報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「治安維持に一役買うBOW」 2

2018-08-06 20:31:35 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月2日13:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
(この場面は三人称です)

 留守番を頼まれたリサ。
 午前中は高橋が持ち込んだゲームで遊んでいたのだが、ふと疑問に思ったことがあった。

 リサ:(そういえばお留守番って、こんなことでいいのかな?)

 首を傾げたリサ。
 ふと、背後にある電話機が目に留まる。

 リサ:(そうだ!電話して聞けばいいんだ!)

 リサは電話の受話器を取った。

 リサ:「知り合いのタイラント君に聞いてみよう」

 霧生市のアンブレラ研究所にもタイラントが1体いたが、研究所の大爆発に巻き込まれて死んだはずだ。
 確かにタイラントは1体だけでなく、量産できるくらいにまで研究は進んでいたそうだ。

 リサ:「あっ、もしもし?日本の『リサ・トレヴァー』です。ちょっと聞きたいことが……」

 リサは電話口の向こうにいるタイラントに質問内容を話した。
 すると……。

 タイラント:「殺セ……!財ヲ奪オウトスル者、全テ殺セ。呪イヲ込メテ殺セ。末代マデ不幸ニシテヤル気持チヲ持ッテ殺セ。ロケットランチャー、コルトパイソンニハクレグレモ注意シロ」
 リサ:「さすがはタイラントさん。参考になるなぁ」

 いや、明らかにおかしい回答だろう。
 しかしタイラントもリサも元は人間とはいえ、BOWに改造された者。
 思考などもズレてしまうのかもしれない。
 リサは礼を言って電話を切った。

 リサ:「よーっし!愛原先生に褒めてもらえるよう、お留守番頑張ろう!」

 その時、玄関の方から物音がした。
 玄関には鍵が掛かっている。
 その鍵を外から開けようとしている音だ。

 泥棒C:「この家の住人は出払ってる時間だ。今のうちにさっさと済ませよう」
 泥棒D:「AとBの奴ら、わざわざゲリラ豪雨の時なんかに入るから、変な幻を見るんだ。こうやって、堂々と天気のいい昼間に入りゃ、幻もヘッタクレも無ェってことよ」
 泥棒C:「ああ」

 カチッと鍵をピッキングで開ける泥棒達。

 泥棒D:「おっ、開いたぞ」
 泥棒C:「よし。周りには誰もいねぇ。行くぞ」

 泥棒達は愛原の家に侵入した。

 泥棒C:「さっさと金目の物を頂いて退散しようぜ」
 泥棒D:「ああ」

 泥棒達がリビングに侵入した時だった。

 リサ:「侵入者……!殺ス……!!」
 泥棒C:「!!!」
 泥棒D:「!!!」

 今度はマンション内に、断末魔に近い叫び声が上がったのは言うまでもない。

[同日15:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 三ツ目通り]
(ここから愛原の一人称になります)

 私と高橋君は三ツ目通りを歩いていた。
 別に探偵の仕事で歩いていたわけではない。
 実はリサとの生活のことを例のエージェントに相談したところ、むしろ私が広いマンションに引っ越すように言われてしまったのだ。
 もちろん、その為の費用は負担してくれるとのこと。
 仕方が無いので、近くの不動産屋に行って3LDKのマンションを探しに行っていた所だ。
 目ぼしい所はいくつかあった。
 取りあえず明日、内見しに行って決めるとしよう。

 高橋:「せっかく俺がいい所見つけたと思ったのに……」
 愛原:「まあまあ。リサとの生活は、クライアントとの契約に基づくものだから。そのクライアントがそうしてくれって言うんだからしょうがないよ。しかも、費用まで出してくれるって言うんだから」
 高橋:「…………」

 条件はなるべくこの近くで。
 それでも何件かヒットした。
 その足で内見しに行っても良かったのだが、リサも一緒に住むというのなら、リサにも見てもらう方がいいだろう。
 そう思ったのだ。

 泥棒C:「た、助けてくれーっ!」
 愛原:「ん?」
 高橋:「あ?」

 菊川2丁目交番に、またもや助けを求める中年男2人の姿があった。

 警察官:「何かありましたか?」
 泥棒D:「で、出たんだよ!」
 警察官:「何が?」
 泥棒C:「怪物だよ!危うく、殺されるところだったんだから!」
 警察官:「はあ?」

 今度は笑いを堪え切れず、大笑いする高橋。

 高橋:「せ、先生!今の聞きました?どんだけ化け物の多い町なんだ、ここは!?たははははははっ!!」

 私にとっては、普段からポーカーフェイスの高橋が滅多に見せない笑顔を見せて来る方が怖いが。

 青年A:「高橋さん、チャス!」
 青年B:「どうしたんスか、大ウケして?何か面白いことでもあったんスか?」

 そこへ今時の若者といった感じの青年達が通り掛かった。
 どうやら、高橋の知り合いらしい。

 高橋:「おう、オメーラ!いや、実はな……」

 高橋が交番を指さして話した。

 青年A:「あーっ!あいつら!俺の車、車上荒らししやがったヤツだ!」
 青年B:「俺はアパートに入られた!」
 愛原:「な、何だってー!?」

 青年達は角材と鉄パイプを手に交番へ走った。

 青年A:「見つけたぞ、車上荒らし!」
 青年B:「見つけたぞ、空き巣野郎!」
 泥棒C:「げっ!?」
 泥棒D:「しまった!」
 警察官A:「こ、こら!キミ達、やめなさい!」
 警察官B:「ここは交番だぞ!!」

 あわわわわ……!
 何だか、大変なことに!

 高橋:「さ、先生。事務所に帰りましょうか」
 愛原:「いいのかよ!?」
 高橋:「あいつらと泥棒達のことですから。部外者の俺達は蚊帳の外ってことで」

 警察はガン無視か。

[同日18:15.天候:晴 愛原のマンション]

 私と高橋は帰宅した。

 愛原:「ただいまァ」
 リサ:「お帰りなさーい!」

 今度は私に飛び込んでくることはなかった。

 愛原:「留守番どうだった?」
 リサ:「寂しかったです」
 愛原:「うん、そうか」
 リサ:「また侵入者殺せなかったし……」
 愛原:「うん、そうか……って、ええ!?」

 も、もしかして、交番に駆け込んで来たオッサン達って、もしかして……?
 あ、いや。
 私は深く考えないことにした。

 愛原:「あ、ああ……っと!すぐに夕飯にしよう。高橋君、リサの分も頼む」
 高橋:「分かりました」

 高橋は台所に向かった。

 愛原:「嫌な予感がするから、今日はうちに泊まりなさい」
 リサ:「ホント!?」
 高橋:「先生!?」

 リサはパッと顔を明るくし、高橋は驚愕の声を上げた。

 愛原:「明日から、新しい家を探しに行く。リサも一緒に来るんだ」
 リサ:「はーい!」
 高橋:「どこへ寝させるんですか!?」
 愛原:「ここのリビングでいいだろう。布団なら、予備にもう一組あるからな」
 高橋:「……先生のお手を煩わせるようなこと、するんじゃねぇぞ?」
 リサ:「うん、分かった」
 愛原:「いいから高橋君、早いとこ夕飯頼む」
 高橋:「は、はい!少々お待ちください!」
コメント (3)
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“私立探偵 愛原学” 「治安維持に一役買うBOW」

2018-08-06 10:19:36 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[8月2日07:00.天候:晴 東京都墨田区菊川]

 私の名前は愛原学。
 都内で探偵事務所を経営している。
 昨夜は凄いゲリラ豪雨だった。
 事務所に泊まったリサは大丈夫だっただろうか?
 私は心配で居ても経ってもいられず、彼女を迎えに行くことにした。
 高橋君は嫌そうな顔をしていたが、心酔する私の言葉を否定できるはずもなく、渋々と私についてきた。

 愛原:「ゲリラ豪雨というのは、往々にして人的・物的被害をもたらすこともままあるが……今回は大丈夫みたいだな」
 高橋:「先生の大信力のおかげです」
 愛原:「別の先生のこと言ってないか、それ?」
 高橋:「は?」

 私達が近くの交番の前を通った時だった。

 泥棒A:「守ってくれーっ!」

 切羽詰まった様子の中年男2人が交番に駆け込んで助けを求めていた。

 警察官:「どうかしたんですか?」
 泥棒B:「出たんだよ!」
 警察官:「何が?」
 泥棒A:「オバケだよ!」
 警察官:「はあ?」

 このやり取りを聞いていた私達は、思わず吹き出してしまった。

 高橋:「プwww 何なんですか、あれ?」
 愛原:「分からんが……きっと、酔っ払いか何かだな。酒の飲み過ぎで、変なモノでも見たんだろう。か、もしくは、ここ最近ずっと暑い日が続いてるからねぇ……」
 高橋:「ヤク中だったら、ガチで幻覚見ますよ?ヤク中がラリって、サツに自爆しに来たとか?」
 愛原:「はは……十分あり得る。……てか、キミはヤク中になったことがあるのかい?」
 高橋:「いや、俺はやってませんよ。ただ、ヤっちまったアホが俺の仲間にいて……」
 愛原:「結果的には逮捕されたわけだな?」
 高橋:「ええ。パトカーに火炎瓶投げつけてタイーホですよ。何か、パトカーが何かのクリーチャーに見えたらしいです」
 愛原:「昔の学生闘争じゃあるまいし!」

 今時の学生は火炎瓶すら知らないんじゃないのか?
 かくいう私も、霧生市のバイオハザードで初めて本物を見たくらいだが。
 とにかく私達は事務所のビルに到着した。
 エレベーターを降りて、すぐ近くの事務所入口のドアを開ける。

 愛原:「あれ?鍵が掛かってないぞ?」
 高橋:「あのガキ、まさか逃げやがったんじゃ?」
 愛原:「逃げてどうするんだよ?俺達のマンションには来なかっただろ?」
 高橋:「それはそうですが……」

 私はとにかくドアを開けて中に入った。
 すると、すぐ近くにある応接室からテレビの音が聞こえた。
 何だ、ちゃんといるじゃないか。
 あれ?もしかして、鍵掛け忘れたのかな???

 リサ:「先生ーっ!」

 リサが私の胸に飛び込んで来た。

 高橋:「うぉっと!」

 今度は押し倒されないよう、高橋が後ろから支えてくれる。

 愛原:「飛び込むのはやめなさい!」
 リサ:「だってぇ……」
 愛原:「それより留守番どうだった?」
 リサ:「寂しかったです」
 愛原:「うん、だろうな」
 リサ:「侵入者、殺せなかったし……」
 愛原:「うん、そうか。……って、ええ!?」

[同日07:30.天候:晴 同地区内 愛原のマンション]

 私は愛原に頼んで、リサの分の朝食も作ってもらった。

 リサ:「凄いスゴーイ!これ、お兄ちゃんが作ったの?」
 高橋:「ああ」
 愛原:「イケメンで家事も抜群。これで放っておかない女性はいないのにな」

 惜しむらくは、彼はLGBTのGに値する恐れがあるということだ。
 せめてBくらいなら、女性もチャンスがあるのに。

 愛原:「今日は色々と忙しくなるから、リサはここで留守番頼むぞ」
 リサ:「えーっ!」
 高橋:「えー、じゃない。オマエは先生の御心を知る必要があるな」
 愛原:「そんな重い言い方しなくていいから。ほら、また事務所に泊まるのは寂しいだろ?そうならないように、なるべく高野君……赤いスーツの姉ちゃんがいただろう?せめて、彼女と同じ部屋には寝泊まりできるようにしてあげるから」
 リサ:「わたし、先生と一緒に寝たい」
 高橋:「おう、コラ!クソガキが!俺のポジション取るんじゃねえ!」

 何で私は若い男と幼女にしかモテないんだ……?

 愛原:「まあまあまあ、高橋君。とにかくダメだよ。キミはまだ12〜13歳くらいだろ?」
 リサ:「設定上は」
 愛原:「設定!?……とにかく、女の子はお姉さんと一緒に寝泊まりした方がいいって。高野君なら高橋君と違ってマトモな性癖だし、安心だよ」
 高橋:「俺もマトモですよ!どこをどう見ても、先生の忠実な下僕です!」
 愛原:「どこがマトモだ!……とにかく、血の繋がりも無いのに、男2人の部屋はマズいよ。頼むから、分かってくれ」
 リサ:「嫌!」
 高橋:「テメェ、ワガママ言うと頭ブチ抜くぞ……!」

 高橋はテーブルの下から、何とマグナムを取り出した。
 思いっ切り銃刀法違反だ!
 リロードして、リサの頭に向ける。
 しかし、リサは全く動じない。
 まさかリサのヤツ、マグナムでも倒れないというのか!?

 愛原:「高橋君!いつの間にそんなものを!?」
 高橋:「安心してください。ライターですよ」

 トリガーを引くと、銃口からは少し火力の強い火が出て来た。
 チャッカマン……って、今でもあるのかな?それの少し火力の強いヤツみたいな感じだ。

 愛原:「こらー!」
 高橋:「とにかくだ。オマエ、先生のことが好きなんだろ?だったら、先生を困らせるようなこと言うんじゃねぇ!」
 リサ:「……はーい」

 おや!?上手くまとまったぞ!?

 高橋:「先生、ちゃんと言っときましたんで」
 愛原:「あ、ありがとう。とにかく、だ。まあ、ゲームとかもあるし、適当に時間潰しててくれ」
 高橋:「え?先生、ゲームやらせるんですか?」
 愛原:「お前が持ち込んだPS4だってことは分かってるけど、別に俺達がいない間くらいいいだろ?」
 高橋:「しょうがないですねぇ……」

 朝食を取り、片付けをした後で私達は再び事務所に向かうことにした。

 愛原:「それじゃ、事務所に行って来るから。電話掛かって来たら、応対よろしくな?」
 リサ:「はーい」

 私と高橋はリサを留守番させて事務所に向かった。
 こういう時、徒歩圏内にあると色々と楽だ。
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