旧三月二十二日。昨日(4月20日)、二十四節気の【穀雨(こくう)】に入りました。春も残りわずかです。「百穀を潤す春雨」ということで、農業にはとても大事な雨です。東京では、金曜日あたりから肌寒く、スッキリしないお天気が続いています。この雨が長引くと「菜種梅雨」ということになります。菜の花や桜の季節は終わり、そろそろ藤の花が色づいてくる頃でしょう。
4月19日(土)は、“暮らしのリズム”が主催する【居酒屋寄席~志の吉あらため立川晴の輔真打昇進記念の会】でした。ご予約受付け開始からほどなくして満席となり、ご参加を希望されたたくさんの皆様をお断りしなければならない事態となってしまいました。ご要望にお応えできなかった皆様にはお詫びを、お運び頂いた皆様には御礼を申し上げます。
まず、高座に上がったのは、立川志の八さん。居酒屋寄席を始めるきっかけとなった、亡き立川文都師匠の形見である帯を締めての登場です。ネタは、この季節にぴったりの噺「長屋の花見」でした。貧乏長屋の大屋が発声し、長屋一同で上野の山に花見に行くという滑稽噺。酒の代わりに煮出した番茶を薄めたもの、卵焼きとかまぼこは、沢庵と大根のこうこで代用。なんとも楽しそうな江戸っ子のドタバタを、志の八さんは歯切れ良くリズミカルに聞かせてくれました。
続いて登場するのが、立川晴の輔さん。ご本人の希望もあって、しばらくは"師匠"とお呼びするのは控えることにしました(笑)。昨年12月1日に、立川志の輔一門から初の真打として昇進。3月30日には有楽町のよみうりホールで、お披露目の落語会を、4月6日にはホテルニューオータニで700人以上の出席者を迎えて昇進披露パーティを行ったばかりです。落語は人情噺の「薮入り」。奉公している息子が初めての薮入りで実家に帰ってくるというストーリー。気が短くて粗忽な職人気質の父親のふるまいがなんとも可笑しい。こういう噺は、晴の輔さんの手に掛かると、リアルに映像となって蘇ります。それぞれのキャラクターが活き活きしているからでしょう。成長ぶりと、真打としての落ち着きを感じさせる高座でした。
落語のあとは、お二人で、ちょっとトーク(左上)を。晴の輔さんの真打昇進の舞台裏など、面白すぎるので、ここでは触れられません。内容は封印しておきましょう。
第二部は、お二人を交えての宴です。晴の輔さん、志の八さんの発声で乾杯しスタート(右下)。振舞酒は、山形の銘酒「十四代本丸」(左下)です。そして、居酒屋ニュー信州から季節の味覚のお楽しみ、肴が三品。ようやく雪解けが始まった越後の山から山菜の「こごみ」。福岡の小倉からブランド筍の「合馬(おうま)たけのこ」の煮物。そして、東京農業大学出身の晴の輔さんの昇進披露パーティで、現役応援団とと共に踊った農大名物「大根踊り」。そこで実際に使われた大根を、ちり酢ともみじおろしで漬けた香の物(右上)です。蒲鉾じゃあありません。
宴の間、お二人は、お客様のテーブルを回って、話に花を咲かせていました。宴もたけなわ、中締めは、皆さんで三本締め。名残惜しい想いが強かったのですが、ここでお開きです。皆様ありがとうございました。
次回は6月21日土曜日。【居酒屋寄席~夏至の会】です。出演は、立川流の重鎮、江戸の風を吹かせたらピカイチの、向島生まれ向島育ち。立川龍志師匠。両脇を固めるのは、立川吉幸さんと龍志一門の泉水亭錦魚さんです。近日詳細をアップしますので、お楽しみに。