旧八月十六日。昨夜は中秋の名月、そして今日は十六夜(いざよい)です。
◆十六夜◆いざよいは「いさよう」「いざよう」からきた言葉で、ためらうぐずぐずする意がある。つまり、満月の翌日の十六夜の月は、月の出が四十分から一時間程度遅くなるので、そのことを月がためらっていると見立てて名付けられた。(「現代こよみ読み解き事典」より)
ここ数日間関東地方は昼夜を通して晴天に恵まれたため、日に日に月が満ちてゆくのを毎晩見ることができましたね。これは例年にない珍しいことのようです。昨夜の名月も今朝の新聞一面を飾るほど美しい月でした。三連休の中日ということもあって、いつもよりゆっくりじっくりお月見ができたのではないでしょうか。昔の人は十五夜の天候が悪いこともあってお月見ができないこともあったので、前後三夜くらいの月も愛でたと言われているそうです。
私事ですが金曜日の夜から中伊豆の山中に行って月夜を愉しんできました。街灯などの明かりがほとんど無いところでは、月の明かりは信じられないほど明るいものですね。空は一面藍染めのような色を纏い、山の稜線をくっきり見ることができます。木々の葉も月明かりを反射して微妙な輝きを発し、まだ開いていないススキの穂は白く照らされています。町に電気が灯される前の時代、月夜であるかそうでないかでずいぶんと人々の暮らしは違ったのでしょう。旧暦で言うところの十三日頃から十七日頃は、人々の夜の動きも活発になり、開放的になったのかもしれませんね。
(中伊豆の十四日月。普通に写真に撮ると月はホント小さいなぁ↑)
里芋の収穫を祝ったとされる中秋の名月を“芋名月”と称するのに対して、旧九月十三日の十三夜を“栗名月”と呼んで、この両方のお月見をするのが「縁起がよい」と言い伝えられてきます。収穫の時期、感謝する祝い事も多く、いよいよ食欲の秋本番ですね。明日は彼岸の入りです。
(←ススキを青磁の花瓶に。穂には偶然キリギリスがって、見えるかな~)