"暮らしのリズム"的できごと

先人が培った暮らしの知恵を通じて今を楽しむ【暮らしのリズム】のブログ。旧暦、落語、音楽、工芸品、食、民俗芸能などをご紹介

必見!『DOMA秋岡芳夫展』

2011年11月03日 11時07分04秒 | 催しごと

  旧十月八日。上弦の月です。11月に入っても暖かい日が続いています。昨日は一の酉。築地波除神社でも規模は小さいながら酉の市が行われ、半袖姿の人も目にする陽気の中、威勢のいい掛け声で熊手が売られていました。今年は二の酉(11月14日)、三の酉(11月26日)まであります。三の酉がある年は火事が多い、とよく言われますが、これ以上の災いがない穏やかな年の瀬になりますように。

 目黒区美術館で10月29日(土)に始まった展覧会『DOMA秋岡芳夫展~モノへの思想と関係のデザイン』を観に行ってきました。(12月25日まで開催)
1103yoshioakioka  圧倒されるヴォリュームの展示品と、秋岡芳夫の志が立体感を持って伝わって来る展示構成が素晴らしく、しばし夢のような空間を歩きながら、思わず頷いていたり口角が上がってしまうほどでした。
 『熊本県出身の秋岡芳夫(1920ー1997)は、童画家、工業デザイナー、生活デザイナー、プロデューサー、家具の収集家など多彩な顔を持ち、伝統と現代を融合させるそのユニークでユーモアのある思想と方法論は多くの人々に影響を与えてきました。』目黒美術館館長 田中晴久(パンフレット ごあいさつより)
 館内には、絵画、挿絵や装丁を行った本、椅子、ラジオキャビネット、露出計、カメラ、三菱鉛筆uni、学研「科学」の教材、オートバイ、子供のための家具、漫画によるレンダリング(アイディアの描写・描出)、ポット、木の食器、木製子供のおもちゃ、木工道具などなど紹介にある通り実に多彩です。そしてその一つ一つが有機的である、と表現したらいいのか、温もりを感じます。
 わたしを含めきっと多くの人が共感しているであろう、秋岡芳夫の言葉があります。

消費者をやめて愛用者になろう!

 1971年に刊行された著書『割り箸から車(カー)まで』のサブタイトルにある言葉です。初めてこの言葉を見た時、ハッとさせられるものがありました。モノをつくること、モノを手に入れること、モノを手放すこと、そのすべてが自分の暮らしの創造性に深く関わらなければならないことを考えさせられました。今年、日本はいろいろなことにおいて転換を迫られました。今こそこの言葉の重みを受け止め、暮らしを見直して行く時なのかもしれません。そういった意味でも、とてもタイムリーで重要な展示だと思います。
 館内に足を踏み入れるとまず目に飛び込んでくるのが、1500本もの竹とんぼです。秋岡芳夫は晩年の十年間、竹とんぼを作り続けました。二本と同じものが無いそうです。目にもシンプルな遊び道具、手を離れて9秒から11秒間滑空する竹とんぼ、その飛型の美しさは儚げではなく輝きなのだなぁ、と最後にもう一度竹とんぼを見て感じました。たくさんの人に観てもらいたい展覧会です。

DOMA秋岡芳夫展~モノへの思想と関係のデザイン
目黒区美術館 Meguro Museum of Art
2011年10月29日(土)~12月25日(日)月曜日は休館

秋岡芳夫の御次男、秋岡 欧はブラジル・スタイルのマンドリン、バンドリン奏者として、30年以上に渡って弦楽トリオ、ショーロ・クラブで活躍しています。優しくとても温厚な人柄でありながら、芯が強く創造力に満ち、とても魅力的です。生まれ育った環境とDNAをあらためて感じました。
Choro Club Homepage
秋岡 欧 Website


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