報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「修学旅行初日」

2024-08-17 20:33:29 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[期日不明 時刻不明 天候:不明 現在地不明・某洞窟内]

 狭い洞窟の中、蝋燭1本の明かりだけが灯っている。
 そこでリサは、数人の男の鬼達に嬲り者にされていた。

 男鬼A「鬼の女か……。なかなかハクいじゃねーか」
 男鬼B「オラッ!暴れるんじゃねぇっ!!」
 リサ(悔しい!悔しい!こんな奴らに……!!)
 男鬼C「へへっ、悪ィな!お先ィ!」

 鬼の男の1人が、下半身にそそり立ったモノをリサの女陰に押し付ける。
 そして……!

 リサ「ぎぃッ……!」

[5月8日05時00分 天候:晴 東京都大田区羽田空港 羽田空港第1ターミナル・『ファーストキャビン』]

 リサ「はッ……!?」

 そこで目が覚めた。
 枕元に置いたスマホは、バイブだけがブーブー震えている。
 ここの規則で、目覚ましアラームは使用してはいけないことになっているのだ。
 その為、バイブだけをセットしていた。
 リサを手を伸ばして、アラームを止めた。

 リサ(また、この夢……。何なんだ……)

 見ず知らずの男の鬼達にマワされる夢を見ることが多い。
 オ○ニーをせず、性欲が溜まっている時に見ることが多いような気がするが、だからといってマワされる夢は何なんだと思う。

 リサ(汗かいた……)

 リサはシャワーを浴びようと、タオルセットを取り出した。
 昨夜大浴場に入ったので、まだタオルは生乾きの状態だが、別に構わない。
 アコーディオンカーテンを開けて隣を見ると、まだレイチェルは寝ているようだった。

 リサ「しょうがない」

 リサは取りあえず、テーブルの上に置いているペットボトルを手に水分補給だけすると、あとは大浴場に向かった。
 まさか、また大きな湯船に入るとは思わなかったが、寝汗をかいたのでは仕方が無いだろう。

[同日05時30分 天候:晴 同ホテル・洗面所]

 洗面所で歯を磨いていると、レイチェルが起きて来た。

 レイチェル「またスパに入っていたのですか?」
 リサ「まあね」
 レイチェル「リサはオフロが好きですねー」
 リサ「鬼は風呂好きなの」

 今、洗面所の鏡に映るリサの頭には角は生えていないし、耳も尖っていない。
 ああいう悪夢を見て目が覚めると、鬼形態に戻っているのだが、もちろんそのままでいるわけではない。

 リサ「そういうレイチェルはシャワーとか浴びないんだ?」
 レイチェル「BSAAで軍事教育を受けてきましたからねー」
 リサ「?」

 リサには意味が分からなかったが、教育訓練中、新兵は朝にシャワーを浴びることはない。
 起床時刻になったら急いで着替え、ベッドを整えて、訓練会場に走って向かうというイメージがあるだろう?
 そういうことだ。

[同日06時00分 天候:晴 同施設・男女共用ラウンジ→羽田空港第1ターミナルB1階・月の塔]

 リサ「よし」
 レイチェル「準備万端デスね」
 リサ「うん」

 ベッドに戻ったリサ達は、制服に着替えた。
 リサは早々と夏服半袖であったが、レイチェルはまだ長袖である。
 そして、荷物を持って、男女共用ラウンジに向かった。

 リサ「おはよう」
 愛原「おっ、2人とも、おはよう」
 レイチェル「おはようございます」
 リサ「あっ、何食べてるの!?」
 愛原「そこの自販機で買ったおにぎり。それとお茶」
 リサ「それが朝食?」
 愛原「いや、違う。ただの小腹満たしだよ」
 リサ「ふーん……」
 愛原「これとは別に、また朝食でも買うよ」
 リサ「わたしも買う!」
 愛原「今から?」
 リサ「そうじゃなくて、空弁!」
 愛原「ああ、そういうことか。保安検査場を過ぎてから買った方がいいぞ」

 離陸時間8時40分の飛行機に対し、7時の集合時刻にしたのは、保安検査場に通過する時間を考慮してのことだ。
 ただ、それでも搭乗までは待ち時間がある。
 恐らく搭乗口付近で待機する際、トイレに行かせたりはするので、その際に売店で空弁を買う余裕はあるだろう。

 愛原「トイレに行く時間はあるだろうから、そのついでに空弁を買うことはできるだろう」

 尚、栞には朝食は家で食べて来るか、或いは家から弁当を持たせた方が良いみたいなことが書かれていた。
 恐らく、修学旅行生皆が空弁なんか買ったら、あっという間に売り切れになるからだろう。

 リサ「なるほど」

 愛原は残ったおにぎりをお茶で流し込んだ。

 愛原「よし。それじゃ、行くか」

 そして、ホテルをチェックアウトした。
 ホテルのエントランスは1階にあり、集合場所は地下1階であるが、距離はそんなに離れていない。
 何なら、吹き抜けの上から覗き込めるほどだ。
 リサやレイチェルなら、飛び降りようとするかもしれない。

 愛原「エスカレーターはあっちだ!」
 高橋「行きましょう」
 リサ「はいはい」
 レイチェル「ハイハイ」

 そして、地下1階の集合場所に到着する。
 当然ながら、まだ誰も来ていない。

 愛原「参加人数は、全部で90人」
 高橋「生徒だけで90人っスか?」
 愛原「違う違う。俺達や、他の引率の先生を入れて全部で90」
 高橋「案外、少ないっスね」
 愛原「そうか?まあ、海外組の方が人数が多いみたいだしな。海外の台湾組は、100人くらい行くから」
 高橋「そういうことですか」

 因みに、家庭の事情で高い修学旅行費用が払えない生徒の為に1泊2日の温泉旅行なんてのもある。
 こちらの参加人数は1番少ないものの、それでも2桁を超えるという。
 引率者の責任者であるが、海外組が校長先生、国内線飛行機組がPTA会長、つまり私だな。
 そして温泉組が教頭先生だという。
 何でも、教頭先生は温泉が好きなのと、飛行機が苦手だから、そちらの引率責任者を買って出ているのだとか。
 リサや女子相撲部、女子レスリング部員から車を反転させられるなどのイタズラを受けている教頭先生であるが……。

 愛原「ここに何列かで並ばせよう」
 リサ「トイレはあるの?」
 愛原「この通路の向こう側と、あと反対方向にもあるのかな。あとはコンビニが向こうと……」
 リサ「コンビニあるの?」
 愛原「ローソンがあるよ」
 リサ「へへ……ちょっと小腹満たし……」
 愛原「行ってらっしゃい」
 レイチェル「リサを1人で行かせるわけにはいきませんので。センセイ、このモニュメントの前に集合ですね?」
 愛原「そう。一応、この学校の旗持ってるから」

 愛原はツアーガイドやバスガイドが持つような旗を手に取った。
 緑色の白抜きで、校章が描かれている。
 そしてその下に、『学校法人東京中央学園 上野高等学校』と書かれていた。
 あとは、腕章を装着する。
 同じく緑色に白抜きで交渉が描かれているのと、その下に、『東京中央学園上野高校PTA』と書かれていた。
 腕章に関しては、高橋も助手として来ているので、装着している。
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“私立探偵 愛原学” 「羽田空港で前泊」 2

2024-08-17 11:45:29 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月7日20時15分 天候:雨 東京都大田区羽田空港 羽田空港第1ターミナル・ファーストキャビン]

 大浴場から出た私と高橋は、男女共用ラウンジに移動した。
 自販機コーナーで、風呂上がりの飲み物を購入する。
 ラウンジにはテレビも点いている。

 愛原「あー、やっぱり食べ物の自販機があるな。ここで食べて行ってもいいかな」
 高橋「おにぎりとカロリーメイトだけじゃ、腹空かないっスか?」
 愛原「そこはリサのネタを使う。あくまでも、腹が減らない程度の対策だよ」
 高橋「空弁っスか」
 愛原「リサほどガッツリ食うつもりは無いが、道中腹が減っては引率できぬだよ」
 高橋「探偵の心得っスね!メモっておきます!!」
 愛原「いや、別に……。あくまで、今回の目的は……」
 ???「引率はただのサブ。メインは我那覇絵恋に会って、斉藤早苗の情報を聞き出すということじゃな?」
 愛原「!?」
 高橋「こ、この声は……!?」
 愛原公一「はーろー」
 愛原学「いや、何が『はーろー』だよ!?」
 公一「ワシからも情報提供に来たに決まっとるじゃろ」
 学「だったら俺じゃなくて、デイライトやBSAAにすればいいじゃん」
 公一「そうもイカン。ワシを拘束しに来るのがオチよ。それに、オマエが情報提供すれば、オマエの手柄になるじゃろう。可愛い甥っ子の為ぢゃよ」
 高橋「ホントかよ~」
 学「まあ、そう信じてあげよう。親戚として」
 公一「すまんな。……あのな、斉藤早苗はもう白井伝三郎ではないぞ」
 学「は!?」
 公一「さすがに、男が女の体を使うことにはおのずと限界があるじゃろうて。それに……早苗のヤツ、白井を取り込む勢いじゃったようじゃ。白井としても、それは困るのじゃろう。ヤツめ、結局は好きな女にフラれてしまったということじゃ」
 学「それは、どこの情報なの?」
 公一「“青いアンブレラ”に決まっとろうがい。何せ、元アンブレラの構成員が結成した組織ぢゃ。情報は早い。ましてや、白井は元日本アンブレラの幹部研究員じゃった男」
 学「それで、斉藤早苗はどうなったの?」
 公一「ん?そっちが気になるのか?まあいい。お前の『自称嫁さん』と同じじゃよ」
 学「リサと?」
 公一「Gウィルスこそ無いものの、特異菌とTウィルス、それにTアビスなど、それまで世界を震撼させたウィルスの集合体と見て良い。普段は人間の姿をしている、な……」
 高橋「ウィルスの数だけ見たら、リサより強そうっスね」
 公一「うむ……。しかも、リサと違って人食いもしているようじゃしなぁ……」
 学「マジか……」
 公一「リサも人食いさせれば、強くなるぞ?」
 学「いや、それはダメだよ」
 公一「ハハ、言うと思った。ならば、人肉無しに強くする方法が必要じゃな」
 学「BSAAに任せればいいんじゃ?」
 公一「そのBSAA、欧州本部では内紛が起きているという噂じゃ。イザという時は、頼らん方がいい。頼るなら、まだ“青いアンブレラ”のクリスじゃろう」
 高橋「クリス・レッドフィールド。伝説の男……」
 学「あの人もBSAAなんじゃ?」
 公一「内紛に嫌気が差して、今では“青いアンブレラ”の協力者じゃよ。イザとなったら、こちらを頼るのじゃ。連絡先なら、分かるじゃろう?」
 学「高野君……」
 高橋「アネゴ……」
 公一「とにかく、リサを強くするというのも現実的じゃな。修学旅行が終わって、時間があるようなら、ここを訪ねてみると良い」

 伯父さんは、とある名刺を差し出した。
 それは、東北地方にある酒造メーカーの名前だった。
 このメーカーには、見覚えがある。
 “鬼ころし”を製造しているメーカーだ。
 “鬼ころし”は、それ自体が商標登録されていない為、全国的に多くのメーカーが製造している。
 だいたいが普通酒だったりするのだが、中には吟醸酒並みの高品質を製造するメーカーもある。

 学「なに、これ?」
 公一「知り合いの酒蔵なのじゃが、最近になって、“鬼ころし”の更に上を行く吟醸酒を造ったらしいのじゃ。“鬼ころし”で力が抑えられるのなら、逆に力を付ける酒もあるんじゃないかとな」
 学「そう、上手くいくかね?」
 高橋「鹿児島の“魔王”なんて飲ませたら、強くなるんじゃないスか?」
 学「鹿児島まで行くの!?」
 公一「あれはネーミングが、キリスト教の悪魔としての魔王から取っているので、リサが飲んでも意味が無いじゃろう」
 学「名前は何て言うの?」
 公一「確か、“鬼つよし”とか言ったような……」
 学「あー……なるほど。鬼が強くなりそうな名前だねぇ……」
 公一「ま、時間があって、興味があるのなら、行ってみる価値があるじゃろう。実家に帰りがてら、寄ってみるのはどうぢゃ?」
 学「まあ、ねぇ……。でも、ゴールデンウィークが終わってからの連休って、もう夏休みに入っちゃうからね」
 公一「まあ、状況を見て行くことぢゃな。敵は待ってくれんぞ」
 学「分かったよ。参考にさせて頂く」

 私は名刺を名刺入れにしまった。
 自分用のではなく、顧客などから頂く用の方である。

 公一「うむ。それじゃ、話はこんな所で良いかな」

 公一は席を立った。

 学「ん?泊まらないの?」
 公一「こう見えてもワシは、BSAAやデイライトから追われてる身。……まあ、今更BSAAはともかく、デイライトのお役人達がちと厄介なものでな。ワシは電車があるうちに移動させてもらうよ」
 学「電車移動なの!?」
 公一「あー!見送りなどはいらんぞ!オマエ達の動きも、GPSで監視されとるからの。それじゃ、気をつけて沖縄に行くのじゃぞ」
 学「あ……うん」
 高橋「お、お疲れ様っス!」

 公一伯父さんはそう言って、フロントの方に向かって行った。
 デイユース利用だったのだろうか?
 ……一応、善場係長からの依頼である為、伯父さんの姿が見えなくなってから、善場係長にはメールしておいた。
 係長的には、もうその場で拘束して引き渡して欲しいのだろうが、さすがに親族を裏切るわけにはなぁ……。
 係長もそれは斟酌してくれているので、言葉では注意しても、それ以上私を咎めるようなことはしてこない。
 それに、実は親族は犯人隠避の罪が免除されるのだ。
 裁判官の判断によるらしいのだが、先例主義の日本の司法においては、私だけ例外ということはないだろう。
 今日は日曜日ということもあり、また、係長も伊豆諸島近海のバイオハザード事件で多忙のせいか、すぐに返信が来るようなことはなかった。
コメント (1)
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