報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「次の計画」

2024-08-02 20:40:27 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月24日15時30分 天候:曇 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校・現校舎1階女子トイレ]

 

 リサは愛原が迎えに来る前に、トイレと水分補給を済ませておいた。
 トイレは1階の生徒用を使えばいいし、他にも学食の他に自販機コーナーもある。
 自販機コーナーのベンチに座ってジュースを飲んでいると、リサのスマホが鳴った。
 愛原からのLINEで、どうやらそろそろ学校に着くらしい。
 それならばと、リサは通用口で待つことにした。
 今日は臨時休校の為、正面の昇降口は閉鎖されている。

 愛原「リサ!」

 意外にも愛原は、徒歩で通用口に入ってきた。

 リサ「先生!」
 愛原「無事だったんだな!」
 リサ「もっちろん!」

 リサは愛原に抱き着いた。

 愛原「いでででで!」
 リサ「おっと!」

 リサ、興奮のあまり『鬼の力』で抱きしめようとした為、危うく愛原の腰を折るところだった。

 愛原「強過ぎだ、オマエ!俺はモールデッドじゃねぇ!」
 リサ「ゴメンゴメンw それより、早く帰ろう」
 愛原「あ、いや、その前に寄る所がある。ちょっと付いてきてくれ」
 リサ「寄る所?どこ?」
 愛原「デイライトの事務所さ。善場係長が話があるってさ」
 リサ「ふーん……」
 愛原「疲れてるところ悪いが、いいか?」
 リサ「うん。愛原先生の命令は絶対」
 愛原「命令……ではないんだがな。悪いな」

 2人は学校を出て、上野駅の方に向かった。

[同日15時53分 天候:曇 同地区内 東京メトロ上野駅→銀座線1521電車・最後尾車内]

 

 愛原に連れられて向かった先はJR上野駅ではなく、地下鉄の上野駅。

 リサ「今日はJRじゃないんだ」
 愛原「たまにはいいだろ。霧生電鉄みたいで」
 リサ「いいけど、そうかな……」

 霧生電鉄には長いトンネルがあったが、あれは山岳トンネルであって、東京の地下鉄みたいな地下トンネルではないのだが。
 昔の東京の地下鉄はコンコースもホームも薄暗く、コンクリートの洞窟みたいな雰囲気であったが、平成時代後半から大幅にリニューアルされ、今ではかなり明るい雰囲気となっている。
 また、ホームが湾曲していることから、なかなかホームドアが設置されなかったが、今ではようやく設置されている。
 そのホームドアには、上野動物園のパンダをイメージしたイラストが描かれている。
 尚、改札口の横には、開業当初に使用されていた木製の改札機が展示されている。

〔まもなく、1番線に、当駅始発、渋谷行きが、参ります。黄色いブロックの内側で、お待ちください。電車とホームの間に、広く空いている所があります。足元に、ご注意ください〕

 接近放送がホームに鳴り響くが、菊川駅のそれと違って、そんなに強い風は吹かない。
 トンネルの向こうからは、第三軌条式の集電靴のカツーンカツーンという音が聞こえて来る。
 そして、ゆっくりと回送電車が入線してきた。
 銀座線は上野駅付近に検車区がある為、出入庫便が存在する。

〔上野、上野です。電車とホームの間に、広く空いている所があります。足元に、ご注意ください。1番線の、電車は、渋谷行きです〕

 

 リサ達は6両編成がまるっと空車状態でやってきた電車の最後尾に乗り込んだ。

 

〔ご案内致します。この電車は、渋谷行きです〕
〔「15時53分発、銀座線、神田、銀座、新橋、赤坂見附方面、渋谷行きです。終点、渋谷まで各駅に止まります。まもなく、発車致します」〕

 ホームに発車メロディが鳴り響く。
 森山直太朗の“さくら”のサビ部分のメロディだ。

〔ドアが閉まります。手荷物を、お引きください。無理なご乗車は、おやめください〕

 電車のドアとホームドアが閉まる。
 駆け込み乗車は無いようで、再開閉は無く、1度で閉まった。
 電車のドアチャイムは、JR東日本のそれと同じである。
 都営地下鉄と同様、車掌が発車合図のブザーを鳴らすと、電車が動き出した。

〔東京メトロをご利用頂き、ありがとうございます。この電車は、渋谷行きです。次は、上野広小路。松坂屋前です。都営大江戸線は、お乗り換えです〕

 愛原「あ、そういえばさ……」

 リサが座席に座ってボーッとしていると、隣に座る愛原が話し掛けて来た。

 リサ「ん?」
 愛原「お前、仮面の子を追って校庭に出たじゃない?」
 リサ「そうだね。油断して、電撃食らっちゃったよ。幸いスマホは、その時落としたおかげで、壊されずに済んだけど」

 衝撃吸収カバーを付けていたのも幸いだった。

 愛原「それはいいんだけど、服とかどうした?黒焦げになったりとかは……」
 リサ「いや、それが大丈夫みたいなの。制服だけじゃなく、その下の下着とかも大丈夫だよ」
 愛原「……本当に電撃食らった?」
 リサ「でなかったら、気絶したりなんかしないよ」
 愛原「それもそうか。傷跡が無いのは、まあ、BOWだからだろうけど……」
 リサ「そうだね。いや、ホント、保健の先生とも話したんだけど、自分でも不思議なんだよ。体の方はGウィルスが勝手に回復してくれるからいいけど、服まではねぇ……」
 愛原「フーム……」

 リサは夢の話をしようかと思ったが、ここではしないことにした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“愛原リサの日常” 「リサの目覚め」

2024-08-02 16:25:51 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[期日不明 時刻不明(夜間) 天候:晴か曇 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校・旧校舎2階女子トイレ]

 リサ(ここはどこだ……?)

 リサはいつの間にか、旧校舎2階の女子トイレにいた。
 視野が狭いのは、久しぶりに白い仮面を着けているからだと分かった。

 リサ「!?」

 奥から2番目の個室のドアが、ゆっくりギィィィっと音を立てて開いた。
 そこから現れたのは、東京中央学園の旧制服たるセーラー服を着た仮面の少女。
 リサを見て手招きする。

 リサ「“トイレの花子さん”?昭和の“トイレの花子さん”」
 トイレの花子さん「そして、あなたは“令和のトイレの花子さん”」
 リサ「いや、わたしは……」

 トイレの花子さんは、女子トイレの外へとリサを連れ出した。
 そして、階段へと連れて行く。

 リサ「ん!?」

 ここは2階のはずだが、何故か3階に行く階段があった。
 花子さんは、一気に踊り場までジャンプした。
 ジャンプしたというよりは、スーッと昇った感じ。
 どうやら、本当に幽霊のようだ。
 リサはリサで、踊り場まで一気にジャンプした。

 リサ「3階があるの?」

 3階は2階よりも荒れ果てており、割れた窓ガラスが床に散乱していたり、古い釘などが落ちていたりした。
 それでも女子トイレの明かりは煌々と輝いていて、花子さんはその中に入っていった。

 リサ「この中に何が?」

 入った瞬間、リサは血の匂いに包まれた。
 しかし、床に誰かの死体が転がっているというわけではない。
 匂いの元は……。

 リサ「!?」

 花子さんは黙って、天井を指さした。
 そこには天井に貼りつけられた男女数名が五寸釘で磔にされており、そこから血がボタボタと垂れていたのだ。

 リサ「こ、これは……!?」

 人間なら絶叫モノだろう。
 リサはそうではなく、むしろ何があったのかが気になってしょうがなかった。

 リサ「何があったの!?」

 リサは目を丸くして、花子さんに問うた。
 しかし、花子さんは手を伸ばしてリサの仮面を取り去るだけだった。
 と、同時に、リサもまた引力が逆転したかのように天井に叩き付けられる。

 リサ「いてっ!?」

 そして、仮面の少女がリサに言う。

 花子さん「お前……、この六人の……地獄への……案内人……となれ……。やっと……私は救われ……る……」
 リサ「何言って……!」

 そして、仮面の少女はその仮面を取った。
 その下にあったのは……。

 リサ「エレン……!?」

 斉藤絵恋の顔であった。

[4月24日15時00分 天候:曇 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校・現校舎1階保健室]

 リサ「……はっ!」

 リサはそこで目が覚めた。
 目が覚めた時、リサはベッドの上ではなく、その下にいた。
 頭を下にしていたから、どうやらベッドから落ちてしまったらしい。
 夢の中にあった天井に叩き付けられるシーンというのは、これだったのか。

 リサ「えっと……」

 リサは体勢を整えて、何とか起き上がった。
 制服がシワにならないようにする為か、上着は脱がされ、スカートも脱がされて、下に穿いている緑のブルマだけになっている。

 

 リサ「一体何が……」

 リサは何とか思い出そうとしていた。
 確か……。

 リサ「感電したんだっけか……」

 電撃を使える鬼型BOWが、逆に感電させられたという話である。

 リサ「くそ……」

 その時、保健室のドアが開いた。
 そこに入ってきたのは、養護教諭。

 養護教諭「あっ、起きた?」
 リサ「あっ、先生……」
 養護教諭「体の具合はどう?」
 リサ「いやー……何か頭がボーッとして……」
 養護教諭「それ以外は?」
 リサ「いや、特に無いですね……」
 養護教諭「特に無いなんて凄いわね。感電したって聞いたから、普通命に関わるわよ」
 リサ「ん、でしょうね」

 だからリサも、愛原が『浮気』しようとした場合は電撃を食らわせる場合があるが、感電死しないように力を調節している。

 リサ「それより、愛原先生は?」
 養護教諭「担任の坂上先生から、連絡してもらいます。着替えて、職員室に行って」
 リサ「はい!」

 リサはハンガーに掛けられたブレザーとスカートを取った。

 リサ「これは……!」

 電撃を食らった割には、全く焦げなどが付いていなかった。
 普通、感電したら服も焦げ付いたりするものだが……。

 リサ「先生、これはわたしが着てた制服?」
 養護教諭「そうよ。どうかしたの?」
 リサ「いや……。感電した割には、無事だなぁと思って」
 養護教諭「そういえばそうね……」

 そういえば、制服の下に着ているブラウスもブルマも下着も全く無事だった。
 本当に自分は感電したのだろうかと、リサは首を傾げた。
 火傷の痕が無いのは、自分がBOW(歩く生物兵器)だから仕方が無い。
 一時火傷の症状が出ても、体内に有しているGウィルスや、偽性とはいえ特異菌がすぐに治癒してくれるからだ。

 リサ(あいつは一体……)

 リサは制服を着ると、職員室に向かった。

[同日15時15分 天候:晴 同高校1階・職員室]

 坂上修一「保健の先生から聞いたぞ。本当にケガが無いんだってな?」
 リサ「まあ……BOWですから」

 担任の坂上と副担任の倉田は、リサの正体を知っている。
 彼らはこの学校の卒業生で、現役生時代、科学講師として潜り込んでいた白井伝三郎からの恐怖の実験に晒された経験を持つ。
 なので、白井伝三郎を通してアンブレラの裏の顔は知っていた。

 坂上「保護者の愛原さんには連絡した。至急こちらに向かうそうだから、ここで待ってるといい」
 リサ「職員室は落ち着きませんねぇ……」
 坂上「まあ、そう言うな。ああ、あとそれと、これ、お前のだろ?」

 坂上はスマホを取り出した。

 リサ「これは?……ああ、わたしのだ。あれ?」
 坂上「校庭に落ちてたそうだぞ」
 リサ「そう、ですか……」

 恐らく、2階から飛び降りた時に落としたか、仮面の少女から電撃を食らった時に落としたのだろう。
 電源は切れていたが、それを入れると、ちゃんと起動した。
 リサが滅多に電撃を使わないのは、自分も放電する為に、手持ちの電子機器が全て感電して壊れるからである。
 なので、できれば口からの火炎放射の方が使い勝手が良いくらい。

 リサ「わたし……弱いかな?」
 坂上「何が?」
 リサ「いえ、何でも……」
 坂上「ケンカのことなら、お前は強いだろう?化け物は素手で倒すし……」
 リサ「まあ、モールデッドみたいなザコくらいは……」
 坂上「普通の人間は、ザコモンスターすら、素手で倒せませんw」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする