旧九月四日。二十四節気の【寒露】を迎えました。
陰寒の気に合って、露むすび凝らんとすればなり
『暦便覧』(天明八年/1788年出版)
朝夕など野草につく露のことを寒露と言います。冬鳥がぼちぼちやってきて、コオロギが鳴き止む頃、とされていますが、やってきた冬鳥はこの暑さに驚くでしょう。そしてまだ蝉の声を聞くこともあります。強い台風の影響なのでしょう。今日の関東地方では30度に達するところもあるようです。なかなか衣替えが出来ない今年の秋です。
それでも秋はしっかりと深まっています。野の花では、コスモスに続いて彼岸花、金木犀、菊と、秋を代表する彩り、香りが癒してくれます。
これから10日間、暦を見ると、秋を象徴する行事が続きます。(写真は春の菜の花を併せて名物となっている旧浜離宮恩賜庭園のコスモス)
10月13日の日曜日は、旧暦の九月九日。五節句の【重陽】です。"菊の節句"と呼ばれるこの日は、邪気を払って長寿を願い、菊の花を飾ってお祝いをする日。五節句の中ではやや陰が薄い感じがしますが、本来最も厳かで、歴史を感じさせる"大人"の行事でした。今年は三連休のなか日。家族とともに静かな酒宴を楽しむというのはいかがでしょうか。
そして、10月17日の木曜日は、旧暦九月十三日。【十三夜】です。旧八月十五日の【中秋の名月】に対して、のちの名月と呼ばれ、この二回のお月見をすると縁起がいいとされています。また、中秋の名月を別名「芋名月」と呼ぶのに対し、十三夜は「栗名月」と呼ばれています。確かに、里芋の白くて丸い満月に比べて、すこし欠けた栗のような形が印象的なのでしょう。それぞれの収穫時期にも合っているように思います。新米のもち米で蒸し上げた栗ごはんが合いそうです。
こうして秋の行事を一つ一つ楽しんでいると、月日が加速度を増して進み、あっと言う間に師走、ということになるのは例年のこと。日没の時間がどんどん早くなるのも影響しているのかも知れません。慌ただしくなる前の静かな晩秋をお楽しみください。