報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「廃屋」 2

2016-10-03 18:57:54 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[時期不明 時刻不明 天候:晴 とある民家の廃屋?]

 勝手口付近にある動物の死体。
 その上に落ちていたのは、何かの工具だった。
 拾ってみると、それはチェーンカッター。
 何でそんなものがここに?
 私は首を傾げつつも、それを手にしていた。
「あ……!」
 その時、私は思い出した。
 確かこの廊下の曲がり角にある戸棚。
 ドアがチェーンで固定されていて開けられなくなっている。
 これを使えばチェーンが外れるのではないか。
 そう思った私はチェーンカッターを手に、先ほどの戸棚に向かった。

 ガチッ……ン!

「よし」
 私の思惑通り、チェーンはチェーンカッターで切り落とすことができた。
 早速、ドアを開ける。
 中には埃被った食器などが置かれていた。
 まあ、台所の近くにあるのだから、当たり前と言えば当たり前か。
 装飾が施された皿などが多いことから、来客用とかパーティー用?などに使う為のものだろう。
 ここには目ぼしいものは……おや?
 一番下の棚に何かある。
 ……ビデオテープ!?
 VHSテープがここに置かれていた。
 これまた埃被っている上、ラベルも所々シミが出来ていて、タイトルがよく読めない。
 何とか、『6月1日 廃屋探索』というのが読み取れたくらいだ。
「ふーむ……」
 そう言えば私が目が覚めた所……。
 応接間らしき部屋に、テレビとビデオデッキがあった。
 それでこのテープの中を見れるのではないか。
 何かヒントが隠されているかもしれない。
 私は応接間に急いだ。

 ところでふと気づいたのだが、この家、和室が無い。
 いや、まだこの家の全体を探索していないので結論を出すには早いのだが、何か……日本の家ではないみたいな感じを受けた。
 アメリカの民家?みたいな……。
 アメリカのホームドラマなどに出てくる民家の中、それを廃屋化したらこうなるのではないかといった感じだ。
 応接間に行く途中に、2階に上がる階段がある。
 応接間に行く前に、私は2階に上がってみることにした。
 階段を上がると、ギィギィと木の軋む嫌な音がする。
 そこは何だか、屋根裏部屋的な造りになっていた。
 何だか、本当に日本人の家ではないような感じだな。
 “ホーム・アローン”の主人公の家も、階段を上がったら屋根裏部屋な造りだったでござる的な感じじゃなかったか。
「!?……びっくりした!」
 いや、人影が見えたので誰かいるのかと思ったのだが、よく見たらマネキンだった。
 それも3体。
 全部女性のマネキンで、服は着ておらず、頭髪も無い。
 何でこんなものが民家の中に?
 この家の住人の中に、デザイナーでもいたのだろうか?
 2階にも机と椅子があり、そこの電気スタンドが点いていた。
 やはり、停電はしていないようだ。
 机の上には写真が数枚と、メモ書きが1つ。
 メモ書きを見ると、殴り書きで、『奴らを石で叩き殺す』と書かれていた。
 どういう意味だ?
 写真を見ると、こちらに関しては私が驚きを隠せなかった。
 全部、見覚えのある風景写真だったからだ。
 結論から言えば、全部あの霧生市内の写真である。
 1枚は私と高橋が1番最初にバイオハザードに遭遇したレストランの入口の写真、1枚は霞台団地の入口を写したもの、1枚は霧生電鉄霞台団地駅の入口、1枚は大山寺の境内と、最後はアンブレラの研究所の建物外観の写真だった。
 写真の裏を見ると撮影日時が書かれていたが、どれもが10年以上前のものである。
 つまりこれは、バイオハザードが起きる前に撮られた写真のようだ。
 それで写真の中からは、長閑な地方都市の空気が感じられたわけだな。
 しかし最後のアンブレラ研究所の写真には日付が書いておらず、ただ、『リサ、愛してる』としか書かれていなかった。
 リサという言葉に私は聞き覚えがある。
 女子中学生が白い仮面を着けた少女。
 “トイレの花子さん”のようであるが、アンブレラ・ジャパンからは『日本版リサ・トレヴァー』と呼ばれ、化け物扱いされていたコだ。
 あのコは今、どこで何をしているだろうか?
 あの後、あのコは警察に連れて行かれたんだっけ。
 押し掛け事務員になった高野の話によれば、政府のモルモットにされている的なことを言っていたが、それはかわいそうだと思っている。
 曲がりなりにも仮面を取れば人間の姿をしているのだから、人間扱いしてあげるべきだと思うのだが。
 で、何でこの写真がこの家の中に?
 まさかここは、本当にあのリサの家ではないだろうな?
 ここで考えていても仕方が無い。
 取りあえずこれ以上、目ぼしいものは見つから無さそうだ。
「ん……!?」
 私は再び階段に向かおうとして、何か違和感を覚えた。
「……!?」
 3体のマネキンがこちらを向いていた。
 ただそれだけなのだが、確かさっき私が見つけた時は、マネキン達は壁の方を向いていたと思ったが……?
 薄暗かったから、よくは覚えていない。
 でも、机の方は向いていなかったよなぁ……?
 で、何より解せないのは、マネキンが1体増えていることだ。
 階段の降り口の真ん前にドンと置かれている。
 ちょっと待て!私が階段を上った時、こんな所にマネキンは無かったぞ?
 誰かがこっそり置いたのか?
 いや、だとしたら物音くらいするはずだ。
「誰だ!?誰かいるのか!?」
 私は辺りに向かって叫んだ。
 だが、それに答える者はいなかった。
「……!」
 私は背中に寒気のようなものを感じた。
 この家には恐らく、私以外の誰かがいるのだろう。
 それは助手の高橋君かもしれないし、或いは私をここに連れ込んだ悪意ある者かもしれない。
 マネキンに何か仕掛けでもあるのではないかと調べてみたが、全裸で頭髪も無い女性型のマネキンに、これといった仕掛けらしいものは見られなかった。
 私は慎重に階段を下りた。
 そして、先ほどの応接間に向かう。
 もうすぐ寿命が来るのか、チェストの上に置かれている電気スタンドがチカチカッと点滅した。
 ……点滅?
 電気スタンドで使用しているのは、電球型の蛍光灯なのか?
 ただの電球なら、寿命が来ても点滅しないはずだ。
 ますます薄気味の悪い!
 私は急いで応接間に向かった。
「!?」
 すると何だか、呻き声のようなものが聞こえた。
 猛獣の唸り声のようにも聞こえるし、人の呻き声にも……。
 まさか、ゾンビか!?
 ゾンビの唸り声のようにも聞こえた。
 私は……。

 1:周囲を確認した。
 2:応接間に入った。
 3:その場から逃げ出した。
 4:大声で叫んだ。
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“私立探偵 愛原学” 「廃屋」

2016-10-03 10:22:35 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[日付不明 時刻不明 天候不明 場所不明]

「う……うう……」
 私は気が付くと、真っ暗闇の中に放置されていた。
 ここはどこだ……?

 私の名前は私立探偵、愛原学。
 あれから本業である探偵業の傍ら、霧生市におけるバイオハザード事件の調査を独自に始めていた。
 そんな時、再び地方から仕事の依頼があり、私と高橋君で向かったのだが……。
「高橋君……?高橋君、いるかい……?」
 体の節々が痛い。
 しかし、どこか骨が折れてたりとかいうことは無さそうだ。
 それにしても、ここはどこだ?
 高橋君はどこに行った?
 そして、どうして私はここにいるのだろう……?
「んっ?」
 何者かにここに連れ込まれた恐れがあるものの、拘束されているというわけではなかった。
 それに……。
「おおっ!」
 立ち上がった時、足元に何かが当たる感触がして拾い上げると、それは懐中電灯だった。
 幸いスイッチを入れると、ちゃんとライトが点いた。
 それで辺りを照らしてみると、何かの建物の中であることが分かった。
「ここは……?誰かの家か?」
 恐らく、かつてはそうだったのだろう。
 かつては、というのは、私のいる場所が余りにも朽ちていたからである。
 古い茶色の革製のソファに、所々剥げ墜ちた壁。
 天井も所々穴が開いて、梁が剥き出しになっている。
 誰も住んでいない廃屋のようだった。
 こんな所に入った記憶は、私には無い。
 確か、高橋君と車で現場に向かっている最中……車が事故に遭ったのだ。
 それから記憶が無く、気がついたらここにいた。
 誰かが助けてくれたとは思えない。
 幸い私にケガは無かったようだが、それなら何故こんな廃屋に連れ込まれているのか。
 朽ち果てた応接間のようだった。
 そして、この部屋には私以外に誰もいないことが分かった。
「!?」
 私はふとそこで、電源が入って砂嵐の画面が映るテレビを見つけた。
 古い型のブラウン管のテレビだ。
 その上には、これまた今は製造中止になっていると思われるVHSテープのビデオデッキもあった。
 テレビは他のチャンネルに回しても映らなかったが、しかしこうやって点いているところを見ると、ただの廃屋ではないのか?
 もし空き家で廃屋だったら、電気も止まっているはずだ。
 私は懐中電灯を手に、部屋の外に出ることにした。
 ドアの横には電気のスイッチがあり、それを押してみたが、室内の照明が点くことは無かった。
 やはり、停電している?それとも……。
 もし誰か悪意のある者が私をここに連れ込んだとしたら、ドアには鍵が掛かっているかもしれない。
 私は慎重に、ドアノブを回した。

 ……開いた!
 私はそっとドアを開け、その向こう側を覗いてみた。
 もし実はそこに見張り役がいたとしたら、いきなり襲われるかもしれない。
 キョロキョロと辺りを見回してみたが、誰もいないようだった。
 ドアの向こう側は廊下になっていた。
 造りからして、やはり民家が廃屋になったものらしい。
 右にはもう1つドアがあった。
 そのドアを開けようとしたが、鍵が掛かっている。
 内鍵にはなっておらず、どこかで鍵を手に入れる必要がありそうだ。
 左に行くと、廊下が続いていた。
 やはりこの家は、ただの廃屋ではないのか?
 廊下の途中にチェストがあり、その上には電気スタンドが置かれていて、電球が灯っていた。
 空き家で限り無く廃屋に近いが、ちゃんと所有者や管理者はいて、一応の管理はされているということなのだろうか?
「あー、少し明るくなってきた……」
 どうやら、今は夜ではないらしい。
 廊下を進むと、まず左後ろに2階に上がる階段があった。
 廊下の突当りには窓があり、そこから日差しが差し込んでいる。
 少し、ホッとした。
 窓に近づくと、外側には格子がされていて、ここからは脱出できそうにない。
 それに、日差しはあるものの、だいぶ太陽は低い位置にあった。
 これは朝日なのか、それとも夕日なのか……。
 もし夕日だとするなら、早いとこ脱出しないとすぐに夜になってしまう。
 今気づいたのだが、今の私は腕時計もケータイも財布も無くなっていた。
 ここに私を連れ込んだ者が奪い取って行ったのかもしれない。
 だから、今の時間は全く分からない。
 時計は家の中にあるのだが、しっかり止まっていた。
 廊下の突当りにある時計は、10時38分くらいで止まっている。
 廊下の突当りを左に曲がると、そこは台所になっていた。
 腐臭が物凄い。
 台所の窓から差し込む日差しが幾分、不安を和らげてはくれるが、この腐臭がそれをかき消してしまっている。
 家財道具がそのままになっているということは、ここの住人達は普通に引っ越して行ったわけではなかったのか?
 テーブルの上には鍋が置かれていて、その蓋を開けると……。
「わあああっ!」
 中からゴキブリの大群が飛び出してきた。
 私の腕に集って来たので、慌てて払った。
 全く。余計なことはするものではないな。
 あの古めかしい冷蔵庫や電子レンジにも何かが入っていそうだが、何だか開けたくない。
 しかし、家財だけでなく、食材までそのままとは……一体、この家で何があったのか?
 住人が引っ越した後、買い手も借り手も無く、そのまま空き家になって廃屋化したという話はよく聞くが、この家はそんなステレオタイプではないのか。
 どうやらこの家は廃屋化してから、何年も経っているように見える。
 私は腐臭の充満する台所を抜け、反対側に出た。
 その先も廊下が続ていていた。
 曲がり角には木製の戸棚があったが、観音開きのドアを封印するかのようにチェーンが掛けられ、南京錠で施錠されている。
 中に何があるのか気になったが、何故かチェーンも南京錠も、真新しいものではないものの、何年もそのままにされてある割には、そんなに錆びついているわけでも無かった。
 やはり、最低限の管理はされているということなのだろうか。
 だとしたら、何とかして外部と連絡を取りたいところだが……。
 この家には電話が無いのだろうか。
 電気が通っているということであれば、電話があれば外部と連絡が取れそうなものだが……。
 廊下の先は明るかった。
「あっ!」
 突き当りにはドアがある。
 そのドアには擦りガラス窓があり、そこからも日差しが差し込んでいた。
 やった!どうやら、あそこから出られそうである。
 私はそのドアに近づいたが、その手前で足を止めざるを得なかった。
「わっ!?何だこれ!?」
 ドアの手前には、動物の死体が転がっていた。
 それも、犬や猫の類ではない。
 もっと大型の……牛とか馬の類だ。
 すぐにそれと分からないのは、頭部が無くなっている上、やはり死骸になってから何年も経っているのか、半分以上白骨化しているからである。
 少なくとも、形からして人間の死体では無いようだ。
 何でこんなものが家の中にあるのだろう?
 それよりも、早く外に!
 私は非常口だか勝手口らしきドアのノブを回した。
 だが、鍵が掛かっていた。
 しかも、何故か内鍵にはなっていない。
 鍵穴があったのだ。
「くそっ!」
 どうやら私をここに連れ込んだ者は、さっきの応接間の中だけに閉じ込めたのではなく、この家全体に閉じ込めたつもりであるようだ。
 しかし、ここで諦めては探偵失格だ。
 きっとどこかに、脱出の手掛かりがある!……はずだ。
 もしかしたら、どこかに鍵があるかもしれない。
 私はまだ探索していない箇所を探すことにした。
 来た道を引き返すと、さっきの動物の死体の上に何かが落ちているのが見えた。
 これは何だろう?
 日差しの当たらない場所だったので、薄暗くてよく分からない。
 私は懐中電灯を再び照らして、気になった場所を照らしてみた。
 すると、そこにあったのは……。

 1:どこかのドアの鍵
 2:犯人からのメッセージ
 3:何かの工具
 4:他の動物の骨だった。
 5:見当もつかない。
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