報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「修学旅行初日の愛原達の動き」

2024-08-23 15:32:15 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月8日14時00分 天候:晴 沖縄県糸満市字伊原 ひめゆり平和祈念資料館]

 昼食を取った後は平和学習の一環で、ひめゆり平和祈念資料館へ。
 一方、私は善場係長の連絡で忙しかった。
 引率関係は高橋に任せることになる。
 高橋は喜んで引き受けてくれたが。

 善場「今は糸満市辺りですね?」
 愛原「はい。初日はひめゆり平和祈念資料館の見学と、平和祈念公園の散策です。生徒達も長旅ですし、初日から飛ばすようなことはしません」
 善場「承知致しました」

 館内では通話ができない為、私は屋外に出ている。
 天気は良いが、何分日差しが強い。
 5月だというのに、まるで6月や7月のようだ。
 これでは日焼けしてしまうだろう。

 善場「リサも普通に見学ですね?」
 愛原「はい。監視はうちの高橋と、BSAAのレイチェルがしています。抜かりはありません」
 善場「かしこまりました」
 愛原「レイチェルから聞いたんですが、今回、より一層の警戒警備が行わているのは、何もリサの暴走だけではないようですね?」
 善場「……まあ、そういうことです。こちらでも今、リサのGPSに不具合が出ています」

 不具合が出ているのは、BSAAのアプリのGPSであり、スマホ本体に搭載されているGPSにまで不具合は出ていない。
 中国も、あくまでアメリカや日本に対する牽制の為にやっているのだろう。

 善場「平日であっても、外国人観光客は訪れています。くれぐれも、油断なさらぬよう、お願い致します」
 愛原「分かりました」

 幸い今のところ、那覇空港以外で中国語は聞こえていないが、エイダ・ウォンみたいなのに狙われでもしたら大変だ。

 善場「まあ、中国関係に関しては、北米支部が随分と警戒に当たってくれているようですが」
 愛原「もしかして、さっきから上空を飛んでるヘリがそうですか?」
 善場「そうかもしれませんね」
 愛原「カプコン製のヘリはよく墜ちるというジンクスがあるから、少し心配ですね」
 善場「さて、何のことでしょう。……ああ、有り得ない話ではありますが、『青いアンブレラ』のヘリを見つけたら撃墜しといてください」
 愛原「善場係長、私らは民間の探偵業者なんですがね?」
 善場「……失礼致しました」
 愛原「斉藤早苗の方はどうでしょうか?場所が場所だけに、他校の修学旅行生も見かけますが、それらしき人物は見かけませんね?」
 善場「都内の方でも目撃情報はありません。何しろこちらは、伊豆諸島近海における客船内のバイオハザード事件の事で手一杯なもので……」
 愛原「あー、ですよね。申し訳ありません」

 客船の方は沈没してしまったが、BSAAが潜水部隊を編成して、沈没船内を探索中だという。
 ところが、水生BOWも存在するものだから、探索中にそれと遭遇して、思わぬ戦闘が発生したりすることもあり、なかなか思うようには調査が進まないらしい。

 愛原「実は今夜、我那覇絵恋と会うことになっています」
 善場「そうなんですか。よく、アポが取れましたね?」
 愛原「幸い今夜は、那覇市内のホテルに宿泊することになっています。我那覇絵恋も那覇市内在住で、しかも宿泊するホテルが意外と彼女の家に近い所にあるのだそうで。修学旅行生がホテルから抜け出すことはできないので、絵恋の方から来てもらえることになりました。幸い今日は塾は無いそうなので」
 善場「なるほど、そうですか。皆で再会のお祝いでもされますか?」
 愛原「どうでしょうねぇ……?何しろ転校した理由が理由なので……」

 父親の斉藤秀樹が実は日本アンブレラと繋がっていたことが分かり、今はヨーロッパに海外逃亡中である為、斉藤家は破産してしまった。
 そこで絵恋の母親は斉藤秀樹と離婚、苗字を旧姓に戻し、故郷の沖縄県那覇市へと引っ越した。

 愛原「実はそのホテルに、絵恋を一泊させる予定です。どうせ家から近いですし、それなら絵恋は明日学校でも、十分に通学できます」
 善場「かしこまりました。もしも有力な情報が聞き出せるようでしたら、彼女の宿泊費用については、デイライトで持ちますよ」
 愛原「それは助かります」

 あくまで絵恋は一般客として宿泊するものであり、さすがにリサ達と同じ部屋に泊まるというわけにはいかない。
 それでも根回しはしておいたもので、引率の先生方においては、就寝時間さえ守ればという条件で絵恋の訪問が認められた。

 善場「もう1つ、有力な情報があると聞きましたが?」
 愛原「はあ……実は羽田空港に前泊した時のことなんですが……」

 私は公一伯父さんが現れたことを白状した。

 善場「そうですか。まあ、もう少し早く連絡して頂けると助かるのですがね」
 愛原「申し訳ありません」

 いくらデイライトが追跡しているとはいえ、通常の刑法犯とはまた違う。
 また、例え刑法犯とはいえ、その家族や親族は隠避の罪は免除される。
 善場係長もそのことは十分に理解している為、私達に強くは言えないのだろう。
 それを破ってまで宜しくと、高い報酬を提示されたこともある。
 だが、私はそれを断っている。
 私はリサを強化する為に、東北の酒蔵を紹介されたことを話した。

 善場「暴走を抑える“鬼ころし”とは別に、逆に強化する“鬼つよし”ですか。誰得なんですかね」
 愛原「リサ得でしょうなw まあ、時間があったら、訪ねてみたいと思います」
 善場「暴走を誘発するような酒でしたら、やめてくださいね」
 愛原「もちろんです」
 善場「……あっ、失礼。ちょっと、別の電話が掛かってきました。今後とも、定時連絡をお願い致します」
 愛原「分かりました」
 善場「それとは別に、有力な情報が入りましたら、すぐに連絡をお願い致します」
 愛原「かしこまりました」

 善場係長との電話が終わった。
 暑いな。
 恐らく館内は冷房が入っていることだろう。
 涼みがてら、私も見学させて頂くとするか。

 愛原「高橋、リサ達の様子はどうだ?」

 館内に入ってすぐの所に高橋がいたので、高橋に聞いてみた。

 高橋「うス!リサのヤツ、『この時代にBOWがいたら、助かったのにねぇ……』なんて言ってます」
 愛原「助かるどころか、歴史が変わるだろうが」

 第二次世界大戦中も、ヤバい実験をしていた国はいくつかあるが、最初の生物兵器たる特異菌がバイオハザード史に現れたのは1960年代である。
 当時まだ医学生だったアンブレラ創業者が、特異菌の菌根を発見したマザーミランダと共にそれの研究をしていたが、結局はカビの一種たる特異菌よりウィルスの方が高性能という結論から袂を分かち、ルーマニアからアメリカへ帰国している。

 愛原「リサなら、米軍から爆撃されても死なんだろ」
 高橋「そうっスよねぇ……」

 リサには平和学習は無理かな?

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