[10月7日18:00.天候:晴 東京都江東区豊洲 敷島エージェンシー]
敷島:「……というわけで、犯人一味には一刻も早く法の裁きを受けるよう強く勧告するものであります!」
敷島は社内の会議室で記者会見を行っていた。
それほどまでに、巡音ルカも古参ボーカロイドとして多くの固定ファンを掴んでいたのだ。
記者A:「ルカさんの復帰までには、どれだけ掛かりそうですか?」
敷島:「今のところ、目処は立っていません」
記者B:「ルカさんは上半身と下半身を真っ二つにされたそうですが、そもそも修理は可能なのでしょうか?」
敷島:「DCJ……デイライト・コーポレーション・ジャパンの担当者様によりますと、幸いながら頭部の電子頭脳などには損傷が無かったため、修理は可能であることのことです」
記者C:「専属マネージャーの方の容態は如何ですか?」
敷島:「マネージャーにおいては、頭部を殴られたことによる、頭がい骨骨折の重傷です。その他、打撲の症状もありました。しかし幸いのところ、脳などへの影響は無く、一命は取り留めたとのことです」
記者D:「犯人に心当たりはありますか?」
敷島:「ルカとて頑丈なボーカロイドです。戦闘力は無いものの、銃弾を数発食らったところで平気なほどです。しかし、そんなルカを意図も簡単に真っ二つにしてしまったのです。これは人間技では有り得ません。先日、多摩地区の工場より脱走したロボットに他なりません。そして、そのロボットを悪用している人間達には強い憤りを覚えるものであります」
[同日同時刻 天候:晴 都内某美術館]
〔「……強い憤りを覚えるものであります」〕
ケータイのワンセグを切るボス。
ボス:「フン、たかだかロボットの1機壊れたくらいで大騒ぎしやがって。今後も俺達の仕事の邪魔はさせねぇぞ」
ボスはそのケータイで、部下に連絡を入れた。
ボス:「……おう、俺だ。どうだ?準備はできたか?」
部下A:「万端です。あとは夜中、警備が手薄になったところを狙うだけです」
ボス:「フランケンとヤスの見せ場だな。ヤスのヤツ、フランケンを連れて来る前までは失敗ばかりしてやがったが、ようやく仕事ができるようになったぜ」
部下A:「へい。あとは俺達に任せて下さい」
ボスは電話を切った。
ボス:「それにしても、よくフランケンの居場所がバレねぇもんだ。上手く行き過ぎて、逆に心配なくらいだぜ」
部下B:「ロボットには必ずGPSや識別信号発信機なるものが取り付けられるそうです。フランケンの場合、それが取り付いていないみたいです。それでバレねぇんでしょう」
ボス:「そういうことってあるのか。まあいい。サツにパクられず、仕事が上手く行くってんなら、細けぇことはどうでもいいんだがな」
[10月8日02:00.天候:晴 東京都内某美術館内]
館内を巡回する1人の警備員。
だが、その警備服に身を包んでいるのはヤスだった。
ヤスは常設展示室にある、とある彫像の前で止まった。
そして、制服のベルトに吊るしてある鍵束の1つをその彫像に突き刺す。
すると、その彫像が動き出した。
ヤス:「フランケン、仕事の時間だぜ」
フランケンは真っ白に塗装されていた。
彫像に化けていたのだった。
警備員に化けたヤスといい、このコンビがどんな作戦でこのように至ったのかは省略するが、とにかくヤス達は仕事を開始した。
向かう先は特別展示室。
そこで行われている“世界の宝石展”に展示されている宝石をごっそり奪うのが目的だった。
ヤスはマニュアル片手に、機械警備を解除する。
モノがモノだけに、警備室で一斉解除をすることはできず、現場で解除する必要があった。
ヤスはどういうわけだか、その方法を入手したのである。
元々、謀略に長けてはいたのかもしれない。
ヤス:「よし。警備は解除した。監視カメラも全て止めたし、これで俺達はやりたい放題だ。フランケン、行けっ!」
ヤスが命じると、フランケンは強化ガラスのショーケースをいとも簡単に破壊し、中にあった宝石を次々とバッグに詰め込んだ。
フランケン:「!!!」
その時、フランケンが顔を上げて動きを止めた。
ヤス:「どうした、フランケン?」
フランケン:「アーッ!」
フランケンはブラインドの下ろされた窓を指さした。
ヤス:「何だ?窓の外に何かいるのか?」
ヤスはそっとブラインドの隙間から窓の外を除いた。
ヤス:「げっ!?あ、あいつは……!」
外にいたのはシンディだった。
ヤス:「何故にバレたし!?フランケン、隠れるぞ!」
フランケン:「アー!」
[同日同時刻 天候:晴 某美術館外]
シンディ:「ほらっ!こんな所に隠れてんじゃないよっ!さっさとマスターの所に戻りな!」
シンディはフランケンを見つけてここに来たのではなかった。
たまたま“家出”したバージョン4.0の捜索依頼を受け、連れ戻しに来たのだった。
シンディ:「いくらマスターが扱き使うったって、あんたはロボットなんだからね。扱き使われてナンボなの!いいから早く戻りな!」
4.0:「キュルキュルキュルキュル……」
シンディ:「あ?何だって?」
4.0:「フランケン・シュタインみタイなロボットが、コノ中ニイマスヨ」
シンディ:「テメェ、言うに事欠いて適当なこと言ってんじゃねぇぞ、コラ?」
シンディは右手をマグナムに変形させて、4.0の246号機に突き付けた。
246号機:「本当デス!コノ目デ見マシタ!本当デス!本当デス!」
シンディ:「分かった。そこまで言うのなら、確認してやろうじゃない。もし嘘だったら……分かってるよな?」
246号機:「モチロンデス!」
シンディ:「それと、確認しに行っている間に逃げても……分かってるよな?アタシから逃げようたって、無理な話だぞ?」
246号機:「分カッテマス!」
シンディ:「よし!」
シンディは右手を通常の腕に戻すと、美術館の入口に向かった。
もっとも、当然ながら通常の入口は閉鎖されている。
夜間通用口へ向かってみた。
そこには照明が点いていて、鍵も掛かっていなかったのだが……。
シンディ:「こんばんはー。どなたかいらっしゃいますか?」
シンディは警備室の受付に声を掛けた。
だが、中には誰もいないようだ。
シンディ:「?」
不審に思って警備室のドアを開けようとするが、鍵が掛かっている。
巡回に行っているのだろうか。
仕方が無いので、そのまま奥へ進むことにした。
もし警備員に見つかったら、事情は説明するつもりだが、ちょっと苦しいだろうか。
そんなことを考えながら、展示室エリアに向かう。
シンディ:(おかしいわね。ロボット科学館でさえ、いくら警備員常駐でも夜中は機械警備を掛けてるってのに……。巡回だから外してるのかしら?……いや、でも不自然だわ)
そして常設展示室の中に、台座だけという不自然な箇所があった。
シンディ:(台座だけ?この上に乗っていた彫像はどこに?……!!)
そこでシンディ、特別展示室の扉が開いていることに気づいた。
シンディ:(やはり、何かあったんだわ!)
シンディは急いで特別展示室の中に入った。
こここそ夜中は機械警備を掛けておかなければならないはずなのに、全くその反応が無い。
そして、
シンディ:「やられてる!!」
シンディは宝石が入っていたであろうショーケースがものの見事に割られ、中身がごっそり無くなっているのに気づいた。
と、同時に、機械警備が入った感じがした。
シンディ:「はっ!?」
当然ながら、館内中に警報が鳴り響いた。
シンディ:「ま、まずい!」
慌てて美術館の外に出ようとする。
だが、夜間通用口の外に出たところで、警察が待ち構えていた。
鷲田:「そうか。やはりオマエが犯人だったか」
シンディ:「ち、違います!私は……」
ヤス:「そうです!この女です!警備員の私がはっきりと見ていました!」
シンディ:「私じゃありません!」
鷲田:「黙れ!この泥棒ロボットめ!逮捕しろ!!」
シンディは手錠を掛けられた。
もちろん、シンディなら人間用の手錠など簡単に引きちぎることができる。
さあ、どうする、シンディ!?
1:手錠を引きちぎる
2:そのまま連行される。
3:左手から高圧電流を放射する。
4:右手を銃火器に変形させて発砲する。
敷島:「……というわけで、犯人一味には一刻も早く法の裁きを受けるよう強く勧告するものであります!」
敷島は社内の会議室で記者会見を行っていた。
それほどまでに、巡音ルカも古参ボーカロイドとして多くの固定ファンを掴んでいたのだ。
記者A:「ルカさんの復帰までには、どれだけ掛かりそうですか?」
敷島:「今のところ、目処は立っていません」
記者B:「ルカさんは上半身と下半身を真っ二つにされたそうですが、そもそも修理は可能なのでしょうか?」
敷島:「DCJ……デイライト・コーポレーション・ジャパンの担当者様によりますと、幸いながら頭部の電子頭脳などには損傷が無かったため、修理は可能であることのことです」
記者C:「専属マネージャーの方の容態は如何ですか?」
敷島:「マネージャーにおいては、頭部を殴られたことによる、頭がい骨骨折の重傷です。その他、打撲の症状もありました。しかし幸いのところ、脳などへの影響は無く、一命は取り留めたとのことです」
記者D:「犯人に心当たりはありますか?」
敷島:「ルカとて頑丈なボーカロイドです。戦闘力は無いものの、銃弾を数発食らったところで平気なほどです。しかし、そんなルカを意図も簡単に真っ二つにしてしまったのです。これは人間技では有り得ません。先日、多摩地区の工場より脱走したロボットに他なりません。そして、そのロボットを悪用している人間達には強い憤りを覚えるものであります」
[同日同時刻 天候:晴 都内某美術館]
〔「……強い憤りを覚えるものであります」〕
ケータイのワンセグを切るボス。
ボス:「フン、たかだかロボットの1機壊れたくらいで大騒ぎしやがって。今後も俺達の仕事の邪魔はさせねぇぞ」
ボスはそのケータイで、部下に連絡を入れた。
ボス:「……おう、俺だ。どうだ?準備はできたか?」
部下A:「万端です。あとは夜中、警備が手薄になったところを狙うだけです」
ボス:「フランケンとヤスの見せ場だな。ヤスのヤツ、フランケンを連れて来る前までは失敗ばかりしてやがったが、ようやく仕事ができるようになったぜ」
部下A:「へい。あとは俺達に任せて下さい」
ボスは電話を切った。
ボス:「それにしても、よくフランケンの居場所がバレねぇもんだ。上手く行き過ぎて、逆に心配なくらいだぜ」
部下B:「ロボットには必ずGPSや識別信号発信機なるものが取り付けられるそうです。フランケンの場合、それが取り付いていないみたいです。それでバレねぇんでしょう」
ボス:「そういうことってあるのか。まあいい。サツにパクられず、仕事が上手く行くってんなら、細けぇことはどうでもいいんだがな」
[10月8日02:00.天候:晴 東京都内某美術館内]
館内を巡回する1人の警備員。
だが、その警備服に身を包んでいるのはヤスだった。
ヤスは常設展示室にある、とある彫像の前で止まった。
そして、制服のベルトに吊るしてある鍵束の1つをその彫像に突き刺す。
すると、その彫像が動き出した。
ヤス:「フランケン、仕事の時間だぜ」
フランケンは真っ白に塗装されていた。
彫像に化けていたのだった。
警備員に化けたヤスといい、このコンビがどんな作戦でこのように至ったのかは省略するが、とにかくヤス達は仕事を開始した。
向かう先は特別展示室。
そこで行われている“世界の宝石展”に展示されている宝石をごっそり奪うのが目的だった。
ヤスはマニュアル片手に、機械警備を解除する。
モノがモノだけに、警備室で一斉解除をすることはできず、現場で解除する必要があった。
ヤスはどういうわけだか、その方法を入手したのである。
元々、謀略に長けてはいたのかもしれない。
ヤス:「よし。警備は解除した。監視カメラも全て止めたし、これで俺達はやりたい放題だ。フランケン、行けっ!」
ヤスが命じると、フランケンは強化ガラスのショーケースをいとも簡単に破壊し、中にあった宝石を次々とバッグに詰め込んだ。
フランケン:「!!!」
その時、フランケンが顔を上げて動きを止めた。
ヤス:「どうした、フランケン?」
フランケン:「アーッ!」
フランケンはブラインドの下ろされた窓を指さした。
ヤス:「何だ?窓の外に何かいるのか?」
ヤスはそっとブラインドの隙間から窓の外を除いた。
ヤス:「げっ!?あ、あいつは……!」
外にいたのはシンディだった。
ヤス:「何故にバレたし!?フランケン、隠れるぞ!」
フランケン:「アー!」
[同日同時刻 天候:晴 某美術館外]
シンディ:「ほらっ!こんな所に隠れてんじゃないよっ!さっさとマスターの所に戻りな!」
シンディはフランケンを見つけてここに来たのではなかった。
たまたま“家出”したバージョン4.0の捜索依頼を受け、連れ戻しに来たのだった。
シンディ:「いくらマスターが扱き使うったって、あんたはロボットなんだからね。扱き使われてナンボなの!いいから早く戻りな!」
4.0:「キュルキュルキュルキュル……」
シンディ:「あ?何だって?」
4.0:「フランケン・シュタインみタイなロボットが、コノ中ニイマスヨ」
シンディ:「テメェ、言うに事欠いて適当なこと言ってんじゃねぇぞ、コラ?」
シンディは右手をマグナムに変形させて、4.0の246号機に突き付けた。
246号機:「本当デス!コノ目デ見マシタ!本当デス!本当デス!」
シンディ:「分かった。そこまで言うのなら、確認してやろうじゃない。もし嘘だったら……分かってるよな?」
246号機:「モチロンデス!」
シンディ:「それと、確認しに行っている間に逃げても……分かってるよな?アタシから逃げようたって、無理な話だぞ?」
246号機:「分カッテマス!」
シンディ:「よし!」
シンディは右手を通常の腕に戻すと、美術館の入口に向かった。
もっとも、当然ながら通常の入口は閉鎖されている。
夜間通用口へ向かってみた。
そこには照明が点いていて、鍵も掛かっていなかったのだが……。
シンディ:「こんばんはー。どなたかいらっしゃいますか?」
シンディは警備室の受付に声を掛けた。
だが、中には誰もいないようだ。
シンディ:「?」
不審に思って警備室のドアを開けようとするが、鍵が掛かっている。
巡回に行っているのだろうか。
仕方が無いので、そのまま奥へ進むことにした。
もし警備員に見つかったら、事情は説明するつもりだが、ちょっと苦しいだろうか。
そんなことを考えながら、展示室エリアに向かう。
シンディ:(おかしいわね。ロボット科学館でさえ、いくら警備員常駐でも夜中は機械警備を掛けてるってのに……。巡回だから外してるのかしら?……いや、でも不自然だわ)
そして常設展示室の中に、台座だけという不自然な箇所があった。
シンディ:(台座だけ?この上に乗っていた彫像はどこに?……!!)
そこでシンディ、特別展示室の扉が開いていることに気づいた。
シンディ:(やはり、何かあったんだわ!)
シンディは急いで特別展示室の中に入った。
こここそ夜中は機械警備を掛けておかなければならないはずなのに、全くその反応が無い。
そして、
シンディ:「やられてる!!」
シンディは宝石が入っていたであろうショーケースがものの見事に割られ、中身がごっそり無くなっているのに気づいた。
と、同時に、機械警備が入った感じがした。
シンディ:「はっ!?」
当然ながら、館内中に警報が鳴り響いた。
シンディ:「ま、まずい!」
慌てて美術館の外に出ようとする。
だが、夜間通用口の外に出たところで、警察が待ち構えていた。
鷲田:「そうか。やはりオマエが犯人だったか」
シンディ:「ち、違います!私は……」
ヤス:「そうです!この女です!警備員の私がはっきりと見ていました!」
シンディ:「私じゃありません!」
鷲田:「黙れ!この泥棒ロボットめ!逮捕しろ!!」
シンディは手錠を掛けられた。
もちろん、シンディなら人間用の手錠など簡単に引きちぎることができる。
さあ、どうする、シンディ!?
1:手錠を引きちぎる
2:そのまま連行される。
3:左手から高圧電流を放射する。
4:右手を銃火器に変形させて発砲する。