"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

【手前味噌仕込みの会】無事終了

2009年05月10日 13時37分25秒 | 主催する催し

 旧四月十六日。昨夜は明るい満月の夜。そして【立夏】(5月5日)から五日。初夏らしく眩しい陽気になってきました。
 今年で四回目の開催となりました“暮らしのリズム”と“居酒屋ニュー信州”の共催イベント【手前味噌仕込みの会】を昨日(5月9日土曜日)行いました。例年以上にたくさんの皆さんにご参加頂きまして、厚く御礼を申し上げます。そして今年は初めて参加された方が全参加者の半分以上、15名ということで、賑やかで楽しい会になりました。
 
手前味噌仕込みの会】では、メンバーの皆さんがそれぞれ一升の瓶を持っています。大豆を煮て潰し、こうじと塩と混ぜて2kgの仕込み味噌を瓶に詰めて持ち帰ります。同じ条件で作った仕込み味噌は、熟成させる環境によって微妙に風味が異なるのは、手前味噌ならではの興味深い楽しみです。半年ほど熟成させ、秋にはメンバーの皆さんが少しずつ手前味噌を持ち寄って自慢し合う、文字通り【手前味噌自慢の会】も行います。
0510miso  今年の仕込み量は30升分。およそ60kg。材料は大豆18kg、こうじ13.5kg、塩が7.4kgです。前夜の24時に水に浸した大豆を13時間後の当日午後1時に煮始めます。大きな鍋四つに分けえて厨房のガスレンジをフル稼働させて2時間ほど。大豆を煮ている間に塩とこうじをよく混ぜ合わせておきます。居酒屋ニュー信州の座敷に大きなシートを敷いて、こうじのかたまりをほぐしながら塩をよく馴染ませてゆきます。0510daizu そして大豆が潰すのにはまだちょっと早く食べるのにはちょうど良くなった頃。恒例のつまみ食い。熱々の大豆をを醤油に漬けるだけ。これがたまりません。甘みと旨味がぎゅっと詰まったチーズのような風味です。煮汁も自然の甘みが程よく美味しいです。なかなか自宅では乾燥大豆を煮ることもありませんが、大豆そのものの奥深さには毎回目から鱗ものの驚きと感動があります。作業に戻りましょう。大豆が煮上がると、ここからが醍醐味。皆で一斉に潰します。ボウルに入れた大豆をポテトマッシャーで潰すのがオーソドックスなやり方ですが、今回は、ビニール袋に入れてビール瓶で押しつぶす方法をメンバーの一人が見出しました。これはいいです。効率よくきれいに潰せました。潰した大豆が人肌に冷めてたら、こうじ・塩と混ぜ合わせます。この時、仕上がりの味噌を想定して、程よい加減になるまで煮汁を加えて行きます。これで仕込み味噌が完成。あとは各自の瓶に仕込んで行きます。空気をしっかり抜いて、表面をきれいに均して塩を薄くふり、ラップを被せて重石を載せたら仕込みは完了。お疲れ様でした~。
 仕込み作業のあとはやっぱりこれ。乾杯・打ち上げ・酒宴。これも大事です。前日に青森・奥津軽から届いた山菜が彩りを添えます。お店のお振る舞いでテーブルに並んだのは「山うど、うるいと酢みそ」「地鶏のこうじ味噌漬け焼き」「筍とわかめの味噌汁」。程よい塩分と味噌の風味でお酒の呼び水になりました。肴のメニューにも山菜が盛りだくさんで、みちのくや新潟の遅い春、芽吹きの季節が目に浮かんできます。そこで奥津軽の葉わさびを使って、ニュー信州店主の榎慎一さんが、わさび漬けの実演を披露してくれました。佐渡の大吟醸酒粕を米焼酎で柔らかく延ばしておきます。葉わさびの茎と根は細かく刻んで塩揉みし、熱湯を一気に掛けて水で晒し、絞ったら密封の広口瓶に入れて30分置きます。こうすることでわさびのつ~んとくる刺激が凝縮されて出てくるのだそうです。その辛さは想像を絶するほど強烈。眠気も酔いも一気に醒めるほどです。わさびと酒粕を素早く混ぜたら出来上がりです。わさび漬けを作る過程はなかなかお目にかかることが出来ないので、これは貴重な体験でした。
 傾いた陽が残る時間にスタートした宴も気がつけば終電間際。満月の明るい夜空のもと、家路を急ぎました。メンバーの皆さん、ありがとうございました。また秋にお会いしましょう。

大豆は上野・アメ横にある『松葉屋商店
で仕入れました。今回は三代目の康介さんも仕込みに参加して下さいました。お店には様々な豆類や乾物が並んでいます。お近くに行かれた際にはぜひ訪れてみて下さい。今回の大豆は青森産「おおすず」という品種の2.6玉というサイズ。とってもリーズナブルで美味しい大豆です。

こうじは静岡にある『鈴木こうじ店』から取り寄せています。今回は玄米のこうじを使ってみました。白米のこうじより栄養価、食物繊維などが豊富になるのではないでしょうか。近年こうじの人気がとても高いようです。ご自宅で仕込む場合には、仕込むひと月前くらいに発注した方が良さそうです。


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