宗では故人に誡を授けるのだ。
 日蓮正宗では生きてる人間に誡を授けるけど。
 だから日蓮正宗では、
「保ち奉るや否や?」
 と聞くんだね。
 対して曹洞宗では死んだ人間が相手だから、当然聞かれても答えられない。
 だから、
「今から仏様の元で修行する為の誡を授けるから、それを保ち奉れ」
 とか言い切るのだろう。
 宗派が違うと、誡の授け方も全く違う。

 いや、たまには他宗の葬儀に出てみるもんだと思った。
 おかげで、違いを色々と勉強することができたよ。
 内道と外道の違いはそもそも比較対象にはならないから、それはいいけどね。
 祖母に与えられた戒名はそこそこ高いものらしい。
 らしいのだが、値引きしてくれたみたいw
 こればかりは創価学会や顕正会の主張に一票入れるよ。
「戒名はお寺の金儲けの為だけにあるものだから、本来そんなものは必要無い」
 ってね。
 因みに浄土真宗などは、もっと戒名代が安いらしい。
 歴史上、百姓などの庶民が檀家であった為だろう。

 で、日蓮正宗は?そういえば、聞いたことないな。

 明日は納骨を行う予定である。
 この時も日蓮正宗との違いを勉強させてもらおう。

 できれば、日蓮正宗での葬儀がどんな感じで行われるのか勉強させてもらいたいと思う。
コメント (6)
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