報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“アンドロイドマスター” 「狂科学者の孫娘、温泉に行く」 3

2014-10-31 19:32:56 | アンドロイドマスターシリーズ
 ※よくよく考えたら、タイトルと作中の視点がマッチしていない。本来ならアリス視点で書く必要があるのに、敷島視点になってる。

[11月1日16:00.福島県福島市飯坂町 飯坂温泉のとあるホテル 敷島孝夫]

(まあ、アリスじゃないけど、たまにはこういうのもいいか)
 敷島は大浴場の露天風呂に浸かりながら、まったりとしていた。
 今頃女湯では、アリスがまったりしていることだろう。
 飯坂温泉は宮城県の鳴子温泉、秋保温泉と共に奥州三大名湯にカウントされている温泉である。
 その泉質は主に単純温泉ということもあってか、硫黄泉が特徴の鳴子温泉と違って硫黄の匂いはしないし、湯も濁っておらず、とてもよく澄んでいる。
 浴槽からは摺上川の流れがよく見える。
 川の上流にはダムがあり、福島市民の水がめの他、東北電力の水力発電所がある。
(それにしても平賀先生、エミリーをどうするつもりなんだろう?)

 大浴場から出ると、まだアリスは出ていないようだ。
 しょうがないので、暇つぶしに飯坂温泉について説明するディスプレイがあったので、それを見ることにした。
 この温泉の日本史初出は日本武尊の時代から。日本武尊の東征に遡ると言われ、ここの温泉で湯治したのが始まりとのこと。
 江戸時代には江戸からやってきた松尾芭蕉と弟子の河合曾良が宿泊したが、宿泊先が木賃宿だったこともあってか、あまり快適に過ごせなかったようである。
 “奥の細道”には、「山中温泉よりひでェぜ!ああっ!?」と、書かれていたそうだ。(←ていうか、山中は飯坂の後だろうが)
 松尾芭蕉達には悪印象だったが、後世の著名人には好印象だったようで、正岡子規や与謝野晶子は記念に得意の俳句を残している。
 近現代に入ると歓楽街として発展し、花柳界も存在した。
 バブルに入るとネオン街などが形成され、正に『大人の遊園地』と化していたらしい。
 昔ながらの木造旅館は取り壊され、鉄筋コンクリートの無機質なホテルや、片やバブリーな個性あふれるデザインのホテルが……。
「ああっ!?」
 その時、敷島は思わず声を上げてしまった。
 バブル時代に建てられ、今はすっかり廃業してしまったホテルの写真が展示してあったのだが、その中に豪華客船を模した派手なホテルがあった。
『㈱シークルーズ 穴原温泉ホテル“クイーン・エミリア”』
 と、書かれていた。
 穴原温泉とは飯坂温泉より上流にある温泉街で、奥飯坂とも呼ばれる。
 飯坂温泉と同一視されることもある。
 実際、飯坂温泉にあるこのホテルで紹介されているくらいだ。
(シンディを発見した秋田・青森県境のホテルも“シークルーズ”だったが、あれは経営母体の名前で、ホテルの名前ではなかったのか……)
 この“クイーン・エミリア”も廃ホテルになっているということは、そもそも経営母体自体が消滅している可能性はある。

[同日18:00.同場所・バイキングレストラン 敷島&アリス]

「畳の上で食べる食事も楽しみだったのに、バイキングなんてねぇ……」
「そうだったのか。悪い悪い。だけどまあ、料理は客の前で作る実演方式で、もちろん食い放題だってよ。お前向きだと思ったんだが……」
「まあ、それはありがたいね」
 御多聞に漏れず、テーブル一杯に持って来るアリス。
「Men-yoなシステムね」
「メンヨー?ああ、面妖か。難しい日本語知ってるな」
 敷島は苦笑して、自分は寿司バイキングから持ってきた寿司を口に運ぶ。
「ところでアリス、女湯の湯上り部分にもあったか?」
「何が?」
「この温泉全体を紹介するディスプレイ」
「うーん……。何かそんなのがあったような気がするけど、覚えてないね」
「そうか」
「それがどうしたの?」
「いや、20年くらい前に廃業になったホテルの写真とかあったんだが、その中にシークルーズがあった」
「ここにもホテル“シークルーズ”が?」
「ああ。シークルーズというのはホテルを経営していた会社の名前で、本当はいくつか経営しているホテルごとに名前があったらしい。飯坂温泉のもう少し上流に向かった先にあったらしくて、そのホテルの名前は“クイーン・エミリア”」
「聞いたことの無い女王様ね。でも、エミリアってエミリーのことよ」
「え?」
 敷島は目を丸くした。
「確か、スパニッシュ(スペイン語)だったと思う。アメリカでは多くの学校で、外国語としてスペイン語を習うのよ。多分、南部からのヒスパニックの為だと思うけどね。で、アタシも5年くらい習ったけど、スパニッシュは全然分かんないわ」
「それがどうして、エミリーはスペイン語でエミリアだって分かるんだ?」
「ハイスクールにスペインからの移民がいて、そのコの名前がエミリアだったのよ。それで、知ってるの」
「なるほどねぇ……。じゃあ、やっぱりうちのエミリーは、アメリカにスパイとして潜入工作させる目的もあったのか」
 旧ソ連で作られたにも関わらず、名前がロシア系ではなく英語圏の女性のものだから。
「エミリーは実際にアメリカに渡ることは無かったけどね」
「そのようだな」
 旧ソ連崩壊のドサクサに紛れ、そこから脱出した南里と十条により、日本に向かっている。
 その頃、シンディは既にアメリカ国内で破壊工作を続けていた。

[同日20:00.同場所・ゲームコーナー 敷島、アリス、シンディ]

 夕食後に平賀がエミリーを取りに来た。
 結局、エミリーをどこに連れて行くのかは教えてくれなかった。
 明日の朝、遅くとも敷島達がホテルをチェック・アウトする頃には返すからと。
 返すも何も、オーナーは平賀なのだが……。
 もう1度温泉に入った後、敷島達はゲームコーナー内にあるエアホッケーに興じていた。
「エミリーと2人で対戦したら、どっちが勝つ?」
「筐体が消し炭と化して、痛み分けになるかもね」
 シンディは片目を瞑って、敷島の質問に答えた。
「はは、そうか」
「どうする?部屋に戻ったら、お楽しみなんでしょう?アタシは電源落としてようか?」
「え?」
「電源は落とさなくていいから、“スリープ”でいなさい」
 アリスが言うと、
「了解しました」
 シンディは大きく頷いた。

 部屋に戻るまでの間、腕を組んで歩く2人。
 部屋に戻ると、既に布団が敷かれていた。
 シンディは自分の充電コードを引っ張って来ると、窓際の椅子に座って、そこでコードを繋いだ。
 そして、布団が敷かれてる部屋との間の障子を閉めた。
「じゃ、私は明日7時まで“スリープ”に入りますので、その前に緊急事態があれば“起こして”ください」
「分かったわ」
「何も無ければいいけど……」
 折しも、明日は天気が下り坂とのことである。
コメント (6)
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“アンドロイドマスター” 「狂科学者の孫娘、温泉に行く」 2

2014-10-31 15:20:05 | アンドロイドマスターシリーズ
[11月1日14:40.福島駅・福島交通飯坂線ホーム 敷島孝夫、アリス・シキシマ、エミリー、シンディ]

 
(福島駅・私鉄乗り場。ホーム先端付近から振り返って撮影。左が福島交通飯坂線、右が阿武隈急行線)

 JR電車は定刻通りに福島駅に着いた。
 ここまでは順調。
 私鉄ホームに移動すると、ちょうど阿武隈急行の電車が発車していった所だった。
 同じホームに2つの鉄道会社が並ぶのは、実はそんなに珍しいことではない。
 但し、大抵はJRが絡んでて実質そうなってることが多い。
 福島駅のように、JRは絡んでなくて2つの私鉄や第3セクターが並ぶのが珍しいということだ。

 自動化されてない改札口から入ろうとすると、駅員が改札鋏でキップを切る。
 アナログだが、どこか懐かしい光景だ。

 
(福島駅・私鉄ホーム改札口。このように、全く自動化されていない。大宮駅野田線ホームも、昔はこんな感じだったのだろうか)

 1面2線だが、福交と阿武急では乗り場が固定されている。
 因みに、番号(何番線とか)は無いもよう。

 電車が入線してきたのは発車の2分前。
 これで折り返すのだから、随分と慌ただしい。

 
(福島交通7000系。面影があるから分かるように、元は東急電鉄7000系の中古車を改造したものである)

 2両編成の電車に乗り込んだ。
 ワンマン運転はしておらず、運転士と黒い革製の鞄を下げた車掌が乗務している。

〔「ご乗車ありがとうございます。14時40分発、飯坂温泉行きです。終点、飯坂温泉には15時3分に到着致します。まもなく発車致します」〕

 
(車内全景。モケットなどは交換されているが、概ね東急時代の名残がまだある)

 電車は慌ただしさの中に、どこかのんびりとした雰囲気を残しながら、福島駅を発車した。
 東急池上線なども東横線や田園都市線と比べてのんびりしている所が見受けられるが、ここはそれ以上だ。

〔ご乗車ありがとうございます。この電車は、飯坂温泉行きです。終点の飯坂温泉まで、各駅に止まります。……次は曽根田、曽根田でございます。……〕

 電車は1番東側の線路を走る。
 阿武急行線とは、早々にお別れする。
 乗客は敷島達のような観光客よりも、地元民の方が多いくらいだ。
 土曜日ではあるが、学生達の姿が多く見られた。
 ここではシンディやエミリーも、ドアの横に立っていた。
(全く。平賀先生は何を考えておられる?)
 敷島は手持ちのケータイの画面を見ながら首を傾げた。
 平賀からのメールで、今夜、ホテルまでエミリーを取りに行くから充電だけよろしくお願いしますということだった。

[同日15:03.福島交通・飯坂温泉駅 上記メンバー]

 
(リニューアルされた新駅舎。温泉街の入口の雰囲気を醸し出している)

〔「ご乗車ありがとうございました。飯坂温泉、飯坂温泉、終点です。……」〕

 車内自動放送が言い終わらないうちに次の駅に着いてしまう駅間距離の短さに苦笑を隠しながらも、敷島達は無事に飯坂温泉に着くことができた。
「タカオ、ここからどう行くの?」
「ホテルの車が迎えに来てくれるってさ」
 これまた自動化されていない改札口で、駅員にキップを渡す。

「敷島です」
 駅前に止まっていたワンボックスカーの前で待っている男性スタッフに言うと、
「お待ちしておりました。どうぞ」
 と、車の中に案内した。
「お荷物はこちらへどうぞ」
「ありがとう・ございます」
「エミリー、そーっと置けよ!そーっと!」
 エミリーはアリスが持ち出した兵器の入っているキャリーバッグをハッチから載せた。
「大丈夫よ。安全装置が付いている間は、デコイも爆発しないから」
 と、アリス。
「バカ!声がデカい!」
「えー、では出発します」
 運転役のホテルスタッフは、車を走らせた。
「ここからホテルまで、どのくらい?」
「およそ5分ほどです」
 アリスの流暢な日本語の質問に、スタッフがにこやかに答えた。
「駅から車で5分なら近いもんよ」
 隣に座る敷島が片目を瞑った。
(やけに走りが重いな。このお客様のお荷物、そんなに重いのかな?)
 スタッフは首を傾げながらディーゼル・エンジンを吹かした。
 まあ、バッグもそれなりの重量なのだろうが、1番重いのは後ろに乗っているマルチタイプ2機だろう。
 1機の自重は約200キロ。つまり、合わせて400キロである。
 平賀は何とか軽量化を図りたいとしているが、全て理解しきれない設計図で、ヘタにイジくると修復不可能になるばかりか、自爆装置を起動させる恐れがあるということで、財団(特に十条)から制止されている。
 七海などのメイドロボットは、平賀の心血のおかげで、マルチタイプの約半分まで軽量化に成功し、ボーカロイドに至っては人間の体重くらいまで軽量化に成功している。

 温泉街を走り抜けること、約5分。
「まもなくですよ」
 スタッフの声にフロントガラス越しに前方を見ると、大型のホテルがその姿を現した。
(本当は高いホテルなんだろうに、田村の婆さん、やりやがるなー)
 敷島は心の中でそう言った。
 宿泊券の入っていた封筒を見ると、『協賛 スーパーたむら屋』とあったので、恐らく田村会長の知り合いか何かが件のホテルに関わっているのだろうと思われる。
 こうして敷島達は、無事にホテルの宿泊客となることができたのである。
コメント (2)
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小説の途中ですが、ここで普通の冨士参詣深夜便をお送りします。

2014-10-31 02:22:40 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
結婚相手に求める最低年収、女性6割が「500万円未満」と回答(マイナビニュース) - goo ニュース

 ヤフコメの皆さんの意見を聞きたいところだが、まあ、だいたいその内容が想像できる私もヤフコメ人なのか。
 もっとも、ここはgooであって、ヤフーではない。
 私の年収も500万円以下なのだが、その壁をまず一生越えることはないだろうというのが自己分析だ。
 何しろ、ようやく参考記事内の円グラフの中に、やっとこさ入るくらいの額であり、そこだけ見ればその数字は【お察しください】。
 しかし、顕正会の中でも低収入の者はかなり多いんだ、これが。
 年収300万円台の私が、高給取り扱いされる組織って何なんだよ。
 ……しかし、法華講も負けてはいない。
 顕正会が共産主義だとしたら、法華講は資本主義だ。こちら側の経済格差は凄い。
 顕正会が、
「皆一緒に幸せになりましょう」
 なのに対し、法華講は随分と小難しいことを言う。
 今生において格差が出るのもしょうがないという感じだ。
 ただ、私は法華講側の言い分を支持する。だから、何とか今も法華講にいる。
 顕正会の甘言に惑わされてはいけない。
 第2次大戦後、帰国事業で地上の楽園に渡った日本人がその後どうなったか明らかになっている。それと同じ。

 冒頭の記事と話が逸れてしまったが、向上心の高いケンショー女子はもちろん、法華講女子にアンケートを取らせてみたら、物凄い結果が出るのではないかと思う。
 か、もしくは表向きには検挙な数字になるかもしれない。

 年収が低いんだから御供養も最低額しか出さないのが私の主義。
 それでも実は、顕正会より法華講の方が金使ってる。
 経済的な不安は顕正会時代より、今の法華講の方が増大しているくらいだ。
 まあ、日本の低所得者層全体がそうなのだから、一概にそのせいだとは言えない。
 富裕層が宗内の経済を支えているわけだが、実際に御受誡してくるのは貧困層が多く、その中でどれだけ多く新願者が富裕層になって宗内の経済を支えて行くのかは未知数である。
 まず、私は無い。
 自分1人の食い扶持だけで精一杯なので。

 あまり明るい未来とは言えないね。
 肩肘張らず、テキトーにやって行こう。

 結婚は無理としても、それだけで成仏できないという冷たい教義ではない……はずだ。
コメント (3)
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