報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“ユタと愉快な仲間たち” 「魔道師達と合流」

2014-10-04 19:37:30 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[9月20日17:10.日蓮正宗大石寺・六壺(むつぼ) 稲生ユウタ]

「……本日の御参詣、真に御苦労様でした」
「ありがとうございました」
 六壺の夕勤行では塔婆供養も行われる。
 ここではユタも、顕正会時代に死んだ初恋の相手に塔婆供養をしている。
 で、勤行が終わると導師の僧侶が信徒達の前に出てきて挨拶するわけである。
 顕正会でも会館における勤行で、朝は導師が『おはようございます』、夕は『こんばんは』と挨拶する。
 顕正会しか知らない者は勤行の後で何故挨拶するのか不思議に思うだろうが、実はこれ、宗門で行われているからである。
 顕正会も元を正せば法華講。
 勝手に勤行を一座にしてしまったが、会館での勤行で、まだ法華講時代の名残が垣間見えるわけである。
 もっとも、唱題の時に太鼓は叩かないわ(代わりにメトロノームを流す。会館によっては、それすら流さない)、日曜勤行で諸天供養はしないわ、読経のスピードが遅過ぎるわ(作者の寺院の御受誡・勧誡並み。イエローも。グリーンにやらせると、それより遅い)で、ほとんどオリジナリティ高得点なのだが。
「兄ちゃん、若いのに感心やなぁ……」
 ユタが席を立とうとすると、近くにいた年配の女性信徒がユタに話し掛けて来た。
「え?あ、いや。これも罪障消滅の為です。所化さん達に比べたら、とてもとても……」
「どこから来たん?」
「東京第三布教区の正証寺です」
 ユタは退出する所化僧(修行僧)達を見ながら答えた。
「ところで、【東京第一布教区】の鼓笛隊で“千本桜”演奏したのって本当ですか?」
「知らんがな!」
 何故か作者の所の寺院が疑われてるが、そんなの知らんよ。

(※あくまで、フィクションです。まだ、東京に第三布教区はありません)

[同日17:15.大石寺裏門→第二ターミナル ユタ&威吹]

「お疲れ、ユタ」
 裏門の前で威吹が待っていた。
「お待たせ。じゃ、マリアさん達と合流しようか」
 2人して進む。
「威吹がさっきいた所、妖狐の匂いがしたんだけど、他にいた?」
「お、鋭いな。御開扉とやらが終わった後、“獲物”と合流して帰って行ったよ」
「へえ」
 玉江の“獲物”氏は六壺の勤行には参加しなかったようだ。
「そういえば、フェイスブックで見たことがあるような気がする」
「意外といるみたいだな。ここの信者で、妖狐やら鬼族やらの“獲物”になってる人間」
「ついに藤谷班長という牙城ですら、切り崩されたからねぇ……」
「『法華行者を食うのに牙刃爪は使うな』」
「え?」
「ボク達の間に伝わる格言さ。つまり、法華経を経典とする信者を食おうとする時、ヘタに攻撃はするなということだよ。もっとも、ボクは法華だけでなく、霊力の強い者全般がそうだと思ってる。だから初めてキミと会った時、キミはまだ法華経の信者ではなかったけれども、ボクはキミを攻撃しなかったよ」
「大正解」
 威吹は頭がいいのだろう。というか、『妖狐は狡賢いからよ』と、キノが言っていたのを思い出す。

[同日17:40.富士宮市・富士見ヶ丘 ガスト富士宮バイパス店 ユタ、威吹、イリーナ、マリア]

 イリーナとマリアが店舗の外で待っていると、1台のタクシーが駐車場に入ってきた。
「お、来たよ」
「はい」
 それは店舗の前に止まる。
「マリアさん!イリーナさん!こんにちは!」
 タクシーから降りて来たユタは、嬉々とした様子で2人の魔道師達に駆け寄って来た。
「はいはい、こんにちはー」
 マリアの手には、杖が握られていた。
 それは老人やケガ人が使うものとは違い、装飾が施された錫杖とも言える杖だった。
「それが新しい杖ですか」
「そうだ。……変かな?」
「いえいえ。魔道師らしくていいと思いますよ」
(フツーな答えだね)
 ユタの回答に、イリーナはそう思った。
「それより、早く夕餉を」
 威吹が3人を促した。
「そうですね。帰りのバスの時間まで、まだ少しありますし……」

[同日18:00.同場所・店内 ユタ、威吹、イリーナ、マリア]

「もう少し、ステッキは短いものだと思ってました」
 ユタは運ばれて来たハンバーグを口にしながら言った。
「そうかい?……ホウキに跨った魔法使いが、もう少し短い杖を使っているからかい?」
 イリーナはパスタを口に運びながら答える。
「ま、しょうがないね。ホウキに跨るタイプは、ホウキの操縦で片手を塞がれてるからね。さすがに、両手持ちのこっちの杖は持てないんだよー」
「そうなんですか」
 本来はエレーナがイメージされるはずなのだが、何故かユタは“魔法使いサリー”の方を思い浮かべた。
「長物だが、バスの中に持ち込めるのか?」
 威吹はヒレカツを口に運びながら言った。
「もちろん。ただの杖じゃないんだから」
 イリーナは片目を瞑った。
(柄の部分が折り畳みにでもなってるのかな?)
 ユタは鬼族の魔鬼が、折り畳み式の薙刀を持っていたのを思い出した。
 この4兄弟、それぞれの得物が違う。
 キノが威吹と同じ日本刀なのに対し、長姉の美鬼は仕込み刀、妖術に長けた次兄の鬼郎丸は鉄扇とのこと。
 鬼族はそのガタイの良さから素手による肉弾戦、下級の獄卒は金棒なことから、如何にキノの実家が特権階級なのかが分かる。

[同日18:30.富士宮市ひばりヶ丘・富士急静岡バス富士宮営業所 ユタ、威吹、イリーナ、マリア]

 杖は柄が短くなる……というより、杖自体が小さくなるというものだった。
 どのくらい小さくなるのかというと、ペンダントのように首からぶら下げられるくらい。
 そこは素人考えを凌ぐものである。

 
(ユタ達が乗った“やきそばエクスプレス”18号。上り最終便もJRバス関東が担当する)

 ガストとは国道を挟んだ反対側のバス営業所に行くと、既に上りの最終バスは建物横の敷地に駐車していた。
「席割は8月の時と同じでいいですね」
「もちろん」
「反対は……できんな」
 イリーナはにっこり笑って頷き、威吹は複雑な顔をして頷いた。
 乗車券を手に、バスに乗り込む。
 運転手が乗客名簿片手に、改札を始める。
「稲生様、1Bですね。どうぞ」
 この時点では、まだ乗客は疎らだった。
 自作した人形に魔法を掛け、それを配下とする“人形使い”マリア。
 ワイド化された座席にちょこんと座るその姿も、まるで人形のようだ。

 真夏ならまだ明るい時間でも、9月も下旬に差し掛かるとさすがに暗くなってくる。
 バスは定刻通りにドアを閉め、HIDの青白いヘッドライトを点灯させて営業所を出発した。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。本日もJRバスをご利用頂きまして、ありがとうございます。このバスは東名江田、東名向ヶ丘経由、東京駅行きです。……〕

「ユウタ君はまた私の家に来てくれるの?」
 マリアはユタの方を見て言った。
「はい。そのつもりです。いいでしょうか?」
「もちろん。ただ、また引っ越すことになりそうだ」
「えっ、そうなんですか?」
「今いる場所も別に危険は無いんだけど、念の為ということで北部に移ることになる。前、来てくれた白馬の辺りだ」
「ああ、あそこですか。また、“ムーンライト信州”でお邪魔させて頂きましょうかね」
「構わない。迎えは寄越すから」
「迎え?」
「新しい杖のおかげで、また色々な魔法が使えそうだ。人形以外の下僕(しもべ)なんかも作り出してね」
「へえ……。それは凄いですね。でも、何でまた引っ越しを?またポーリン師とか、あの辺絡みなんですか?」
「そうじゃない。師匠の予知で、少し危険なことが起こりそうなんだ。私の今の屋敷は安全なんだけど、一応ってことでね」
「ふーん……?」

 その1週間後、それは明らかになる。
コメント (7)
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“ユタと愉快な仲間たち” 「ユタの添書登山」 3

2014-10-04 15:51:18 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[9月20日09:34.JR新富士駅 稲生ユウタ&威吹邪甲]

〔♪♪♪♪。まもなく、新富士です。新富士を出ますと、次は静岡に止まります〕
〔「停車の際、ポイント通過の為、電車が揺れる場合がございます。お立ちのお客様は、お近くの手すりにお掴まりください。新富士駅で5分ほど停車致します」〕

「今日は富士山がよく見えるな。やっぱ、こうじゃないとねー」
 ユタは席を立ちながら言った。
「そうだな」
 威吹は大きく同調した。
 彼が封印前から変わらないものの1つが、富士山の姿である。

〔新富士、新富士です。ご乗車、ありがとうございました。……〕

 ホームに降りて、階段に向かうとすぐに通過列車が轟音を立てて通過線を疾走していった。
 在来線もそうだが、新幹線ほど秒単位で動いている交通機関は無いということだ。
「見てよ、威吹。大石寺の広告」
「む?」
「広告が増えたんだって」
「それはそれは……。あえて参拝者に目立つ三門や本堂(※)の絵を使わぬところ、其の絵心とは?」
 ※客殿か奉安堂をイメージしたらしい。
「御影堂の落慶は大石寺の歴史的にも大きいものだから、あえて御影堂の絵を使ったんだったと思うよ」
 正解を知りたければ、宗務院に問い合わせすべし。
「ふむ……」

[同日09:50.JR新富士駅北口バスプール→富士急静岡バス臨時特急、大石寺行き車内 ユタ&威吹]

 
(大石寺行きバスは全ての車種共通運用だが、今回ユタ達が乗ったのがこれ)

 普段は中乗り・前降り、後払い方式のバスだが、大石寺行きは前乗り・中降り、前払い方式である。
 一般路線バスで来た場合、Suicaなどの鉄道系ICカードで運賃を支払おうとすると、ちょっと変わった現象が起きる。
 運転手によってまちまちだが、ユタが乗ったバスの場合、運転手が運転席横の運賃箱の機器を何やら操作していた。
「ニコニコ現金払いの方が良いのではないか?」
 威吹が苦笑いしてユタに言った。
「いや、せっかくSuicaメインで使えるバス会社の西端な以上、ここはSuicaだ!」
「さ、さようで……ござる」
 営業地域的にICカードを使う乗客はむしろToica(JR東海系)を使いそうなものだ。
 多分それも使える。
 適当な2人席に座る。

〔「お待たせ致しました。9時50分発、大石寺行き、発車致します」〕

 バスは新富士駅を発車した。
「もうマリアさん達、富士宮市内にいるみたいだ」
「夕方に待ち合わせのはずだぞ」
「早めに杖を手に入れたいのかもね」
「ふーむ……」

[同日10:30.大石寺・売店(仲見世)“藤のや” 威吹、イリーナ・レヴィア・ブリジッド、マリアンナ・スカーレット]

「ユタは大講堂とやらで、布教講演とやらを聞いている」
 威吹はテーブルを挟んで向かい側に座る魔道師達に言った。
「要は坊主の説法だろうが……」
「威吹君、ここでは『御僧侶』と呼ばないと、ユウタ君みたいな強霊力者に滅されるわよ」
 イリーナは注文した紅茶を口に運びながら言った。
「ユタみたいな逸材は、そうそう存在せんよ」
「ユウタ君は強過ぎるだけ。でもここはなまじっか、霊力だけが中途半端に強くなった人達が一部紛れ込んでるから、その人達が暴走したら、威吹君も思わぬケガをするわよ」
「顕正会のことを言ってるのか?ユタは元々霊力が強かったが、あそこでめきめきと更に力を伸ばした。せっかくの旨味が、この寺に出入りするようになってから落ちてしまった。嘆かわしいことだ」
「素晴らしい功徳じゃないの」
「何がだ?」
「少なくとも、妖怪のエサになりにくくなったということじゃない」
「あのな!」
「はっきり言って、霊力のランキングSクラスというのはね、魔道師になれるレベルなの。もしかしたら、マリアを追い越すかもしれない」
「それほどのものか」
「そうなの」
「杖を手に入れるのは昼過ぎだろう?せっかくだから、ユタと昼餉を共にしたらどうだ?ユタも喜ぶだろう」
「マリアもね。でも、あいにくと、そうはいかないの」
「?」
「杖の完成を見届ける義務がある。お昼過ぎに完成ということは、やっぱりその頃からいないとね」
「そういうものか……」
「そういうものよ。だから、お昼ご飯は威吹君が御相伴してあげてね」
「言われるまでもない」

[同日12:00.大石寺・売店(仲見世)“なかみせ” ユタ&威吹]

「ええっ、マリアさん達が来てたの!?」
 ユタは豚汁定食を注文した後で、威吹から聞いた。
「ああ。もっとも、何かの片手間に来ただけのようだ。やはり、夕刻から合流ということになるだろう」
「そうなのかぁ……」
 ユタは残念そうな顔をした。
「それより坊主……僧侶の話はどうだった?」
「平成27年度の御誓願達成に向けての話だった。作者がガッカリしてたよ」
「魔道師達と話をしていた茶店が、この並びの向こうの角にあってね……」
「“藤のや”さんだ」
「そこのテレビで、作者が逃げ回っていたよ」
「大石寺にまでマスコミが来られちゃ困るなぁ……」
「もっとも、冨士参詣新聞社や異世界通信社などの自演新聞社ばかりだろうが……」
「“創価新報”とか“潮”とか“フェイク”も何気に来ていたりしない?」
「何がだい?」

[同日13:30.大石寺・売店(仲見世)喫煙所 威吹]

「退屈だ……。もっとも、妖怪は境内に入れんからな……」
 珍しい光景。
 煙管で喫煙中の威吹。
 複雑な顔で裏門を見る。
 普通の人には見えないが、きっと妖怪にはバリアーでも見えるのだろう。
「ん?」
 その時、その裏門の前にやってくる、威吹と似た格好をした者が現れた。
 風に乗って漂ってくるは、人間ではなく、同じ妖怪の臭い。
「ふむ……」
 威吹はカンッと煙管の先の灰を吸殻入れに叩き入れると、その着物姿の妖怪の所へ近寄った。
「その方、この寺に何用か?」
「その臭いは……同族ですか」
 威吹と同じ銀髪の妖狐の男。
 但し、髪は威吹ほど長くなく、カンジが正体を現した時のように、肩の所までである。
 髪型にも流行りがあるようで、威吹はすぐにその同族が若い者だと分かった。
 カンジの話によると、今は髪を肩の所で切るのが流行っているそうだ。
「そのようだ。魔境側の者と見受けるが、この寺に所縁の者でもおるのか?」
「ええ。私の“獲物”がこの中に……」
「ほお。それは奇遇だな。しかし、どうも焦点の合わぬ目をしているが、何か霊術でも掛けられているのか?」
「いえ。私は目が見えないので」
「なに?そういう霊術……いや、呪いが?」
「いえ。諸事情がありましてね。……やはり、周りから認識してもらう為にも白い杖は持った方がよろしいでしょうか?」
「確かに妖術を使えば、心の目でそれなりに歩くことはできるが……。その方が良いかもな」
 裸眼視力0.1以下で、眼鏡やコンタクト無しで歩くようなもの。
 それとて危険性はあるが、盲目の中を歩くよりはマシだ。
 一応、自分の現在地、周囲の状況は分かるのだから。
「某、名を威吹。字を邪甲と申す」
「私、玉江。字は徳郎です」
「最近の若い者は、字に人間みたいな名前を付けるのだな」
「どうですかね」
「それより、玉藻前の玉の字を使えるということは、玉江はその一族の出か?」
「遠い親戚ですよ。肝心の玉藻前は、私達のことなど知らないでしょう」
「そうか……」
「失明したのは魔界正規軍にいて、負傷したからですよ。こんな目になってしまっては、兵役を続けるわけにもいかないので除隊したんです」
「ほお。魔界正規軍に……。それで身のこなしが、戦い慣れている者の感じがしたのだな」
「威吹さんも戦い慣れている方のようですね。どうです?今、魔界正規軍は兵員を募集していますよ?今の政権になってから徴兵制度が無くなったので、あちらこちらで募集を掛けています。威吹さんなら即、将校クラスですよ」
「いやいや、戦うのは構わんが、今はそれ以前にやることがある。それが終わってからだ。それに、兵士を集めているということは、何か戦でも始めるというのか?」
「別に、どこかに侵略するというわけではないのですが、実は今、魔界で不穏な動きがありまして……」
「不穏な動き?」
コメント (4)
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反面教師

2014-10-04 00:49:25 | 日記
 随分とネガティブな発言が多いが、もちろんこんなのは私だけであり、立派に信心されておられる方は多い。
 ブログ上にて折伏成果を発表しておられる方もいらっしゃるので、そちらを参考になさって頂きたい。
 私が功徳に満ち溢れることは無いだろうから、それによる感激を知りたいと仰る方はお引き取り願うものである。
 ここは仏罰に苦しむ法華講信徒のブログである。
 紹介にもある通り、美辞麗句を語るつもりは無い。
 功徳があればそれを素直に語るつもりだし、本来そうあるべきなのは分かっているのだが、いかんせんこの身に振り掛かっているのは罰の現証であり、それも素直に語る方針である。
 脱講に至る日も、そう遠くはないのかもしれない。
コメント
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