旧閏七月十八日。二十四節気の【白露(はくろ)】は一昨日、9月8日でした。“野草に白露の宿る頃"です。朝晩はずいぶん涼しくなってきて、洗濯物も干しっぱなしにしていると夜露で湿ってしまうようになりましたね。
昨年もこのブログでご紹介した『あらかわの伝統技術展』(昨年の模様はこちら)。今年は例年の年末開催ではなくこの週末に行われました。今年で27回目を迎え、地元の人たちやものづくりの好きなファンの間ですっかり定着してきた様子です。訪れる人の数も年々増えてきているように感じますね。もちろん実演・展示をされている側からすれば、毎年変わることなく熟練した技術を披露しているわけです。なのでじわじわ関心が高まってゆくこと、子供たちが気軽に体験できる場となっている、というのは素晴らしいと思いました。
会場へのアプローチには日比谷線の三ノ輪駅から向かいます。都電荒川線の始発駅、三ノ輪橋駅近くの生活感溢れる雰囲気が大好きなので、必ずここを通るようにしています。最大の魅力は、都電と平行するように続くアーケードの商店街「ジョイフル三の輪」です。
八百屋さん、肉屋さん、魚屋さんなどに加えて、お総菜のお店が軒を連ねていて、空腹時には素通りできないたいへん魅力的な商店街です。その中に昔ながらの量り売りで味噌を売るお店を見つけたので、ご紹介しましょう。
昔はどこの町の商店街にもあった、樽がズラーっと並んだ味噌屋さん。坂本屋小島年一商店の中に一歩足を踏み入れてみると、様々な種類の味噌が混り複雑で食欲をそそる香りが鼻孔をくすぐります。樽の数はざっと二十数種類、全国各地から自慢の味噌を揃えています。
好みの味噌を単独で買うことはもちろん、用途に合わせてブレンドもしてくれるというのが嬉しいですね。お店を切り盛りされていたのはまだ若い女性です。「お店はおじいちゃんの代からやっています」というから昭和の初め頃でしょうか。一族で味噌屋さんを創業したのだそうですが「親戚でもお店をやめてしまったところが多くて・・・」とのことです。
自分で味噌を仕込むようになって、売っている味噌が今まで以上に気になるようになってきました。まだまだ素人の域。自分の自慢はそこそこにプロの自慢に耳を傾けたい、といった謙虚な気持でしょうか。そこでひとつ買ってみようと、勢揃いした個性的で美味しそうな味噌樽の前で佇んでしまいます。
「長時間熟成した米糀味噌でおすすめはどれですか」と尋ねると「この香りが駄目な人もいるのですが・・・」と薦めてくれたのが<辛口会津完熟味噌>です。芳醇で理想的な香りと色艶です。迷わずこれを1kgいただきましょう。なかなか市販の味噌では得難い香りです。聞くと、味噌を仕入れてからお店でさらに年単位で熟成を加えるそうです。「ここにある味噌はぜんぶ生きていますからね」とは頼もしく嬉しい言葉です。 造り手のこだわりを受け止め、自信を持って消費者に提供する姿はあっぱれです。下町の商店街にはまだまだ魅力に溢れてますね。
一夜明けて今朝、さっそく大根とじゃがいもで頂いた味噌汁は、納得できる期待以上の素晴らしい風味でした。
◆お店情報◆
坂本屋 小島年一商店
荒川区南千住1-22-9(tel : 03-3891-4965)
ジョイフル三の輪ホームページでの紹介
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