お盆です。正式には盂蘭盆といいます。旧暦七月十五日を中心に行われる行事なのですが、関東などではそのままカレンダーの7月15日頃に、西日本や東北などでは月遅れの8月15日頃に、旧暦の習慣が色濃く残る琉球では今でも旧暦で行われています。
昨日7月13日は迎え火でした。私が住む月島でも夕方玄関先で細い割木を燃やして先祖の霊をお迎えしている家がありました。
お盆といえば盆踊り。隣町、佃島の盆踊りが7月15日(金)までの3日間行われます。実は2年前に初めてここの盆踊りを見に来て、その魅力に惹かれてしまい、近くの月島に転居することにしてしまったほど、思い入れの強い芸能なんです。いても立ってもいられず踊りが始まる前から出掛けてしましました。
(なんとも小さな櫓です。木造家屋とタワーマンションのコントラストが妙)
佃島盆踊の起源は、明暦三年(1657年)の大火で消失した西本願寺を、新たに埋め立てられた築地に移築する際に尽力した佃島漁民が、延宝八年(1680年)に本堂完成を祝って始めたとされています。ざっと325年の歴史とは深いですね。またここ佃島は、かつて上流で大火が発生するとたくさんの亡骸が流れ着いていたそうです。信仰に厚い佃島の漁師たちは手厚く葬り、無縁仏として先祖の霊と共にこの盆踊りで祀ってきました。(ここでお線香をあげてから踊りの輪に加わります)
一般的な盆踊りといえば、派手な提灯と拡声器から流れる民謡や新民謡にたくさんの屋台が建ち並ぶ、といった風情、納涼大会的色合いが強いですね。それに比べると佃島盆踊はとてもシンプル。東京音頭も炭坑節もドラえもん音頭もありません。太鼓と唄だけによる七七七七の詞形を一連とする「口説き」の流れを汲む盆唄に、盆の供養にふさわしい、まさに念仏踊りの静かな踊りが延々と続いて行きます。一聴するに単純に思える唄と太鼓も、間のとり方、独特な旋律には高度な技術と熟練性が必要なのだと感じますね。今や名人の域にあるのは飯田恒雄さん一人なんだそうです。(このお方こそ名手・飯田恒雄さんです)
これだけ古い形式の盆踊りが高層ビルを見上げる都会の近くにひっそり継承されているのは、まさに奇跡。普段から氏神の住吉神社を手厚く祀っている佃島の人たちの伝統的な信仰心、そのパワーが明治政府の神仏分離政策のような荒波を乗り越えてきたのかもしれませんね。一見の価値あり。最終日の15日は先祖の霊に笑って楽しんでもらおうという趣向からか、仮装して踊るのです。恒さんの仮装も楽しみ。
~佃島盆踊りのリンクです~
東京中央ネット映像イベントカレンダー
NPO法人東京中央ネットが運営する東京都中央区のポータルサイトです。2分ほどのコンパクトな映像ですが雰囲気が伝わってきます。
盆踊りの世界
「湘南盆踊り研究会」という団体が運営する全国各地の伝統的盆踊りのガイドHP。歴史・沿革から様式に至るまで大変詳しく紹介しています。見ているだけでひきこまれる魅力的サイトです。