報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“アンドロイドマスター” 「平賀太一の華麗なる研究」

2014-10-26 15:35:40 | アンドロイドマスターシリーズ
[10月27日08:00.宮城県仙台市太白区 平賀家 平賀太一、平賀奈津子、七海]

「ええっ?敷島さん達、温泉旅行だって!?」
 朝起きてきた平賀太一は、奈津子から昨夜のアリス研究所のことについて聞かされ、驚いた。
「そうなのよ。KAITOが1発で当てたんですって」
「不正したんじゃないだろうなぁ……」
 平賀は呆れた様子で、椅子に座った。
「それにしても、お気楽なもんだ。こっちはロボット・テロ対策で忙しいというのに……」
「まあ、敷島さんは営業系だし、アリスは正直、あなたからマークされる側だからね」
「まあな。今後もアリス研究所は、監視対象にするさ。温泉旅行だって、何かしらの陰謀が……」
「敷島さんが一緒なら、考え過ぎだと思うけど……」
「太一様、奥様。まもなく保育園バスが来ますので、お嬢様方をお送りして参ります」
 七海がやってきた。
「ああ、私も行くわ。ちょっと行ってくる」
「ああ」
 1人残された太一。
 娘と息子の姉弟を送り出す光景を見ながら、太一は思った。
(敷島さんの不妊治療は進んでいるんだろうか……)

[同日09:00.仙台市泉区のぞみヶ丘 アリス研究所 敷島孝夫、アリス・シキシマ、MEIKO、KAITO]

「よし。仕事に行くぞ」
「はーい」
 大抵はセットで行動するMEIKOとKAITO。
 一部ファンからは、
「夫婦のようだ」
 とも言われる。
 が、今回は別行動だった。何故なら……。
「どこをどうすれば、こんな取り付け方できるの!」
 研究室からアリスの怒号が聞こえる。
 勝手にシンディのカスタムパーツを取り付けたKAITOから、それを取り外そうと悪戦苦闘しているようだ。
「いいの、プロデューサー?奥さん放っといて」
「俺に何ができる。俺はただ粛々と、お前達を売り込むのが仕事だ」
「カッコいい!」
 車に乗り込む。
「じゃあ、今日は先にグラビアの撮影からな」
「了解」
 敷島はそそくさと逃げるように、アリス研究所から出て行った。

[同日10:00.仙台市青葉区 東北大学工学部 平賀太一]

「……ロボットは使う人間次第です。人間がどのように使うかで、ロボット工学三原則を全く無視した殺人兵器まで作り上げることができます。しかしそれは、世界の人々が望むところではありません」
 平賀は学生の前で講義を行っていた。
「皆さんの中でも、特に研究棟において、あちこちの壁に補修した跡があるのに気づいた人もいるでしょう。正に、試行錯誤の連続でした。どの分野においてもそうですが、そういった思考錯誤の元に今のロボット工学があるわけです」
(あれ、ほとんど平賀先生んとこの七海さんが開けた穴じゃね?)
(教授室にも穴開けたらしいぞ?)
(先輩から聞いた話、昔なんて、先生が『ヨーカン(羊羹)切って』と命令したら、チェーンソー持って、『洋館切り』に行ったらしいからな)
 学生達はヒソヒソと噂話をしたという。

[同日11:00.仙台市宮城野区 写真スタジオ 敷島&MEIKO]

「はい、OKです!」
「ありがとうございました」
 もうそろそろ外も寒くなってきた頃であるにも関わらず、グラビアの撮影は水着である。
 特に今回はそれで外のプールに飛び込むシーンもあった。
 人間ならそろそろ寒中水泳の時期だが、ボーカロイドのMEIKOに取っては、何でも無いことだ。
 むしろ熱は大敵のロイドにとって、体の冷却は大事である。
 で、最後は公式通りの赤を基調とした衣装でもって撮影は終わる。
「MEIKO、ご苦労さん」
「いいえ。お役に立てて何より、ね」
「おっ?お前もそのセリフが言えるようになったか」
「ミクやエミリーが言っていたセリフをコピーしただけよ。でも、財団所属の皆、このセリフが登録されてるね。『人間に感謝されたら、このセリフを言うように』ってなってる」
「ネタバレしたら、ありがたみが無くなるぞ」
「そうね」
 控え室で次の現場に行く準備をする。
「今度は昼からのラジオ番組だ。急ごう」
「ええ」
 再び車に乗って、今度はラジオ局へ。
「ん?待てよ。財団所属ってことは……。シンディも言えるってことか。あのセリフ」
「まあ、そういうことになるね」
「エミリーは想像つくけど、あいつが『お役に立てて何よりです』っていうセリフ、何か想像つかないなぁ……」
「あら?付くわよ」
「そうか?」
「周りに硝煙立ち込める中、人間の死体の山が積み重なっていて、煙の出たマシンガンの銃口を傾けたシンディがそう言うところ……」
「そっちか!」
「だから平賀博士は、シンディの稼働に反対してるんでしょ?」
「アリスは絶対そんなことさせないって説明してるんだけど、暖簾に腕押しってヤツでなぁ……」
「まあ、アリス博士自体が、そもそもプロデューサーを襲ってきたわけだからね」
「まあな」
「そのアリス博士とプロデューサーが結婚するなんて、全然想像付かなかったわよ」
「そりゃそうだ。当の本人達だって、想定外だったんだから」
「え?」
「一時の勢いでヤっちまったのが、運の尽きだった……。【ぴー】なのに【ぴー】したから、諦めて責任取ったんだけど、まさか俺の種が【ぴー】だったとはな……」
「ちょっと、人間のことはよく分からないんだけど……」

[同日13:00.アリスの研究所 敷島、アリス、KAITO、シンディ]

「KAITO、迎えに来たぞ。午後からMEIKOと組んで、新曲発表と握手会だ」
 MEIKOがラジオのパーソナリティをやっている間、敷島が研究所に取って返して、KAITOを迎えに来た。
「はい、ただいま」
「修理終わったのか?」
 敷島はコーヒーを啜るアリスに言った。
「元に戻すの大変だったんだから。でもスケジュールに間に合ったわけでしょ?アタシって天才!」
「はいはい、どうも。じゃあ、早速連れて行くぞ」
「じゃあ、行ってきまーす」
 敷島とKAITOは慌ただしく出て行った。
「あの、ドクター。早く私に取り付けてください」
 研究室の中から、シンディが声を掛けて来る。
「スナイプの性能高めたら、却って理事会に疑われるわ。むしろ、スキャンの方を高めるパーツにするから」
「えーっ!」

[同日15:00.東北大学工学部電子工学科 平賀太一]

(学生達へのゼミ資料として、マリオかルイージを借りるっていう手もあるな)
 平賀はゼミ生達を前にそう思った。
 もっとも、バージョン・シリーズの構造については、全てが明らかになったわけではない。
 あれは完全にドクター・ウィリーのオリジナルで、技術力としては同レベルの十条でも、何となく分かる程度だという。
 そういった意味では、最新型のアレンジ版を作れたアリスに、自分は劣っていることを痛感させられる。
「先生、七海さんは来られないんですか?」
「今、七海は家で子守りをしてるよ。奥さんも大学講師だし、ずっと保育園に置いておくわけにはいかないから」
「バージョンアップしたんですね。昔は、よく先生の命令の意味を間違えて、壁に穴開けたりしてましたが……」
「確かにあの頃の七海に、うちのチビ達の世話は任せられなかったなぁ……。今は大丈夫」
 代わりにゼミ生への資料に使っているのは、財団仙台支部所属のメイドロボットで、ナンバリングが最後の番号であるジル。
「まあ、つまりその……。メイドロボットだからといって、やはり使い方は要注意ということだ。それも使い方を間違えると、思わぬトラブルが発生することがある。慣れないうちは、難しい命令をするのは控えた方がいいな。私も七海への実験中、彼女に殴り飛ばされたことがあった」
「マジですか!?」
「ハハハ……院生時代の話だよ」

 読み切り版(データ紛失)、“メイドロボット七海”でそのシーンを書いた記憶が……。
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顕正会員雑感

2014-10-26 00:16:24 | 日記
 ポテンヒットさんからレポートを頂戴した。
 氏は前々からチャリストであり、特にお変わりは無いようで何よりである。

 問題なのは、ネット界に蔓延っている顕正会員達。
 本堂さんが教えてくれたブログに、ストーカーの如く出入りし、そのコメント内容について何ら恥じることは無い厚顔無恥な連中。
 パラパラ茜氏もブログを更新しているが、その内容はどこかズレている。
 信仰の内容を書くことについては、何の問題も無い。
 しかし、逆縁者や怨嫉者に罰が出たことを喜ぶのはいかがなものか。
 とはいうものの、私とて凡夫。
 逆縁者や怨嫉者に罰の現証が出ると、ついついほくそ笑むのもまた人情。
 しかし、だ。それは心の内に留めるべきであって、嬉々として語るものではない。
(因みに『嬉しい』という字は、『女が喜ぶ』と書く)
 私だって何年も信仰していれば、逆縁者や怨嫉者に罰の現証が現れるのを見聞したり、実際に目の当たりにすることがある。
 その場合であっても、心中に留めるか、ここに書く場合であっても、事実のみか、せいぜいそれに対する考察を付け加えるだけで、あからさまな貶めはしない。

 厳虎独白の管理者も、ここ最近は何だかズレてきたような気がする。
 よもや御本人が現役会員だと思っていなかったことに驚いた。
 明確な脱会意思を伝えず、且つ浅井会長を「先生」と呼んでいて、「いや、私はもう辞めた人間だ」というのはちょっと筋が通らないのではなかろうか。
 私は明確に上長に脱会の意思を伝え、且つ御受誡後に改めて顕正会本部に宗門発行とはいえ、脱会届を簡易書留で送っている。
 で、当然、「浅井先生」から、「浅井会長」だ。
 と、同時に、それまで「早瀬管長」から、「日如上人猊下」と、御法主上人に対する呼び方も変えた。
 他のお坊さんに対しても、「○○御住職」とか、「○○御尊師」とかかな。
 役職名にも「御」を付けたり、最後に「様」を付けるようだが、不良信徒の私はそこまでしていない。
 顕正会員なら、呼び捨て。良くて、「○○住職」「○○師」か。
 私は一応、管長を下に付けて呼んでいたけど、多くの顕正会員は御陰尊猊下に対しても、またその前の猊下も呼び捨てだったね。
 日淳上人以前だよ。「上人」を付けて呼ぶのは。

 バーズさん本人は否定しているけど、一部の法華講員によれば、彼はとある法華講員と同一人物なんだとか。
 顕正会員の割には茜さんと比べて顕正会活動の話をしないばかりか、たまに宗門寄りの発言をするからだろうか。
 まあ、気持ちは分かる。
 私も多摩準急先生と同一視されたからな。
 私が勧誡してから会ったことのある人には、私と先生が一緒に写っている写真を見せて説明したけどね。
 だから私は、バーズさんはバーズさんという顕正会員だと思うことにしている。

 なぁに。もし一部法華講員さん達の見方が正しいと分かったなら、法華講員でありながら顕正会員のフリをした廉で、宗内から出ていってもらえばいいさ。
 そして、それを野放しにした所属支部(講頭)にも責任は取ってもらって……。
 “大日蓮”のページ数が少し増えることになるかもね。
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“アンドロイドマスター” 「のぞみヶ丘で望みが叶った」

2014-10-25 11:02:16 | アンドロイドマスターシリーズ
[10月26日18:00.宮城県仙台市泉区のぞみヶ丘 中央公園 KAITO]

 アリス研究所で唯一の成人男性ボーカロイド、KAITO。
 仕事が早めに終わったため、その足で地域の秋祭り会場である中央公園にやってきた。
 アリス研究所が祭りの余興に、初音ミクやエミリー、シンディを出していることで、自分も何かできないかという自発的なものだったが……。
「出番があるかどうか分からないから、その辺ウロウロしてきな」
 という敷島の反応の為、出店を回ることにした。
 とはいうものの、精密機械の塊であるボーカロイドに、たこ焼きや焼きそばが食できるわけがなく……。

〔「千本桜ぁ♪世に紛れ♪キミの声も♪届かないよ♪」〕

「そこのカッコいい兄ちゃん!くじ引きどうだい!?」
 ステージでミクが“千本桜”を独唱している中、くじ引きの屋台の店主に声を掛けられた。
「くじ引きですか。!」
 KAITOは収録に行っていたテレビ局で、今日のラッキーカラーがブルーであることを聞いたのを思い出した。
 今ステージに上がっているミクのシンボルカラーが緑(厳密にはエメラルドグリーン)なら、KAITOは、正に今日のラッキーカラーたるブルーである。
「じゃあ、是非」
「はいよ!1回100円ね!」

〔「さあ♪閃光弾を♪撃ち上げろー♪」〕

 持ち歌を歌い切るミク。
 観客は大盛り上がりだ。
 ステージ裏で様子を見ていた敷島は、出店の方でカランカランという金の音が聞こえたような気がした。

[同日18:15.同場所 エミリー、シンディ、KAITO]

「へい、いらっしゃい!射撃いかが!」
 シンディとエミリーが秋祭りにも関わらず浴衣姿で歩くと目立つ。
「射撃?」
 シンディが右腕の袖を捲って、右手をマシンガンに変形させた。
「いいけど、店ごと無くなるよ?」
「失礼・致します!」
 エミリーが、
「何言ってんだ、このバカ」
 といった感じで、双子の妹の左腕を掴んでズルズルと引きずって行った。
「冗談よ!相変わらずカタいわねぇ!」
「だいたい・私達が・やったら・景品全て・ゲットで・商売の・邪魔だろう?」
「いいじゃない。そういうものだから。何だかさ、何気にここの景品高いよ?」

〔「……信じたものは♪都合のいい妄想を♪繰り返し映し出す鏡♪……『深刻なエラーが発生しました』……」〕

「次は福引ね。あー、でも、今日のラッキーカラーはブルーだから、私達じゃね……。姉さんがピンクで、アタシがイエローだからね……」
「お前・ブルーの・浴衣着てる」
「浴衣の色で、ラッキーになるかなぁ……?あれ?でも、もう特賞は出ちゃったみたいね」
「ごめんねー、美人さん達。さっき、カッコいい青髪の兄ちゃんが当てちゃったんだよー。1等はまだ当たってないから、それ頑張ってよ」
 と、店主。
「ですって。じゃあ“ベタな残念賞の法則”で、ポケットティッシュだけ頂いて行きましょうか」
「……それなら・いいか」

[同日18:30.同場所 エミリー&シンディ、敷島孝夫]

 ミクが最後の歌を歌う。

〔「……歩き続けた意味を問う♪考え続けた時間(とき)を振り返る♪思考巡らせ予測する♪……それはやがて♪ボクらの道しるべとなる♪」〕

 ミクがそれでステージを盛り上げてる中、2人の鋼鉄姉妹はくじ引きで当てた20キロの米袋とエンジンオイルの入った一斗缶を軽々と抱え、再び射的の店の前を通った。
「あら?いつの間にか、1番上の1番小さい的……つまり、1番高い物が取られてるわね?」
 シンディがそれを見つけた。
「……青い髪の兄ちゃんが、まるでスナイパーのように1発で当てたんだ……」
 店主は茫然自失といった感じだった。
「ふーん……。だいたい想像つくけど」
 と、そこへ、敷島が走って来た。
「おーい、2人とも!ステージへ上がれ!アンコールに応えるぞ!」
「イエス、敷島さん」
「えー?私達、歌えないよ?」
「分かってる!エミリーはピアノ、シンディはフルートでいいから!」
「はいはい」

 東日本大震災復興支援ソング“花は咲く”だったり。
 元々この秋祭りも実は2011年から始まったもので、元々は春と夏にしか祭りをやっていなかった。
 春祭りは追悼のため中止、その分を秋に回したのが始まりだ。
 仙台市泉区は内陸部で高台の地域が多く、海からの津波の被害は無かったが、崖崩れなどは発生した。
 住宅地域も例外ではなく、エミリーは崩壊した道路の復旧作業に当たったという。
 因みにその時、敷島は仕事で東京にいた。

[同日20:00.アリスの研究所 敷島、アリス、鋼鉄姉妹、ボカロ・オールスターズ]

「エミリー、シンディ、ミク。今日はありがとう。おかげで、祭りは大盛況だったよ」
「お役に立てて何よりです」
「イエス」
 ミクは笑顔で答え、エミリーも微笑を浮かべて頷いた。
 だが、シンディは皮肉る顔をした。
「ま、ごくごく一部の所では盛り下がったみたいだけどね」
「何がだ?」
 敷島はシンディの態度に苦笑いが半分、呆れが半分だ。
「シンディ。私達が・景品を・当てたから・か?」
「あれはいいのよ。お米もエンジンオイルも、どうせ売れ残りの放出品だろうから」
 リンとレンはエンジンオイルの入った一斗缶を覗き込んでいた。
「お米屋さんで、何でエンジンオイル?」
「さあ……?」
「KAITOが温泉旅行と金一封当てたからだよね?」
 シンディはニヤッと笑った。
「なにっ!?」
 敷島の驚きの言葉に、リンが続けた。
「ぬねの!」
「白状しなさい!」
「あ、いやっ、その……!これはその……暇つぶしに……」
 KAITOは申し訳なさそうに、のし袋に入った温泉旅行券と金一封を差し出した。
「これは……お返しした方がよろしいですよね?」
「さすが、強欲の悪魔に取り憑かれたKAITOっとだよねー」
「金運抜群だね」
 リンとレンがからかう。
「それはミュージカルの役だよ!」
 KAITOは慌てて否定した。
「ノー!」
 アリスがパシッとKAITOが持っていた二通の熨斗袋を奪い取った。
「このアリス・シキシマ!1度もらったものは絶対に返さない主義よ!」
「今、強欲の悪魔に取り憑かれてんの、こいつだから……」
 敷島はボソッと双子ボーカロイドに言った。
「シャラップ!」
「あ、聞こえた?」
「タカオ!すぐにこれで、旅行の予約をしなさい!」
「マジで行くの!?これは金券ショップで、換金した方がお得……」
「お黙り!シンディに鞭で引っ叩かせるわよ!」
「どこに鞭があるんだよ!?」
 シュルッとシンディは自分のコスチュームの腰のベルトを外した。
 実はこれ、ベルトじゃなく……。
「そんなところに隠してたのか!」
「働きの悪い下級ロボットは、これで引っ叩いてやったものよ」
「財団でも・やってました」
 エミリーは妹の所業を恥ずかしそうに言った。
「どこの温泉だよ?まあ、所詮商店会のヤツだから、近場の秋保とか作並とか、その辺か……」
 敷島は熨斗袋の中身を開けた。
 すると、その中に入っていたものは……。
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“アンドロイドマスター” 「のぞみヶ丘秋祭り」

2014-10-24 20:09:17 | アンドロイドマスターシリーズ
[10月20日13:00.宮城県仙台市泉区のぞみヶ丘・公民館 敷島孝夫]

「いいですよ。今度の秋祭り、ライブ・イベントにうちの初音ミクを出させましょう」
 館内の会議室に集まるは、のぞみヶ丘商店会の役員達。
 メインイベントとして、アリス研究所のボーカロイドを出演させて欲しいというものだった。
 メジャー化しているボーカロイドに、一地域の秋祭りに参加させることができるのかと思った役員達だったが、敷島がスケジュールを調整することで合意した。
「ちょうどこの日の夕方、地元のラジオ局で、『東北秋祭りレポート』があるんですよ。それも、中継で。ここの秋祭りが取り上げられないか、ラジオ局に打診してみますね」
「おおっ!さすが敏腕プロデューサー!」
(あとはこれを機に、マルチタイプも……)

[同日15:00.同地区内 アリスの研究所 敷島孝夫&アリス・シキシマ]

「ええっ、エミリーとシンディを?」
「そうだ。彼女らを祭りのコンパニオンとして使う。これも旧ソ連の粛清ロボットだった頃への贖罪と、世間一般のイメージ払しょくの為だ」
「……と、言いつつ、アタシにはアンタが後ろ手で電卓叩いているようにしか見えないけど?」
「そ、そんなことはない!」
 そもそも日本では、エミリー達が旧ソ連時代に国内で反乱分子の粛清に当たっていたと言われてもピンと来ないのが現状だ。
 KGBの殺し屋とかだったら、映画とかにも出て来るので、何となく分かるが……その程度だろう。
 その出身者が大統領やってたりするものだから大変だ。
 いつ、エミリー達が政治に使われるか気が気でない。
「ボーカロイド達は完全に日本のオリジナルだから、いくら売れてもいいけど、マルチタイプは目立っちゃまずいんじゃないかしら」
「そうかなぁ?『日本国内限定で、平和的使用をする分には構わない』という条件があったぞ?」
「相手は政治家だから、どこまで守るか分からないわよ」
「まあ、そこは裏金で」
「ワイロは受け取った方だけじゃなく、送った方も逮捕の対象だからね」
「女子高生の援助交際は、持ち掛けられた男だけが逮捕されるのにねぇ……」
「What is Enjyo-kosai?」
「ウィキペディアで調べてみろ。とにかく、こういう地域の祭りに参加する分には問題無いだろうさ」

[10月26日16:00.のぞみヶ丘中央公園・野外ステージ 平賀奈津子]

 平賀奈津子は平賀太一の妻であり、れっきとした南里研究所の準研究員であった。
 鏡音リン・レンが製造された時、フィールド・ワークのみならず、プロデューサーとして地方巡業を率先して行っていたくらいである。
 結婚してからは第一線を退き、メイドロボットの七海に、設けた2児の子守りを頼みつつ、研究者としての仕事を地道に続けている。
 奈津子はマイクの調整がてら、公園内にいる地域住民に呼び掛けた。

〔「えー、のぞみヶ丘ニュータウンの皆さん、こんにちはー。私、アリス・ロボット研究所から参りましたロボット研究者です。今日は皆さんの為に、うちの看板ボーカロイド、初音ミクが一生懸命歌います。よろしくお願い致します!」〕

「さすが元プロデューサー、上手いな」
 敷島は公園の出入口で感心していた。
 研究者としてはまだ現役でも、プロデューサーとしては第一線を退いているという意味だ。
「お待たせー」
「おっ、来たか。……って!」
 祭りの為に着替えて来たアリス、エミリー、シンディ。
 何に着替えて来たのかというと、
「さささ、寒い……」
「バカか、お前!秋祭りに浴衣着てきて、何考えてんだ!?」
「だ、だって、日本のお祭りって皆これ着るんでしょ?」
「夏だけだよ!それ以外の季節に着れるか!……せいぜい、冬……正月とかに振袖着るくらいだよ。振袖ってのは、それよりもっと厚手で温かい着物のこと!」
 大ざっぱだが、ハズレてはいない。
「早く着替えてこい!風邪引くぞ!」
「私達は別に寒くないけど?」
「当たり前だ!……!」
 その時、敷島はピンと来るものがあった。
「待て!エミリーとシンディはそのままでいい!」

[同日17:00.同場所 敷島孝夫、平賀奈津子、アリス・シキシマ、初音ミク]

「ええっ、アリスってば浴衣着て来たんですか!?」
 そういう奈津子は、上下パンツスーツだ。
 子供を2人産んだ割には、あまり体型の崩れは無く、そのスーツも結婚前に着ていたものだという。
「そうなんです。とんだ日本に対する誤解だ」
 因みに奈津子の夫である太一は、仕事を理由にここには来ていない。
 マルチタイプの、それもシンディに関わることを避けてのことだろう。
 しばらくして、やっとアリスと初音ミクがやってきた。
 ミクはいつもの、公式通りのあの衣装だ。
 もっとも、会場に出入りする時は目立たぬように上にコートを羽織っている。
「たかおさん、充電はバッチリです」
 ミクはにっこり笑った。
「よーし。まずは前座として、エミリーとシンディを紹介する。そして、『マルチタイプ二重奏』を行う」
「大丈夫なんですか?」
「実験で安全だと確認された曲だけを使う。ちょうど実験に引っ掛かったものが多かった静かなクラシック曲は元々この祭りには合わないからね、アップテンポの盛り上がる物をやってもらうよ。そして最後は、その2人の生演奏と共にミクがライブの最後に相応しい持ち歌を披露する。それでいいな」
「はい、たかおさん!」
「イエス、敷島さん」
「了解、プロデューサー」

[同日18:00.同場所 敷島、奈津子、アリス、KAITO]

「お疲れ様です、プロデューサー」
 ひょっこりやってくるKAITO。
「あれ、どうしたんだ、お前?」
「今日は収録が思いの外、早く終わったので戻ってきちゃいました」
「何だ、そうか。んー……。バッテリー残量、あとどのくらいある?」
「54パーセントです」
「54パーか。微妙だな……」
「1曲くらいの飛び入りなら余裕ですよ、プロデューサー」
「考えておこう。実は彼女らのステージだけで、キツキツなんだ。本来は地元の人達のカラオケ大会だから。取りあえず、その辺でファンサービスでもしてきな。もしお前が出れるようだったら呼ぶ」
「分かりました。出店でも回ってます」
「ああ」
 出店はほんと、“ベタな縁日の法則”通りである。
 たこ焼きとか焼きそばとか綿あめの露店以外に、金魚すくいとか、射的やくじ引きもあった。
 無論ボーロカイドのKAITOは飲食系の露店は回れないので、それ以外の店を回っているところを敷島は確認した。
 あとはミク達のステージの方を気にしていたので、まさかイケメンボーカロイド・KAITOがやらかしてくれるとは……。
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冨士参詣虚構便

2014-10-24 19:23:52 | 日記
[浅井会長の長男が顕正会提訴]

「浅井会長の長男が顕正会提訴 『無断で名前使われた』」

 宗教法人顕正会の代表・浅井昭衛氏(83)の長男が、教団と幹部ら30人に対し、自らの氏名や写真の使用差し止めと計4千万円の損害賠償などを求める訴訟を24日、さいたま地裁に起こした。
 長男の代理人によると、長男は現在、会社員で教団との関わりはないという。
 訴状によると、顕正会は今年、長男の誕生日に関係する催しを長男に無断で開催。催しの中で長男の氏名を使用したという。写真についても、「様々な形で使われることが予想される」と主張。今後も氏名などが使われれば、「回復困難な不利益を受ける」としている。
(朝曰新聞) 2014年10月24日 18時38分

 元記事:http://news.goo.ne.jp/topstories/nation/400/2ae6cddd6cfc46510335102470e4ee2a.html

 “あっつぁの顕正会体験記”の一部リスナーさん達から大クレームを受けた、あの冨士参詣新聞を復活させてみました。
 もちろん、ウソ記事です。
 いや、しかし宗教絡みの記事はほんのちょっと手を加えただけで、上記のようになるものですな。

「自分のブログでやれや、コラ!」
 ということでしたので、お言葉通りに致しました。

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