報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「魔道師の旅路」 〜アルピコ交通バス(導入部)〜

2018-08-26 20:26:33 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[8月26日11:45.天候:晴 長野県白馬村 白馬八方バスターミナル]

 観光客で賑わう小さなバスターミナルでバスを待つ魔道師2人。

 マリア:「今回は違うルートなのか」
 稲生:「そうなんです。バスタ新宿までのキップや、特急“あずさ”のキップが取れなくて……。夏休みも終盤だから、最後の混雑日のようです」

 そんな時、長野始発の“あさま”の指定席は確保できたので、このルートになったそう。
 それはいいのだが、この白馬から長野駅東口行きのバスは自由席である。
 自由席といってもトイレ無しの観光バスタイプで運行するので、座席定員制である。
 スキーシーズンの時は大勢の利用客がいる為、続行便が運行されるのもザラだという。

 稲生:「お、バス来た」

 このバスターミナル始発ではないので、既に乗客が乗っていた。
 ここで乗車券が購入できるので、乗り込む時に運転手に渡す。
 バスタ新宿行きのような長距離ではないので、本当にスタンダードな4列シートである。
 イリーナのような長身の者には窮屈かもしれないが、小柄な2人だとちょうど良いかも。

 稲生:「ここは涼しいですね」
 マリア:「少し寒いくらいだ」

 マリアは白い半袖のブラウスを着ており、その上から濃い緑色の魔法石の付いたペンダントを着けていた。
 プリーツスカートは緑色を基調としているが、黒い模様が入っている。
 それを見て稲生は、どこかで見た柄だと思っていたが、思い出せないでいる。
 冷房のよく聞いた車内。
 マリアはブラウスの上から、黒いローブを羽織った。
 真夏なのでブレザーは着て来ていない。
 ここで乗車率は7割くらいになった。
 この先も停車停留所があるようだが、積み切れるだろうか。
 夏でもこれなのだから、冬場は確かに続行便を出さないとダメだろう。
 バスは5分ほど遅れて、白馬八方バスターミナルを出発した。

〔……白馬駅、白馬五竜、サンサンパーク白馬、千見、終点長野駅東口の順に止まります。次は白馬駅、白馬駅でございます。……〕

 稲生:「いいんですか?僕がまた帰省するだけですよ?」
 マリア:「いい。勇太がいなくなると、また嫌な夢を見るから」
 稲生:「そうですか……」

 今回、イリーナは同行していない。
 もっとも、一日くらいは顔を出しに行くと言っていたが、イリーナほどの大魔道師なら、世界中どこからでも瞬間移動魔法で来日可能だろう。
 但し、遠ければ遠いほど魔力を消費する為、なるべく使いたくないそうだが。
 この辺が稲生の分からないところ。
 悪魔と契約して安定的に魔力の供給を受けているのだから、別にそういうことは気にしなくて良いと思うのだが。
 パケット通信だけで動画を見ようとすると後で大変なことになるが、Wi-Fiならそんなこと気にしなくて良いのと同じことである。

 ハク人形:「♪」
 ミク人形:「♪」

 尚、マリアの使役人形2体はブレずに人形形態となり、荷棚の上に乗っかっていた。
コメント
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