桒田三秀税理士

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苦情買い取ります

2014-07-03 07:44:10 | 経営
 福井商工会議所が平成15年から始めた「苦情・クレーム博覧会」という取り組みがある。

 キャッチフレーズは「あなたの苦情、買います」。

 1050円を支払った閲覧者が500円(1票100円)分の投票権を持ち、企業の商品開発やサービス改善に有益な意見に投票。有益な意見を寄せた人は得票ごとに100円を得る仕組みだ。

 福井商工会議所の担当者は「大企業ならお客さまの声を生かして商品開発できるが、中小企業にはない。そういう商品開発につながればと、お客さまの声を集めようとした」と明かす。

 そこから生まれた「濡れない傘、ヌレンザ!」

 一本3万円以上の高級傘で、中には、奄美大島の特産品「大島紬」を使った97万2千円の“超高級品”まである。

 売れ筋は3万~4万円だという「ヌレンザ」。

 撥水性抜群の傘だ。

 《ぬれた傘を車の中に持ち込んだら、ビチョビチョになった》

 《傘を閉じても、電車の中でぬれてしまった》

 こうした苦情を聞いて、ヌレンザの橋本社長は、傘を閉じたら水滴が全部一気に落ちるような傘ができれば、これらの問題は解決できるとして開発に着手した。

 壁に当たる度、何度も途方に暮れた。そんなとき、ふとハスの葉が頭をよぎったという。

 ハスの葉は決してぬれることがない。葉に落ちた雨は表面張力で玉のように丸まり、水滴となって転がり落ちる。葉の表面に極めて微細な凹凸があり、水をはじいているからだ。

 このハスの葉の表面構造を応用した。

 17年1月、布地に水をはじく高密度のポリエステルを使い、閉じると瞬間に水滴をはじき、常に乾いた状態を維持する傘を販売。当初計画の3倍の売り上げを記録した。

 この「苦情・クレーム博覧会」。15~21年度に4万件超の応募があった。

 残念ながら、「役目は終わった」(福井商工会議所)として、21年度に終了した。
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