報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「修学旅行初日の愛原達の動き」 2

2024-08-23 21:05:38 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月8日15時30分 天候:晴 沖縄県糸満市摩文仁 平和祈念公園]

 ひめゆり平和祈念資料館やひめゆりの塔を見学した修学旅行生達は、再びバスに乗って、今度は平和記念公園へと向かった。
 その入口の交差点で……。

 高橋「おっ!?こっちの走り屋達も元気そうっスねぇ!」

 交差点の真ん中には無数のタイヤ痕が付いており、ここで高橋のかつての『同業者』達がドリフトを楽しんだと見えた。
 もちろん、それは通常夜間に行われるものであり、こんな昼間からドリフトを楽しむほど沖縄県民もヒマではないだろう。

 高橋「こっちの地元の奴らと、ちょっと勝負してみたいっスねぇ……」
 愛原「オマエを信用していないわけじゃないが、何か嫌な予感しかしないから止めてくれ」
 高橋「何でですか!?ダサくサツに捕まる俺じゃないっスよ!?」
 愛原「いや、ダサく捕まったから、警察署の留置場から鑑別所から少年刑務所まで収監施設コンプしたんだろがい!」
 高橋「はうっ!?」
 愛原「雪国出身のオマエと、雪に全く縁の無い沖縄県とじゃ、走り方も違うだろうし」
 高橋「雪が無い季節は同じだと思いますけどね」
 男子生徒A「高橋さん!今度、バイクの免許取るんで、走り方教えてください!」
 男子生徒B「俺は車の免許!」

 高橋がモテるのは、何も容姿による女子生徒だけではない。
 高橋が元走り屋ということで、そっち系でヤンチャしたいお年頃の男子生徒達からも憧れられているのだ。

 高橋「『先生』と呼べ、『高橋先生』とな」
 男子生徒A「はい!高橋先生!」
 男子生徒B「高橋先生!」
 高橋「ジーン……」(●´ω`●)

 バスは公園の駐車場に入った。
 漏れなくここにも、バス専用の駐車場がある。
 そこにバスが止まった。

 バスガイド「お疲れさまでした。平和祈念公園に到着です」

 修学旅行生達はここで、公園内自由散策となる。
 拠点は駐車場のすぐ近くにある公園案内所になるだろうか。
 引率者たる私達は、そんなウロチョロはできない。
 三上先生は案内所の休憩スペースで休んでいるつもりのようだ。

 三上「毎年のように修学旅行の引率をやっているもので、もう沖縄には何度も来てるんですよ」
 愛原「そうなんですか」
 三上「北海道方面なら温泉とかもあるんですが、沖縄には無いですからな」
 愛原「あんまり聞きませんね」
 三上「教頭先生が引退されたら、今度は温泉旅行の方の引率に回らせて欲しいくらいです」
 愛原「なるほど……」
 三上「ここには私がいますから、会長方も見学に行ってください」
 愛原「それではお言葉に甘えて……」

 私と高橋は案内所を後にした。

 高橋「先公なんていい気なもんですよ」
 愛原「何が?」
 高橋「毎年、タダで修学旅行行けるんスよ?」
 愛原「それは学校にもよるだろう。オマエの母校みたいに、ヤンチャが過ぎて修学旅行自体廃止になってる学校に着任しようものなら、オマエの言う事は当てはまらない」
 高橋「そりゃそうっスけど」

 だいたい、工業高校=ヤンキー校って、いつの時代だ?
 東京中央学園池袋高校だって、工業科と商業科があるが、そこの生徒達が特段ヤンキーなんてことは無かったが。
 それとも、地方ではまだそうなのか?
 尚、同じ学校法人でも、違う高校なので、修学旅行を一緒に行くことはない。
 こうして上野高校が沖縄に行っている間、向こうは北海道に行っているらしいが。

 愛原「早く真面目な生徒ばかりになって、修学旅行が復活するといいね」
 高橋「……俺からは、何とも言えません」

 高橋が現役生だった頃には既に修学旅行が廃止になっていたらしいが、あったらあったで、高橋達が修学旅行を廃止に追い込むようなことをしたかもしれないらしく、高橋は終始ばつが悪そうにしていた。

 愛原「今はいい歳なんだから、オマエの責任でこの学校の修学旅行が廃止に追い込まれたりすることのないようにな?」
 高橋「あ、当たり前っス!先生に御迷惑は掛けません!」
 愛原「全くだよ。俺達だけの問題じゃないんだから……と?」

 そこへ、また電話が掛かって来た。
 ちょうど近くに『平田パーラー』なる飲食店があり、そこの外のベンチに腰かけた。

 愛原「ちょっと飲み物買って来て。アイスコーヒー」
 高橋「ハイ」

 そして電話を取る。
 相手は善場係長だった。

 愛原「お疲れ様です。愛原です」
 善場「愛原所長、お疲れさまです」
 愛原「今、糸満市内の平和祈念公園です」
 善場「かしこまりました。新しい情報ですが、乗客名簿の中に斉藤早苗の名前があったようです」
 愛原「ええっ!?それはつまり、斉藤早苗が関係者のフリして乗り込んでいたということですか?」
 善場「そういうことになります」
 愛原「では斉藤早苗も、今は海の藻屑?」
 善場「通常はそうなのでしょうが、彼女に限って、今さらそんなことがあるとは思えません」
 愛原「確かに……ですよね。ということは……」
 善場「船内にTアビスを蔓延させた後、脱出したのでしょうね。或いは、出港直前に下船したか……」
 愛原「すると、まだ八丈島にいるということですか?」
 善場「それも含めて、現在捜査中です。あれから日数が経っていますので、もう八丈島にいないかもしれませんし。なので、沖縄にいる可能性も無きにしも非ずですので、宜しくお願いします」
 愛原「了解しました」

 ここで電話は終了。
 高橋は缶コーヒーを買ってきた。

 愛原「あれ?レギュラーコーヒー無かった?」
 高橋「はい。沖縄そばとか、アイスとかはあったんスけど」
 愛原「マジか。まあいいや」
 高橋「善場のねーちゃんからでした?」
 愛原「そうだ。まあ、もしかしたら、やっぱり沖縄に斉藤絵恋がいるかもしれないから、気をつけてくれってさ」
 高橋「なるほど。それじゃ……」
 愛原「あれ?」

 また、着信音が鳴った。
 画面を見ると……。

 愛原「上野利恵!?」
 高橋「まだ先生を狙ってるんスか、あのオバハン」

 私は周りを見渡した。
 リサがいないことを確認した上で、電話に出た。
 一体、こんな時に何の用だ?
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“私立探偵 愛原学” 「修学旅行初日の愛原達の動き」

2024-08-23 15:32:15 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月8日14時00分 天候:晴 沖縄県糸満市字伊原 ひめゆり平和祈念資料館]

 昼食を取った後は平和学習の一環で、ひめゆり平和祈念資料館へ。
 一方、私は善場係長の連絡で忙しかった。
 引率関係は高橋に任せることになる。
 高橋は喜んで引き受けてくれたが。

 善場「今は糸満市辺りですね?」
 愛原「はい。初日はひめゆり平和祈念資料館の見学と、平和祈念公園の散策です。生徒達も長旅ですし、初日から飛ばすようなことはしません」
 善場「承知致しました」

 館内では通話ができない為、私は屋外に出ている。
 天気は良いが、何分日差しが強い。
 5月だというのに、まるで6月や7月のようだ。
 これでは日焼けしてしまうだろう。

 善場「リサも普通に見学ですね?」
 愛原「はい。監視はうちの高橋と、BSAAのレイチェルがしています。抜かりはありません」
 善場「かしこまりました」
 愛原「レイチェルから聞いたんですが、今回、より一層の警戒警備が行わているのは、何もリサの暴走だけではないようですね?」
 善場「……まあ、そういうことです。こちらでも今、リサのGPSに不具合が出ています」

 不具合が出ているのは、BSAAのアプリのGPSであり、スマホ本体に搭載されているGPSにまで不具合は出ていない。
 中国も、あくまでアメリカや日本に対する牽制の為にやっているのだろう。

 善場「平日であっても、外国人観光客は訪れています。くれぐれも、油断なさらぬよう、お願い致します」
 愛原「分かりました」

 幸い今のところ、那覇空港以外で中国語は聞こえていないが、エイダ・ウォンみたいなのに狙われでもしたら大変だ。

 善場「まあ、中国関係に関しては、北米支部が随分と警戒に当たってくれているようですが」
 愛原「もしかして、さっきから上空を飛んでるヘリがそうですか?」
 善場「そうかもしれませんね」
 愛原「カプコン製のヘリはよく墜ちるというジンクスがあるから、少し心配ですね」
 善場「さて、何のことでしょう。……ああ、有り得ない話ではありますが、『青いアンブレラ』のヘリを見つけたら撃墜しといてください」
 愛原「善場係長、私らは民間の探偵業者なんですがね?」
 善場「……失礼致しました」
 愛原「斉藤早苗の方はどうでしょうか?場所が場所だけに、他校の修学旅行生も見かけますが、それらしき人物は見かけませんね?」
 善場「都内の方でも目撃情報はありません。何しろこちらは、伊豆諸島近海における客船内のバイオハザード事件の事で手一杯なもので……」
 愛原「あー、ですよね。申し訳ありません」

 客船の方は沈没してしまったが、BSAAが潜水部隊を編成して、沈没船内を探索中だという。
 ところが、水生BOWも存在するものだから、探索中にそれと遭遇して、思わぬ戦闘が発生したりすることもあり、なかなか思うようには調査が進まないらしい。

 愛原「実は今夜、我那覇絵恋と会うことになっています」
 善場「そうなんですか。よく、アポが取れましたね?」
 愛原「幸い今夜は、那覇市内のホテルに宿泊することになっています。我那覇絵恋も那覇市内在住で、しかも宿泊するホテルが意外と彼女の家に近い所にあるのだそうで。修学旅行生がホテルから抜け出すことはできないので、絵恋の方から来てもらえることになりました。幸い今日は塾は無いそうなので」
 善場「なるほど、そうですか。皆で再会のお祝いでもされますか?」
 愛原「どうでしょうねぇ……?何しろ転校した理由が理由なので……」

 父親の斉藤秀樹が実は日本アンブレラと繋がっていたことが分かり、今はヨーロッパに海外逃亡中である為、斉藤家は破産してしまった。
 そこで絵恋の母親は斉藤秀樹と離婚、苗字を旧姓に戻し、故郷の沖縄県那覇市へと引っ越した。

 愛原「実はそのホテルに、絵恋を一泊させる予定です。どうせ家から近いですし、それなら絵恋は明日学校でも、十分に通学できます」
 善場「かしこまりました。もしも有力な情報が聞き出せるようでしたら、彼女の宿泊費用については、デイライトで持ちますよ」
 愛原「それは助かります」

 あくまで絵恋は一般客として宿泊するものであり、さすがにリサ達と同じ部屋に泊まるというわけにはいかない。
 それでも根回しはしておいたもので、引率の先生方においては、就寝時間さえ守ればという条件で絵恋の訪問が認められた。

 善場「もう1つ、有力な情報があると聞きましたが?」
 愛原「はあ……実は羽田空港に前泊した時のことなんですが……」

 私は公一伯父さんが現れたことを白状した。

 善場「そうですか。まあ、もう少し早く連絡して頂けると助かるのですがね」
 愛原「申し訳ありません」

 いくらデイライトが追跡しているとはいえ、通常の刑法犯とはまた違う。
 また、例え刑法犯とはいえ、その家族や親族は隠避の罪は免除される。
 善場係長もそのことは十分に理解している為、私達に強くは言えないのだろう。
 それを破ってまで宜しくと、高い報酬を提示されたこともある。
 だが、私はそれを断っている。
 私はリサを強化する為に、東北の酒蔵を紹介されたことを話した。

 善場「暴走を抑える“鬼ころし”とは別に、逆に強化する“鬼つよし”ですか。誰得なんですかね」
 愛原「リサ得でしょうなw まあ、時間があったら、訪ねてみたいと思います」
 善場「暴走を誘発するような酒でしたら、やめてくださいね」
 愛原「もちろんです」
 善場「……あっ、失礼。ちょっと、別の電話が掛かってきました。今後とも、定時連絡をお願い致します」
 愛原「分かりました」
 善場「それとは別に、有力な情報が入りましたら、すぐに連絡をお願い致します」
 愛原「かしこまりました」

 善場係長との電話が終わった。
 暑いな。
 恐らく館内は冷房が入っていることだろう。
 涼みがてら、私も見学させて頂くとするか。

 愛原「高橋、リサ達の様子はどうだ?」

 館内に入ってすぐの所に高橋がいたので、高橋に聞いてみた。

 高橋「うス!リサのヤツ、『この時代にBOWがいたら、助かったのにねぇ……』なんて言ってます」
 愛原「助かるどころか、歴史が変わるだろうが」

 第二次世界大戦中も、ヤバい実験をしていた国はいくつかあるが、最初の生物兵器たる特異菌がバイオハザード史に現れたのは1960年代である。
 当時まだ医学生だったアンブレラ創業者が、特異菌の菌根を発見したマザーミランダと共にそれの研究をしていたが、結局はカビの一種たる特異菌よりウィルスの方が高性能という結論から袂を分かち、ルーマニアからアメリカへ帰国している。

 愛原「リサなら、米軍から爆撃されても死なんだろ」
 高橋「そうっスよねぇ……」

 リサには平和学習は無理かな?
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