報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

最近の雑感

2014-09-18 19:18:04 | 日記
 ここ最近、小説ばかり書いている。
 “ユタと愉快な仲間たち”が一段落したので、それでは休止状態の“アンドロイドマスター”を再開したら、一段落させる場所を逸してしまった。
 もうしばらく、落とし所を見つけるまでお察し頂きたい。

 さて、通りすがり氏より、顕正会南房会館についての話があった。
 これは女性顕正会員パラパラ茜氏が南房会館を訪れた際、最寄りの御宿駅から近くて便利的な言及をしていたことに対し、通りすがり氏が実際そうなのかという疑問を投げてこられたことによる。
 私も実走調査をしたことが無いが、地図で見る限り、確かに近そうである。
 gooマップで御宿駅を出すと、そこから上(北)の方にスクロールしなくても、もう既に顕正会南房会館が表示されているくらいだ。
『駅から意外と遠い』が“ベタな顕正会会館の法則”なのだが、例外があったようだ。
 無論、それは宗門末寺にも言えること。必ずしも、駅から近い所に建立されているわけではないということに注意。
 顕正会の会館が駅から遠いことに拘っていると、揚げ足を取られるぞ。そもそも鉄道が通っていない地域にある末寺の立場はどうなる?
 仙台会館は富沢駅から意外と遠かったね。
 長町南駅から宮城交通コミュニティバス“ながまちくん”に乗って、西多賀交番前で降りると若干近くはなるが、日曜・休日が全便運休になるという使えない顕正会員に取って、交通手段として全くエントリーされていないバスである。
 ぶっちゃけ、顕正会員で使用したことのあるヤツ、俺だけじゃないの?といった勢いだ。
 甲府会館は、駅からのアクセスを全く考えていないのだろうか。行きはタクシー、帰りは何とかバス停を検索して甲府駅まで国際興業山梨交通バスでアクセスしたくらいだ。
 因みに甲府会館参詣が、私の顕正会員としての最後の参詣だった。
 話は前後するが、札幌会館がまだ事務所だった頃にも参詣したことがある。
 あれは地下鉄の菊水駅から意外と近かった。……近かったのだが、真冬の夕方に迷子になると大変だ。
 地下鉄も通っている街中だというのに、どんどんどんどん歩いている傍から雪が積もって行き、冗談抜きで遭難しそうになった。
 法華講員になってから、沖縄の会館にも行ったこともある。
 前のお寺の人が沖縄に在住しておられるので、せめて外観だけでもこの目で見てやろうではないかと思った次第だ。
 沖縄ともなれば、もはや鉄道でのアクセスは絶望的だ。
 沖縄都市モノレールでアクセスできようはずがない。
 ただ、それは宗門末寺も同じことではあるけどね。
 せめて111系統(那覇空港〜名護市を結ぶ高速バス)の路線沿いにあればいいのだが、境内に椰子の木が生えているその末寺は、車でしかアクセスできない。

 顕正会会館はともかく、宗門末寺の場合、アクセス案内が駅から遠いように書かれていても、実は路線バスで簡単にアクセスできることがあるので、少し下調べをしてみると良い(例、さいたま市の法勝寺。さいたま新都心駅から徒歩20分としか書かれていないが、実は大宮駅東口から東武バス『天沼循環』に乗り、庚申前バス停で降りるとそこから徒歩5分でアクセスできる。バスの本数も10〜20分に1本ほど)。
 私の今の所属末寺なんか、三門の真ん前にバス停があるにも関わらず、全く案内していないのが不思議だ。
 まあ、顕正会も似たようなのものだけど。
 
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“アンドロイドマスター” 「敷島の立ち位置」

2014-09-18 16:16:37 | アンドロイドマスターシリーズ
[9月16日00:15.仙台市泉区のぞみヶ丘 アリスの研究所 敷島孝夫、鏡音リン・レン、シンディ]

 泉中央駅前からタクシーに乗り、研究所に向かう。
 その間、雨は弱まって行き、のぞみヶ丘ニュータウンに入る頃には雨は止んだ。
 どうやら、やはりただのゲリラ豪雨だったらしい。
 バスなら研究所の下の折返し場で降りることとなり、そこから研究所裏手に上がる階段を登るのが大変なのだが、タクシーなら車道を直に上がって行ける。
「昔、ここに来たことがあるけど、若干変わってるかしらねぇ……」
 敷島が料金の支払いをしている間、シンディ達は先に降りた。
「来たことがあるの?」
 レンはタクシーのトランクから荷物を降ろしながら言った。
「ええ。ドクター南里が亡くなって、ドクター・ウィリーの名代で焼香にね。もっとも、姉さんや平賀坊ちゃんに追い出されちゃったけど……」
「坊ちゃん……」
 最後にタクシーを降りた敷島が、
「アリスのヤツ、多分寝てるだろうから静かに入ろう」
 と、3人を促した。
「ねぇ。この花壇って、前は無かったよね?」
 シンディがエントランス前に整備された花壇を指さした。
「ああ。エミリーが作ったんだ。いや、俺もアリスも財団の人も何も命令してないぞ。自分で考えてな。『お花・好きです』なんて言ってたけど……」
「ふーん……」
 するとシンディは右手を銃火器に変形させた。
 銃口の形状からして、火炎放射器だ。
「おい、何やってるんだ!?」
「趣味の悪い造りだね〜。私ならもっときれいに作れるわ」
「やめろ、こら!」
 敷島が慌てて、シンディの右手を掴んだ。
「! 冗談よ」
 シンディはそう言って、右手を元の手に戻した。
「こんなつまらないことで、姉さんとケンカしたくないもの」
「お前なぁ……」
 敷島は呆れた顔をした。
(私の銃火器を躊躇なく掴む人間、初めて会ったわ……)
 シンディは敷島を見て、(人間で言うなら)冷や汗をかいた。
「あー、やっぱり。アリスのヤツ、寝てやがんな……」
「兄ちゃん、カードキーは?」
「カードキーにプラスして、『クイズに答えないと、ドアが開かないので注意』って、どこのダンジョンの入口だよ!」
「ねぇ。その花壇は分かったけど、あれは何?」
 シンディは別の場所を指さした。
 丸太が何本も縦に整然と置かれて、そこからキノコがにょきにょき生えている。
「あれは、うちのバージョン5.0の兄弟が趣味でやってるキノコ栽培だ。世界中でここだけだぞ。ロボット研究と同時進行でキノコ栽培までやってる研究所って」
「まあ、そうだろうね」
 シンディはそのキノコをスキャンしたが、
「このキノコは研究用なのよね?」
「は?」
「それとも、これを材料に薬品でも作るのかしら?漢方薬?」
「何の話だ?マリオのヤツ、『ゴ近所ニお裾分ケシマス』って言ってたぞ?」
「……最近のバージョン・シリーズは、テロに銃火器を使うとは限らないのね」
「だから何の話だよ?」
「例を上げて言うとね、その手前にあるのはテングダケよ。で、その向こうにあるのがイッポンシメジ。あれがツキヨダケで、それがワライタケ……」
 全部毒キノコである。
「食用キノコくらいあるだろ!?」
「……無いね」
「燃やせ!」
「いいの?」

 敷島が回答にてこずったクイズの内容は、
『JR山手線と営業キロ数が同じ鉄道路線は? ア:鹿島臨海鉄道・大洗鹿島線 イ:樽見鉄道線 ウ:阪神電鉄・阪神本線 エ:井原鉄道・井原線』
『2014年9月現在、日本で唯一夜行列車を運行している私鉄は? ア:東武鉄道 イ:名古屋鉄道 ウ:近畿日本鉄道 エ:西日本鉄道』
『創価学会が日蓮正宗から破門された年は? ア:1979年 イ:1981年 ウ:1991年 エ:1999年』
『作者の日蓮正宗所属支部は? ア:正連講 イ:妙観講 ウ:蘇生講 エ:【お察しください】』
 だそうである。
 てか、全部で何問出題されたんだよ?

[同日07:30.アリスの研究所・居住区 敷島孝夫&アリス・シキシマ]

「昨夜は随分と帰って来るのが遅かったみたいね」
 アリスはトーストを齧りながら、テーブルを挟んで向かい側に座る夫の敷島に言った。
「しょうがないだろ。財団が指定した新幹線、夜遅かったんだから。てか、エントランスドアのロック解除に変なクイズ使うの、やめなさい」
「じゃあ、パズルにする?」
「フツーにカードキーにしろよ!」

[同日09:00.アリスの研究所・研究所 敷島孝夫、アリス・シキシマ、シンディ、エミリー]

「……というわけで、オーナー登録はアタシになるから。皆、よろしくね」
 アリスが手元のノートPCを操作すると、シンディはアリスの前に片膝をついた。
「どうか、よろしくお願いします」
 これを見て敷島は、
(エミリーの、平賀先生に対するオーナー登録と似てるな)
 と、思った。
 南里が死亡して、エミリーのオーナー登録を平賀太一に変更した際、エミリーも同じ動きをした。
 そこはマルチタイプ共通なのか。
 で、ここで疑問が起こる。
「オーナー登録はアリスでいいとして、ユーザー登録はどうするんだ?ユーザーもお前か?」
「何言ってるの。タカオに決まってるじゃない」
「何だ、そうか……って、おい!」
「何よ?何か文句あんの?」
「俺はエミリーのユーザーにも登録されてるんだぞ!?」
「だから?」
「ボーカロイド・プロデューサーの仕事が忙しいのに、マルチタイプ2体も抱える余裕は無いぞ!」
「別に、単なるユーザー登録なんだから、いいじゃない。常に一緒にいる必要は無いんだし。てかアンタ、ほとんどボカロと一緒にいること自体も少ないじゃない?」
「ギクッ。い、いや、今日は財団支部の事務所に行かないとな……」
「ちょうど良かった。顔合わせにエミリーとシンディも連れて行ってあげてね」
「事務レベルの会議で行くだけだっつーに……」

[同日10:00.仙台市青葉区 ㈶日本アンドロイド研究開発財団仙台支部 敷島、エミリー、シンディ]

 車で支部事務所に向かった3人。
「まずは森須支部長に挨拶だ」
「結局、会議以外にやることあるんじゃん」
 さらっとシンディが突っ込んでくる。
「うるさいな」
 職員用駐車場に車を止め、そこからエレベーターで向かった。
 財団の入居しているフロアに行くと、
「メイド長!おはようございます!」
 すれ違うメイドロボットに、ピシッとした挨拶をされるのだった。
「総隊長!オハヨウゴザイマス!」
 ついでにセキュリティ・ロボットからも。
「随分と恐れられてるのね、姉さん?」
「私は・特に・何も・していない」
(ウソだぁ〜)
 エミリーの返事に、敷島は口元を歪めた。

 支部長室に入ると、刑事コロンボの主人公に似た森須支部長が椅子に座っていた。
「おお、来たか」
「支部長、シンディの稼働実験、今現在は順調です」
「ご苦労さん。オーナー登録もユーザー登録も終了したな?」
「はい」
「ふむ。東京でのフィールドテストは、一先ず合格だ。シンディ、キミは姉とも言えるエミリーと協力し、共に過去の贖罪をしてくれ」
「分かりました」
「なぁに。もうキミに残虐な命令を下す者はこの世にいない。安心して、今日からは我々人類の為に力を尽くしてもらいたい。具体的には、まず件のテロ組織対策だな」
「その為の会議ですよね、支部長?」
「ああ。まずは支部レベルで警戒強化を行ってくれとの本部通達だ。キミ達、姉妹にも会議に参加してもらう」
「かしこまりました」
「了解です。支部長」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“アンドロイドマスター” 「夢オチ」

2014-09-18 00:09:09 | アンドロイドマスターシリーズ
[時期不明 場所不明 敷島孝夫、南里志郎、平賀太一、エミリー、シンディ]

 どこかの港湾と思しき場所。
 解体作業中の大型船の上で、鋼鉄の姉妹が睨み合っていた。
 そこへタイミング良く、付近に落雷がある。
 それがゴングのように、エミリーとシンディは激しい肉弾戦を繰り広げる。
 顔もそっくりなら体型もそっくり。そして、基本スペックはほぼ同じ。違うのは髪の色とその長さ、そして性格である。
 最初はシンディが優勢だった。
 エミリーは動力破損による自己修復を余儀なくされ、ついには再起動を行わなければならないほどにやられた。
 その間シンディは、固唾を飲んで見守っていた人間達を抹殺せんと、超小型ジェットエンジンを起動させ、敷島達の所へ向かおうとした。
 飛び立った直後、シンディの両足を掴むエミリー。
「なにっ!?」
 エミリーもまた自らのジェットエンジンを起動させ、シンディを抱えて飛んだ。
 そして、大型船の船橋甲板から一気に海へ飛び込もうとした。
 南里が叫ぶ。
「やめんか、エミリー!マルチタイプ奇数号機には、海水に対する耐性が無いのじゃ!海に飛び込んだら、約30秒で完全に壊れるぞ!!」
「ええーっ!?」
 敷島は目を見開いた。
「あのターミネーチャン達に、そんな弱点が!?」
 シンディも姉機の捨て身の攻撃に驚愕した。
「わ、私と心中する気!?たかだか、あんな人間どもなんかの為に……!?」
 シンディは左手から有線ロケットアームを起動させ、かろうじて甲板のへりを掴むことができた。
 だが、エミリーが更に力を出せば、チェーン式の腕は引きちぎられ、海中に落とされることだろう。
「わ、分かったわ。作戦は中止にするわ。休戦しましょう?」
 シンディは慌てた様子で、エミリーに言った。
「もう・誰も・傷つけない?」
「傷つけないわ。約束よ」
「エミリー、騙されるな!とっととシンディを壊せ!」
 平賀がエミリーに呼び掛けた。
「先生も何か言ってください!」
 平賀は学生の頃から師事している南里に言った。
「う、うむ……。じゃが、それはつまり、エミリーも壊れるということじゃぞ?何としても、それは避けたい……」
「先生!そんなこと言ってる場合ですか!人類がピンチなんですよ!」
 で、敷島は、
(この際だ。もしシンディが壊れて稼働停止になったら、大日本電機で頂いちゃおうか……)
 スパイ心が働いた。
 人間達がそれぞれの思いを交錯させている中、エミリーは……。
「お前を……信じる」
 エミリーはシンディの足元付近に穴を開け、足掛かりを作ってやった。
 だが!
「バカね!1人で泳ぎなさい!」
 姉の情けを踏みにじり、シンディは右手をショットガンに変形させた。
 しかし、シンディは武運に恵まれなかった。
 左手で掴んでいた甲板のへりが老朽化していたのと、2体のマルチタイプの重さに耐えられず、破損してしまった。
「きゃーっ!!」
 真っ逆さまに落ちるシンディ。
「シンディ!」
 エミリーは自らの左手を飛ばし、シンディを掴んだ。
 そして、腕のワイヤーを巻き上げる。
「ね、姉さ……。どうして……?」
「私は・お前と……」

 ブチィッ!!

「ん!?」
 エミリーの腕のワイヤーが切れた。
 シンディとの肉弾戦の最中に損傷を受けていて、彼女の重みに耐えられなかったのだ。
 結局、海に落ちてしまったシンディだった。

[9月15日23:02.宮城県仙台市青葉区 東北新幹線“はやぶさ”37号9号車内 敷島、鏡音リン・レン、シンディ]

「うっ!?」
 ビクッと体を震わせて目を覚ます敷島。
「よく眠れた?」
 一瞬、自分がどこで何をしているのか分からなかったが、そんな彼を覗き込む者がいた。
「うわっ、シンディ!」
「何よ?今まで、人型兵器の横で寝てた癖に……」
 シンディは呆れた顔をした。
「なーに、兄ちゃん?メモリー異常?」
 すぐ後ろの席に座っていたリンが覗き込んで来た。
「俺は人間だ!……変な夢見てただけだよ。ま、人間ならではだな」
 一部の動物も夢は見るそうである。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく終点、仙台です。仙石線、仙山線、常磐線はお乗り換えです。……〕

「ちょうど、そろそろ着く頃か……」
 車窓には見慣れた町の夜景が広がっている。

 放送が鳴ってから、だいたい5分くらいで列車は仙台駅のホームに滑り込んだ。
 ホームへ降りて改札口へ向かう途中、シンディが敷島の耳元で囁いた。
「おおかた、私に殺される夢でも見た?」
「!? い、いや、そういうわけじゃない」
 敷島は否定した。
「でも、私に怖い目に遭わされる夢かしら?」
「お前に、じゃないよ」
「?」
 敷島の反応に、シンディも訝しげな顔をした。
(大日本電機からのスパイだったってこと、財団にバレないようにしないと……。てか、南里所長の死の真相、バレたらエミリーに殺される……)

[同日23:45.仙台市地下鉄南北線、地上区間 敷島、鏡音リン・レン、シンディ]

 電車が地上区間に出ると、外は暗いにも関わらず、時折フラッシュのような光が発生した。
「ゲリラ豪雨だ……」
 閉め切った窓硝子に、バケツの水をぶっ掛けたような水しぶきが勢い良く当たる。
 それほどまでに激しい雨が降っているのだ。
「雷雨か……。姉さんとケンカするのに、ちょうどいい天候かもね」
 シンディはドアの前に立ち、楕円形の窓越しに外を見ながら呟いた。
「おい!」
 敷島はすぐに突っ込んだ。
「冗談よ。姉さんからケンカを売ってこなかったら、何もしないから」
「それよりプロデューサーは、傘をお持ちですか?」
 レンが聞いてきた。
「僕達は濡れても平気ですけど、プロデューサーは人間ですから、雨に濡れたらまずいんでしょ?」
「そうだなぁ……。確かに傘は持ってない。だけど、電車を降りて、タクシー乗り場までは屋根があって、濡れることはない……はずだ」
「じゃあ、これ使って」
 シンディは左すねに仕掛けた折畳の傘を出した。
 前の体の時は、刺殺用ジャックナイフを仕掛けていた場所である。
「お前はエミリーか!……ありがとう。必要があったら、使わせてもらうよ」
 敷島は突っ込んだ後で、傘を受け取った。

 もうしばらく、ゲリラ豪雨は続きそうである。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“アンドロイドマスター” 「フィールド・テスト実施中」

2014-09-16 20:05:37 | アンドロイドマスターシリーズ
 ※今日の地震には驚かされたものだが、これが今日の運勢に対してケチ付けの始まりとなった。詳細は省くが、持病の検査の結果が芳しくなく、処方薬が1種類増やされてしまった。毎度毎度、罰の体験発表しかできないが、これが現状だ。私は“となりの沖田くん”は信用していない。

[9月15日17:30.都区内某所 敷島孝夫、鏡音リン・レン、シンディ]

「シンディ、覚えてるか?もうさすがに取り壊されて、今は別の地所会社によって、新しいビルが鋭意建築中だけどな」
 敷島はあえて、シンディの負の記憶が残る場所をあえて歩いた。
 敷島が連れてきたのは、都区内某所にあるオフィス街。
「灯台下暗しという諺すらぬるかったよ。まさかウィリーが、ここに建っていた高層ビルの屋上にいたなんてな」
「フン……」
 シンディは敷島の言葉に、腕組みをして眉をひそめた感じになった。
「覚えてるよな?ここの部分のメモリーは残ってるはずだ」
「ええ、覚えてるわよ。……今朝会ったメイドロボットが、生意気にも私に立ち向かってきたから、返り討ちにしてやったわ」
「その原因も分かってるんだろうな?」
「分かってる」
 シンディが左すねに仕掛けているナイフで、平賀太一を刺したからである。
 七海が防衛の為に、攻撃力に雲泥の差があるにも関わらず、勇敢に立ち向かったというのが敷島達側からの見解である。
「よし。じゃ、次に行こう」
「いいんですか?」
 レンが意外そうな顔をした。
「シンディがここで犯した罪は、それだけじゃないんでしょう?」
 レンとて、シンディに拉致され、監禁された被害経験を持つ。
 シンディの言動や立ち居振る舞いは、処分前と大して変わらない。
「ええ。リミッター故障で、ウィリアム博士を刺し殺した。人間なら都合良く忘れられるんでしょうに、残念だわ」
「……反省してないの?」
 リンが恐る恐る聞いた。
 シンディがあまりにも軽い様子で言ったからだ。
「してるわよ。でも、したところでウィリアム博士が生き返るわけでもないし、平賀のお坊ちゃん……もとい、平賀太一博士は私を許さないでしょう」
「平賀太一先生は、お前が……というより、ウィリーが許せない。その一環で、お前やアリスも嫌ってるだけなんだがな」
「ドクター南里が可愛がってたエミリーと同型の姉妹機だもんね。あまり声が上げられなくて大変だね」
「よく見てるな。だけども、余計な一言が多いぞ」
「大丈夫。本人の前では言わないから」
「お前なぁ……」
 敷島は呆れた。
「次はどこに行くの?」
「そうだな……」

 敷島は最後にシンディが廃棄処分された工場に足を運んだ。
 無論、当時のボディは今頃、どこかの埋立地にでも埋められてるだろう。
 しかし、シンディに限らず、財団御用達のスクラップ工場ということもあって、ロボット達からは『処刑場』とも呼ばれている。
「敷島参事。今日はもう営業が終わりましたが……」
 中から顔なじみとなった工場長が出てきた。
「いえ、ちょっと近くまで来たので寄ってみただけです。今日はもう帰ります」
「あなた、どういう関係なの?」
 シンディが不審そうな顔をした。
「知りたいか?財団の総務部員の仕事の1つが、お前達に対して『処刑』する書類を作成してハンコを押すことでもあるんだよ。もっとも、前のお前は理事レベルでの決定事項だったけどな」
「……じゃあ、もしまた私が悪さをしたら、ここに連れて来られるのね」
「そういうことになるかな。まあ、お前だけじゃないけどな」

[同日21:00.JR中央快速線上り電車内 敷島、リン・レン、シンディ]

「あれ?兄ちゃん寝てるー」
 オレンジと茶色の座席に腰掛けてる敷島は、座席脇の白い仕切り板に頭をもたげて眠っていた。
「夜行バスで来て、それからずっと歩きっぱなしだったもんね。じゃあ、恒例のアレを……」
 リンはポケットの中から黒いマジックペンを出した。
 ファンからサインを頼まれた時用に持ち歩いているものである。
 それで敷島の顔を落書きするというイタズラだ。
「そんな所にサインするヒマがあったら、あのコ達にサインあげたら?」
 シンディは口角を上げながら、少し離れた所でリンやレンを見ている女子高生達を指さした。
「うん、それもそうだね」
 リンが離れると、敷島は目を開けた。
「絶妙だな、シンディ?」
「これくらいはね」
 シンディは片目を閉じた。

〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく終点、東京、東京です。お出口は左側に変わります」〕

 電車が東京駅のホームに滑り込んだ。
「じゃあ、降りるとするか」
 敷島は席を立った。
 相変わらず、手にはアリスが持たせたグレネード弾とデコイの入ったアルミケースがある。
 1度も使わないままだ。
 テロリストに使うか、もしくはシンディに使うかもしれないと思ったが、何とか大丈夫そうだ。

[同日21:25.JR東京駅・東北新幹線ホーム 敷島、リン・レン、シンディ]

 入線してきたE5系“はやぶさ”を見た敷島が一言、
「うん。初音ミクだ」
「髪とヘッドセットだけでしょお?」
 シンディが突っ込んだ。
「アリスの交渉力のおかげなのか、ボーカロイドの中で堅実に稼ぐリンとレンのおかげなのか、グリーン車で良かったよ」
 敷島は3連休最後の夜ということもあってか、長蛇の列ができている普通車の方を見た。
「ミクちゃんに続く稼ぎ手なんじゃない?」
「えへへー!それほどでもー!」
 シンディの言葉に得意げに笑うリン。
「おかげで仙台まで一眠りできるな」
「いいの?」
「何が?」
「よくこんな人型兵器の横で寝ようとするわね。いつ私が反旗を翻して、あなたを襲うか分からないよ?」
「その時はその時だ。多分、今のお前は何もしないだろうさ」
「何を根拠に?」
「根拠ならあるさ。……まだ、ドアは開かないな?」
 敷島は車内で折り返し清掃作業をしている作業員達と、ホームに吊り下げられている信号機を見比べた。
 ホームから吊り下げられている赤と白の信号機は、実は清掃作業の進捗状況を表している。
 赤だと作業中、白だと作業終了となり、ドアが開く。
 敷島は自分のスマートホンを出すと、それでどこかに電話した。
「あ、もしもし。エミリーか。アリスに代わってくれ」
「姉さん……」
「ああ、アリス。今、東京駅だ。予定通り、これから新幹線で仙台に戻る。……ああ、報告は後ほどな。それより、シンディに代わるぞ。ほら?」
「私、アリスお嬢……博士と喋ることなんて無いよ?」
「いいから」
 しょうがなくシンディは電話に出た。
{「シンディ。無事に帰ってきなさいよ。じー様はもう2度と帰ってこないけど、あなたは帰ってきてくれたんだから」}
「アリス博士。命令ですね。かしこまりました」
 シンディは頭を下げて電話を切った。
「……これが、どうしたの?」
「顔を上げろよ」
 シンディの目には涙が浮かんでいた。
 エミリーの涙は何度か見たが、敷島も初めて見た。
「お前はエミリーと同スペックだ。エミリーが泣けるなら、お前も泣けるはず。アリスから直接言葉を聞いて、そこで涙を浮かべられるなら、お前は今さら俺に何もしないだろうな」
「ふふ……。さすが、大日本電機のスパイさんね」
「えっ!?」
「兄ちゃん、スパイだったの!?」
「財団から情報を得る為にな。もっとも、その送り元の会社が消滅したもんだから、潜入先でそのまま今じゃ正規職員だよ」
「ふえー……」

 信号灯が白に変わり、敷島達は車中の人達となった。
 グリーン車は各席に電源コンセントがあり、アンドロイド3機は早速、コードを繋いだ。
「悪いわね。電気をバカスカ食べて」
 シンディはそう言った。
「お前達はそういう存在なんだから、しょうがないだろ。だから基本、充電は夜間電力とか、こういう無料でできる所でするようにしてるんだ」
 敷島はそう答えた。
 敷島は敷島で、手持ちの私用スマホや財団用タブレットを充電しているが。
「充電中はおとなしくしな。バッテリーに負担が掛かるよ」
「!」
「はーい」
 1つ後ろの席に座るボカロ姉弟が充電コンセントを繋いだにも関わらず、ふざけあっていた。
 敷島が注意しようとしたら、先にシンディがした。
「気が利くな、お前?」
 するとシンディはこんなことを言った。
「兄弟って、いいものよ」
「一人っ子の俺には分からんなぁ……」
 敷島は苦笑して首を傾げた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“アンドロイドマスター” 「フィールドテスト導入」

2014-09-16 08:36:58 | アンドロイドマスターシリーズ
[9月15日15:00.㈶日本アンドロイド研究開発財団本部 敷島孝夫、鏡音リン・レン、シンディ、森須]

「はあ!?全部、作戦!?」
 本部に戻ると、そこには何故か仙台支部長の森須がいた。
「ああ。考えてもみてくれ。シンディほどのマルチタイプが、あんな超小型のリモコンなんかで動くと思うかね?」
「んがっ……!?」
 敷島は口をあんぐり開けた。
 シンディは右手を腰に当てながら言った。
「弱い赤外線は飛んでくるからね。まあ、それを合図にして適当に対応したワケよ」
「だが、シンディ。何故アジトまで行かなかった?お前を連れ去った連中は、全く怪しんでいなかったわけだろう?」
 森須が疑問を投げた。
「あいつらはね」
「どういうことだ?」
「作戦は余りにも上手く行き過ぎた。バカな下っ端はそれで騙されたけど、幹部連中は逆に怪しんでいたかもしれない。私がアジトに連れ込まれた時点で、いきなり爆破される恐れがあったからね」
「それで簡単に壊れるお前ではあるまい?」
「私はともかく、財団が更に危険な事態に晒される恐れがあった、という予想は間違いかしら?とにかく、下っ端はアジトの場所を確実に知っていたわけだから、あとは警察が踏み込んでくれるんじゃないの?」
「確かに、作戦が失敗しては元も子も無いが……。今頃、部下達が警察に逮捕されたことを知った幹部達がアジトを放棄してしまったのではないか?」
「それでも何かしら痕跡くらいはあるでしょう。昔の特撮モノじゃ、証拠隠滅の為に悪の組織が古いアジトを爆破処分していたみたいだけど、今はそんな時代でもないでしょう?」
「ふふっ……。お前はエミリーより色々考えて行動してるようだな」
「当然よ」
 その時、抜き足差し足忍び足で部屋を抜け出そうとしている者がいた。
「!」
 シンディが左目から赤いビームを発射し、その者の行く手を阻む。
「でっ!?」
 ズデンと転んだのは敷島。
「どこに行くのかね?」
「あ、あの、これからリン達の雑誌の取材が……」
「えー?リン達、お仕事もう終わりだよね?」
 リンが小首を傾げた。
「こ、こら!そこは話に乗ってくれ!」
「プロデューサー。もう諦めましょうよ」
 レンが溜め息をついた。
「ええっ?」
「敷島君にあっては、シンディのフィールドテストの担当者を命ずる」
「ええーっ!?」
「差し当たり、まずはシンディを仙台に連れて帰る前に都内を歩いてくれ」
「うえー……」
「そんな顔するな。アリス君の依頼で、帰りは新幹線だ。これがそのキップだ」
「お、ということは指定席ですか?」
「逆を言えば、都内での行動はその時間がタイムリミットということだ。それじゃ、よろしく頼むよ」
「あれ?支部長は?」
「私はもう帰る。とんだ休日出勤だったな」
(プロデューサーに土曜も日曜も関係無いんですがね)
 シキシマはその言葉を飲み込んだ。

[同日15:30.都営地下鉄都庁前駅 敷島、鏡音リン・レン、シンディ]

「帰りの新幹線、思いっきり夜かよ」
 最終の“はやぶさ”号だった。
「てか、そもそも自由席の無い電車じゃん」
「あら、いいじゃない。鈍行乗り継いで帰らされるよりは」
 と、シンディ。
「だったら高速バスの方がいいよ!」
「アリスお嬢……じゃなかった。アリス博士の尽力だっていうのなら、ちゃんと感謝しなさい」
「お前が言うかなぁ……?」
「何よ?」

〔まもなく1番線に、六本木、大門方面行きが到着します。(ホーム)ドアから離れて、お待ちください〕

「で、どこまで行くの?」
「東京タワー」
「スカイツリーじゃなく?」
「贅沢言うなや。3連休で、スカイツリーの方はメチャ混みだっつーの」
 そんなことを喋っているうちに、電車がホームに滑り込んでくる。
 6の字運転をする電車の終点の位置関係上、この時点においては最終的な行き先を旅客に案内しない。

〔都庁前、都庁前。飯田橋、両国方面はお乗り換えです〕

「そういえば、こいつもATO運転だったな。例のテロ組織が嫌がる電車じゃないのか」
 敷島はブラインドで閉じられた運転室の方を見て言った。
「そうねぇ……」
「じゃあ、乗らないってことだな、あいつらは」
 短い発車メロディが流れる。

〔1番線から六本木、大門方面行きが発車します。閉まるドアに、ご注意ください〕

 電車は暗闇のトンネルの中を突き進んだ。

〔次は新宿、新宿。都営新宿線、東京メトロ丸ノ内線、京王線、小田急線、JR線はお乗り換えです。お出口は、右側です〕

 電車内の中吊り広告には、リンとレンが写っているものがあった。
「でもどうして東京タワーなの?」
「これ、電波ジャックでもしろって話なのか?」
 敷島はタブレットを見た。
「ミクの時は無かったぞ?」
「そりゃあ初音ミクはボーカロイドだし、テストの場所も仙台でしょう?その違いは大きいよ」
「で、お前は何をするか知ってるのか?」
「“不協和音”を感じ取れってところかな」
「不協和音?」
「スカイツリーが完成して、電波に余裕ができたのが大きいね。まあ、あなたは見てるだけでいいから」
「アンテナ壊すなよ」

[同日16:30.東京タワー特別展望台 敷島、鏡音リン・レン、シンディ]

 シンディはヘッドホン型の両耳に手を当て、目を閉じた。
「! そういえばエミリーも、昔やってたな、ああいうの」
 敷島は大展望台で買った缶コーヒーを口に運びながら、ふと気づいた。
「エミリーが何やってたの?」
 リンが聞いてきた。
「あ、そうか。まだお前達が南里研究所に来る前の話だったか。いや、俺がミクのフィールドテストやってた時なんだけど、泉ヶ岳のスキー場の近くでエミリーも同じことをやっててさ。“不協和音”を探すとか、同じことを言ってたんで、引っ掛かってたんだ。何か、怪電波でも探してるのかね?」
「リンは何も感じないけど……」
「ボーカロイドとは違うからなぁ。マルチタイプならではの機能があるんだろう」
 そんなことを話していると、シンディがやってきた。
「どうだった?てか、“不協和音”って何だ?」
「私やエミリーのような、他の兄弟がいないか捜してたの」
「そうだったのか!」
 マルチタイプは殆どが証拠隠滅の為に廃棄処分されたが、中にはエミリーやシンディのように生き延びた個体もいる。
「反応があったのは、エミリーだけだったね」
 何でこんなことしてるのかというと、マルチタイプの最終生産台数が不明だからである。
 つまり、他にも生き延びている個体がいる可能性があるということである。
 但し、ちゃんと起動していることが条件。
 そうしていないと、ちゃんと起動している個体の“呼び掛け”に応じてくることはない。
「んー、こりゃ本当にお前達だけかもなぁ……」
 敷島は缶コーヒーを飲み干した。
(いい加減、バージョン・シリーズを完全処分しないのも、この辺りが理由かな……)
「まあ、いいや。とにかく、次へ行こう」
「次?」
 敷島達は地上に降りるエレベーターへ向かった。
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする