報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“Gynoid Multitype Cindy” 「フランケンを捕まえろ」

2016-10-11 19:38:53 | アンドロイドマスターシリーズ
[10月5日07:00.天候:晴 東京都江東区東雲 敷島の住むマンスリーマンション]

 敷島は大欠伸をしながら起きた。

 敷島:「まだ眠いなぁ……。俺も歳かな」
 シンディ:「何言ってるの。これ以上寝てたら、マスターが電気ショックで起こせってよ」
 敷島:「アリスのヤツ……!」

 シンディはテーブルの上に朝食を置いた。

 敷島:「週末帰るのもダルくなってきたなぁ……」

 敷島はいつでも会社に行けるよう、なるべく会社の近くにマンスリーマンションを借りて、そこに『単身赴任』している。
 金曜日の退勤後は、りんかい線と埼京線に乗って帰るのがセオリーになっていた。

 シンディ:「帰らないと、私が強制的に連れ帰れっていう命令が下っているからね」
 敷島:「超小型ジェットエンジンはもう取り外されているだろうに……」

 敷島はトーストに齧りつきながら、テレビを点けた。

〔「……昨夜11時頃、東京都◯×市の工場で、製造途中のロボットが暴走して脱走するという事故が発生しました」〕

 敷島:「んむ!?」
 シンディ:「えっ?」

〔「警察の調べによりますと、不審な人物が宿直中の警備員を催眠スプレーで眠らせ、その隙に製造ラインを不正操作して、故意に脱走させたと見られています。尚、この事件に際しては、世界的ロボットテロ組織KR団の残党を名乗る人物より犯行声明が出ており、警視庁では、ゆりかもめの制御を不正操作して暴走させた事件との関連を調べています」〕

 敷島:「おい、この工場って、勝又センセーが推してたフランケン製造工場じゃないか!?」
 シンディ:「脱走したのは、あのクソゴリラ?」

〔「次のニュースです。今日未明、東京都△□市の銀行で、金庫がこじ開けられ、中にあった現金5億円が盗み出されるという事件が発生しました。事件があったのは東京△□市にある●●銀行△□支店で、午前2時頃、金庫の内部にあった現金5億円が何者かによって盗み出されたものです。事件当時、機械警備や防犯カメラなどは破壊されており、警視庁では計画的な犯行として犯人の行方を追っています。尚、現場付近にある防犯カメラには、先ほどお伝えしたロボット工場より脱走したロボットらしき物の姿が映っており、警察では関連性についても調べを進めています。……」〕

 敷島:「何か、物騒になったなぁ……」
 シンディ:「てか、あんなクソゴリラ、脱走したところで、すぐ見つかりそうなものだけどねぇ……。自爆でもした?」
 敷島:「だったら、もっと大騒ぎになっているだろうよ。シンディ、いざとなったら、お前の出番かもしれんぞ」
 シンディ:「いいよ。久しぶりにロボット相手にケンカするのもいいかもね」

 シンディはニッと笑った。
 後期型になっても、エミリーより好戦的な性格は変わらないようである。

[同日11:00.天候:晴 敷島エージェンシー]

 敷島:「……えー、というわけで、四季エンタープライズからは、ボーカロイドの人気上昇に伴い、更なるボーカロイドの増員……つまり、増備を求められたわけですが、今現在においては……」

 敷島はこの日、会社の会議室で営業会議を行っていた。
 それが終わると……。

 シンディ:「社長!警視庁の鷲田警視と村中課長です!」
 敷島:「何だ?」
 シンディ:「応接室でお待ち頂いてます」
 敷島:「分かった」

 敷島は応接室に向かった。

 鷲田:「やあ、これはお忙しいところ、申し訳ないですな」
 敷島:「会議中だったもので、お待たせしました。何のご用ですか?」
 鷲田:「何の用?KR団を潰した英雄さんなら、ご想像頂けると思うが……」
 敷島:「どうやらその残党がしゃしゃり出てきたみたいですね。そろそろ残党狩りを行うので、シンディを貸してくれって話ですか?」
 村中:「最終的にはそうお願いするかもしれませんけど、現時点においては違う用件ですよ」
 敷島:「違う用件?」
 鷲田:「やはり、ワケの分からん工場に精密ロボットを作らせてはいかんな。フランケンみたいなロボットが脱走したことは知ってるな?」
 敷島:「今朝のニュースで見ましたよ。……え?まだ捕まってないんですか?私ゃてっきり、もう捕まえたんで、次の段階としてKR団の残党狩りだと思ったんですけど……」
 鷲田:「悪かったな!まだ捕まえてなくて!」
 村中:「工場内にあるセキュリティロボットも形無しのバカ力らしくてね、取り押さえることができなかったらしいんだ。最悪、これはマルチタイプの出番ではないかと思ってね」

 村中は鷲田達のお茶のお代わりと、敷島へコーヒーを持ってきたシンディを見て言った。

 敷島:「他に情報は?」
 鷲田:「都下の銀行で金庫破りがあった話も知ってるな?」
 敷島:「ええ。それも今朝のニュースで……」
 鷲田:「どうやらそのギャング達が、あのフランケンを使って金庫破りさせた線が濃厚だ」
 敷島:「ええっ!?」
 シンディ:「法に触れる命令は断れるようになっているはずですけど……」

 シンディは眉をひそめた。

 鷲田:「まだ製造途中の脱走だって話だ。恐らく、そういうプログラムが組み込まれる前に脱走したんだろう」
 村中:「今ならまだ捕まえるだけで済んでいるけど、もし人に危害を加えたりしたら大変だ。その時には破壊しなくてはならない」
 鷲田:「最悪、あのロボットの製造を企てた東京都の一部議員の首も跳ぶだろうな」
 敷島:「勝又ぁ〜、せっかく都議会議員になったのに……。票は入れなかったけどw」
 鷲田・村中・シンディ:「入れてなかったんかい!」
 敷島:「現住所が埼玉じゃムリです」

 なので作者も都知事選挙では、在特会の会長に入れてあげることはできなかった。

[同日同時刻 天候:晴 都内某所 ギャング団のアジト]

 ボス:「おう、オメーラ!帰りが遅かったんで、失敗したかと心配したぞ。で、首尾はどうよ?」
 強盗A:「へい、親分。この通り、ごっそり頂戴してきました」
 ボス:「そうか。よくやった。ところで、ちょいと小耳に挟んだんだが、この仕事に協力者が現れたんだって?」
 強盗B:「そうなんです。どうやら、ヤスの知り合いらしいんですがね、おかげ様で上手く行ったってもんです」
 ボス:「そうなのか、ヤス?」
 強盗C改めヤス:「え、ええ……」
 ボス:「そうかい。じゃあ、礼を言わねぇといけねぇな。そいつはどこにいる?」
 強盗A:「へい。おう、入れ」

 強盗A、入口のドアを開ける。
 そこから入って来るフランケン。

 ボス:「やけにでけェ男だな。まあいい。今回は俺達に協力してくれたんだって?何でもヤスの知り合いらしいが……。まあ、そんなことはどうでもいい。これからも俺達に協力してくれるってのなら仲間にしてやってもいいぜ?」

 するとフランケン、ヤスの方を見る。

 ヤス:「な、何で俺を見るんだよ!?」
 強盗B:「どうやらこいつは、ヤスの言う事なら何でも聞くってところみたいですぜ?」
 ボス:「ふーん……そうか。だが、銀行の金庫破りを簡単にできるってんなら、使いどころがあるな。よし、ヤス。オメー、そいつの世話人になれ」
 ヤス:「お、俺っスか!?」
 ボス:「あー?そいつはオメェの言う事なら何でも聞くんだろ?上手いこと使ってやれ。上手く使えたら、ほれっ、これをやるぞ」

 ボス、ヤスに銀行からガメてきた札束の1つを放り投げた。

 ヤス:「は、はい!頑張ります!」
 ボス:「よーし。そうと決まったら、次なる仕事の計画だ」

 ギャング団は次の犯行についての作戦会議に入った。
 どうやら、KR団とは関係無さそうだが……。
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“Gynoid Multitype Cindy” 「フランケン・シュタイン」

2016-10-11 16:13:52 | アンドロイドマスターシリーズ
[10月4日13:00.天候:晴 敷島エージェンシー]

 勝又:「昔は旧ソ連で設計された粛清用が、今では日本で人命救助に使われるとは……。いやいや、さすがですね」

 敷島の同級生で、若手都議会議員の勝又が敷島エージェンシーを訪ねていた。

 敷島:「マスコミを騒がすようなやり方になったけども、ああいう止め方しかマルチタイプはできないからね」
 勝又:「ゆりかもめの高架上にジャンプするやり方かい?あれしか無かっただろう?」
 敷島:「いや、まあ、そうなんだけど……」

 シンディ、給湯室からコーヒーを運んで来る。

 勝又:「大活躍だったじゃないですか。テレビで観ましたよ」
 シンディ:「お役に立てて何よりです」
 勝又:「銀座駅での活躍といい、これなら都民からの理解も得られるでしょう」
 シンディ:「銀座駅でのことは、私よりもエミリーの方が活躍していたと思います」
 勝又:「でも同型機でしょう?それなら同じことですよ」
 敷島:「なに?東京都ではまた何かやろうって話なの?」
 勝又:「東京オリンピックに向けて、ロボット大国である日本をもっと東京でPRしようって話だよ。欧米では見落とされがちな、もっとこのシンディさんみたいなロイドを日本のオリジナルとしてPRしていこうってね」
 敷島:「おおかた、豊洲市場の問題をこっちにすり替えようってことだろう?そんなんで、うちのマルチタイプをダシに使うのはやめてもらいたいね」
 勝又:「いや、そういうことじゃない。マルチタイプを霞ヶ関に売り込む活動を、キミはしていたじゃないか。それを東京都で買おうって話なんだ」
 敷島:「東京都で?何に使うんだ?」
 勝又:「だから、東京オリンピックの準備だよ。東京の会場で色々使えるだろう?」
 敷島:「色々ねぇ……」
 勝又:「オリンピックは平和の祭典だ。そこへマルチタイプを活躍させれば、彼女達の平和利用が如何に有効かのPRにもなる」
 敷島:「私が売っているのはマルチタイプの設計データだ。シンディ連れて歩いているのは、その通りに作るとこうなりますよという展示みたいなものさ。シンディはそのまま売れないよ?」
 勝又:「分かってる。50億円の予算なら何とかするさ」

 マルチタイプの製造費用は1体につき、50億円掛かるとされている。
 設計データの販売については、今はDCJに委託している為、DCJに問い合わせる必要がある。

 勝又:「今、代わりのロボットを作っている所だ」
 敷島:「代わりの?何だそれは?」
 勝又:「会場整備に使うロボットさ。もう既に製造に入っている」

 メーカーはDCJではないようだ。
 おおかた、入札で決めた安いメーカーだろうと敷島は思った。

 完成予想図を見ると、何とも武骨なロボットであった。
 身長は2メートルを超え、横幅も広い。

 勝又:「馬力はマルチタイプ並みにありますよ」
 敷島:「ま、こんだけデカけりゃあるでしょうねぇ……。(何か、フランケン・シュタインのロボットみたい)」
 勝又:「会場を作るにも人手が必要ですが、少子化による人口減は避けられないし、移民政策にあっても反対の声が根強く、簡単に通すことはできない。そんなことしている間に、時間はどんどん過ぎて行く。だったら、ロボットを大量に作ってそれらにやらせれば良い」
 敷島:「なるほど……。(何か、嫌な予感がするのは俺だけかな……)」

 ゆりかもめを暴走させたKR団の生き残りを名乗る犯人は、まだ逮捕されていない。
 KR団の逆鱗に触れるような政策を打ち出すのが勝又であるが、絶対にKR団が黙っているとは思えなかったのだ。

 勝又:「そんなわけですから、是非とも敷島社長にも御協力お願いしたい」
 敷島:「まあ、私らで良かったらできるだけのことはしますがね……」

[同日23:00.天候:晴 東京都内三多摩付近のとある工場]

 こんな深夜になっても、稼働しているロボット工場。
 24時間働けるのが機械のメリットであることを標榜している。
 夕方までは人間の従業員が作業をしたり、作業に当たるロボットの監視をしているのだが、退勤時間以降はロボットのみが稼働していた。
 この工場では勝又がPRしていた、あのフランケンのようなロボットが製造されている。
 その夜間出入口に、1人の男が現れた。
 入ってすぐに警備室があり、そこには人間の警備員が詰めてはいるのだが……。

 男:「こんばんは」
 警備員:「何ですか、こんな時間に?もう中には誰もいませんがね?」
 男:「工場で製造されているフランケンに用があって来たのですよ」
 警備員:「は?」

 直後、警備員の顔に催眠スプレーが吹き付けられた。

 警備員:「うわっ!」
 男:「失礼しますよ」

 男は警備室に入ると、倒れた警備員を尻目に慣れた手つきで工場内のセキュリティを全て解除してしまった。

 男:「それでは……」

 男は警備室を出ると、セキュリティが解除されて行けるようになった工場の奥へと進んで行った。

[10月5日02:00.天候:晴 東京都内多摩地区某所にある銀行]

 銀行の金庫室の前に、2人の男が何かをしている。
 もちろん、こんな時間だ。
 良からぬことをしようとしているのは間違いない。

 強盗A:「おい、早くしろ!何やってんだよ!」
 強盗B:「くそっ!下見した時とデータが書き換えられてやがる!これじゃ開けられねぇ!」

 どうやら金庫の扉を開けようとしているらしいが、それを解錠する為の電子ロックのコードが変わってしまって開けられないようだ。
 普通なら、ここで諦めるところだが……。

 強盗A:「やっぱり警備員を脅して開けさせるか?」
 強盗B:「バッカ、オメェ!そんなことしたら、余計足が付くべ!」
 強盗A:「でもよォ……」

 強盗C:「遅いなぁ……。あの2人、何してるんだよ?」

 強盗団の新入りCは逃走用の車を用意し、ついでに入口近くでの見張り役を任されていた。
 すると、後ろからトントンと肩を叩かれる。

 強盗C:「シッ、静かにしろ!今忙しいんだから!」

 Cは最初、応援に来た仲間のことだろうと思っていたのだが……。
 また、トントンと肩を叩かれる。

 強盗C:「だから、オメ……!」

 だが、そこでボスから今夜の仕事は3人だけで、人数はそれ以上回せないという話を思い出した。
 ということは、今自分の肩を叩いているのは、応援に来た仲間ではなく……。

 強盗C:「な、何だお前は!?」

 小柄なCは自分の2倍以上の体格を持つ大男にびっくりした。
 と、そこへ中にいたAとBが飛び出してくる。

 強盗A:「くそっ!作戦は失敗だ!今夜は退散するぞ!」
 強盗C:「ええっ!?でも失敗したら、ボスに『東京湾クルーズ行きっ放し』と『甲州の山へ片道ドライブ』どっちかを選べって……!」
 強盗B:「このままサツに捕まるよりはマシだ!早く車を出せ!」
 強盗C:「は、はい!」
 強盗A:「ちょっと待った!コイツは誰だ!?」
 強盗C:「さっきから俺にくっついて離れないんスよ!」
 強盗B:「知り合いか?」
 強盗C:「そりゃ昔、これに似たヤツとつるんでたりしてましたけどね!」
 強盗A:「どうでもいい!お前、金庫破り手伝ってくれないか?」
 強盗C:「お前、できるのか?」

 フランケン、強盗Cの言葉に頷く。
 そして、先ほどまで2人の強盗が入っていた場所へと入っていった。
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ブログ、再度リニューアルしました! 

2016-10-11 10:10:53 | このブログについて
 『HOT!安心トラベルセンター』より『ノベラーエクスプレス関東』に変更しました。

 これはこのカテゴリーにある“ブログ、リニューアルしました!”をご覧になって頂ければ分かりますが、HOTという意味が離檀した私が使うには不適切だと判断したからです。
 また、今現在はほとんど私の自作の小説でもって更新されている為、それを前面的に持ってきたタイトルにしてみました。
 ノベラーというのは小説家のことですが、タイトルを考えている時に当ブログのリンク先、“バスターミナルなブログ”様を閲覧している時に“ウィラーエクスプレス”の記事が目に留まったので、それに合わせてみたという感じです。
 タイトルに関しては、本当に良いアイディアが出ないのが短所ですね。

 因みに“ウィラーエクスプレス”自体は私は乗ったことがありませんw
 “バスターミナルなブログ”の管理人様からは、『是非一度、乗ってみては?』と勧めれたんですが、新規参入組に乗るのはちょっと二の足を踏むものでありまして……。
 ま、とにかく、リンク先以外、ブログの表紙に宗教色を廃したものとしました。

 大石寺信仰は捨てましたが、ブログの更新はこれまで通り、高頻度で行っていく所存ですので、今後ともよろしくお願い致します。
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