[5月8日15時30分 天候:晴 沖縄県糸満市摩文仁 平和祈念公園]
ひめゆり平和祈念資料館やひめゆりの塔を見学した修学旅行生達は、再びバスに乗って、今度は平和記念公園へと向かった。
その入口の交差点で……。
高橋「おっ!?こっちの走り屋達も元気そうっスねぇ!」
交差点の真ん中には無数のタイヤ痕が付いており、ここで高橋のかつての『同業者』達がドリフトを楽しんだと見えた。
もちろん、それは通常夜間に行われるものであり、こんな昼間からドリフトを楽しむほど沖縄県民もヒマではないだろう。
高橋「こっちの地元の奴らと、ちょっと勝負してみたいっスねぇ……」
愛原「オマエを信用していないわけじゃないが、何か嫌な予感しかしないから止めてくれ」
高橋「何でですか!?ダサくサツに捕まる俺じゃないっスよ!?」
愛原「いや、ダサく捕まったから、警察署の留置場から鑑別所から少年刑務所まで収監施設コンプしたんだろがい!」
高橋「はうっ!?」
愛原「雪国出身のオマエと、雪に全く縁の無い沖縄県とじゃ、走り方も違うだろうし」
高橋「雪が無い季節は同じだと思いますけどね」
男子生徒A「高橋さん!今度、バイクの免許取るんで、走り方教えてください!」
男子生徒B「俺は車の免許!」
高橋がモテるのは、何も容姿による女子生徒だけではない。
高橋が元走り屋ということで、そっち系でヤンチャしたいお年頃の男子生徒達からも憧れられているのだ。
高橋「『先生』と呼べ、『高橋先生』とな」
男子生徒A「はい!高橋先生!」
男子生徒B「高橋先生!」
高橋「ジーン……」(●´ω`●)
バスは公園の駐車場に入った。
漏れなくここにも、バス専用の駐車場がある。
そこにバスが止まった。
バスガイド「お疲れさまでした。平和祈念公園に到着です」
修学旅行生達はここで、公園内自由散策となる。
拠点は駐車場のすぐ近くにある公園案内所になるだろうか。
引率者たる私達は、そんなウロチョロはできない。
三上先生は案内所の休憩スペースで休んでいるつもりのようだ。
三上「毎年のように修学旅行の引率をやっているもので、もう沖縄には何度も来てるんですよ」
愛原「そうなんですか」
三上「北海道方面なら温泉とかもあるんですが、沖縄には無いですからな」
愛原「あんまり聞きませんね」
三上「教頭先生が引退されたら、今度は温泉旅行の方の引率に回らせて欲しいくらいです」
愛原「なるほど……」
三上「ここには私がいますから、会長方も見学に行ってください」
愛原「それではお言葉に甘えて……」
私と高橋は案内所を後にした。
高橋「先公なんていい気なもんですよ」
愛原「何が?」
高橋「毎年、タダで修学旅行行けるんスよ?」
愛原「それは学校にもよるだろう。オマエの母校みたいに、ヤンチャが過ぎて修学旅行自体廃止になってる学校に着任しようものなら、オマエの言う事は当てはまらない」
高橋「そりゃそうっスけど」
だいたい、工業高校=ヤンキー校って、いつの時代だ?
東京中央学園池袋高校だって、工業科と商業科があるが、そこの生徒達が特段ヤンキーなんてことは無かったが。
それとも、地方ではまだそうなのか?
尚、同じ学校法人でも、違う高校なので、修学旅行を一緒に行くことはない。
こうして上野高校が沖縄に行っている間、向こうは北海道に行っているらしいが。
愛原「早く真面目な生徒ばかりになって、修学旅行が復活するといいね」
高橋「……俺からは、何とも言えません」
高橋が現役生だった頃には既に修学旅行が廃止になっていたらしいが、あったらあったで、高橋達が修学旅行を廃止に追い込むようなことをしたかもしれないらしく、高橋は終始ばつが悪そうにしていた。
愛原「今はいい歳なんだから、オマエの責任でこの学校の修学旅行が廃止に追い込まれたりすることのないようにな?」
高橋「あ、当たり前っス!先生に御迷惑は掛けません!」
愛原「全くだよ。俺達だけの問題じゃないんだから……と?」
そこへ、また電話が掛かって来た。
ちょうど近くに『平田パーラー』なる飲食店があり、そこの外のベンチに腰かけた。
愛原「ちょっと飲み物買って来て。アイスコーヒー」
高橋「ハイ」
そして電話を取る。
相手は善場係長だった。
愛原「お疲れ様です。愛原です」
善場「愛原所長、お疲れさまです」
愛原「今、糸満市内の平和祈念公園です」
善場「かしこまりました。新しい情報ですが、乗客名簿の中に斉藤早苗の名前があったようです」
愛原「ええっ!?それはつまり、斉藤早苗が関係者のフリして乗り込んでいたということですか?」
善場「そういうことになります」
愛原「では斉藤早苗も、今は海の藻屑?」
善場「通常はそうなのでしょうが、彼女に限って、今さらそんなことがあるとは思えません」
愛原「確かに……ですよね。ということは……」
善場「船内にTアビスを蔓延させた後、脱出したのでしょうね。或いは、出港直前に下船したか……」
愛原「すると、まだ八丈島にいるということですか?」
善場「それも含めて、現在捜査中です。あれから日数が経っていますので、もう八丈島にいないかもしれませんし。なので、沖縄にいる可能性も無きにしも非ずですので、宜しくお願いします」
愛原「了解しました」
ここで電話は終了。
高橋は缶コーヒーを買ってきた。
愛原「あれ?レギュラーコーヒー無かった?」
高橋「はい。沖縄そばとか、アイスとかはあったんスけど」
愛原「マジか。まあいいや」
高橋「善場のねーちゃんからでした?」
愛原「そうだ。まあ、もしかしたら、やっぱり沖縄に斉藤絵恋がいるかもしれないから、気をつけてくれってさ」
高橋「なるほど。それじゃ……」
愛原「あれ?」
また、着信音が鳴った。
画面を見ると……。
愛原「上野利恵!?」
高橋「まだ先生を狙ってるんスか、あのオバハン」
私は周りを見渡した。
リサがいないことを確認した上で、電話に出た。
一体、こんな時に何の用だ?
ひめゆり平和祈念資料館やひめゆりの塔を見学した修学旅行生達は、再びバスに乗って、今度は平和記念公園へと向かった。
その入口の交差点で……。
高橋「おっ!?こっちの走り屋達も元気そうっスねぇ!」
交差点の真ん中には無数のタイヤ痕が付いており、ここで高橋のかつての『同業者』達がドリフトを楽しんだと見えた。
もちろん、それは通常夜間に行われるものであり、こんな昼間からドリフトを楽しむほど沖縄県民もヒマではないだろう。
高橋「こっちの地元の奴らと、ちょっと勝負してみたいっスねぇ……」
愛原「オマエを信用していないわけじゃないが、何か嫌な予感しかしないから止めてくれ」
高橋「何でですか!?ダサくサツに捕まる俺じゃないっスよ!?」
愛原「いや、ダサく捕まったから、警察署の留置場から鑑別所から少年刑務所まで収監施設コンプしたんだろがい!」
高橋「はうっ!?」
愛原「雪国出身のオマエと、雪に全く縁の無い沖縄県とじゃ、走り方も違うだろうし」
高橋「雪が無い季節は同じだと思いますけどね」
男子生徒A「高橋さん!今度、バイクの免許取るんで、走り方教えてください!」
男子生徒B「俺は車の免許!」
高橋がモテるのは、何も容姿による女子生徒だけではない。
高橋が元走り屋ということで、そっち系でヤンチャしたいお年頃の男子生徒達からも憧れられているのだ。
高橋「『先生』と呼べ、『高橋先生』とな」
男子生徒A「はい!高橋先生!」
男子生徒B「高橋先生!」
高橋「ジーン……」(●´ω`●)
バスは公園の駐車場に入った。
漏れなくここにも、バス専用の駐車場がある。
そこにバスが止まった。
バスガイド「お疲れさまでした。平和祈念公園に到着です」
修学旅行生達はここで、公園内自由散策となる。
拠点は駐車場のすぐ近くにある公園案内所になるだろうか。
引率者たる私達は、そんなウロチョロはできない。
三上先生は案内所の休憩スペースで休んでいるつもりのようだ。
三上「毎年のように修学旅行の引率をやっているもので、もう沖縄には何度も来てるんですよ」
愛原「そうなんですか」
三上「北海道方面なら温泉とかもあるんですが、沖縄には無いですからな」
愛原「あんまり聞きませんね」
三上「教頭先生が引退されたら、今度は温泉旅行の方の引率に回らせて欲しいくらいです」
愛原「なるほど……」
三上「ここには私がいますから、会長方も見学に行ってください」
愛原「それではお言葉に甘えて……」
私と高橋は案内所を後にした。
高橋「先公なんていい気なもんですよ」
愛原「何が?」
高橋「毎年、タダで修学旅行行けるんスよ?」
愛原「それは学校にもよるだろう。オマエの母校みたいに、ヤンチャが過ぎて修学旅行自体廃止になってる学校に着任しようものなら、オマエの言う事は当てはまらない」
高橋「そりゃそうっスけど」
だいたい、工業高校=ヤンキー校って、いつの時代だ?
東京中央学園池袋高校だって、工業科と商業科があるが、そこの生徒達が特段ヤンキーなんてことは無かったが。
それとも、地方ではまだそうなのか?
尚、同じ学校法人でも、違う高校なので、修学旅行を一緒に行くことはない。
こうして上野高校が沖縄に行っている間、向こうは北海道に行っているらしいが。
愛原「早く真面目な生徒ばかりになって、修学旅行が復活するといいね」
高橋「……俺からは、何とも言えません」
高橋が現役生だった頃には既に修学旅行が廃止になっていたらしいが、あったらあったで、高橋達が修学旅行を廃止に追い込むようなことをしたかもしれないらしく、高橋は終始ばつが悪そうにしていた。
愛原「今はいい歳なんだから、オマエの責任でこの学校の修学旅行が廃止に追い込まれたりすることのないようにな?」
高橋「あ、当たり前っス!先生に御迷惑は掛けません!」
愛原「全くだよ。俺達だけの問題じゃないんだから……と?」
そこへ、また電話が掛かって来た。
ちょうど近くに『平田パーラー』なる飲食店があり、そこの外のベンチに腰かけた。
愛原「ちょっと飲み物買って来て。アイスコーヒー」
高橋「ハイ」
そして電話を取る。
相手は善場係長だった。
愛原「お疲れ様です。愛原です」
善場「愛原所長、お疲れさまです」
愛原「今、糸満市内の平和祈念公園です」
善場「かしこまりました。新しい情報ですが、乗客名簿の中に斉藤早苗の名前があったようです」
愛原「ええっ!?それはつまり、斉藤早苗が関係者のフリして乗り込んでいたということですか?」
善場「そういうことになります」
愛原「では斉藤早苗も、今は海の藻屑?」
善場「通常はそうなのでしょうが、彼女に限って、今さらそんなことがあるとは思えません」
愛原「確かに……ですよね。ということは……」
善場「船内にTアビスを蔓延させた後、脱出したのでしょうね。或いは、出港直前に下船したか……」
愛原「すると、まだ八丈島にいるということですか?」
善場「それも含めて、現在捜査中です。あれから日数が経っていますので、もう八丈島にいないかもしれませんし。なので、沖縄にいる可能性も無きにしも非ずですので、宜しくお願いします」
愛原「了解しました」
ここで電話は終了。
高橋は缶コーヒーを買ってきた。
愛原「あれ?レギュラーコーヒー無かった?」
高橋「はい。沖縄そばとか、アイスとかはあったんスけど」
愛原「マジか。まあいいや」
高橋「善場のねーちゃんからでした?」
愛原「そうだ。まあ、もしかしたら、やっぱり沖縄に斉藤絵恋がいるかもしれないから、気をつけてくれってさ」
高橋「なるほど。それじゃ……」
愛原「あれ?」
また、着信音が鳴った。
画面を見ると……。
愛原「上野利恵!?」
高橋「まだ先生を狙ってるんスか、あのオバハン」
私は周りを見渡した。
リサがいないことを確認した上で、電話に出た。
一体、こんな時に何の用だ?
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