[5月14日10時00分 天候:晴 東京都八王子市旭町 京王プラザホテル八王子]
時間ピッタリに、善場係長はホテルにやってきた。
善場「あら?皆さん、ロビーでお待ちでしたか」
愛原「レイチェルが、部屋で待つよりは、こういう人のいる所で待っていた方が良いということでしたので」
善場係長は日曜日だというのに、スーツ姿であった。
愛原「レイチェル、それはHQの指示ですか?」
レイチェル「いいえ。私の判断です」
善場「そうですか……。日本は平和な所ですね」
愛原「は?」
善場「何でもありません。それより、部屋に向かいましょうか」
愛原「はい」
私達はエレベーターホールに向かい、そこからエレベーターに乗って客室に向かった。
愛原「あ、ちょっと待ってください」
リサ達の部屋に行く前に、私は自分の部屋に入り、そこの冷蔵庫で冷やしていたお茶を持って来た。
愛原「お待たせしました」
それからリサ達の部屋に入る。
愛原「こちらのソファでいいですか?」
善場「はい、ありがとうございます」
私は部屋から持って来たお茶を善場係長に差し出した。
使っていないグラスもそこに置く。
善場「お構いなく」
善場係長は1人用の椅子に座り、私とリサは丸テーブルを挟んで向かいのソファに座った。
レイチェルは窓のカーテンを閉める。
レイチェル「今はサーモグラフィで位置を特定できるのですが、念の為です」
善場「さすがBSAAは、その辺りの教育もしっかりしてますね」
もちろんドアには鍵を掛け、ドアチェーンもしている。
善場「それでは明日の事を話す前に、今日の注意事項からお話し申し上げます」
善場係長の言は、予想通りの物だった。
ホテルから出ないようにという注意事項だったが、部屋からもなるべく出ないのが望ましいという。
愛原「私はいいですが、このコ達が大変そうですね」
善場「それを承知で付いて来たのでしょう?」
リサ「まあね。今日は部屋でテスト勉強でもしてるよ」
レイチェル「来週には、中間テストです」
愛原「その鞄には、それが入っていたというわけか。通りでね……」
リサ「そうだよ。ま、今日我慢すれば、明日は体育があるし。そこで思いっ切り体を動かすよ」
愛原「……まあ、程々にな」
善場「今日の話はこれで終わりにするとしまして、明日以降の話をさせて頂きます。これは内密にして頂きたいのですが、高橋容疑者に関しては、明日、逮捕状が出る予定です。既に緊急逮捕という形を取っていますが、容疑者コロナ陽性につき、今は中野区の警察病院にて入院中です。もちろん、数名の警察官が24時間体制で見張っております」
愛原「まだ私の頭をいじくったという証拠も出ていないのに、よく逮捕状が取れますね?」
善場「他にも容疑があるようですよ。いわゆる、別件逮捕というヤツですね。バイオテロの場合、本人が直接関与していなくても、その組織に所属しているというだけで拘束して良いことになっていますから」
愛原「まあ、テロ組織は存在だけで悪ですからね。ましてや、そのメンバーとあらば……。まさか、高橋が……」
善場「その真相についても、まもなく分かると思いますよ。バイオハザード・リベレーションズです」
愛原「ヴェルトロですか……」
善場「ヴェルトロの残党の件は偽情報で、実際はコネクションですね」
レイチェル「コネクション……」
愛原「コネクション?コネクションとは?」
善場「今現在、BSAAが最も警戒しているバイオテロ組織です。あのエブリンを造り出した組織ですよ」
愛原「ええっ!?」
リサ「そこだったんだ!」
善場「ルーマニアの菌根からエブリンの材料を受け取り、それで造り出したと言われています」
愛原「高橋はそこのメンバーだと?」
善場「それはまだ不明ですが、何らかの繫がりはあるとの疑いがあります」
愛原「それはどうして、そのような疑いが出たのでしょう?」
善場「1つは霧生市内ですね」
愛原「霧生市!?」
善場「どうしました?」
愛原「あ、いえ……。霧生市がどうかしたんですか?あそこはまだ、安全宣言が出ていないんですよね?」
善場「そうです。ですが以前、1度そこを探索したことがありましたよね?」
愛原「ええ。そこでリサ以外の日本版リサ・トレヴァー達を倒しましたが……」
善場「そこで私はある物を発見しました。今ここではお見せできませんが、高橋助手が旧UBCSのメンバーだったという証拠です」
愛原「UBCS?」
レイチェル「……Umbrella Bio Hazard Countermeasure Service.」
善場「その通りです。さすが、レイチェルですね」
愛原「何でしたっけ、それ?」
善場「記録では、愛原所長も霧生市のバイオハザードに巻き込まれた時、一時期共に行動されていますよ?」
愛原「ええっ!?」
善場「記録によりますと、霧生市郊外山中にある仏教寺院、大山寺にて、UBCSの隊員と行動したとありますが?」
愛原「えーと……あっ!あったあった!結局は死んでしまったけど……。抗ウィルス剤の存在とか、彼のおかげで知ったんだ!」
リサ「お兄ちゃんはその仲間だったってこと!?」
善場「あくまでも、まだその『疑い』です」
愛原「仲間だったにしては、あんまり高橋、そのUBCS隊員を知ってるようではなかったけど……」
善場「顔見知りではなかったのでしょうね。所長も昔は大手の警備会社にお勤めだったそうですが、都内以外の事業所の社員の方を御存知ですか?」
愛原「いや、あまり知りませんな。……ああ、まあ、そういうことですか」
善場「はい。UBCSは非合法組織です。“青いアンブレラ”と同様に。高橋容疑者、やたら銃の扱いが上手いと思いませんでしたか?」
愛原「確かに……」
リサ「お兄ちゃん、しばらく帰って来れない?」
善場「そうですね。もう何年も……」
リサ「また、お別れか……」
リサは寂しそうに呟いた。
善場「新たな出会いもありますよ。レイチェルがそうでしょう?」
リサ「でも、レイチェルも今年度までだけだし……」
善場「大学に進学すれば、リサのことですから、友達もできると思いますよ」
愛原「忘れがちですけど、斉藤早苗のことはどうなりました?」
善場「鋭意捜索中です。沖縄の、それも本島から出た形跡が無いので、専らそこを捜索中です」
愛原「そうですか……」
善場「リサ達は明日、どうされますか?」
愛原「あ、はい。JR八王子駅から出る特急に乗せて通学させる予定です。リサ達には、もうキップを買ってあります」
善場「かしこまりました。それでは、ここまでの経費を精算しましょう。領収証はありますか?」
愛原「あ、はい。全て取ってあります」
善場「それでは、こちらの書類に記入をお願いします。その間、私はリサ達と話をしていますので」
愛原「分かりました」
私はレイチェルが座っていたライティングデスクの椅子を譲ってもらい、代わりに私が座っていたソファに座ってもらった。
善場係長が2人に話していた内容は、何だか私に関する話よりも重要そうに聞こえた。
時間ピッタリに、善場係長はホテルにやってきた。
善場「あら?皆さん、ロビーでお待ちでしたか」
愛原「レイチェルが、部屋で待つよりは、こういう人のいる所で待っていた方が良いということでしたので」
善場係長は日曜日だというのに、スーツ姿であった。
愛原「レイチェル、それはHQの指示ですか?」
レイチェル「いいえ。私の判断です」
善場「そうですか……。日本は平和な所ですね」
愛原「は?」
善場「何でもありません。それより、部屋に向かいましょうか」
愛原「はい」
私達はエレベーターホールに向かい、そこからエレベーターに乗って客室に向かった。
愛原「あ、ちょっと待ってください」
リサ達の部屋に行く前に、私は自分の部屋に入り、そこの冷蔵庫で冷やしていたお茶を持って来た。
愛原「お待たせしました」
それからリサ達の部屋に入る。
愛原「こちらのソファでいいですか?」
善場「はい、ありがとうございます」
私は部屋から持って来たお茶を善場係長に差し出した。
使っていないグラスもそこに置く。
善場「お構いなく」
善場係長は1人用の椅子に座り、私とリサは丸テーブルを挟んで向かいのソファに座った。
レイチェルは窓のカーテンを閉める。
レイチェル「今はサーモグラフィで位置を特定できるのですが、念の為です」
善場「さすがBSAAは、その辺りの教育もしっかりしてますね」
もちろんドアには鍵を掛け、ドアチェーンもしている。
善場「それでは明日の事を話す前に、今日の注意事項からお話し申し上げます」
善場係長の言は、予想通りの物だった。
ホテルから出ないようにという注意事項だったが、部屋からもなるべく出ないのが望ましいという。
愛原「私はいいですが、このコ達が大変そうですね」
善場「それを承知で付いて来たのでしょう?」
リサ「まあね。今日は部屋でテスト勉強でもしてるよ」
レイチェル「来週には、中間テストです」
愛原「その鞄には、それが入っていたというわけか。通りでね……」
リサ「そうだよ。ま、今日我慢すれば、明日は体育があるし。そこで思いっ切り体を動かすよ」
愛原「……まあ、程々にな」
善場「今日の話はこれで終わりにするとしまして、明日以降の話をさせて頂きます。これは内密にして頂きたいのですが、高橋容疑者に関しては、明日、逮捕状が出る予定です。既に緊急逮捕という形を取っていますが、容疑者コロナ陽性につき、今は中野区の警察病院にて入院中です。もちろん、数名の警察官が24時間体制で見張っております」
愛原「まだ私の頭をいじくったという証拠も出ていないのに、よく逮捕状が取れますね?」
善場「他にも容疑があるようですよ。いわゆる、別件逮捕というヤツですね。バイオテロの場合、本人が直接関与していなくても、その組織に所属しているというだけで拘束して良いことになっていますから」
愛原「まあ、テロ組織は存在だけで悪ですからね。ましてや、そのメンバーとあらば……。まさか、高橋が……」
善場「その真相についても、まもなく分かると思いますよ。バイオハザード・リベレーションズです」
愛原「ヴェルトロですか……」
善場「ヴェルトロの残党の件は偽情報で、実際はコネクションですね」
レイチェル「コネクション……」
愛原「コネクション?コネクションとは?」
善場「今現在、BSAAが最も警戒しているバイオテロ組織です。あのエブリンを造り出した組織ですよ」
愛原「ええっ!?」
リサ「そこだったんだ!」
善場「ルーマニアの菌根からエブリンの材料を受け取り、それで造り出したと言われています」
愛原「高橋はそこのメンバーだと?」
善場「それはまだ不明ですが、何らかの繫がりはあるとの疑いがあります」
愛原「それはどうして、そのような疑いが出たのでしょう?」
善場「1つは霧生市内ですね」
愛原「霧生市!?」
善場「どうしました?」
愛原「あ、いえ……。霧生市がどうかしたんですか?あそこはまだ、安全宣言が出ていないんですよね?」
善場「そうです。ですが以前、1度そこを探索したことがありましたよね?」
愛原「ええ。そこでリサ以外の日本版リサ・トレヴァー達を倒しましたが……」
善場「そこで私はある物を発見しました。今ここではお見せできませんが、高橋助手が旧UBCSのメンバーだったという証拠です」
愛原「UBCS?」
レイチェル「……Umbrella Bio Hazard Countermeasure Service.」
善場「その通りです。さすが、レイチェルですね」
愛原「何でしたっけ、それ?」
善場「記録では、愛原所長も霧生市のバイオハザードに巻き込まれた時、一時期共に行動されていますよ?」
愛原「ええっ!?」
善場「記録によりますと、霧生市郊外山中にある仏教寺院、大山寺にて、UBCSの隊員と行動したとありますが?」
愛原「えーと……あっ!あったあった!結局は死んでしまったけど……。抗ウィルス剤の存在とか、彼のおかげで知ったんだ!」
リサ「お兄ちゃんはその仲間だったってこと!?」
善場「あくまでも、まだその『疑い』です」
愛原「仲間だったにしては、あんまり高橋、そのUBCS隊員を知ってるようではなかったけど……」
善場「顔見知りではなかったのでしょうね。所長も昔は大手の警備会社にお勤めだったそうですが、都内以外の事業所の社員の方を御存知ですか?」
愛原「いや、あまり知りませんな。……ああ、まあ、そういうことですか」
善場「はい。UBCSは非合法組織です。“青いアンブレラ”と同様に。高橋容疑者、やたら銃の扱いが上手いと思いませんでしたか?」
愛原「確かに……」
リサ「お兄ちゃん、しばらく帰って来れない?」
善場「そうですね。もう何年も……」
リサ「また、お別れか……」
リサは寂しそうに呟いた。
善場「新たな出会いもありますよ。レイチェルがそうでしょう?」
リサ「でも、レイチェルも今年度までだけだし……」
善場「大学に進学すれば、リサのことですから、友達もできると思いますよ」
愛原「忘れがちですけど、斉藤早苗のことはどうなりました?」
善場「鋭意捜索中です。沖縄の、それも本島から出た形跡が無いので、専らそこを捜索中です」
愛原「そうですか……」
善場「リサ達は明日、どうされますか?」
愛原「あ、はい。JR八王子駅から出る特急に乗せて通学させる予定です。リサ達には、もうキップを買ってあります」
善場「かしこまりました。それでは、ここまでの経費を精算しましょう。領収証はありますか?」
愛原「あ、はい。全て取ってあります」
善場「それでは、こちらの書類に記入をお願いします。その間、私はリサ達と話をしていますので」
愛原「分かりました」
私はレイチェルが座っていたライティングデスクの椅子を譲ってもらい、代わりに私が座っていたソファに座ってもらった。
善場係長が2人に話していた内容は、何だか私に関する話よりも重要そうに聞こえた。
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