報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「修学旅行初日は本島南部へ」

2024-08-21 20:33:45 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月8日12時00分 天候:晴 沖縄県那覇市字鏡水 那覇空港→琉球バス交通車内]

 

 那覇空港からは、貸切観光バス2台に分乗した。

 
(写真はどちらも琉球バス交通公式サイトより)

 ベタな観光バスの方式通りの車内。
 2号車に乗り込む。
 引率者としては、坂上先生と倉田先生。
 1号車に三上先生と学校カメラマンがいる。

 バスガイド「それでは皆様、出発致します」

 バスは那覇空港を出発した。
 本来、引率者は最前列席に座るのがベタな法則である。
 しかし、今回はリサの監視に当たる為、1番後ろの席に座ることになった。
 最前列席には、リサの担任の先生2人が座っている。
 1番後ろの進行方向左側にはリサが座り、その隣にはレイチェル。
 ど真ん中席は空席、右側に私と高橋が座っている。
 ここを確保したのは、リサが暴走した際、非常口を確保する為である。

 レイチェル「……Yes,sir.」

 レイチェルはインカムでどこかと交信していた。
 もちろん、そのどこかとはBSAAであねる。

 愛原「何だって?」

 私が聞いてみると、レイチェルは親指で、バスの後方を指さした。

 レイチェル「エージェントが車で、バスの後ろを押さえています」
 愛原「マジか。警戒が厳重だな」

 尾行されていると気づいたら、運転手も気になるだろうなぁ……。

 愛原「リサの安全性は八丈島で証明されたのに、沖縄ではかなり警戒しなくてはならないのか?」
 レイチェル「はい。あの時とは、状況が違うそうで。それに、沖縄は東京ではありません」
 愛原「ん?……まあ、八丈島は東京都だな。どういうことだ?」
 レイチェル「沖縄は中国に近いです」
 愛原「そうだな。何なら台湾にも近い」
 レイチェル「『日本のBOW』を中国政府が狙っている恐れがあります。その警戒の為です」
 愛原「『日本のBOW』を守ってくれるのが、日本のBSAAではなく、アメリカのBSAAとは……」
 レイチェル「愛原センセイはお忘れですか?Covid‐19が初めて蔓延したのは中国だということを」
 愛原「あ、ああ、そうだったな」

 その為、当初は武漢ウィルスという名前だったのに、中国政府の圧力に屈して新型コロナウィルスという通称になってしまったな。

 レイチェル「エボラウィルスでさえ食べてしまうリサのGウィルス、中国政府が欲しがっているという情報があります。だからです」
 愛原「そこまで行ったら、東京にいても似たようなものなんじゃない?」
 レイチェル「東京ではGPSが効きますから、すぐにそれで追うことが可能です」
 愛原「?」
 レイチェル「この際ですから白状しますけど、今、リサのGPSは機能していません」
 愛原「な、なにっ!?」
 レイチェル「中国側から妨害が入っていると見られています。最近、尖閣諸島にまた中国船が出入りしているようですが、この旅行に合わているのだとしたら、警戒を強化する必要があります」
 愛原「マジか。でも、中国にもBSAAはいるだろう?極東支部……」
 レイチェル「香港のバイオハザード以降、極東支部は台湾に移転しています」
 愛原「あっ!」
 レイチェル「BSAAの範囲ではないのです」
 愛原「……温泉旅行の方が良かった?それとも北海道?」
 レイチェル「北海道も危険ですね。中国人が土地を買い漁っているのは、日本人も知ってるでしょう?」
 愛原「あっ……!」
 レイチェル「本当は、BOWには長距離旅行をさせるべきではないというのがBSAA北米支部の考えです」
 愛原「じゃあ、何で承認したんだ?」
 レイチェル「作戦が1つ、開始されています」
 愛原「作戦?」
 レイチェル「サナエ・サイトウ。この前、船内でバイオハザードを引き起こしたBOWですね。彼女を捕縛する作戦が、決行されています。彼女の拠点は沖縄。だからです」
 愛原「リサの監視業務を行いつつ、別の作戦を行う。さすがは何度もバイオハザードの経験のある北米支部だ」
 レイチェル「褒め言葉でしたら、ありがとうございます」

 レイチェル、一瞬皮肉に聞こえたかな?
 バスは国道331号線を南下している。最初の行き先は、ひめゆりの塔があることで有名な糸満市だ。
 そこには団体向けに食事ができる所があり、そこで昼食を取ってから見学ということになる。

 愛原「ゆっくり見学して大丈夫なのかね?」
 レイチェル「心配要りません。BSAAで監視していますから」
 愛原「そうかい?」

[同日12時50分 天候:晴 沖縄県糸満市伊原 優美堂]

 那覇空港から1時間と掛からず、バスは目的地に到着した。

 バスガイド「皆様、お疲れさまでした。……」
 リサ「おっ、もう着いた?」

 団体客も多く訪れる場所だ。
 駐車場には、大型バス用のスペースもある。
 バスの運転手も地元民なのだろう。
 慣れた様子で、バスを駐車場に止める。

 坂上「それではここで、まずは昼食にします。昼食の後、具体的には14時から平和学習として、『ひめゆり平和祈念資料館』や『平和祈念公園』の見学を行います。大きな荷物をバスの中に置いて行って構いません。財布や貴重品など、小さな荷物だけ持って降りてください」

 1番後ろに座っている身としては、一応バス車内の様子を確認してから降りた方がいいだろう。

 愛原「何か、日差しが強いな」
 高橋「やっぱ東京と違いますね。もう夏って感じです」
 愛原「うむ……」
 リサ「ねぇ、先生」
 愛原「ん?」
 リサ「今夜って、那覇市内のホテルに泊まるんだよね?」
 愛原「そうだよ。それがどうした?」
 リサ「那覇市内なら、エレンがホテルに向かってもいいって言ってた」
 愛原「マジか!?」
 リサ「どうする?エレンに来てもらう?」
 愛原「あー……そうだな。ちょっとレイチェルに聞いてみよう」

 しかし、すぐ近くにレイチェルはいなかった。
 近くにいた淀橋さんに聞くと、トイレに行ったという。
 まあ、しょうがないか。

 リサ「お腹空いた。お昼食べたい」
 愛原「トイレに行ったコ達が戻って来てからだろうな」

 高橋としては、トイレよりもタバコが吸いたいようだが。
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“私立探偵 愛原学” 「沖縄に到着」

2024-08-21 16:36:11 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月8日11時25分 天候:晴 沖縄県那覇市字鏡水 スカイマーク航空513便機内→那覇空港]

 ポーン♪というチャイムの音と共に、シートベルト着用サインが点灯する。
 機内の肉声放送でも、まもなく着陸態勢に入る為、着席してシートベルトを着用するようにと呼び掛けている。
 眼下には沖縄の海と島が広がり、リサは窓に張り付いた。

 リサ「おー……。ここがエレンのいる所……」

 手持ちのスマホなどで写真を撮る修学旅行生も。

 レイチェル「……Thank you so much!」

 レイチェルはインカムで、どこかと交信している。
 それと同時に、追随していたBSAAのハリアーが離脱していった。
 BSAAの戦闘機がどうしてハリアーなのかというと、2013年、香港で起きたバイオハザード事件において、BSAAのクリス・レッドフィールドがハリアーでもって、ネオ・アンブレラに乗っ取られた中国海軍の空母に大ダメージを与えたからである。
 ハリアー1機で空母に立ち向かうなど、狂気の沙汰としか言いようが無いが、当の空母はネオ・アンブレラに乗っ取られていたとはいえ、クリス達の猛攻による大火災を起こし、航行不能に陥ったという。
 さすがに沈没まではしなかったようだが。

 レイチェル「BSAAによる空中警備はここまでです」
 リサ「すると今が暴れ時?」

 リサは悪戯っぽく笑った。

 レイチェル「ハリアーはすぐに引き返して来ますし、今度は沖縄駐留アメリカ軍出向隊が地上から攻撃を始めます」
 愛原「ここは那覇市内上空だが、既に米軍の射程距離に入ってるって?」
 レイチェル「はい。あくまでこれはBSAAの案件ですので、攻撃はBSAAが行います」

 BSAAには外国によっては専用の基地を構えている所もあるが、日本には無い。
 日本地区本部隊は自衛隊の駐屯地に、北米支部派遣隊は米軍基地に駐屯するのである。

 愛原「リサぁ、余計なことするなよ~?」
 リサ「はーい」

 飛行機はグングン高度を落とす。
 これがANAやJALの飛行機なら、モニターやスクリーンで離陸するところをカメラで見せるのだが、スカイマーク機にはそのようなものはない。
 そして、ドスンという衝撃と共にタイヤが軋む音が響いた。

 愛原「……どうやら、無事に着陸したようだな」
 リサ「飛行機って、いつもこんな着陸なの?」
 愛原「そうだよ」
 レイチェル「そうですよ」
 リサ「うへー……」

 飛行機は滑走路からターミナルの方に移動して行く。
 そして、止まると、ポーン♪というチャイムと共にシートベルト着用サインが消えた。

 愛原「どうやら、完全に到着だな」

 まだ5月だというのに、外の気温は既に25~26度あるらしい。
 これでも那覇市では、5月としては平均的な気温であるという。
 なるほど。
 これで平均ということは、日によってはもっと暑い日もあるというわけだ。
 ……海にも入れるわけだ。

 高橋「先生、荷物下ろします」
 愛原「ああ、悪いな。皆さんも、忘れ物の無いように」
 レイチェル「Yes,sir!」
 淀橋「イエッサー!」
 小島「大丈夫です」

 乗る時は先に乗った修学旅行生達も、降りる時は一般客が先に降りてから。
 降り口は進行方向左側の最前部と決まっている。
 この飛行機に限らず、基本的に航空機は進行方向左側から乗り降りすることになっている。
 これは船舶時代の名残。
 なので船舶の方も、基本的には進行方向左側から乗り降りしている。
 そして、ようやく列が進み、修学旅行生は降り口に進んで行く。
 PTA会長と助手の高橋は、1番後から降りる。
 修学旅行生達が忘れ物や落とし物をしていないか確認する為だ。
 もちろん、トイレの中なども見る。

 愛原「どうやら、大丈夫みたいだな」
 高橋「帰り際の方がヤバそうですね。気が抜けるでしょうから」
 愛原「確かにな」

 那覇空港でもタラップではなく、ちゃんと航空機に接続された通路でもって、ターミナルに入る。
 BGMで沖縄民謡が流れている。

 

 愛原「俺が荷物取ってるから、オマエは一服でもしてこいよ」
 高橋「あざっス!」

 荷物受取所の所に喫煙室とトイレがある。
 ここでトイレ休憩の後、整列して、チャーターしておいた観光バスに向かうのである。
 私は私で、ここで善場係長に定時連絡。
 リサもリサで、絵恋さんにLINEを送っているようだ。
 しかし、沖縄中央学園は授業中のはず。
 すぐには返信できまい。

 三上「荷物を受け取ったら、到着ロビーに出て集合しろー!」

 『精神注入棒』と書かれた竹刀を無事に回収できた三上先生は、俄然元気が出て来た。

 愛原「三上先生、トイレに行ってるコとかもいるようですが?」
 三上「私は先に行って整列場所を確保しておくので、愛原会長はトイレの方の確認をお願いします」
 愛原「分かりました」
 三上「というか、坂上先生と倉田先生は何をしているのやら……」
 愛原「坂上先生はうちの助手と一緒にタバコ、倉田先生もトイレです」
 三上「……そうですか。では、私は先に行っています」
 愛原「あ、はい」

 学年主任兼生活指導の三上先生も、かつては喫煙者。
 トイレは生理現象だからしょうがないということもあり、竹刀……もとい、拳を振り上げられなかったか。

 愛原「リサ、トイレから戻ったら、速やかに到着ロビーへ。『魔王軍』だけでも、ピシッとやっていれば、取りあえず三上先生は爆発しないだろう」
 リサ「分かったー」

 こういう時、リサの特異菌や寄生虫は役に立つな。
 もっとも、今はもう寄生虫は無く、リサが操れるのは特異菌のみ。

 愛原「やっと来た」

 私はベルトコンベアーから流れて来た自分の荷物と高橋の荷物を取った。
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